トラックの買い替えや購入を検討しているものの、中々費用を算出できないとお悩みの方もいるでしょう。
そんな時に、トラックの買い替え・購入を行う時、備品を追加する時などに利用できる補助金があるのです。
導入コストを理由に新たなトラックの購入を見送ってしまうのはビジネスチャンスを逃すことに繋がります。
機会損失を回避するために有効な手段として補助金や助成金を利用した導入コストの調達が挙げられますが、トラックの導入コストに補助金や助成金が利用できることは意外と知られていません。
①エコカー減税
②国土交通省「低公害車普及促進対策費補助金」
③全日本トラック協会「低公害車導入促進助成事業」
④エコタイヤ導入補助金
⑤アイドリングストップ支援機器導入促進助成事業
今回は、上手に使うと購入費用を大幅に抑えることが可能になる補助金制度、上記の5つを紹介します。
①エコカー減税
エコカー減税とは、環境性能に優れたクルマに対する、自動車税、自動車重量税が軽減される優遇措置のことです。
「エコカー減税」の対象となる税金
「エコなクルマ」への優遇措置というとエコカー減税が有名ですが、実はその他にもグリーン化特例という制度があります。
また2019年10月より導入された「環境性能割」も、クルマの環境性能が高いほど税率が低いという税金です。
現在、クルマの環境性能によって免税や減税制度がある税金は3つあります。
・自動車の購入時に支払う「環境性能割」
・自動車の購入時、車検時に支払う「自動車重量税」
・1年に一度支払う「自動車税/軽自動車税」
変更ポイントまとめ | 簡単に言うと | |
環境性能割 | 2019年10月に自動車取得税が廃止され、代わりに環境性能割りが導入される | 名称や税率に変更はあるが、実態は「自動車取得税+エコカー減税」とあまり変わらない |
自動車重量税 | 2019年5月より、自動車重量税のエコカー減税での軽減率が引き下げられ、負担が少ない税率である本則税率適用車の基準が厳格化 | 今まで減税を受けられた多くの車種で、納税額が増える |
自動車税・軽自動車税 | 自動車税・軽自動車税に適用されるグリーン化特例は、2021年3月まで現行制度が延長 | 2021年3月まで内容の変更なし |
では、もう少し詳しく見ていきます。
環境性能割
新車や中古車を購入する際に課税される税金として、自動車取得税に代わり新たに導入されたのが「環境性能割」です。
購入時に支払う環境性能割の税額は、以下のように計算します。
「取得価格」×「環境性能割の税率」=「環境性能割の税額」
環境性能割の税率は、クルマの環境性能に応じて以下のように決まっています。
また2019年10月~2020年9月までの1年の間に購入した場合は、税率が更に1%軽減されます。
自動車重量税
自動車重量税とは、新車購入時とその後の車検のタイミングでまとめて支払う税金です。
環境性能が優れているクルマは、新車購入時や3年後車検時に税金が減免されます。
そのクルマの環境性能により、「どのくらいの減免措置があるのか」「0.5トン当たりの税金はいくらか」「3年後車検の時も減免があるのか」が変わってきます。
途中で持ち主が変わった中古車であっても、対象車種であり、新車として上記期間に車両登録・届出されたクルマについては、エコカー減税の対象となります。
自動車税のグリーン化特例
毎年支払う自動車税・軽自動車税は、グリーン化特例で翌年度分の減免制度が用意されています。
対象となるのは、2019年4月1日~2021年3月31日の間に新車購入(車両登録・届出)を行ったクルマです。
新車、中古車を問わずに受けられる減免ですが、減免されるのは「購入翌年度の自動車税・軽自動車税のみ」であるため、対象となる中古車は少ないでしょう。
②国土交通省「低公害車普及促進対策費補助金」
低公害車普及促進対策費補助金は、大気汚染問題への対応や地球温暖化の改善を図るべく、国土交通省が次世代自動車の導入に対する補助を実施しているものです。
平成29年からは制度の見直しが行われ、トラックでは電気トラック、CNGトラック(天然ガスを燃料としたトラック)がその対象となっています。
〇事業の種類
低公害車導入補助
〇対象
バス事業者、トラック事業者、自動車リース事業者等
概要
CNGバス・トラック等の車両購入費等の補助
CNGバス・トラック等を一定台数導入するバス・トラック事業者等に対し、地方公共団体等と協調して、当該車両購入費等の一部を補助する。
※注意
地方公共団体等:都道府県、市町村、バス協会、トラック協会等
〇補助率
CNGバス・トラック等の車両購入費等の補助
・CNGバス・トラック等の導入
車両本体価格の1/4。ただし、通常車両価格との差額の1/2を限度とする。
・使用過程車のCNG車への改造
改造費の1/3
〇次世代自動車導入加速モデル事業に係る経費の補助
補助対象経費の1/2以内
③全日本トラック協会「低公害車導入促進助成事業」
環境負荷の低減及び代替エネルギー対策の推進による安定的な輸送力を確保することを目的として、環境対応車(天然ガス自動車及びハイブリッド自動車)の導入を行う各都道府県トラック協会会員事業者に対して、必要な経費の一部を助成されます。
本助成は、各都道府県トラック協会を通じて下記の通り実施いたしますので、お申し込み等詳細につきましては、ご所属のトラック協会にお問い合わせ下さい。
なお、掲載している情報は随時更新いたしますので、ご留意ください。
補助対象事業・設備
◆低公害車導入
自ら使用する目的で、リースまたは購入により次の低公害車を導入する事業
・メタノール自動車
・天然ガス自動車
・ハイブリッド自動車
・電気自動車
◆低公害車用燃料供給施設設置
低公害車に使用する燃料供給施設等を設置する事業
・キューピクル型メタノールスタンド
・簡易天然ガス充填スタンド
補助対象経費
・電気自動車(購入費、賃借料、再リース賃借料)
・天然ガス自動車(購入費、賃借料、再リース賃借料)
・ハイブリッド自動車(購入費、賃借料、再リース賃借料)
・メタノール自動車(購入費、賃借料、再リース賃借料)
・メタノール簡易スタンド設置費
補助額・補助率
・低公害車導入
低公害車導入促進助成金交付額
(上部団体:全日本トラック協会の補助も含む。)
・低公害車用燃料供給施設
設置費(用地費を除く)の1/5
(上部団体:全日本トラック協会の補助も含む。)
④エコタイヤ導入補助金
エコタイヤに関しては、「トラック輸送の省エネ対策の推進(燃料費高騰対策)」という補助制度があります。
この制度は、名前の通りトラックに適用されるもので、保有車両5両以上30両以下の一般貨物自動車運送事業者、特定貨物自動車運送事業者、第二種貨物利用運用事業者を対象者に、エコタイヤの導入にかかる費用の支援を行うものです。
新車を除いた車両総重量12tを超える事業用トラックについて、その車両の全てのタイヤにエコタイヤを導入した場合に、助成金が支給されます。
補償対象となるエコタイヤ
エコタイヤの導入に対する補助と言っても、全てのエコタイヤが対象となったわけではなく、メーカー毎に製品・型式・タイヤのサイズが指定されています。
エコタイヤ導入の助成金額や申請方法
エコタイヤの導入によって助成されたのは、導入金額(装着工賃などは含まない)の1/4以内の補助率で、1事業者3台までです。
金額に関しては、1台あたり上限9万円ですが、トラック協会との強調補助と併せると最大で18万円までが補助されます。
申請方法については、以下の書類を各都道府県のトラック協会に提出した上で、審査を受けます。
・交付申請書兼実績報告書及び別紙
・振込先調書
・エコタイヤの販売証明書
・導入したエコタイヤの詳細が記載された書類の写し(見積書、納品書等)
・補助対象経費にかかる請求書の写し
・エコタイヤの支払いを証明する書類(領収証等)の写し
・導入したエコタイヤを装着する車両の自動車検査証の写し
・Gマーク認定を受けている事業所の場合は、Gマーク認定証の写し
・過去1年以内に運輸支局等に提出された一般貨物自動車運送事業事業報告書等の写し
※各地域のトラック協会によって若干の違いがあるため、各都道府県のトラック協会で確認する必要があります。
今後もエコタイヤ導入による助成金制度は行われる可能性が0ではないと思われるので、全日本トラック協会や各都道府県のトラック協会からそういった通達がきた場合、詳細に関しては必ずそのトラック協会へ確認するようにしましょう。
⑤アイドリングストップ支援機器導入促進助成事業
運行中の休憩や、荷待ち時間などに、エンジンを停止しても車内の冷暖房が可能な機器の普及を図り、環境保全に資する事を目的とされた制度です。
留意事項
国から補助金が交付された機器に対しては、トラック協会からの助成金は交付されませんのでご注意下さい。
まとめ
ここまで紹介した補助金以外にも国内には多くの補助金や助成金制度が実施されており、トラック導入資金に利用可能なものも多数存在します。
確かに補助金や助成金は原資が税金になるので、補助金制度の多くは受給資格が非常に厳しいのも確かです。
しかし、今回の補助金や助成金の支給対象は新車購入資金に限定されておらず、中古トラック購入資金も支給対象に該当します。
補助金や助成金の支給を受けられるのであれば、高年式の中古トラックの購入に対する経済的負担が軽くなるので中古トラック販売店での選択肢が大きく広がるのではないかと考えられます。
また公的融資を利用すれば新たなトラックの導入を行い、事業規模の拡大を目指しやすくなるのではないでしょうか?
特にエコカー減税は予算的に強い味方になってくれると思います。
公的支援である補助金や助成金、公的融資である日本金融政策公庫の有効活用は機会損失をすることなく確実にビジネスチャンスを掴める方法の1つだと言えるでしょう。