登録有形文化財の資金調達に欠かせない2つの国庫補助金を解説

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登録 有形 文化 財 補助 金

文化財団保護法によって「たぐいない国民の宝たるもの」と登録された有形文化財には、建築物、工芸品、彫刻、古文書、歴史資料等の価値の高い文化財が存在しています。

そして、これらの貴重な有形文化財を維持し活用していくためには、保存や修理等は欠かすことはできません。

保存や修理等には多額の資金が必要となりますが、管理している方にとっては、頭を悩ませている問題となっているのではないでしょうか?

そのような時には、「登録有形文化財建造物修理等事業費国庫補助金」や「重要文化財(建造物・美術工芸品)修理、防災、公開活用事業費国庫補助金」を資金調達としてご活用ください。

こちらの記事では、重要な有形文化財を守り続けていくための資金調達として利用できる、2つの国庫補助金を解説しています。

登録有形文化財建造物修理等事業費国庫補助金

登録 有形 文化 財 補助 金

登録有形文化財建造物修理等事業費国庫補助金は、文化財保護法の第57条の規定により登録された有形文化財建造物の保存と活用を図るために設けられた助成事業です。

保存と活用を図るために、必要な保存修理に係る設計監理に要する経費及び登録有形文化財建造物の公開活用に要する経費に対して、国が補助を行っています。

補助対象の2つの事業

登録有形文化財建造物修理等事業費国庫補助金の補助対象となる事業は、下記の「保存修理に係る設計監理事業」「公開活用事業」の2つの事業となります。

(1)保存修理に係る設計監理事業
①補助対象事業
保存修理に係る設計監理事業の補助対象となる事業は、下記のア~ウに掲げるいずれかに該当する登録有形文化財建造物の保存・活用の模範となるもので、これらの登録有形文化財建造物の保存修理に係る設計監理事業となります。

ア: 各地の歴史的景観を活かしたまちづくりに資するもの
イ:各地の特色ある伝統的建築文化の技術・意匠などの伝承に資するもの
ウ:身近な地域づくりや地域振興に資するもの

②補助事業の内容
保存修理に係る設計監理事業の補助事業の内容は、下記に掲げる登録有形文化財建造物の修理工事又はこれにともなう建物附属設備の設置改修工事に係る設計監理事業(これらの工事施工上必要となる事前調査等の事業を含む。)となります。

なお、下記のアの「1.」については、地方公共団体が補助事業者で修理が完了する翌年から5ヶ年について収入増加が見込まれる場合、又は補助事業者で保存活用地域計画若しくは保存活用計画で具体的な活用方策が記載されている場合、優先採択等の措置を講じています。

◆ ア:修理工事
1. 解体修理、半解体修理、屋根葺替、外観(これとともに価値を形成する内部を含む。)の部分修理、塗装修理、構造補強等
2.上記の災害復旧工事

◆イ:建物附属設備の設置改修工事
1. 空調設備、給排水設備、電気設備、警報設備、消火設備、避難設備、避雷設備、防犯設備等で、建造物に密接に係わる諸設備の設置及びそれらの改修工事
2.覆屋、保護柵、擁壁等、建造物の保存に必要な施設の設置及び改修工事
3.上記の災害復旧工事

(2)公開活用事業
登録有形文化財建造物の公開活用に係る事業となり、下記の「イ~オ」については、保存活用計画を策定している場合についてのみ、補助対象の事業となります。

ア:保存活用計画の策定

イ:登録有形文化財建造物の公開活用に資する設備(便益,展示及びこれに伴う管理に供するもの(内装を含む。))の整備

ウ:登録有形文化財建造物の公開活用に資する付属施設(便益,展示及びこれに伴う管理に供するもの)の整備

エ:登録有形文化財建造物の公開活用の安全性確保に必要な防災設備等の整備及び耐震対策工事

オ:登録有形文化財の公開活用に資する案内設備・情報機器の整備

補助事業者

登録 有形 文化 財 補助 金

登録有形文化財建造物修理等事業費国庫補助金の「保存修理に係る設計監理事業」と「公開活用事業」の補助対象となる事業者は、下記の通りとなります。

◆保存修理に係る設計監理事業
・保存修理に係る設計監理事業についての補助事業者は、登録有形文化財の所有者又は法第60条の規定により登録有形文化財の管理を行うべきものとして指定された地方公共団体その他の法人とする。

◆公開活用事業
・ 公開活用事業の「アからエ」についての補助事業者は、登録有形文化財の所有者のうち地方公共団体若しくは文化庁長官が適当と認める、その他の法人又は法第60条第3項の規定により登録有形文化財の管理を行うべきものとして指定された地方公共団体その他の法人とする。

・公開活用事業の「オ」については、登録有形文化財の所有者又は法第60条第3項で規定する登録有形文化財の管理を行うべきものとして指定された地方公共団体その他の法人、当該文化財の所在する地方公共団体若しくは文化庁長官が適当と認める団体(営利法人を除く)とする。

補助対象経費

登録有形文化財建造物修理等事業費国庫補助金の補助対象となる事業ごとの経費は、下記の通りとなります。

(1)保存修理に係る設計監理事業
補助対象となる経費は、保存修理工事、設備設置及び改修工事に係る設計監理に要する経費です。

なお、修理工事(災害復旧工事を除く)については、総事業費から修理が完了する翌年から5ヶ年における収入増加見込額の合計額を除いた額を補助対象経費とする。

①主たる事業費  
・設計料及び監理料
ア:直接人件費
イ:経費(直接経費, 間接経費)
ウ:技術料
エ:特別経費

②その他の経費  
・ 事務経費

(2)公開活用事業
①主たる事業費
ア:保存活用策定経費
イ:建築工事経費、設備工事費、環境整備費
ウ:解説整備事業経費
エ:設計料及び監理料等

②その他経費
・事務費

補助額

登録 有形 文化 財 補助 金

登録有形文化財建造物修理等事業費国庫補助の補助率は、下記の通りとなります。

◆次に掲げる場合を除き、補助対象経費の50%となります。

①当該年度の前々年度の財政力指数(地方交付税法(昭和25年法律第211号)第14条及び第21条の規定により算定した基準財政収入額を同法第11条及び第21条の規定により算定した基準財政需要額で除して得た数値の過去3年間の平均値)が1.00を超える都道府県又は指定都市にあっては、財政力指数の逆数(調整率)を補助金の交付額に乗じて得た額とする。

②補助事業者が地方公共団体の財政の健全化に関する法律(平成19年法律第94号)に規定する財政再生団体又は過疎地域自立促進特別措置法(平成12年法律第15号)に規定する過疎地域をその区域とする市町村である場合の補助率は65%とする。

③当分の間、沖縄県内において行われる補助事業に対する補助率は80%とする。

④補助事業が災害復旧事業としておこなわれる場合の補助金の額は,別に定めるものとする。

⑤補助事業者が新型コロナウイルス感染症の影響により収入額が減少した場合の補助率は、別に定めるものとする。

重要文化財(建造物・美術工芸品)修理、防災、公開活用事業費国庫補助金

登録 有形 文化 財 補助 金

重要文化財(建造物・美術工芸品)修理、防災、公開活用事業費国庫補助は、文化財保護法第35条第1項、第172条第5項及び第174条第3項の規定に基づき重要文化財の管理又は修理等を図るために設けられた補助金です。

重要文化財の管理又は修理等に要する経費、及び重要文化財の公開活用に要する経費について、国は補助を行っています。

補助対象事業

登録 有形 文化 財 補助 金

重要文化財(建造物・美術工芸品)修理、防災、公開活用事業費国庫補助金の補助対象となる事業は、下記の「①建造物」と「②美術工芸品」の2つの事業となります。

・下記の「①建造物のア(ア)」並びに「②美術工芸品のア(ア)及び(イ)」については、地方公共団体が補助事業者で修理が完了する翌年から5ヶ年について収入増加が見込まれる場合、又は補助事業者で保存活用地域計画若しくは保存活用計画で具体的な活用方策が記載されている場合、優先採択等の措置を講じています。

・下記の「①建造物ウ(イ)~(エ)」については、保存活用計画を策定している場合についてのみ、補助対象の事業となります。

◆①建造物
ア:修理事業
(ア) 解体修理、半解体修理、屋根葺替、塗装修理、部分修理、移築修理
(イ) 災害復旧工事

イ:管理事業
(ア) 警報設備、消火設備、避雷設備、防盗、防犯設備、避難設備の設置工事
(イ) 鳥獣虫害防除、危険木診断及び危険木対策工事
(ウ) 耐震診断
(エ) 災害復旧工事

ウ:公開活用事業
(ア) 保存活用計画の策定
(イ) 重要文化財建造物の公開活用に資する設備(便益、展示及びこれに伴う管理に供するもの(内 装を含む。))の整備
(ウ) 重要文化建造物の公開活用に資する付属施設(便益、展示及びこれに伴う管理に供するもの)の整備
(エ) 重要文化財建造物の公開活用に資する案内設備・情報機器の整備

◆②美術工芸品
ア:修理事業
(ア) 修理(剥落、腐蝕防除工事等を含む。)
(イ) その他保存のために必要なもの(保存箱、台座等)の新調及び修理工事
(ウ) 災害復旧工事

イ: 管理事業
(ア) 建造物の管理事業に準ずる工事
(イ) 美術工芸品を直接保護するための未指定建造物の屋根葺替、及び修理工事(保存庫を造っ た場合の経費の範囲内でなされる工事)
(ウ) 免震台・免震装置設置工事
(エ) 災害復旧工事

ウ:公開活用事業
(ア)保存活用計画の策定(策定後に修理事業を行うものに限る)
ただし、特に認めたものに限られます。

補助事業者

重要文化財(建造物・美術工芸品)修理、防災、公開活用事業費国庫補助金の補助対象となる事業者は、下記の通りとなります。

◆重要文化財の所有者又は法第32条の2若しくは法第172条の規定により重要文化財の管理を行うべきものとして指定された地方公共団体その他の法人とする。

・ただし、上記の「①建造物 ウ(ア)から(ウ)」については、文化庁長官が適当と認める団体(営利法人を除く)、また上記の「①建造物 ウ(エ)」については、当該文化財の所在する地方公共団体若しくは文化庁長官が適当と認める団体(営利法人を除く)も可能です。

補助対象経費

重要文化財(建造物・美術工芸品)修理、防災、公開活用事業費国庫補助金の補助対象となる経費は、下記にあげる経費となります。

・なお、修理事業(災害復旧事業を除く)については、総事業費から修理が完了する翌年から5ヶ年における収入増加見込額の合計額を除いた額を補助対象経費としています。

◆修理・管理事業
①主たる事業費
ア:建造物
(ア) 修理工事経費
(イ) 防災工事経費
(ウ) その他工事経費
(エ) 情報発信経費
(オ) 設計料及び監理料

イ:美術工芸品 ア に準ずる

②その他の経費
(ア) 工事報告書印刷経費
(イ) 事務経費

◆公開活用事業
①主たる事業費
ア:建造物
(ア) 保存活用計画策定経費
(イ) 建築工事経費、設備工事経費、環境整備費
(ウ) 解説整備事業費
(エ) 設計料及び監理料等

イ:美術工芸品
(ア) 保存活用計画策定経費

②その他の経費
事務経費

補助額

登録 有形 文化 財 補助 金

重要文化財(建造物・美術工芸品)修理、防災、公開活用事業費国庫補助金の補助額は下記の①~⑤の通りとなります。

①補助事業者が地方公共団体又は営利法人以外の者である場合の補助率は、次に掲げる場合を除き、補助対象経費の50%です。

ア: 当該補助事業者の事業規模指数に応じ、加算率を限度として補助率の加算を行うことができる。
美術工芸品の公開活用事業を建造物の公開活用事業と一体で行う場合には、下記にかかわらず、建造物の加算率を適用することができるものとする。

イ: 次の(ア)から(イ)の事項については、アに該当する事業について、さらに、補助率の加算を行うことができます。

(ア)同一会計年度内において、同一の補助事業者が2以上の補助事業を実施する場合には、それぞれの補助事業規模の財政規模に対する割合と2以上の補助事業規模の合算額の財政規模に対する割合と比べ補助率に5%以上の差が生じた場合には、その1つの補助事業に対し、5%を限度として補助率の加算を行うことができる。

(イ)美術工芸品の修理事業にあっては、当該物件が文化庁長官の勧告等により国立博物館

②補助事業者が地方公共団体である場合の補助率は、次に定める場合を除き補助対象経費の50%とする。

ア: 当該年度の前々年度の財政力指数(地方交付税法(昭和25年法律第211号)第14条及び第21条の規定により算定した基準財政収入額を同法第11条及び第21条の規定により算定した基準財政需要額で除して得た数値の過去3年間の平均値)が1.00を超える都道府県又は指定都市にあっては、財政力指数の逆数(調整率)を補助金の交付額に乗じて得た額とする。

イ: 当該地方公共団体が、地方公共団体の財政の健全化に関する法律(平成19年法律第94号)に規定する財政再生団体又は過疎地域自立促進特別措置法(平成12年法律第15号)に規定する過疎地域をその区域とする市町村である場合の補助率は65%とする。

③補助事業者が、営利法人である場合の補助率は補助対象経費の50%とする。

④補助事業が国有文化財に係るものであって、当該補助事業者が管理団体である場合の補助率は、上記により算定した率が65%に満たない場合にあっては65%とする。

⑤当分の間、沖縄県内において行われる補助事業に対する補助率は上記により算定した率が80%に満たない場合にあっては80%とする。

⑥補助事業が災害復旧事業等として行われる場合の補助率は、別に定めるものとする。

⑦補助事業者が令和元年9月2日付け元文庁第793号による依頼に基づく実地調査等により整備等が必要と判明した世界文化遺産、国宝(建造物)又は重要文化財(美術工芸品)を保管する博物館等の防火施設・設備の設置工事として行われる場合の補助率は、別に定めるものとする。

⑧補助事業者が新型コロナウイルス感染症の影響により収入額が減少した場合の補助率は、別に定めるものとする。

まとめ

登録 有形 文化 財 補助 金

登録された有形文化財の修理や保存等に利用することができる、「登録有形文化財建造物修理等事業費国庫補助金」「重要文化財(建造物・美術工芸品)修理、防災、公開活用事業費国庫補助金」の2つの補助金について、詳しく解説してきました。

文化財団保護法によって登録された有形文化財となる建築物、工芸品、彫刻、古文書、歴史資料等は、「たぐいない国民の宝たるもの」とされた希少な財産です。

有形文化財を残していくためには、適切な管理や保存、修繕などが必要不可欠となりますが、維持していくためにこれらの補助金をご活用ください。

現在、登録している有形文化財は、建造物12,685件、美術工芸品17件、民族文化財45件、登録記念物117件ほど存在しています。

貴重な有形文化財を残していくために、資金調達の一つとして国庫補助金を役立てましょう。

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