ベンチャー キャピタル wil

ベンチャーキャピタル「wil」の特徴や投資実績など5項目を解説

ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタルはベンチャー企業によって非常に重要な資金調達先となっていますが、出資してくれるならどんなベンチャーキャピタルでもいいという訳ではなく、自社と合ったベンチャーキャピタルから出資を受けるということが大切です。

ベンチャー企業には「シード」「アーリー」「ミドル」「レイター」という4つの成長ステージがあり、ステージによって必要な資金調達額は異なります。起業直前もしくは起業したばかりのシードステージのベンチャー企業はシードアクセラレーター・インキュベーターと呼ばれるベンチャーキャピタルの支援を受けながら事業を拡大し企業を成長させていきます。

そこから、数多くのライバル企業との生き残りをかけた期間であるアーリーステージを乗り越え、ミドルステージを経て、IPOでのイグジット直前の段階のレイターステージへと成長を遂げるのです。

今回ご紹介するWilベンチャーキャピタル(Will Capital Management Co.,Ltd/ウィル キャピタル マネジメント株式会社)はこのような成長ステージの中でも、主に「レイターステージ」のベンチャー企業への投資を行っている巨大なベンチャーキャピタルです。

この記事ではそんなWilベンチャーキャピタルの会社概要や特徴、投資方針や今までの投資実績、投資先企業などについて詳しく解説していきます。

Wilベンチャーキャピタルについて

ベンチャー キャピタル wil

2013年に設立されたWilベンチャーキャピタルは正式名称をWill Capital Management Co.,Ltd(ウィル キャピタル マネジメント株式会社)というベンチャーキャピタルで、六本木とアメリカ・シリコンバレーに拠点を置いています。

投資によって資金提供を行うだけでなく「人」「物」「情報」も連携出来るようなサポートを行ない、「日本のベンチャー企業」「アメリカのベンチャー企業」「大企業」という3つを繋ぐ架け橋となっているという、日本でも重要なベンチャーキャピタルの一つと言えるでしょう。

Wilベンチャーキャピタルは一部分だけでも大企業の豊かな人的資源のベンチャー企業へ流すことで、ベンチャーの環境が変わると確信しており、投資先の人的交流の促進を行っています。

日本の市場は年々縮小しているものの、それでもある程度の売り上げは確保できるため多くの企業や人材は日本に留まり、世界に目を向けることが少ない中、Wilベンチャーキャピタルはこのような現在の流れを打破すべく世界進出を重視しています。

なぜなら、日本からGoogleやFacebookのような大企業を輩出するためには日本だけでなく世界中から売り上げを得ることが必要不可欠になるからです。

Wilベンチャーキャピタルの事業内容

ベンチャー キャピタル wil

日本だけでなく常に世界に目を向けているWilベンチャーキャピタルは主に以下のような事業を行っています。

  1. インベストメント
  2. ビジネスクリエーション
  3. エデュケーション

1:インベストメント

インベストメントは企業への投資のことで、Wilベンチャーキャピタルは冒頭でもご紹介した通り、ベンチャー企業の中でも主に「レイター」ステージの企業に対しての出資を行っています。レイターステージの企業に対する出資ということで、出資額の規模も数億円と非常に大きなものとなります。

しかし、例外として成長性が見込める場合などは、ビジネスの立ち上げから参画することもあります。

例えば、ソニーとWilベンチャーキャピタルジョイントベンチャー(合弁会社)として2014年に立ち上げられた「Qrio(スマートロック開発・製造・販売)」はWiLベンチャーキャピタルの創業メンバーである西條氏が代表取締役となっており、Wilベンチャーキャピタルが6割出資、ソニーが4割出資しています。

このようにWilベンチャーキャピタルは、レイターステージのベンチャー企業へ投資を行うだけでなく、大企業の持つ技術からスピンアウトしたジョイントベンチャーを作って積極的に経営に関わり事業を拡大しています。

2:ビジネスクリエーション

ビジネスクリエーションとは、優れた技術や製品をビジネス化するための方法で、Wilベンチャーキャピタルのメンバーを経営に参画させてビジネスの立ち上げを行ないます。

優れた技術、革新的なアイディアがあったとしてもそれをビジネスという形にすることは難しいと言われていますが、そこにWilベンチャーキャピタルが入り込むことで上手くビジネス化を促すのです。

上の項目で挙げた「Qrio」はメーカーであるソニーとWilベンチャーキャピタルが手を組んで設計・製造・販売を行っていますが、ソニーなどの大企業の場合、どうしてもネームバリューが足を引っ張ってしまうことがあります。

その結果、機動力が下がってしまうことになりますが、そこにWilベンチャーキャピタルが加わることで格段に機動力を上げることが可能となるのです。高い技術力を持つソニーと機動力を持つWilベンチャーキャピタル、この2社の良さを組み合わせたことが「Qrio」の強みでもあります。

3:エデュケーション

企業同士の架け橋を目指すWilベンチャーキャピタルはアメリカ・シリコンバレーの拠点で学生を受け入れたり、投資先の役員を自社に受け入れたりして教育や研修を行うことで、世界的なリーダーの育成を行っています。

Wilベンチャーキャピタルの特徴

ベンチャー キャピタル wil

上記でご紹介のビジネスクリエーションやエデュケーションもWilベンチャーキャピタルの特徴と言えますが、更にその運用ファンドの大きさも特徴の一つと言えるでしょう。

名の知れたベンチャーキャピタルでも、一般的に運営ファンドは1つ30億円から40億円ほどですが、2013年設立のWilベンチャーキャピタルの1号ファンドの規模は約300億円という大規模なものとなっていました。100億円規模になると巨大ファンドだと言われるため、Wilベンチャーキャピタルのファンドはかなり大きなファンドだと言えるでしょう。

また更にそれだけじゃなく、Wilベンチャーキャピタルのファンドに出資を行っているのは素に0、全日空、日産自動車などの大企業ばかり。それだけWilベンチャーキャピタルに対する期待度は高いということでしょう。

Wilベンチャーキャピタル創業の中心人物である伊佐山氏はアメリカ・シリコンバレーの有力ベンチャーキャピタル「DCM」の出資であり、現地でベンチャー投資を10年に渡り行っていた経験があります。現在も日本だけでなくアメリカに拠点を置いているということからも分かる通り、アメリカのベンチャー業界との強いコネクションを持っているベンチャーキャピタルです。

Wilベンチャーキャピタルの投資方針

ベンチャー キャピタル wil

Wilベンチャーキャピタルの投資対象は前述の通り、レイターステージの企業となっています。レイターステージというと、企業が成長し、IPOでのイグジットを行う段階です。これはビジネスモデルも既に固まっており、ユーザーも沢山付いている状態であり、その段階にまで達さないことにはWilベンチャーキャピタルから出資を受けることは難しいでしょう。

現在ビジネスモデルを考えている段階だったり、起業したばかり、事業を走らせたばかりという段階ではまずWilベンチャーキャピタルから出資を受けることは難しいため、まずは他の、自分の会社の成長ステージに合った投資を行っているベンチャーキャピタルを探し、そこから出資を受けるのがいいでしょう。

ベンチャーキャピタルによっても投資対象としている成長ステージは異なっているため、ベンチャーキャピタルからの資金調達を考えているのならばまずは「どの成長ステージを対象にしているベンチャーキャピタルなのか?」ということを知ることが大切です。

また、シリコンバレーにも拠点を置いているWilベンチャーキャピタルでは投資判断の基準として「海外」も非常に重要なポイントの一つとなっています。

Wilベンチャーキャピタルはグローバルに通用し、日本だけではなく世界で大きく活躍していくことが出来る企業を輩出することに力を入れているため、海外進出への構想がない、具体的にどのようにして海外進出するのかなどの計画がない、海外進出に向けて動いていないなどの企業は投資対象から外れてしまう可能性が高いです。

逆に言えば、海外進出を考えている企業はそれらの取り組みについてしっかりとアピールすれば評価につなげる事ができるでしょう。

Wilベンチャーキャピタルの投資実績・投資先・投資額

ベンチャー キャピタル wil

Wilベンチャーキャピタルの今までの投資についてご紹介していきます。

投資実績

Wilベンチャーキャピタルの第1号投資先は2014年2月で、トライフォート(スマホアプリの受託開発)という会社に向けたものでした。トライフォートは2017年にSBIインベストメントから3億円の資金調達に成功し、2018年10月にはユナイテッドに36億円で買収されました。

また、この他にも今となっては有名企業となったメルカリ(フリマアプリ)ラクスル(ネット印刷)や、BIRDEYE(カスタマーエクスペリエンス管理ソフト開発)、Caster(クラウドソーシング)などアメリカの企業にも投資を行っています。

投資先

巨大なファンドを組成し運営を行っているWilベンチャーキャピタルの投資先として対象となるのは以下のような業種となっています。

  • 次世代メディア
  • 次世代コマース
  • ビッグデータ
  • クラウドサービス
  • エンターテイメント・ゲーム

次世代メディア

今まではメディアとユーザーの関わりは一方的なものでした。しかし、インターネット社会となりこれからはユーザーとメディアを作っていくというスタイルが実現しつつあります。

実名で口コミを飲食店の口コミを投稿する「Retty」は匿名で投稿を行うサイトよりも信頼できると、利用者が増加。Rettyへの11億円の出資の筆頭はWilベンチャーキャピタルです。

次世代コマース

テレビ・ラジオ・雑誌からWEBサイトでのショッピングと、通販の形は時代によって変化してきました。そしてこれからは更にWEBサイトからアプリを使ったものへ変化していっています。

ブランドバッグを売るのではなく、ユーザー同士で共有するという月額制のブランドバッグレンタルサービス「ラクサス」はWilベンチャーキャピタルに対し、顧客獲得、人材採用、ブランドバッグの在庫充実のため第三者割当増資を行って、3億円を調達しました。

ビッグデータ

積み重なり膨大になったデータを集め、新しい価値を生み出すという取り組みがビッグデータで、それらのビッグデータを活用するサービスの提供などを行っている企業もWilベンチャーキャピタルの投資対象となります。

クラウドサービス

今までは何かソフトを購入しサービスを受けるのが主流でしたが、現在ではインターネットによってサービスを受けるというのが当たり前になってきました。このようなインターネットを通じたサービスの開発や提供を行っている企業も投資の対象です。

エンターテイメント・ゲーム

ゲームやエンターテイメントの開発や提供を行う企業も投資対象となります。上でもご紹介したトライフォートは非常に高いアプリ開発技術を誇っており、「世界トップレベルの技術会社を創造する」と、世界に向けた目標を持っているところもWilベンチャーキャピタルから高い評価を受けました。

投資額

レイターステージの企業を中心として出資を行っているWilベンチャーキャピタルの出資額は大きくなり、平均的に2億円から5億円ですが、場合によっては更に大規模な額となることもあります。500万円など、シードステージの企業を対象としたような少額投資は行っていません。

まとめ

Wilベンチャーキャピタルは巨大なベンチャーキャピタルであり、投資対象となる成長ステージもレイターステージと、かなり成長した段階の企業に対しての投資を行なっています。

優れたビジネスモデル、革新的なアイディアを持っていたとしても、シードステージなど、駆け出しのベンチャー企業ではまずWilベンチャーキャピタルから出資を受けることは出来ないと考えるべきでしょう。

自社の会社がどの成長ステージの段階なのかを正確に把握し、そして自社に合ったベンチャーキャピタルへ出資の交渉を行うことが資金調達、そして事業を成功させることにつながります。

Wilベンチャーキャピタルは日本・アメリカの有望なベンチャー企業への投資だけでなく、場合によっては自らも経営参画し事業展開を行っています。事業経験に裏付けされたWilベンチャーキャピタルによる出資を受けるということは効果的な経営のアドバイスを受けることが出来るということでもあり、頼もしいサポートが期待出来るでしょう。

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