最近では、脱サラをして独立する方や、若い人でも起業を考えている方が多くいます。
そして、それらの方がまず直面するのは起業にかかる資金ではないでしょうか?
起業のための資金を集めるために、融資を検討している事業主も少なくありません。
そのなかで、一番気になるのが「自分は審査に通過できるのか?」という点ではないでしょうか?
事業のために融資を受けるとなると、個人が利用するクレジットカードの審査とは異なり、金額も大きいため審査に通るのは容易ではありません。
特に、起業したてであれば「創業融資」を視野にいれる方が多いですが、申し込んだとしても融資の審査が通らずに資金繰りがどうにもならなくなったという声も聞いたことがあります。
また、もし審査に落ちてしまうと次の申込みには最低でも半年間待たなければいけないというルールもあります。
そこで、当記事では起業したばかりの事業主が創業融資に通らない理由や注意すべきポイントを解説していきます。
創業融資とは?
脱サラをしたり、独立を考えて起業した際に一番多く利用されるのが創業融資です。
創業融資は、名前の通り、新しく企業を創業する際に受けることができる制度です。
起業し、ビジネスを始めていくうえで資金は必要不可欠な存在です。
特に、起業したばかりになると、事務所の備品を用意したり、設備投資したりと、かなりの初期費用がかかってくるでしょう。
もちろん、飲食店などであれば材料を仕入れる資金も昼用になります。
また、従業員を増やすにあたっても人件費のための資金も必要になります。
しかし、これらの資金を全て自己資金で用意するのは難しいですよね。
そこで、使えるのが「創業融資」です。
創業融資を利用できるのは銀行や信用金庫、日本政策金融公庫などが多くありますが、日本政策金融公庫の創業融資を使う方が多くいます。
日本政策金融公庫の創業融資は他の金融機関の創業融資と比べても低金利で無担保・無保証人で融資可能というメリットもあるのです。
創業にかかる融資制度の概要
・ 融資限度額は、3,000万円(うち運転資金1,500万円)
・ 利率は、年2.35%(記事執筆時点)
・ 担保、及び保証人は原則不要
日本政策金融公庫を利用するメリット
日本政策金融公庫の創業融資を受ける際には様々なメリットがあります。
日本政策金融公庫は財務大臣が株式の97.13%を保有する政府の金融機関なので、安心して利用できます。
また、一般的な銀行や信用金庫で融資が難しいと言われてしまった場合でも、事業内容によっては積極的に融資を行ってくれます。
創業融資が一番借りやすい時期
起業時に活用できる創業のための創業融資ですが、実は審査が通りやすい時期があります。
それは、起業前からさかのぼって、起業後5年以内が一番融資を受けやすいと言われています。
実際に、日本政策金融公庫の募集要項や助成金の要件にも「創業して5年~7年以内」という条件を基に優遇している融資もあります。
融資を借りる方からすると、事業の売上が安定しないと借りれないのでは?と思う方もいるかもしれませんが、創業融資に関しては日本政府がバックアップしているため、このような優遇になっているのです。
近年では少子高齢化が進み、中小企業は20年以内に続々と引退してしまうとも言われてしまいます。
次々に中小企業が潰れてしまうと、日本の経済規模も小さくなってしまい、日本全体が縮小傾向になってしまうでしょう。
そこで、日本政府としても、新たに創業した起業に対して全面的にバックアップを行い潰れてしまう企業を減らしたいという目的ではじまったのです。
そのこともあって、起業前から起業後数年間は他の銀行や信用機関に比べても通りやすくなっています。
創業融資の審査で注意する6つのポイント
創業融資は起業後に審査が通りやすいとはいっても、必ずしも審査に通るわけではありません。
創業融資の審査に通らないポイントや通すためのポイントとしては、
・自己資金の有無
・税金、クレジットの滞納は無いか
・経験などがあり、実力が伴っているか
・事業は減収減益、赤字続きもダメ
・根拠の無い未来予想図
・希望額は明確に必要の分だけ申請
などが挙げられます。
これらのポイントを抑えることができれば、創業融資の審査の通貨する可能性も高くなるので一つ一つ見ていきましょう。
自己資金なしの場合
創業融資の審査対象として、自己資金があるのかないのかを見られます。
自己資金がない事業者であれば、適当な起業を行ったとみなされて融資ではマイナスポイントなってしまいます。
あまりにも高額な自己資金を用意する必要はないかもしれませんが、100万円程度は準備することをおすすめします。
それを証明するためにも自身の通帳のコピーも審査材料です。
起業のために長年コツコツお金を貯めてきたことが分かるような履歴が残る通帳であれば、日本政策金融公庫からの評価も上がるでしょう。
逆に、それらが証明できなかった場合信用度が低くなってしまい審査に通過できなくなってしまうかもしれません。
税金、クレジットの滞納は無いか
次に審査の対象となる項目は、申込者が金銭的にブラックな情報がないのかどうかを判断されます。
日本政策金融公庫が創業融資を使って低金利でお金を貸してくれるのは、あくまで事業を成功させて欲しいという目的からです。
そのため、事業主個人にクレジットカードの延滞や公共料金の支払い遅れなど、情報機関にブラックな情報があった場合、「お金を貸しても借金返済に利用するのでは?」と思われてしまうかもしれません。
信用情報機関には過去の延滞履歴などが公表されていますが、5年間経過すれば信用情報はなくなります。
もし、自分の信用情報に自身ないという方は、一度CICなどの信用機関に信用情報開示制度を使って確認してみるのも良いかもしれませんね。
経験などがあり、実力が伴っているか
創業融資を受ける際に、申込者がその事業でやっていけるのかどうかも判断されます。
例えば、今まで八百屋で10年間働いていた方が突然、IT起業を開業するために融資を貸してくれと言っても、信用度にかけてしまうでしょう。
そのため、起業するにあたって、申込者が起業する業界で経験があるのかどうかも審査基準の一つとなっています。
もし、起業する業界が未経験であれば起業する前にその業界で1年間程度働いて実績を積むのも良い手かもしれません。
事業は減収減益、赤字続きもダメ
創業時したばかりであれば収益の増減を伝えるのは予測でしかなくなってしまいますが、事業の収益の状態も伝えなければなりません。
事業が減収減益、赤字続きなど、事業の状態が悪化していると融資に通りづらくなってしまいます。
しかし、日本にある起業の全てが増収増益というわけではないので、事業が減収減益でも問題があるわけではありません。
「事業の調子が悪い時期もありましたが、現在は調子が上がってきています」というように見せ方を工夫して、今後は収益を見込めているということをアピールするのも審査に通過するポイントです。
この資料の作り方に関しては、税理士などの専門家が得意としているので一度相談してみるのも良いかもしれません。
根拠の無い未来予想図
提出する事業計画書には必ず根拠のある計画を書かなければなりません。
「明日から俳優として稼ぎます!」と言い融資をお願いしたとしても、その根拠がないのであれば融資を受けることはできません。
具体的に収入を得られることが分かる資料を提出する必要がでてきます。
そのため、根拠のある事業計画書を作成していくのがポイントです。
希望額は明確に必要の分だけ申請
融資を受ける際に、誰しもが余裕を持って多めに借りたいと思うかもしれません。
しかし、日本政策金融公庫の融資担当は融資のプロなので、どんな業種にいくらくらいの予算が必要になるのかはだいたい検討がついています。
そのため、融資希望額をあまりにも大きくしてしまうと融資を受けられなくなってしまいます。
知り合いに事業を始めるから「200万円貸して」といっても貸してくれませんよね。
しかし、「2万円貸して」と言えば、敷居が低くなって貸しやすくなるはずです。
日本政策金融公庫もそれと同様なので、実際に利用する目的のある金額の範囲内で融資を受けましょう。
もし、融資額が足りなくなってしまったら基本的に追加融資を受けるのが基本です。
余裕を持って融資を受けたいと思っても嘘はつかずに必要な分だけを希望するようにしてください。
認定支援機関を通すメリット
日本政策金融公庫の融資を受ける際に、認定支援機関を通すことで審査の合格率が上がる傾向があります。
認定支援機関とは、専門知識や実務経験が一定レベル以上だと国が認定する公的な支援機関です。
具体的には、商工会や金融機関、税理士や公認会計士、弁護士などが認定支援機関として認定されています。
もちろん、認定支援機関を利用すると手数料などがかかってしまいますが、確実に審査を通したいのであれば専門家の意見を聞いたり相談することをおすすめします。
認定支援機関を利用することによって、国が認めた専門家からの斡旋で申し込みをしていることになるので、申込者の信用度が上がり、審査に通りやすくなるのです。
また、認定支援機関を利用することによって、中小企業経営力強化資金という制度を利用できるので、個人で申し込むよりも低金利でお得に融資をうけることができます。
まとめ
以上、当記事では起業する際に使える日本政策金融公庫の創業融資について解説しました。
起業の中で、重要なのは「人、物、金、情報」という経営資源です。
お金(資金)は絶対に必要です。
融資などをせずに、全て自己資金で考えている方は問題無いですが、起業する際のほとんどの方は、融資を考えます。
ぜひ、起業する時に1番最初の関門だと思いますので、この記事を参考にしてみてください。