
近年では、少子高齢化となると同時に人口減少が進み、今での社会構造が変化が生じてきました。
このような変化に伴い、民間活動や医療分野や医療施設に対して不安を感じている方は多いのではないでしょうか?
独立行政法人福祉医療機構のwamは、国と連携して福祉の増進と医療の普及や向上に対して、支援を行っている機関です。
助成事業や融資が設けられており、wam助成(社会福祉振興助成事)では、NPO法人や社会福祉法人などに向けての助成を行っています。
こちらの記事では、wamが行っている事業を始めとして、wam助成の5つの助成事業をご紹介しています。
医療分野や福祉関係の民間活動を行っている方は、ぜひwamの助成金を活用してみてください。
INDEX
wamとは?福祉と医療の普及向上を目指す福祉医療機構
wamこと、独立行政法人福祉医療機構は、2003年に福祉の増進と医療の普及と向上を目的として設けられました。
「民間活動応援宣言」を経営理念として、国の政策と連携しながら地域の福祉と医療の基盤づくりをしています。
◆経営理念 「民間活動宣言」
心豊かに安心して暮らすことができる社会を築くために、社会福祉施設等の計画的整備、質の高い効率的な医療を提供するための医療制度改革に即した医療提供体制の構築などを、福祉医療分野で行っています。
wamは、このような社会保障を支える福祉医療の基盤づくりのための施策を進めています。
wamが行っている事業
wamは、国の施策と連携し、多岐にわたる福祉医療の基盤整備、社会福祉、医療施設の整備のための下記の事業を行っています。
・貸付事業
・施設の安定経営をバックアップするための経営診断・指導事業
・社会福祉を振興するための事業に対する助成事業
・社会福祉施設職員などのための退職手当共済事業
・障害のある方の生活の安定を図るための心身障害者扶養保険事業
・福祉保健医療情報を提供する事業
・年金受給者の生活支援のための資金を融資する事業及び年金資金運用基金から承継した年金住宅融資等債権の管理・回収業務など
国からの出資金を受けているwam
wamは、国から出資金を受けており、一般勘定と労災年金勘定、承継債権管理回収勘定において出資を行っています。
・一般勘定の出資金は、社会福祉施設や医療関連施設への貸付金の原資等や、東日本大震災により被災した施設へ貸付条件の優遇措置を行うための財務基盤強化への出資
・労災年金担保貸付勘定の出資金は、労働者災害補償保険制度に基づき支給される受給者への貸付金の原資
・承継債権管理回収勘定の出資金は、年金資金運用基金から承継した年金住宅融資等の貸付債権額見合いとして出資
wamが実施しているwam助成を解説
デザインのコンセプトは、「あなたのために私は何ができるだろう」
社会福祉振興助成事業ことwam助成では、そのつぶやきを外へ広げていく力になればという思いを表現したキャッチコピーを掲げています。
wam助成は、国庫補助金を財源とし、NPOやボランティア団体などが行う民間福祉活動を対象とした助成事業を、下記の図のような仕組みで実施しています。
国庫補助事業となるwam助成は、平成22年度より基金の運用収入による助成から、国庫補助金(社会福祉振興助成費補助金)による助成に変わりました。
「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」に基づき、適切な執行が求められています。
助成対象者
wam助成の助成対象となる団体は、NPO法人、社会福祉法人などの他、法人格のない団体(非営利任意団体)など、下記の団体となります。
なお、個人は対象としていませんので、ご注意ください。
・NPO法人
・社会福祉法人
・医療法人
・一般社団法人・一般財団法人
(定款において残余財産を公益目的の法人に配分することを規定する法人に限る)
・ 公益社団法人・公益財団法人
・その他社会福祉の振興に寄与する事業を行う法人若しくは団体
助成対象事業の2つの種類
wam助成の助成対象となる事業は、「地域連携活動支援事業」と「全国的・広域的ネットワーク活動支援事業」の2種類の事業となります。
◆地域連携活動支援事業
地域の多様な社会資源を活用し、複数の団体が連携やネットワーク化を図り、社会福祉諸制度の対象外のニーズ、 その他地域の様々な福祉ニーズに対応した地域に密着した事業
◆ 全国的・広域的ネットワーク活動支援事業
全国又は広域的な普及・充実等を図るため、複数の団体が連携やネットワーク化を図り、相互にノウハウを共有し、社会福祉の振興に資する創意工夫ある事業又は社会福祉施策等を補完若しくは充実させる事業
助成対象経費
wam助成の助成対象となる経費は、助成対象事業を実施するための真に必要な下記の経費となります。
◆謝金、旅費(国内旅費及び外国旅費)、借料損料(会場借料含む)、家賃、備品購
入費、消耗品費(燃料費、食材費及び会議費含む)、印刷製本費、通信運搬費、賃金、
委託費、保険料、雑役務費、光熱水費
助成金額
wam助成の「地域連携活動支援事業」と「全国的・広域的ネットワーク活動支援事業」のそれぞれの助成金額は下記の通りとなります。
◆地域連携活動支援事業
・助成額 50万円~700万円
◆ 全国的・広域的ネットワーク活動支援事業
・助成額 50万円~900万円
なお、下記のいずれかに該当し、社会福祉振興助成事業審査・評価委員会が特に認める場合は、全国的・広域的ネットワーク支援事業において、2,000万円の範囲内で上記助成金額を超えることが可能となります。
・災害支援等十分な資金の確保が必要な事業を行う場合
・4以上の都道府県を網羅し、大規模かつ広範囲に活動を行う事業の場合
wamで行っている助成事業選定の流れ
wam助成では、下記のような流れによって助成事業が選定されていきます。
応募から始まり、審査、内定、助成決定となり助成金が交付されます。
内定した時点で内定通知が送られ、その後は助成金申請書兼請求書の提出となりますので、忘れないようにしてください。
助成事業がすべて完了したあとには、助成事業を対象に事業評価が行われます。
助成対象テーマがポイントとなるwamの審査
上記で説明したように、wam助成では応募してから審査があり、審査をクリアしなければ助成金を利用することができません。
審査を通るためには、応募するときに実施されたい事業が、どの助成対象テーマに一致するかが、選択のポイントとなります。
次に、令和2年度助成対象テーマの「安心につながる社会保障」と「夢をつむぐ子育て支援」について、みていきます。
安心につながる社会保障
助成事業のテーマのひとつとなる「安心につながる社会保障」では、下記のようなことを実施している事業が対象となります。
・安心して暮らせるための地域共生社会の実現に資する事業
・求められる介護サービスを提供するための多様な人材の確保、生産性の向上に資する 事業
・介護する家族の不安や悩みに応える相談機能の強化・支援体制の充実に資する事業
・介護に取り組む家族が介護休業・介護休暇を取得しやすい職場環境の整備に資する事業
・介護と仕事を両立させるための働き方改革の推進に資する事業
・元気で豊かな老後を送れる健康寿命の延伸に向けた取り組み強化及び高齢者への多様な就労の機会の確保に資する事業
・障害者、難病患者、がん患者等の活躍を支援する事業
夢をつむぐ子育て支援
助成事業のテーマの「夢をつむぐ子育て支援」では、下記のようなことを実施している事業が対象となります。
・結婚、子育ての希望実現の基盤となる若者の雇用安定・待遇改善に資する事業
・妊娠、出産、育児に関する各段階の負担、悩み、不安を切れ目なく解消するための支援事業
・子育てを家族で支える三世代同居・近居しやすい環境づくりに資する事業
・出産後・子育て中も就業が可能な多様な保育サービスの充実・多様な人材の確保・生産性の向上に資する事業
・出産・子育ての現場である地域の実情に即した働き方改革の推進に資する事業
・希望する教育を受けることを阻む経済事情など様々な制約の克服に資する事業
・子育てが困難な状況にある家族・子供等への配慮・対策等の強化に資する事業
行われる審査項目
wamで行われている審査項目は4つに分かれており、項目ごとに活動実績や財務状況、事業の目的や経費の妥当性および合理性、自立的継続度や将来発展性などがチェックされます。
詳しくは、下記の表の通りとなります。
平成30年度の助成実績
平成30年度の助成実績となる「wam助成金全体の実績及び支援対象者向け事業者数」では、160団体から報告され事業対象者数は429,981人にものぼりました。
社会課題を共有できた人数及び民間活動の担い手を育てる事業の対象者数」では、社会的課題を共有できた人数が25,540人、活動の担い手を育てる事業の対象者数が8,919人、さらに支援対象者が活動の担い手となった人数においては、2,685人となっています。
「助成事業における連携団体数、専門職の協力者数、ボランティア参加者数」は、2,428団体であり、そのうち新たな連携は1,066団体にもおよんでいます。
さらに、専門職(有資格者)の新たな協力者は1,219人、市民ボランティアの新たな参加者で3,022人と、新たな協力者や参加者が増えました。
wam助成によって、新たな連携や協力者、さらにはボランティア参加者が増えているという実績が報告されているのです。
まとめ
wamこと、独立行政法人 福祉医療機構の紹介を始めとして、行っている事業やwam助成について詳しくまとめてみました。
wamでは国と連携した様々な施策を行い、民間活動の手助けとなる様々な事業を行っています。
その中でもwam助成金は、民間活動するにあたっての大きなサポートとなるでしょう。
対象事業を行っている対象者であれば、積極的にwam助成金を民間活動の力としてお役立てください。
ただし、wam助成金は審査を通過する必要がありますので、「助成対象のテーマ」をよく把握して、テーマに合致するよう事業を進めていきましょう。