建築物の窓に関しては結露にすきま風、防音性や防犯性などといったさまざまな問題が生じがちです。
いろいろな想定の上で窓をつけるわけですが、実際にそこで過ごしてみると予想していなかった問題が表面化してくるという例も少なくはありません。
ずっと使っていく空間ですから、問題を感じながらもそのままにしていてはストレスになってしまいます。
そこで「省エネリフォーム」や「防音リフォーム」、「防犯リフォーム」といったように機能性を高める目的で窓のリフォームを行うことは効果的です。
もちろん工事を行うためには費用もかかるのですが、その費用として充当することのできる補助金があります。
・既存建築物省エネ化推進事業
・二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金
・省エネルギー投資促進に向けた支援補助金
次項から、それぞれの制度をくわしく解説します。
既存建築物省エネ化推進事業
既存建築物省エネ化推進事業は、建物の省エネルギー化という観点に注目されているものです。
窓のリフォームによって、建物の省エネ化が実現するかどうかがポイントとなります。
既存建築物省エネ化推進事業の概要
既存建築物省エネ化推進事業では、国から事業を実施するために必要な費用のうち一部が支援されます。
対象となる事業は、建築物ストックの省エネルギー改修などを進める目的で民間事業者などが実施する省エネルギー改修工事や付随するバリアフリー改修工事です。
目的に合致すれば、もちろん窓のリフォームも該当します。
なお既存の建物ではあっても、工場や倉庫などといった生産用の設備がある建物は含まれません。
補助の対象となる費用には工事そのものにかかる金額のほかエネルギー使用量の計測などに必要な費用、省エネルギー性能の表示に必要な費用も含まれます。
国が支援する費用の補助率は3分の1となっていて、補助限度額は1件につき5,000万円です。
既存建築物省エネ化推進事業の適用要件
既存建築物省エネ化推進事業が適用されるためには、いくつかの要件があります。
改修工事に関しては、改修後の建物全体で消費するエネルギーの量について改修前と比べて20%以上となる省エネ効果が見込まれなければなりません。
工事は事業が採択された年度のうちにスタートし、その年度中に完了するよう行われることとされています。
改修後には耐震性を備えるとともに実際に一定の省エネルギー性能に関する基準を満たす必要があり、省エネルギー性能について表示することも必要です。
工事にかかる事業費は、合計して500万円以上の金額となることが求められます。
そして、事例集などへ情報を提供することにも協力しなければなりません。
既存建築物省エネ化推進事業をめぐる手続き
既存建築物省エネ化推進事業への応募については、あらかじめ事業登録を済ませた上で応募種類を提出する手続きが必要です。
事業登録は既存建築物省エネ化推進事業のホームページから行うようになっていて、応募者に関しては事業名のほか提案者や事務連絡先といった情報を登録します。
事業の実施場所、省エネルギー改修工事等事業の概要なども登録が必要です。
確認画面として表示される登録内容は、プリントアウトした上で応募種類へ添付するようになっています。
また登録が受け付けられると応募番号を通知するメールが届きますから、その番号を応募種類に記入しなければなりません。
応募書類はホームページからのダウンロードが可能であり省エネルギー改修工事に関しては「内容」と「範囲」、「省エネ効果」を記載するものがあります。
そのほか「エネルギー使用量の計測・管理の内容」と「バリアフリー改修工事の内容」、「補助対象となる部分の経費の内訳」を記載する書類もそろえなければなりません。
書類は、郵送や宅配便などで提出します。
二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金
二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金は、二酸化炭素の排出抑制という点に注目された補助金です。
窓のリフォームが、住宅の断熱性能を高めるものであれば資金調達手段として活用することができます。
二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金の概要
二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金では、高性能建材の導入に必要な費用の一部が補助されます。
「高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業」ということで、大前提として対象は既存の戸建住宅と集合住宅に対して行われる断熱リフォームです。
その目的を達するために、「高性能・省CO2」な断熱材や窓などの設備が用いられているということになります。
つまり窓のリフォームを行う上でも、目的や使用される建材によって対象となるかどうかが異なるわけです。
具体的に対象となる経費は補助事業を行う上で用いられる建築材料である高性能建材の購入費用、また必要とされる工事にかかる費用となっています。
それぞれの補助対象製品に対し、補助率は経費の3分の1以内です。
ガラスや窓のほか断熱材といった高性能建材に対する補助金の上限額は戸建住宅であれば1戸あたり120万円か40万円、集合住宅は1戸ごとに15万円とされています。
二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金の適用要件
二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金が適用される上では、必要な事業の要件がすべて満たされていなければなりません。
断熱改修が行われる既存住宅は事業用件の詳細に従ったものでなければならず、使用される建材は補助対象製品である必要があります。
また部位の解体や仮設足場などといった建物本体の工事一切については、着工はもちろん契約も含めて交付決定通知書に記載された交付決定通知日よりも後であることが必要です。
そして工事が完了した後は、提出期限までに完了実績報告書を提出することが求められます。
改修の詳細としては居間ないし寝ている間以外で長い時間を過ごす居室を中心とする必要があり、なおかつ改修率の要件を満たしていなければなりません。
その外気と接する部分すべてに導入する断熱材や窓、ガラスを設置することが原則です。
玄関の外気と接する部分を改修する場合には、玄関のドアと一体になっていない窓やガラスを改修することとされています。
断熱材や窓、ガラスの改修に関しては原則として外気と接する部分だけが対象です。
二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金をめぐる手続き
二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金の申請には、交付申請書と添付書類が必要です。
様式が定められているものとしては交付申請書のほか暴力団排除に関する誓約事項・役員名簿や総括表、明細書そして誓約書があります。
様式自由なものも見積書に加えて平面図や姿図、求積表に改修前写真さらに住民票の写しなど種類が多いため漏れがないよう注意しなければなりません。
提出に際しての「順番」も決まっていて、A4サイズのファイルへ綴じ込んだ上で提出することとされています。
省エネルギー投資促進に向けた支援補助金
省エネルギー投資促進に向けた支援補助金は、建材の省エネルギー性能に注目された支援事業です。
窓のリフォームにあたっては、使用される建材によって省エネを実現することができるかどうかがポイントとなります。
省エネルギー投資促進に向けた支援補助金の概要
省エネルギー投資促進に向けた支援補助金の目的は、次世代省エネ建材の市場を広げ価格は低減することによって自立的な普及と拡大を目指すことです。
そのために、短い工期の中で人は住みながら省エネルギー性能を持つ高性能建材のほか潜熱蓄熱建材や防災ガラス窓などを導入することのできる事業が支援されます。
既存住宅の省エネルギー化を企図していることが、大前提です。
補助の対象になる経費は、補助事業を実施する上で必要とされる建築材料の購入にかかる費用と工事にかかる費用でなければなりません。
補助率は補助対象経費の2分の1以内であり補助の上限金額は戸建住宅で200万円、集合住宅で125万円とされています。
窓のリフォームに関しては、外窓を交換したり内窓を追加したりすることによって部屋から温度を逃さないようにすることで省エネ効果を得ようとするような場合が対象です。
また防災性、断熱性をともに備えている防災ガラス窓を設置するケースも補助対象となります。
省エネルギー投資促進に向けた支援補助金の適用要件
省エネルギー投資促進に向けた支援補助金が適用される上では、必要な事業の要件がすべて満たされていなければなりません。
改修工事は、補助対象製品を用いたものであることが必要です。
窓は任意製品に該当し、必須製品である断熱パネルか潜熱蓄熱建材を使った改修と同時に改修されることが要件となります。
工事の開始、契約とも交付決定通知書に記載された交付決定通知日よりも前に行われてはいけません。
それについて証明すべく、交付決定通知書に記載されている交付決定番号を工事看板に記載した写真の撮影が求められています。
そして工事が完了した後には、実績報告書のほか事務取扱説明書で示されている書類も提出することが必要です。
省エネルギー投資促進に向けた支援補助金をめぐる手続き
省エネルギー投資促進に向けた支援補助金を申請するにあたっては、必要な書類を二部ずつ作成した上でその正本を送付する必要があります。
様式が決まっているものは交付申請書のほか暴力団排除に関する誓約事項・役員名簿や総括表、明細書と誓約書です。
様式自由なものも見積書に加えて平面図等や姿図、展開図に求積表さらに居室の断熱性能が確認できる種類など種類が多いため漏れがないよう気を付ける必要があります。
提出に際しての「順番」も決まっていて、A4サイズの固定式透明クリアファイルへ綴じ込んで提出しなければなりません。
決まった様式がある書類は、ホームページ上から「申請様式」をダウンロードした上で使用するかたちになります。
まとめ
以上、窓のリフォーム工事にあたり資金調達に役立つ3種類の補助金を紹介しました。
・既存建築物省エネ化推進事業
・二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金
・省エネルギー投資促進に向けた支援補助金
窓のリフォームを行う上では、おもに使用される建材に省エネ効果が期待されるなどの場合に適用される補助金制度があります。
いずれについても工事である「事業」には満たしていなければならない要件がありますから、留意することが必要です。