
ここ数年20代から30代の若者の起業率が増加しており、事業の規模等は大小さまざまですが、多くの若者が起業し独立しています。
若者が就職をして、サラリーマンになるのではなく、起業して独立をする、という背景には、「誰にも縛られず自由に事業を展開していきたい」という思いがあるからではないでしょうか。
これまでの日本では、特定の会社に就職し、毎月決まった給料を貰って生活をする、というのが常識的な働き方だと考えられていました。
最近では、終身雇用はもはや崩壊寸前とまでいわれ、これまでの働き方に対する常識が崩壊してきているような状況もあり、若者たちは自分の思うように自由に働き、自分自身の力で収益を得るということが幸せな生き方だと考えるようになったのではないでしょうか。
そして、現代を生きる若者たちは、現実を見据えながらも既存のものとは異なる事業を積極的に展開し、起業家としての成功を掴んでいます。
こういった事実に感化されたように、定年後も自由に働きつづけるため、年齢が上の世代の方々も起業を志すようになっており、昔の頃と比べると、起業することを考える人が年齢を問わずに、全体的に増えている傾向にあります。
ですが、実際に経験の少ない若者が起業するためには、どうすればいいのでしょうか?
働いてきた年数が少ない若者には資金や経験、起業するにあたっての必要な知識がない方も多いと思います。
そして、起業をしたいけれどお金がない、といった漠然とした不安を抱えて起業することを躊躇したり、諦めてしまってはとても勿体ないことだと思います。
確かに会社を設立するとなると、開業資金や、設立費用、運転資金といったたくさんのお金が必要になるということは事実ですので、貯蓄が多いほど安心だということはいうまでもありませんが、今の日本には、資金の少ない若者が独立、開業する方法があるのです。
この記事では、そんな起業を検討する若者に向けて、若者が起業するにあたって利用することができる国の支援制度について詳しく解説します。
起業すると決めた日に考える事
起業をしたいけれど、お金がなく、普段の生活をしながらすぐに資金を用意するのが難しいといった場合に検討していただきたいことがあります。
それは、国や地方自治体から貰える返済不要の資金援助である、「補助金」や「助成金」を受給することを検討していただきたいということです。
国や地方自治体には、国民にむけて「禁止にしたいこと」と「推進したいこと」があり、「起業をする」ということは、国の経済を活性化させたり、新たな雇用を生み出したり、といった国にとってのメリットになる行為ですので、国や地方自治体が「推進したいこと」に該当します。
国が国民に「禁止にしたいこと」には、犯罪や、交通違反などといったことがあげられます。
当然、犯罪を犯したり、交通違反をした者に対しては罰則があります。
逆に、国が国民に推進したいことには、国民が得をするような制度が作られています。
例えば、税金を免除にしたり、控除枠を設けて節税できるようにしたり、といったようなことです。
そして、そのような制度の一つに「補助金」や「助成金」といった制度があります。
「補助金」や「助成金」とは。一定額の金銭を支給して、国民を公的に支援する制度です。
控除などの制度よりも直接的な推進政策であり、納めた税金の一部がキャッシュバックされると、捉えてもいいような制度です。
「補助金」や「助成金」の最大の特徴は、「返済する必要がない」ということであり、この制度を活用して、経営を軌道に乗せた会社は相当数に上ります。
創業時に申請可能な「補助金」や「助成金」の種類は多岐に渡りますが、今回の記事は「経験や実績の少ない若者」に向けての記事になりますので、まだ創業したばかりで実績のない会社が金融機関などから融資を受けることが難しい、といった状況に適した「創業補助金」という補助金制度に焦点をあてて解説していきたいと思います。
創業補助金とは?創業補助金について解説
創業補助金とは、国や地方公共団体が新たな需要や、雇用の創出を促し、日本経済を活性化させるという目的で、創業時に必要な経費の一部を補助してくれる制度のことです。
創業したばかりの実績がない会社では、投資家や金融機関から融資を受けることは難しいといえます。
そういった状況や、手持ち資金だけでは厳しい場合に利用したいのが、「創業補助金」です。
創業補助金は返済不要なお金ですが、補助金を受給してから一定の期間内に一定の収益をあげると、返済義務が生じる場合があります。
また、補助金を実際に受け取れるのは、補助対象期間である6か月経過から、さらに数か月後に受け取ることができます。
ですから、事業計画を立てる際には、補助金を実際に受け取るまでには、かなりの時間がかかる場合があるということを踏まえておかなければいけません。
また、補助金の種類によって異なりますが、それぞれに公募期間が定められています。
そして、補助金に応募するのは自分だけではないので、応募した人の中から、審査に受かる必要があります。
補助金の公募に応募する人は非常に多く、倍率が高いので、応募する以前からしっかりと事業計画を練っておき、十分にアピールする必要があるといえます。
創業補助金の申請期間
創業補助金はいつでも申請を受け付けているわけではなく、毎年春ごろに1か月程度の期間に受け付けています。
補助金の受給を検討されている場合は、中小企業庁のホームページや、市区町村の当該窓口で募集状況を随時チェックするようにしましょう。
そして、申請期間は毎年変わりますので、注意するようにしましょう。
創業補助金の対象者
創業補助金の対象になるのは、創業補助金募集美以降に新たに創業する者になります。
産業競争力強化法に基づく「認定市区町村」で創業すること、従業員を1名以上採用する予定の会社などが対象になります。
会社設立や個人開業を、補助事業期間完了日までに行う必要があります。
創業補助金として認められる3つの条件を紹介
創業補助金として認められる条件は、以下の3つをすべて満たしている必要があります。
・使用目的が事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
・交付決定日以降、補助事業期間内の契約、発注により発生した経費
・証拠書類などによって金額、支払いなどが確認できる経費
具体的な補助対象例
・人件費
・店舗賃貸料
・設備費
・広報費
・マーケティング調査費
補助対象にならない例
・水道光熱費
・消耗品費
・通信費
・会議費
・接待交際費
補助の対象として認められる経費のうちでも、認められる経費の全額が支給されるわけではなく、認められる経費の2分の1以内となっています。
創業補助金の申請手順
・申請 (事業計画書や申請書類を提出する)
創業補助金の募集期間内に、作成した「事業計画書」「申請書類」を認定市区町村の当該窓口に申請します。
・審査 (資格審査、書類審査)
申請した後、まずは募集対象であるかということの、資格審査が行われ、資格審査を通過できれば、書類審査に進みます。
審査結果は申請後2か月ほどで、書面で採択の可否が通知されます。
事業内容が創業補助金の対象となった時点からおよそ6か月間が、経費補助期間となります。
その期間内の経費は証拠書類(領収書、請求書など)と一緒に報告書を提出しなければなりません。
・報告書の提出
経費補助期間が終われば、報告書と証拠書類を提出します。
提出書類のチェックには数か月間かかり、証拠書類等に不備が見つかれば修正対応しなければなりません。
・補助金交付
書類をチェックしてもらい、経費が当初の目的通りに使用されたことが認められれば、ようやく補助金が交付されることになります。
補助金が交付されてから5年間は、事務局に事業報告をする必要があり、一定以上の収益がある場合、補助金額を上限として、一部を納付しなければならない場合があります。
創業補助金のメリットを紹介
先ほどもお伝えしたとおり、創業補助金の最大のメリットは「原則返済不要の資金である」という点です。
創業補助金の対象となる経費は決められているので、使い道には制限がありますが、賃貸料や、設備費、人件費などの金額が大きい経費に対して、補助金が支給されるということは、非常に魅力的なポイントだと言えます。
創業補助金のデメリットを紹介
逆に創業補助金のデメリットは、創業補助金を受給するには補助対象期間中に報告書を提出したり、事務局に事業報告したり、といった手間がものすごくかかってしまう、という点です。
その他にも、50万円以上の資産処分には事務局の許可がいるなどの、様々な決まりがあります。
そして、創業補助金の審査が通ったからといって、すぐに補助金が支給される訳ではなく、原則として後払いになるため、実際に補助金を受け取るより先に支出があるという点も、創業補助金のデメリットと言えるでしょう。
創業補助金をあてにして資金繰りを計画してしまうと、資金難に陥る可能性がありますので、十分に注意して資金計画を立てるようにしましょう。
これまで、経験や実績の少ない若者に向けての国の支援制度である「創業補助金」について解説してきましたが、経験の少ない若者の方がこういった知識を得ただけで、実際に起業に向けて行動するには、まだ躊躇してしまうということもあると思いますが、今、起業や独立を検討しているあなた自身が「若い」ということにどれだけのメリットがあるのか、ということにも少し触れておきたいと思います。
若者が起業するメリットを紹介
20代~30代という年齢は働き盛りな年齢であり、体力的にも余裕をもって物事に取り組めるという点が、若いうちに起業するメリットの一つだといえます。
実際に起業して事業を起こすということは、会社勤めの場合は、ほかの人がやってくれていたようなことも、すべて自分で行う必要があるため、とても労力のいることです。
そのような、起業するにあたっての多忙な状況をやり抜くためにも、体力のある若者が断然有利だといえるでしょう。
体力に関してだけ言えることだけではなく、親が定年を過ぎている場合には親の生活費のことも考えなければいけません。
介護が必要になってくる場合も考えられますし、親の世話をしながら、起業するというのは大変なことだと思います。
起業をする、というスタートが早ければ早いほど、もし事業に失敗してしまったときにも、十分にやり直しがききます。
人間の時間は有限ですので、その貴重な財産である時間を持っている若者は、年配の方と比べると、非常に有利だと捉えることができます。
では、逆に「若さ」ゆえに気をつけなければいけない点もご紹介しておきます。
若者が起業するデメリットを紹介
まず間違いなく言えることは、若者には「経験」が少ないということです。
社会経験を長く積んでいる方と比べると、成功体験や失敗体験が非常に少なく、いざという時の対応能力が未熟であるということです。
「経験が少ない若者」というだけで、信用することができないといった偏見を持つ方もおられます。
若者が相手だと、どうしても不安に感じてしまうクライアントの方がおられるのも事実です。
まだ、いろいろと慣れないうちは、言葉づかいや態度などを十分に配慮し、相手方に不快な思いをさせないように注意しましょう。
そして、働いた期間が少ないため、貯金額が少ないという方が多いという点です。
仮に、創業補助金の申請が通って受給できることになったとしても、実際にお金を受け取るまでにはかなりの時間がかかりますし、申請の際に雑費がかかることも考えられますので、事業計画を立てる際の資金繰りに関しては十分に注意するようにしましょう。
まとめ
現在、起業を検討しているが、十分な資金がなく、起業することを躊躇してしまっているという方に検討してもらいたいことが「創業補助金」を申請して受給する、ということです。
国や地方自治体が国民に推進したいことの一つに「起業する」ということがあげられ、国の経済を活性化させるという目的のもと、「補助金」という形で支援してくれています。
創業補助金は「原則、返済不要な資金」だということが最大の特徴です。
そのため、補助金の公募には大勢の方が応募されるので、その中から補助金を受給することができるように、日ごろからしっかりと事業計画を練っておく必要があるでしょう。
創業補助金の応募はいつでも受け付けているわけではありません。
毎年春頃の1か月間程度、詳しい時期は毎年変わるので、中小企業庁のホームページや、市区町村の当該窓口で募集状況を随時チェックするようにしましょう。
開業する際の資金すべてが補助金の対象になるわけではありませんので注意が必要です。
人件費や店舗賃貸料などは補助金の対象となりますが、水道光熱費や消耗品費など補助金の対象にならない経費もありますので注意しましょう。
補助金の申請手順は「申請」→「審査」→「報告書提出」→「補助金交付」といった流れです。
実際に補助金を受け取れるまでには、申請をしてから約1年後、といった場合も考えられますので、補助金をあてにした資金計画を立てるのはやめましょう。
経験や実績が少なく、まだあまり自信が持てないといった若者の方にも、「創業補助金」を活用することができれば、起業して独立をするということは十分に可能だと思います。
是非、この機会に「創業補助金」を活用し、20代30代という若い時期に「起業し、独立する」ということを実際に行動に移してみてはいかがでしょうか。