資金調達として融資を検討している事業主の方の中には、税理士に融資の相談や手伝いをしてもらう際にかかる料金の相場を知りたいと思っている方が多いのではないでしょうか。
金融機関から融資を受ける際、基本的には自分自身で手続きを行なうこともできますが、融資を受けられるかどうかは別の問題です。
金融機関に融資を申し込む場合、より審査を通りやすくするために専門家である税理士に依頼するケースがほとんどです。
また、融資に関わる必要書類を作ってくれたり、自分で行なうには非常に手間と時間がかかってしまうような作業を代行してくれます。
もちろんビジネスで行なっているので、無料というわけにはいきません。
しかし、専門家の税理士に依頼することで融資、資金調達のスピードも早くなり、成功確率も大幅に上がるでしょう。
本記事では、そんな税理士に融資の手伝いを依頼した場合、相場はどれくらいなのか、どのような税理士を選べばいいのかについて紹介するので参考にしてみてください。
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税理士に資金調達を依頼した場合にかかる料金体系
融資の手伝いをしてくれる税理士に支払う報酬の相場は、料金体系によって異なるので、まずは料金体系から解説します。
その料金体系の中でも1番主流なのが、成功報酬です。
成功報酬とは、税理士の手伝いがあって依頼主が金融機関から融資を受けられた場合、その何%かを報酬として支払う料金体系のことです。
この場合、「もし融資を受けられなかった場合は、一切の料金を受け取らない」としている場合が多いので、事業主の方も依頼しやすいシステムになっています。
しかし成功報酬のデメリットとして、融資の受け取りに成功した場合報酬が高くなるケースが多いので、あらかじめ料金を確認しておきましょう。
もう一つの主流な料金体系が、成功報酬とは別に着手金を支払うパターンです。
着手金とは依頼主の案件が成功、失敗に関わらずお金を支払わなければいけません。
成功報酬にプラスして着手金を払うとなると、支払う額が高くなるイメージがありますが、この着手金があるパターンは成功報酬が比較的低めで、なおかつ着手金は最初から決まっているため大体の料金が明確になっているのが特徴です。
顧問契約している場合は料金が安くなる?
上記で成功報酬のみの場合と、そこにプラスして着手金を支払うパターンの2つを解説しましたが、税理士と顧問契約しているかどうかでも料金は変わります。
顧問契約とは、毎回スポットで料金を支払うタイプではなく、月額固定の料金を支払い、税金にまつわる書類の作成や、税務についての相談に乗ったりしてくれる契約のことです。
税理士事務所としても、顧問契約を結んでほしいと考えているでしょう。
その理由として、スポットでお金をもらうより毎月固定の料金を受け取るほうが安定したお金を得られるためです。
そのため、顧問契約をすれば融資に関するお手伝いを、安い料金で手伝ってくれる可能性もあります。
税理士に融資対応を依頼したときの相場
では実際に、税理士に支払う具体的な金額はいくらなのでしょうか。
金額は前述の通り契約内容によっても異なります。
・税理士へ融資に関する業務をすべて依頼する場合
・税理士へ融資に関する業務を一部依頼する場合
・顧問税理士に融資に関する業務を依頼する場合
以下でそれぞれのパターンを解説するので、参考にしてみてください。
税理士に融資に関する業務をすべて依頼する場合の相場
税理士に資金調達に関する業務をすべてお願いする場合、成功報酬として平均相場が融資額の約2%~5%くらいがほとんどです。
そして、着手金の平均相場が2万円~5万円となっています。
例えば、100万円の融資を受けた場合、税理士に成功報酬として2万円~5万円、着手金がある場合はそこにプラス2万円~5万円になるでしょう。
税理士に融資に関する業務を一部依頼する場合の相場
税理士に融資に関する業務を一部お願いする場合、内容によって異なりますが、例えば書類作成の代行などは4万円前後です。
また、相談やアドバイスなどの場合は時間単価として、1時間1万円前後がほとんどです。
書類代行で4万円前後というと高く感じますが、税理士は金融機関に提出する事業計画書や、収支計画書などの書類作りの専門家です。
これらは自分で行なうこともできますが、時間もかかるうえに融資審査のノウハウも無い状態だと、審査が通らないケースもあるのでお金を払ってでも依頼するのはメリットとして十分でしょう。
相場から見ても税理士と契約した方が良い
「融資を受けたのに、高い報酬を税理士に支払うのは避けたい」、という方もいるでしょう。
しかし、融資を受けるのは人生のうちでも数えるくらいです。
そのため日常の業務に加えて、経験の少ない融資を受ける際に必要な書類を作ったりするのはとても大変です。
しかし融資が得意な税理士であれば、申請する際のノウハウや融資基準もわかっているため、税理士と契約するのは費用対効果がとても高いと言えるのではないでしょうか。
融資額が大きくなればなるほど、税理士に支払う報酬額も増えますが、融資が受け取れなければ本末転倒です。
必要な経費だと割り切って依頼すると良いでしょう。
とは言っても、まだ税理士と契約していない方は、どのようにして税理士を選べばいいのかわからない方が多いのではないでしょうか。
融資に強い税理士を選ぶ3つのポイント
一般的な税理士の選び方はさまざまですが、ここでは融資を受けることを前提に税理士を選ぶ3つのポイントを紹介します。
税理士は税の専門家なので、すべての税理士が融資について得意なわけではありません。
もちろん、融資が得意な税理士もいますが、未経験の税理士も存在します。
例えば、経営管理が得意な税理士に会社設立を依頼したとします。
会社設立自体は問題なくできても、資金調達の提案、資金繰りの管理ができるとは限らず、苦手、得意としていない人もいます。
その理由として、実は税理士試験には、資金調達に関わる科目はありません。
つまり融資を受ける際には、税理士の経験や知識が非常に重要になるのです。
融資を受けるということは、創業、起業、独立、開業する際の、会社の第一歩目といえるくらいに重要な業務です。
そのため、税理士は会社にとって重要なパートナーになるので、以下で紹介するポイントを踏まえて慎重に選びましょう。
経験が豊富な税理士を選ぶ
税理士を選ぶ際にひとつめのポイントは、融資の成功経験がある税理士を選びましょう。
成功経験があるということは、融資に関する知識を持っている人がほとんどなので、とても頼りになる存在と言えます。
税理士事務所に足を運んだ際に、自社の融資実行率を聞いてみましょう。
この融資実行率は税理士によって異なり、30%~90%以上などさまざまなので、その数字や経験を聞いて任せられそうな税理士に依頼するとよいでしょう。
コミュニケーションが取りやすい税理士を選ぶ
ビジネスパートナーとして相性が合う税理士を選ぶことも重要です。
知識と経験はもちろん大事ですが、パートナーとしてしっかりとコミュニケーションを取れる人でなければ業務に支障が出る場合もあります。
特に事業主の方は、何かと悩みがつきものです。
「売上があがってきたけど、支店は出すべきか」「従業員の給料を下げたら辞めてしまうのではないか」などさまざまな悩みがあります。
融資の場合には、銀行員、税務署員など、多くの場面で人とコミュニケーションを取る必要性があるので、税理士を選ぶ際にはコミュニケーション能力に長けている人が良いでしょう。
金融機関での勤務経験者を選ぶ
税理士の中には、銀行などの金融機関に勤めていた人もいます。
融資の審査をする側にいた人は、基準やノウハウを知っているので、融資の手伝いをするうえで非常に強力なサポーターとして助けてくれるでしょう。
銀行員の転職先として、税理士になる方が多いのは、それまでの仕事の経験が通じる部分が多いからです。
税理士の仕事として決算処理業務や会計事務、仕訳処理などがありますが、元銀行員であればこれらの知識を持っている人もいるので重宝されやすいのです。
そのため、元銀行員の税理士さんがいる場合は融資が得意か聞いてみると良いでしょう。
いつから税理士を探せばいい?
税理士の融資に関する報酬相場や、税理士の選び方を踏まえたうえで、いつ頃から税理士を探せばよいのか解説します。
税理士を探すタイミングは、融資を考え始めてからでは遅いと言えます。
起業を考えている時点で税理士を決めることをおすすめします。
起業する方は、会計や税務まで精通している方は少ないのですが、事業を行なっていくのであれば節税、事業計画などを考える際に会計や税務は絶対に避けては通れない道となっているからです。
また、効率的に、なおかつ高確率で融資を受けるためには早めに税理士を決めたほうが良いでしょう。
早めに税理士を決めるメリットとして、融資や補助金の相談に乗ってくれるのはもちろんですが、経理業務の代行や経営アドバイスなど、悩みの多い事業主にとって、「困ったらあの人に聞こう」と聞ける人がいるだけで、とても心強い見方となってくれます。
まとめ
本記事では、税理士に融資のサポートを依頼する際にかかる費用の相場や、融資に強い税理士の選び方を紹介しました。
相場に関しては、税理士に融資に関する業務をすべて依頼する場合、書類作成や面談の練習など一部の業務を依頼する場合で変わりますが、費用対価からみてもビジネスパートナーとして融資に強い税理士と顧問契約して、相談することをおすすめします。
また税理士を選ぶ際には、紹介した3つのポイントでもある、知識や経験が豊富な人、コミュニケーションが取りやすい人、金融機関での勤務経験者などを意識して探すと良いでしょう。
また、税理士を探すタイミングは起業を考え始めた時点で、決めておくと融資、資金調達もスムーズにいくでしょう。