補助金 裏負担

補助金の裏負担が賄えない時の3つの資金調達をわかりやすく解説

補助金

補助金に関する話の中に出てくる、裏負担という言葉をご存じでしょうか?

裏負担とは、補助金以外の自己資金で負担する部分となりますが、裏負担を賄う資金調達に悩んではいませんか?

せっかく補助金での支援が受けられるのに、裏負担部分が用意できないのであれば、事業を諦めなくてはなりません。

そこで、こちらの記事では、補助金で賄えない裏負担の3つの資金調達法について、わかりやすくご紹介していきます。

資金調達には、数多くの方法がありますので、せっかくの補助金を諦めることのないように、裏負担の資金調達法を見つけ出してみてください。

裏負担の意味とは?

補助金 裏負担

裏負担とは、「裏」と言う言葉を使っているために「何か怪しい」と感じられますが、その様な意味はなく財政上で用いられている言葉です。

補助金は事業の支援として企業などに充てられ、かかる経費の一部を補うために交付されています。

そのため、補助金だけでは全ての費用を全額負担することはできません。

裏負担とは、補助金以外にかかる自己負担部分のことを指している言葉なのです。

裏負担:例

国から補助金を受けた場合に補助率が40%だったとすると、補助対象経費の40%が補助金として交付されます。

そして、残りの60%は自己資金で補わなければならない裏負担となります。

◆裏負担=補助対象経費-補助金(補助率×補助対象経費)

ただし、裏負担が大きな負担となってしまう場合、過疎法の制度によって裏負担に対して交付税措置などが行われて、負担額が減る場合もあります。

継ぎ足し単独事業には充当金が充てられる可能性

補助金 裏負担

補助金の受けている事業の中で、継ぎ足し単独事業は補助対象にならない事業のことを言い、その部分は次のように計算されます。

◆継ぎ足し単独事業=総事業費-(補助金+裏負担)

ただし、総事業費が補助金と裏負担の全てで収まる場合には、継ぎ足し単独事業は生じることはありません。

◆継ぎ足し単独事業:例
図書館の建て替えで総事業費が10億円だとすると、その中の5,000万円が補助対象外経費となってしまう場合、5,000万円の部分が継ぎ足し単独事業となります。

充当率

裏負担や継ぎ足し単独事業の中で、地方債を充てることができる比率のことを充当率と呼んでいます。

裏負担に対する充当率が90%、継ぎ足し単独事業の充当率が80%があるとしたら、次の計算式で裏負担や継ぎ足し単独事業の負担が軽減できることになります。

◆充当額の計算方法

・裏負担の充当額=裏負担×90%

・継ぎ足し単独事業の充当額=継ぎ足し単独事業×80%

補助金で賄えない裏負担の3つの資金調達方法

補助金 裏負担

裏負担は、上記のように地方債を充てることができない場合には自己負担で賄わなければなりません。

自己資金があるのなら、それを裏負担に充てることができますが、自己資金がないのなら資金調達をして資金を確保する必要がでてきます。

資金調達には大きく分けて、資産を資金に変えるアセット・ファイナンス、負債によるデッド・ファイナンス、会社に投資してもらうエクティ・ファイナンスの3つ資金調達法があります。

①資産を資金にする:アセット・ファイナンス

②負債による:デッド・ファイナンス

③投資してもらう:エクティ・ファイナンス

資金調達1:資産を資金にするアセット・ファイナンス

補助金 裏負担

アセット・ファイナンスは会社が保有している資産を売り資金調達をする方法、売却すれば代金が支払われますので、その代金を資金へと回すことができます。

売却できる資産には、不動産や自動車、風化証券、機械設備、営業権や商標権、特許権などで、ある程度の金額があるものになります。

その他のアセット・ファイナンスの資金調達法を見ていきましょう。

在庫の売却

在庫を多く保有しているとコストが発生してしまい負債となってしまいます。

適正な在庫数、売上が見込まれる商品である場合は問題ありませんが、過剰となってしまわないように毎月の管理と保管コストはチェックするようにしましょう。

過剰な在庫を保有しているのなら、利益の有無に関係なく無駄な在庫を処分して資金調達に充てるという方法が考えられます。

ファクタリングを利用して売掛債権を売却

一般的に売掛金が支払われるまでには、30日~60日ほどの日数が生じてしまいますが、売掛債権を売却するファクタリングを利用すると、売掛金の支払い日よりも早く資金を手にすることができます。

もちろん、手数料はかかりますが、ファクタリングは即日現金化することが可能となります。

売掛債権を保有しているのなら、ファクタリングでの資金調達が実現できます。

セール&リースバックでの資金調達

資産の売却によって事業が成り立たなくなる場合には、売却後にその資産をリースして使い続ける方法が考えられます。

売却資金はまとまって入ってくる代わりに、利用料金となるリース料が毎月発生する仕組みです。

不動産の場合には、不動産リースバックと言い、会社経営者や個人事業主の持ち家を売却し、その後は賃貸しで家賃を支払っていきます。

家を売却しても住み続けられることができ、資金に余裕ができれば買い戻すこともできる方法です。

資金調達2:負債を資金とするデッドファイナンス

補助金 裏負担

デッドファイナンスには、公的な金融機関や民間の金融機関などから資金を融資してもらう方法です。

負債によって資金を調達するために、金利を払い審査を通過しなければ利用することはできません。

銀行融資などが有名ですが、その他にもデッドファイナンスにはどのような方法があるのかみていきましょう。

公的な金融機関からの融資

公的な金融機関が行っている融資は、金利が低く、審査が通りやすい資金調達法です。

公的な融資を行っている金融機関には、政府系金融機関や地方公共団体の制度融資、信用保証協会の保証付融資の3つの機関があります。

民間よりも条件がよく、中小企業や小規模事業者、また起業する方に向けての融資が用意されているので、検討すべき資金調達の一つと言えるでしょう。

①政府系金融機関
・日本政策金融公庫
・商工組合中央金庫

②地方公共団体の制度融資
・都道府県や市区町村が実施している制度融資
・取扱金融機関の融資を自治体が資金提供、信用保証協会が保証

③信用保証協会の保証付融資
・民間の金融機関の融資に対して、信用保証協会が保証する
・貸し倒れリスクが回避できるため、中小企業に対しても融資が行える

民間の金融機関からの銀行融資

銀行融資は、もっとも知られている民間の金融機関からの融資です。

銀行融資には、信用保証協会が保証する「信用保証協会の保証付き融資」と、それぞれの銀行で独自に行っている「プロパー融資」があります。

信頼性が高く返済実績が高いのなら「プロパー融資」、信用力が低いのなら「信用保証協会の保証付き融資」をという使い分けをします。

◆信用保証協会の保証付き融資とは?
銀行が20%の貸し倒れリスクを負い、80%は信用保証協会が負う融資です。

どのような企業でも融資を受けられる訳ではありませんが、銀行は信用保証協会に比べてリスクが低くなるために、中小企業や起業したばかりの企業でも融資を受けられる可能性があります。

◆プロパー融資とは?
銀行が100%の貸し倒れリスクを背負って行っている融資となるために、信用力と返済実績、さらには充分な収益がある企業でないとプロパー融資は受けることは難しいです。

ビジネスローンからの融資

ビジネスローンは、銀行から借りることができない信用や実績のない中小企業や零細企業のために設けられたローン商品です。

高い金利が設定されていますが、無担保や保証人ナシで利用することができ、審査も通りやすくなっている事業用のローンです。

ビジネスローンは、銀行や消費者金融などのノンバンク、ネット銀行等で提供されており、即日融資も可能となっている銀行もありますので、資金繰りが厳しい時の資金調達として利用することができます。

手形割引

商品やサービスの代金として、企業は手形での支払いを受けることがあります。

特に大手メーカーなどとの取引では手形が用いられる多く、手形は売掛債権よりも支払い期間が長いという特徴を持っています。

支払い期限までの長い手形を、銀行に売却し早い時期に現金化する方法が手形割引です。

売掛債権を売却するファクタリングとよく似ていますが、その違いは手形が不渡りとなった場合には買い戻すことが義務付けられている点です。

そのため、手形割引は融資や貸付の一種とみなされています。

資金調達3:投資によるエクティ・ファイナンス

補助金 裏負担

投資によって資金調達を行うエクティ・ファイナンスは、第三者に株を発行して増資する方法やベンチャーキャピタルのような企業に出資する方法などがあります。

最近では、クラウドファンディングなど、企業自らが個人投資家に直接出資を呼びかける仕組みも増えてきました。

エクティ・ファイナンスでの資金調達にはどのような方法があるのでしょうか?

新株を発行して増資を行う

第三者割当増資は、新株を発行して第三者に株を売った資金が資金調達となる方法です。

投資家に説明や納得してもらう必要がありますが、融資などとは違い返済義務を負うことなく資金調達が可能となります。

ただし、経営者や株主の出資比率が低くなってしまうことを忘れないようにしましょう。

クラウドファンディング

企業が自ら個人投資家に出資を募るのが、クラウドファンデングの資金調達法です。

一口の出資額が数千円~数万円と、少額なので出資しやすく、インターネット上で不特定多数の出資が受けられることが可能となります。

「出資したい」と出資者にアピールすること、返済品等を用意する必要がありますが、融資のように返済義務を負うことなく資金調達が行えます。

ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタルは、ベンチャー企業が上場し出資資金の回収によって利益を上げている企業のことです。

ベンチャーキャピタルから出資を受けたいのなら、具体的で明確なビジョンや差別化の要素、経営者の高いスキルなどを満たす必要があります。

従業員持ち株制度

従業員の給料から毎月一定額を天引きし、その金額で株を購入する仕組みの資金調達法です。

自身の会社の株を所有することで、従業員のモチベーションがアップすると同時に、資金を調達することができます。

ただし、業績が悪化したり、配当金が出せないようなことがあると、従業員から批判が出てくる可能性があります。

まとめ

補助金 裏負担

補助金の裏負担の意味や充当金が充てられる可能性に加えて、裏負担が賄えないときの3つの資金調達を詳しく解説してきました。

資金調達には大きく分けて、資産を資金にするアセット・ファイナンス、負債を資金とするデッドファイナンス、投資によるエクティ・ファイナンスの3つの方法があります。

数多くの資金調達があることを理解した上で、企業や状況に合った資金調達法を探し出してください。

補助金は事業の全ての資金を賄ってくれるわけなく、裏負担は自己資金で補わなければなりませんので、これらの資金調達を活かして事業の継続や発展につなげていきましょう。

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