「トリエンナーレ」という言葉を聞いて、最近ニュースの話題になったことを思い出した人も少なくないでしょう。
去年は「あいちトリエンナーレ」が話題に上がったのですが、トリエンナーレは愛知県だけで開かれているわけではなく、日本の各都市で開かれています。
本記事では、トリエンナーレやビエンナーレについて解説をします。
また、文化庁や自治体独自の補助金についてもあわせてご紹介します。
国際芸術祭や芸術イベントに興味のある人はぜひ、本記事をご覧になってみてください。
トリエンナーレとは
トリエンナーレとは(triennale)イタリア語で「3年に1度」の意味で使われている言葉で、日本では3年に1度開催される国際芸術祭の総称となっています。
トリエンナーレは世界各地で行われています。
似ているものに、「ビエンナーレ」があり、こちらは2年に1度の芸術祭の総称になっています。
トリエンナーレと同様に、2年に1度、日本の各都市で芸術祭がおこなわれています。
世界ではビエンナーレのほうがメジャーなようですが、日本ではトリエンナーレのほうが良く開催されています。
ちなみに、2019年に話題となった「あいちトリエンナーレ2019」は愛知県で3年に1度催されている、芸術祭のことです。
あいちトリエンナーレ2019のテーマが物議を醸したのは、記憶に新しい人も多いでしょう。
世界のビエンナーレやトリエンナーレ
世界各地で大小様々なビエンナーレやトリエンナーレが催されています。
以下にとくに有名な2つとして、「ベネチア・ビエンナーレ」「サンパウロ・ビエンナーレ」を紹介します。
ベネチア・ビエンナーレ
イタリア、ベネチア市で2年に1度開催されている国際芸術祭です。
その歴史は、世界で最も長く、1895年から開催されています。
ビエンナーレはイタリア語で2年に1度という意味で使われます。
「ベネチア・ビエンナーレ」が大変有名な芸術祭であるため、特に2年に1度催される芸術祭のことを「ビエンナーレ」と呼ぶようになりました。
国単位の出展となっていて、各国の代表アーティストがパビリオン(展示会場)で展示をおこないます。
ちなみに、1997年9月に、北野武監督が金獅子賞を受賞した「ベネチア国際映画祭」は、ベネチアビエンナーレの一部として催されている映画祭です。
最新の現代美術の発表の場所として、世界中のアーティストの憧れの的となっています。
サンパウロ・ビエンナーレ
ブラジル、サンパウロ市で開催される国際芸術祭です。
1951年から開催されている歴史の長い芸術祭です。
ベネチアビエンナーレとともに世界的に注目される大規模芸術祭です。
パブロ・ピカソの「ゲルニカ」が有名です。
日本のビエンナーレ・トリエンナーレ
・瀬戸内国際芸術祭
瀬戸内国際芸術祭は(伊吹島・栗島・高見島・本島・沙弥島・女木島・男木島・直島・大島・豊島・犬島・小豆島)で3年に1度催される、古来から瀬戸内海の海上交通の要衝であった島々を結び、現代アートと海と島のもつ魅力を発信して、芸術を通して海と人とのつながりを再確認しようということと、芸術を通した地域の活性化や再生への取り組みがテーマになっています。
瀬戸内国際芸術祭の開催期間の来場者数は約100万人となります。
・大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ
越後妻有(新潟県十日町市・津南町)で2000年から、3年ごとに開催している世界最大級のトリエンナーレです。
過疎化の進む日本有数の豪雪地・越後妻有(新潟県十日町市、津南町)を舞台に里山の暮らしが今も豊かに残っている地域で、「人間は自然に内包される」をテーマに観光や雇用、交流人口の拡大への取り組みが期待されています。
・あいちトリエンナーレ
愛知県芸術センターを中心に都市型の国際芸術祭として2010年から開催されています。
昨年は「表現の自由」についてその展示の手法やあり方に議論が白熱して、補助金の不交付などの結果に繋がるなど、物議を醸しました。
しかし、2010年には草間彌生さんがデザインした、トヨタ自動車のプリウスをシャトル運行させたり、2013年には、地方のゆるキャラなどに注目した展示をしたり、斬新な切り口でアートを発信する芸術祭となっています。その来者数は例年60万人の来場となっている日本最大級の芸術祭です。
以上のように、アートを通して地域文化の発信や観光、経済活動などを活性化させる取り組みは世界中でおこなわれています。
トリエンナーレの費用
トリエンナーレなどの芸術祭は、地方自治体がそれぞれにその地方の特徴やコンセプトを、時には自治体同士の共催といった形で、おこないます。
キュレーターや美術監督などが選任され、開催をトリエンナーレの実行委員会が組織されます。
それから地方自治体と連携を図りながら、実際にトリエンナーレを催します。
大規模なトリエンナーレを開くには多額の費用が必要です。
地方自治体の予算のみで、トリエンナーレの開催費用を負担するには多額の費用がかかるので、通常は文化庁などからの補助金を活用することが多いです。
一方で、トリエンナーレを催すとその来場者数の多さから、入場料(チケット代)による収入が見込まれ、地域の経済活動や観光などの産業が活発になるといった特徴があります。
国の支援について
行政は、トリエンナーレをはじめとする芸術祭などに補助金制度などの支援をおこなっています。
主に文化庁が中心となって補助金制度を運営しています。
ここで、文化庁について簡単に解説します。
文化庁は、日本の行政機関のひとつで、文化の振興及び国際文化交流の振興を図るとともに、宗教に関する行政事務を適切におこなうことを任務とする文部科学省の外局です。
所管任務のひとつに芸術創作活動の振興があげられています。
文化庁長官を長として、内部部局には9課および参事官を2名置いているほかに、審議会として文化審議会、宗教法人審議会、特別の機関として日本芸術院を置きます。
芸術祭・顕彰については、文化芸術基本法第8条に「国が、文学、音楽、美術、写真、演劇、舞踏その他の芸術の振興を図るため、これらの芸術の公演、展示等への支援、これらの芸術の作成等に掛かる知識及び技能の継承への支援、芸術祭等の開催その他の必要な施策を講ずる。」
第9条に「映画、漫画、アニメーション及びコンピュータその他の電子機器等を利用した芸術(メディア芸術)の振興を図るため、メディア芸術の制作、上映、展示等への支援、メディア芸術の制作等に係る物品の保存への支援、メディア芸術に係る知識及び技能の継承への支援、芸術祭等の開催その他の必要な施策を講ずる」と定めています。
この他にも国際文化交流なども所管任務としています。
トリエンナーレの助成制度の概要
文化庁では、トリエンナーレなどの補助事業として、文化活動を含む文化資源コンテンツ創成事業(文化資源活用推進事業)をおこなっています。
以下が補助事業の概要です。
「日本博」の開催を契機として,各地域が誇る様々な文化観光資源を体系的に創成・展開するとともに,国内外への戦略的広報を推進し,文化による「国家ブランディング」の強化,「観光インバウンド」の飛躍的・持続的拡充を図る目的としています。
・補助事業者
地方公共団体(都道府県,市町村(特別区,一部事務組合及び広域連合を含む。))
・補助対象事業
「日本博」の開催を契機として,地域住民や芸・産学官とともに取り組む,地域の文化芸術資源を活用した文化芸術事業であって,観光インバウンドの拡充に資するもの。
事業計画や事業規模により、補助金の額は定まっていませんが、本事業に採択されると数千万円規模の補助金が支給されます。
その他にも地方自治体独自のトリエンナーレを開催するための補助基金や寄付金の募集をおこなっています。
例えば、あいちトリエンナーレ2019では開催のために愛知県が文化振興基金をつくり寄付金を積み立てて、トリエンナーレの開催経費として利用しています。
文化振興資金とは文化の振興、あいちトリエンナーレの開催及びその開催の目的に資する活動に対する支援のための基金です。
開催資金や経費ついてはトリエンナーレを開催する自治体によって、積み立てや運用はさまざまありますので、興味のある人は各自治体のホームページなどをご覧ください。
このように、日本では、国策であるインバウンド政策などに基づき、多くの観光客の流入をみこめるトリエンナーレなどの芸術祭や文化活動に積極的に力を入れています。
まとめ
当記事では、3年に1度開催される大規模な芸術祭トリエンナーレで活用できる女性金制度日ついて解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
トリエンナーレという言葉を聞いたことがある人は、昨年のあいちトリエンナーレの騒動を思い浮かべてしまうかもしれません。
しかし、あいちトリエンナーレの件でもよくわかりますが、トリエンナーレを開催すると日本中だけでなく、世界からも注目される影響力のある事業であることがうかがえます。
日本の地方自治体の中には、高齢化や過疎化に伴い税収が見込めず、赤字になっているものもあります。
そのような地域で芸術祭などを定期的に開催することで、経済活動を活性化させ、観光や産業の再生や復興、人の流れを作っていくことには、トリエンナーレの開催は大変有効です。
半面、テーマや展示の方法をよく検討しなければ、地方自治体の文化事業であること、補助金には国の税金が利用されていることなどから、表現の自由の問題や、政治思想の流入などの問題が起きてしまうこともあるため、芸術文化を発信するトリエンナーレの開催のためには丁寧な検討が必要です。
毎年、各地方で、大小さまざまなトリエンナーレやビエンナーレ、芸術祭などが開催されています。
本記事でトリエンナーレに興味をもたれた人は、ぜひ一度足を運ばれてみてはいかがでしょうか。