ベンチャー ランキング

ベンチャー企業の調達額ランキングと2019年の投資動向を解説

ベンチャーキャピタル

第4次ベンチャーブームと言われている現在、数え切れないほどのベンチャー企業やスタートアップ企業が存在しています。そして、そんなベンチャー企業に投資を行うベンチャーキャピタル(VC)の数も多く、現時点で日本だけでも200ものベンチャーキャピタルがあります。

とはいえ、ベンチャーキャピタルによってファンドの規模には大きな違いがありますし、運用額だけじゃなくベンチャーキャピタルによって投資の方針も異なります。このような違いがあれば当然、最終的なイグジットによって稼ぐことになるキャピタルゲインにも大きな差が出てきます。では、最もキャピタルゲインを稼いでいだのはどのベンチャーキャピタルなのでしょうか?

また、ベンチャー企業は成長段階(ステージ)によっても必要な資金調達額は異なりますが、一体どのベンチャー企業がもっとも多くの資金を調達したのでしょう?

この記事では気になるベンチャー企業の調達額とキャピタルゲインを稼いだVCをランキング形式でご紹介し、更にそこから2019年の投資状況を解説していきたいと思います。

2017年のベンチャー企業の資金調達額ランキングTOP10

まずは2017年のベンチャー企業の資金調達額ランキングTOP10をご紹介したいと思います。

1位のPreferred NetworksはIoTにフォーカスして深層学習技術、機械学習技術の研究開発を行うベンチャー企業で、AI技術の共同研究・開発を進めるためトヨタ自動車が約105億円を出資しています。

順位 会社名(調達額) 業種
1位 Prefered Networks(128億円) AI
2位 ispace(101億円) Space Tech
3位 スコヒアファーマ(100億円) Pharma
4位 Inagora(76億円) EC
5位 dely(63億円) Media
6位 ボナック(47億円) Pharma
6位 エブリー(47億円) Media
8位 GROOVE X(43億円) Robotics
9位 sansan(42億円) SaaS
10位 One Tap BUY(40億円) FinTech

2018年のベンチャー企業の資金調達額ランキング

次は2018年のベンチャー企業の資金調達額ランキングTOP10をご紹介します。

1位のJapanTaxiは日本交通のグループ会社で、タクシー配車アプリの「全国タクシー」などを提供を提供。現在までで500万件ダウンロードされています。

2018年2月にトヨタから約75億円、未来創生ファンドから10億5000万円、そして2018年7月にはNTTドコモから約22億円を調達しました。

順位 会社名(調達額) 業種
1位 Japan Taxi(123億円) シェアリングエコノミー
2位 FOLIO(70億円) FinTech
3位 freee(65億円) FinTech,HRTech
4位 Spiber(62億円) バイオケミカル
5位 Finatextホールディングス(60億円) FinTech
6位 paidy(59億円) FinTech
7位 WHILL(58億円) HealthTech,
AutomotiveTech
8位 お金のデザイン(57億円) FinTech
8位 FiNC Technologies(57億円) HealthTech,人工知能
10位 メルカリ(50億円) コマース

キャピタルゲインを稼いだVCランキングTOP5

ベンチャー ランキング

ベンチャー企業やスタートアップ企業への投資を行っているベンチャーキャピタルは200ほど存在していますが今回はその中でも100億円以上のキャピタルゲインを得た5社のベンチャーキャピタルをランキング形式でご紹介していきたいと思います。

1位:グローバル・ブレイン(430億円)

グローバル・ブレインは1998年創業という歴史ある独立系ベンチャーキャピタルです。特徴としてはステージに限らずシード~レイターまで幅広くベンチャー投資を行っており、現在までで50社以上がイグジットを果たすなど多くの実績を残しています。

投資先企業:メルカリ、ラクスル、ログリー

2位:インテグラル(307億円)

非上場企業に限らず上場企業へもエクイティ投資を行っているのがインテグラルです。ベンチャー企業やスタートアップ企業に投資先を絞っている訳ではないものの、3社の投資先はIPOを果たしたことでランクインしました。

投資先企業:信和、コンヴァノ、キュービーネットホールディングス

3位:グロービス・キャピタル・パートナーズ(297億円)

グロービス・キャピタル・パートナーズはグローバル・ブレインと同じく独立系のベンチャーキャピタルで1996年に創業しました。日本初のハンズオンベンチャーキャピタル(資金を提供するだけでなく経営にまで深く関わるベンチャーキャピタル)でもあります。

投資先企業:メルカリ、ビープラッツ

4位:イーストベンチャーズ(272億円)

イーストベンチャーズは日本のベンチャー企業だけでなくアジアやアメリカのベンチャー企業やスタートアップ企業にも投資を行っている独立系のベンチャーキャピタルです。代表取締役を務めているのはmixiの提案・開発を行った衛藤バタラ氏。出資はメルカリ1社のみだったものの、保有していた株数が多かったため大起案キャピタルゲインを得ました。

投資先企業:メルカリ

5位:モバイル・インターネットキャピタル(193億円)

モバイル・インターネットキャピタルはみずほ証券、NTTドコモ、インターネット総合研究所が30%ずつ出資を行ったベンチャーキャピタルで、IT系ベンチャー企業を中心に出資を行っています。

投資先企業:ベストワンドットコム、HEROZ、アジャイルメディア・ネットワーク

資金調達額は年々増加している

一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会の発表によれば、ベンチャー企業の資金調達額は一旦落ち込んだものの、2012年以降は毎年増加し続けています。

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出典元:スタートアップエコシステムの現状および官民ファンドの貢献について

しかしながら、資金調達を受けている企業数は2015年からほぼ横ばいで、2017年には1619社だったのが2018年には1368社まで落ち込んでいます。企業1社当たりの資金調達額は上がっていますが、投資件数自体は件数しており、ベンチャーキャピタル側が投資に慎重になっているということがわかります。

投資総額と件数の比較

では2018年1Qと2019年1Q、そして2018年2Qと2019年2Qを比較してみてみましょう。

2018年1Q・2019年1Qの比較

2018年1Qと2019年1Qを比較してみると投資額は392.9億円から486.2億円となり23.7%増加していますが、投資件数については363件から328件と35件減り、割合で言えば10%近く減少しています。

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出典元:2019年 第1四半期

2018年2Q・2019年2Qの比較

次は2018年2Qと2019年2Qを見てみましょう。投資額は331.6億円から529.5億円となり59.7%も増加、そして投資件数についても308件から401件と93件(30.2%)増加しています。

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出典元:2019年 第2四半期

業種別の比較

前期に大型案件のあった株式会社INCJを除いた場合、「コンピューター及び関連機器、ITサービス」への投資実行の比率は19.5%、額で言えば155.9億円プラスとなっています。

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出典元:2019年 第2四半期

成長ステージ別の比較

企業の成長ステージ別に見てみると「アーリーステージ」の大幅増加が際立ち、「エクスパンション(ミドル)ステージ」も増加を見せています。

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出典元:2019年 第2四半期

業種・ステージ別動向

上記の通り、全体で見れば「コンピューター及び関連機器、ITサービス」のベンチャー企業への投資が引き続き大きな割合を占めていますが、ステージ別で見てみると「シード」では「バイオ、製薬」「アーリー」と「エクスパンション」では「工業、エネルギー、その他産業」への投資が多くなっているということがわかります。

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出典元:2019年 第2四半期

まとめ

以上、ベンチャー企業の調達額ランキングとベンチャーキャピタルが得たキャピタルゲインのランキング、そして2019年の投資動向について解説致しました。

ベンチャー企業全体としては、サービス開始後の段階で、軌道に乗るまでは後一歩という初期段階である「アーリーステージ」への投資がかなり多くなっているということがわかります。

また、以前から多くのベンチャーキャピタルが注目している「コンピューター及び関連機器、ITサービス」分野への出資の割合も多く、関連した事業を行っている企業は積極的にアプローチしていくことでベンチャーキャピタルからの出資の機会を得ることに繋がるでしょう。

更に、現在では数多くの大企業が自社との事業シナジー効果を期待してコーポレートベンチャーキャピタルを立ち上げています。大企業のリソースやネットワークを活用出来ることは駆け出しのベンチャー企業にとっては非常に力強い後押しになるはずなので、様々な選択肢を視野に入れて検討していくといいでしょう。

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