森林事業の資金調達として欠かせない造林事業補助金を詳しく解説

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造林事業補助金

森林の整備は木材や林産物の他にも、国土の保全や水源の涵養(かんよう)、地球温暖化の防止などにつながる重要な役割と持っています。

森林事業者にとって、森林の長期間に及ぶ整備や管理は大きな負担となりますが、そのような場合に利用できる造林事業補助金をご存知でしょうか?

造林事業補助金を活用すれば、計画的に植栽や間伐採等に要した経費の一部が補助され事業者の負担を軽減してくれます。

他の補助金と違った特徴を持っている補助金となりますが、こちらの記事では造林事業補助金をわかりやすく解説していますので、参考になさってみてください。

林野庁が実施している森林整備事業

造林事業補助金

林野庁では、国民生活や国民経済に大きく貢献している森林に対して、植栽、保育、間伐などの整備や造成を進めていくことが重要だと考えています。

また、奥地や気象害、鳥獣等の被害森林によって、林業的な取り組みができない森林などには公的な森林整備をする必要があるとして「森林整備事業」を設けました。

「森林整備事業」では、植付、下刈り、間伐等の作業に対して支援を行っており、作業を実施したものは、都道府県に申請すると検査の後に補助金が交付されます。

造林業事業補助金とは?

森林整備事業で行われている造林事業補助金とは、森林所有者や森林所有者から委託を受けた森林組合等の支援を行っている補助金です。

持続的な森林経営に取り組むことに加えて、計画的に植栽や間伐等の県が必要と認める作業を行った場合に、整備に必要な経費を補助しています。

森林事業は、長期の固定資本に合った利潤率が困難ですが、補助金によって所有者負担を軽減し保育を進め、質の高い木材の生産、水源の涵養(かんよう)や災害防止、さらにはCO2吸収量の確保などの公益性の高い森林にすることを目的としています。

造林事業補助金の特徴

造林事業補助金

造林事業補助金は、他の助成事業と異なった特徴を持っている補助金です。

一般的な補助金では経費に対しての補助率によって補助金額が決定しますが、森林整備では標準単価方式を用いて行い、補助金も整備した面積と査定係数によって計算されます。

次に、標準単価方式と計算方法、さらに森林整備をした個人が行う補助金の申請方法についてご紹介いたします。

標準単価方式

森林の整備は、下記の3つの理由があるために実行経費を正確に把握することが困難となります。

①施行地が小規模で分散しており件数が非常に多い

②施行地ごとの実行経費を左右する林道からの距離、傾斜、前生樹の大きさ等の条件が千差万別

③自家労働、自家養成苗による事業のように金銭の実支出を伴わないものがある

このような理由があるため、実行経費に対して定率で補助金を交付を行わず、知事が定める標準的な経費(標準単価)を基に、補助金額を算定しています。

これのような方法を「標準単価方式」いい、「標準単価方式」を用いることで実行経費の高い低いにかかわらず、作業と面積が同じであれば同じ補助金額が交付されるのです。

補助金の計算方法

「標準単価方式」を利用した1haを間伐した計算式の例は、下記の通りとなります。

◆標準単価  178,000円  1haの間伐に要する経費
◆面積       1ha
◆査定係数    1.7   
◆補助率     4/10

(計算式)
◆標準単価×面積×査定係数×補助率
◆178,000円/ha×1ha×1.7×4/10=121,040円

査定係数というのは、政策上の重み付けの係数です。

保安林で行う作業、森林施業計画を遵守した作業などの場合には、査定係数が1.7となり、標準単価方式では、実行経費の高い低いにかかわらず、1haの間伐ではこの金額が補助金額となります。

市町村等が事業主体の場合には、現場管理費等の一定率が別途、標準単価に加算されます。

補助金の申請方法

森林整備をされた個人が補助金の交付申請は、森林所有者の自身の他にも、第三者へ委任することが可能です。

森林整備は、個人で準備するには大変な作業が含まれているために、多くの場合は森林所有者の組織する団体である森林組合が申請事務を取り扱っています。

ただし、例外的に森林組合がない市町村では、市町村が事務を行っている場合もあります。

自身で作業をされた方、長期の委託を受け森林施業計画の作成者となられた林業事業体の方が申請事務をする場合には、最寄りの地方農林振興局、総合事務所農林局に相談しましょう。

造林事業補助金の概要

造林事業補助金

造林事業補助金は、森林所有者や森林所有者から委託を受けた森林組合等に対して支援を行っています。

山に木を植えたり間伐などの手入れを行った場合に、一定の条件が満たされていれば補助金が交付されます。

持続的な森林経営に取り組み、計画的に植栽や間伐等の県が必要と認める作業に要した経費に対して支給される補助金です。

補助対象者

造林事業補助金の補助対象となるものは、下記のとおりとなります。

◆森林経営計画の認定を受けた者、市町村、森林所有者、森林組合など

補助対象作業種

造林事業補助金の対象となる作業は、下記の通りとなります。

①人工造林(単層林の造成): 地拵え、植栽等

②樹下植栽(複層林の造成): 地拵え、樹下への植栽等

③下刈り(10年生以下): 雑草木の除去等

④枝打ち(30年生以下): 林木の枝葉の除去

⑤保育間伐(35年生以下又は伐採木の平均胸髙直径18cm未満) :搬出を伴わない間伐
・伐採本数割合:20%以上

⑥間伐(60年生以下): 搬出間伐
・伐採本数割合:20%以上
・1申請当たりの面積:5ヘクタール以上
・搬出割合:1ヘクタール当たり10立方メートル以上

⑦更新伐(90年生以下): 搬出間伐
・伐採本数割合:20%以上
・1申請当たりの面積:5ヘクタール以上
・搬出割合:1ヘクタール当たり10立方メートル以上
・実施後2年以内に更新(複層林化)が必要

⑧付帯施設整備:森林作業と一体的に実施する鳥獣害防止施設等

⑨森林作業道 :森林作業と一体的に実施

採択要件

造林事業補助金

造林事業補助金の受けるための要件は下記の通りとなります。

◆1施行地の面積 
・森林環境保全直接支援事業の場合 0.1ヘクタール以上(県単造林事業の場合は0.05ヘクタール以上)

◆間伐と更新伐(森林環境保全直接支援事業)
・森林環境保全直接支援事業で実施する間伐・更新伐については、下記のすべての要件を満たす必要があります。

①1申請における施行地の合計が5ヘクタール以上(共同申請可)
②伐採木の搬出材積が実施箇所1ヘクタール当たり平均10立方メートル以上

◆事前計画
・森林環境保全直接支援事業で実施を予定している人工造林・間伐・更新伐・森林作業道については、着手前にあらかじめ事前計画を作成し、各農林事務所へ提出する必要があります。

◆その他
・原則、森林経営計画が策定された森林で森林経営計画に基づいて作業を行うことが必要です。

補助金額

造林事業補助金の補助額は、県の定める基準単価に間接費(社会保険料等)を加算し、作業数量(面積や延長)を乗じた額を標準経費として計算されて補助金額が決定されます。

◆計算式
『補助金額=標準単価×間接費率×事業量×査定係数×補助率』

◆標準単価
・毎年、作業内容ごとに県で定めています。

◆間接費率
・現場監督費(0%、16%)及び社会保険料等(0から15%)の比率で、1.00から1.31の範囲となります。

◆事業量
・作業を行った面積等

◆査定係数
・森林経営計画を作成した場合:1.7
・森林経営計画を作成していない人工造林、樹下植栽又は下刈り:0.9

◆補助率
・4/10

(試算例)
◆1haのスギ山を伐採後、コンテナスギを2,000本/ha植栽した場合 
・70万円程度の補助額 

◆1haのヒノキ山で下刈りを実施した場合
・15万円程度の補助額

◆鳥獣害防止ネット(スカートネット付き)を100メートル設置した場合
・10万円程度の補助額

なお、作業種で試算した例であり、上記の補助金が必ず交付とは限りませんのでご注意ください。

補助金の申請方法

造林事業補助金

造林事業補助金の申請は、作業の完了しだい作業を実施した森林の所在している市町村の所管している農林事務所に申請書を提出してください。

◆申請書の受付時期は年3回(6月末、10月末、3月20日)の期日まで提出

なお、原則として、農林事務所は申請書の提出後、現地及び書類にて、下記の検査を行います。
この検査に合格することで補助が受けられます。

・作業が行われているか?
・作業方法は適切か?
・面積が過大でないか?
・森林所有者の同意はあるか?

補助の採択要件は作業種により異なり、補助の採択要件に適合していない場合は作業を実施していても補助対象外となりますのでご注意ください。

補助金を受けた後の注意点

造林事業補助金

造林事業補助金の目的は、森林の持つ多面的機能の維持増進のため交付です。

事業主体は補助対象となった森林は、補助目的が達成されるように手入れが必要となり、補助金が交付された翌年度から起算して5年(又は10年)を経過するまでの間、原則森林の転用(補助対象地の用途を森林以外へ変更すること)や伐採が制限されることになります。

・森林の転用や伐採及び何らかの理由により補助目的を達成することが困難となりそうな場合
・森林の転用(売却含む)、伐採をお考えの方

上記のような場合には、事前に県へ届け出るとともに、制限されている森林であるかを確かめておくことが大切です。

守らない場合には、補助金相当額を原則返納となりますので注意しましょう。

まとめ

造林事業補助金

森林整備事業の資金調達として活用できる造林事業補助金の特徴や概要に加えて、申請方法、交付後の注意点を詳しく解説してきました。

一般的な補助金と異なった特徴がある造林事業補助金ですが、造林事業補助金は長期間を要する森林事業を支援してくれる力強い存在となってくれる補助金です。

補助金額の算出方法は、通常の補助金よりも複雑となっていますので、上記の計算の仕方を参考に確認しておくと安心です。

補助金を活用して、国土の保全や水源の涵養(かんよう)、地球温暖化の防止などの重要な役割をもっている森林を守りましょう。

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