
中小企業などにとって、生産コストを抑えることは利益にもつながる重要なポイントです。
特にLED照明器具やデマンド監視装置等などの節電に取り組めば、効率よく生産コストを抑えていけるでしょう。
ただし、設備を導入する必要があるために節電設備にかかる費用が負担となってしまい、躊躇してしまう中小企業なども少なくありません。
そこで、こちらの記事では、中小企業などが電力の効率化を行うときに利用できる東京都LED照明等節電促進助成金をご紹介していきますので、見逃すことないよう設備を導入する際にお役立てください。
INDEX
東京都LED照明等節電促進助成金の概要
東京都LED照明等節電促進助成金は、東京都が実施している中小企業等が電力の効率化を図るための設備導入などの取組を支援している助成事業です。
東京都内の中小企業の振興に資することを目的として設けられました。
製造業を営む中小企業等の節電のための計画を策定し、計画に必要となる設備の導入費用の一部を助成しています。
助成額
東京都LED照明等節電促進助成金の助成金限度額と、助成率は下記の通りとなります。
◆助成限度額
・上限 1,500万円
・下限 30万円
◆助成率
・助成対象経費の1/2以内
・助成金の額に千円未満の端数が生じた場合には、切り捨てとなります。
申請受付期間
東京都LED照明等節電促進助成金の申請受付期間は下記の通りとなります。
◆第4期 令和2年9月10(木)~18日(金)
◆第5期 令和2年11月24日(火)~27日(金)
◆第6期 令和3年1月22日(金)~29日(金)
東京都LED照明等節電促進助成金の5つの申請要件
東京都LED照明等節電促進助成金の申請要件には、「節電計画の認定に関する要件」「法人・個人に関する要件」「製造業に関する要件」「都内での事業継続に関する要件」「その他の要件」の5つの要件を満たすことが必要となります。
次に、それぞれの申請要件について詳しく見ていきましょう。
①節電計画の認定に関する要件
節電計画の認定に関する要件は、策定した節電計画について、次のアもしくはイのいずれかの診断を受けて、導入予定の設備について記載されている報告書を受領することが要件となります。
◆ア: 公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施する節電診断
◆イ :東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)が実施する省エネルギー診断
②法人・個人に関する要件
法人や個人に関する要件では、申請日時点で下記のア~ウのいずれかに該当していることが要件となります。
◆ア :中小企業者
◆イ :中小企業団体
◆ウ :個人事業主
中小企業者とは、中小企業基本法第 2 条第 1 項に規定されているもののうち、次に掲げる「大企業が実質的に経営に参画していない者」です。
・発行済株式総数又は出資総額の2分1以上を同一の大企業が所有または出資していない。
・発行済株式総数又は出資総額の3分の2以上を複数の大企業が所有または出資していない。
・大企業の役員又は従業員を兼ねている者が、役員総数の2分の1以上を占有していない。
(非常勤役員、監査役も含まれます)
・その他大企業が実質的に経営を支配、又は経営に参画していない。
中小企業団体とは、中小企業等協同組合法または中小企業団体の組織に関する法律に基づく組合で、3者以上の組合員を有し、一つの敷地、建物内で業務を行っている団体です。
ただし、組合員に中小企業者でないものが含まれる場合は除かれますので、お気を付けください。
③製造業に関する要件
製造業に関する要件では、下記のア~エの全てに該当していることが要件となります。
◆ア: 日本標準産業分類に規定される業種の中で「E 製造業」に分類される業種を主たる事業として営んでいること。
◆イ: 必要な許認可(工場設置認可等)を得た「自社の工場」で生産・加工を行っていること。
◆ウ :材料費、労務費に該当する項目のある製造原価報告書を作成し、適切な原価管理を行っていること。
◆エ :複数の事業を行っている場合、製造業に係る事業の売上または利益の割合が全社の過半数を占めていること。
④都内での事業継続に関する要件
都内での事業継続に関する要件は、申請日の時点で下記のアとイに全てに該当することが必要です。
◆ア :法人の場合…東京都内に登記簿上の本店又は支店を有している。
・個人の場合は、開業届を提出して東京都内で営業している者。
◆イ: 東京都内で実質的に 1 年以上事業を行っている。
・単に登記や建物があることだけではなく、客観的にみて都内に根付く形で事業活動が実質的に行われていることが必要となります。
・申請書、ホームページ、名刺、看板や表札、電話等連絡時の状況、事業実態や従業員の雇用状況から総合的に判断されます。
⑤その他の要件
その他の要件として、下記ののア~コのすべてに該当していることも申請要件となりますのでご確認ください。
◆ア :令和元年度以前に、LED 照明等節電促進助成金の交付を受けていない。
◆イ :東京都に法人事業税・法人都民税等を納税し、その他租税の未申告、滞納がない。
◆ウ: 東京都及び公社に対する賃料・使用料の債務の支払いが滞っていない。
◆エ: 営業に関して必要な許認可を全て取得している。
◆オ :過去に公社から助成金の交付を受けている者は、「状況報告書」等を所定の期日までに提出している。
◆カ: 過去に公社、国、都道府県、区市町村等から助成事業の交付決定の取消等、又は法令違反等の不正の事故を起していない。
◆キ: 民事再生法、会社更生法、破産法に基づく申立手続中(再生計画等認可後は除く)、または私的整理手続中など、事業の継続性について不確実な状況が存在していない。
◆ク: 会社法第472条の規定により休眠会社として解散したものとみなされていない。
◆ケ: 助成金申請者、設備購入先等の関係者が「東京都暴力団排除条例」で規定されている暴力団関係者でない。
◆コ :東京都及び公社が公的資金の助成先として社会通念上適性を欠かないと判断されるも
東京都LED照明等節電促進助成金の助成対象事業
東京都LED照明等節電促進助成金の助成対象事業となるには、「対象設置場所」「設置建物」「助成対象設備」の全てに該当することが必要となります。
次に、助成対象事業となるための「対象設置場所」「設置建物」「助成対象設備」について詳しく見ていきましょう。
対象設置場所
対象となる設置場所は、申請日の時点で1年以上稼働し、12ヶ月以上電気代の支払実績のある「自社の工場(自社所有、もしくは賃貸借契約をしている建物)」が対象になります。
・東京都内の工場が原則ですが、東京都内に本店を有する場合は茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県及び山梨県に限り都外設置が可能です。
設置建物
対象となる設置建物は、生産・加工を行っている建物に設置するものとなり、対象可否は棟ごとに判断されます。
なお、次の場合については対象外となります。
・事務所棟や倉庫棟、食堂、休憩室、従業員の寮や社宅といった、生産・加工を全く行っていない建物への設置。
・建物に直接ついていないもの(外灯、門灯等)への設置。
・他社(関係会社含む)が使用している場所への設置。
・貸倉庫や貸事務所といった、製造業以外の用途で使用しているエリアへの設置。
助成対象設備
助成対象となる設備は、下記①~④に該当し、節電効果を有すると認められるものとなります。
① LED 照明器具
LED モジュールが組み込まれたベースライト形、ダウンライト形、スポットライト形、高天井形、シーリング形等の製品のうち、電気用品安全法で定めている PSE マークの表示がされているもの。
これに係る付帯設備(電源ユニット、ソケット、落下防止部品など)も対象となり、工事については助成対象設備本体への結線工事が対象トなっています。
なお、次のものは対象外となりますので、お気を付けください。
・調光器、スイッチ
・非常灯、誘導灯
・その他節電効果が低いと判断される照明器具、付帯設備
② デマンド監視装置
電力量計に接続し、電力使用量を監視・予測し、あらかじめ設定した電力使用量に近づくと警報を出す装置を有するもの。
これに係る付帯設備(警報装置、制御装置、監視用 PC ソフトウェア)も対象にです。
なお、単に電力計測のみしかおこなわない機器については対象外です。
③ 進相コンデンサ
電気回路において力率を改善するために導入するもの。この機器の稼働に必要と認められる付帯設備も対象になります。
④ インバータ
周波数や電圧、電流を制御し、動力設備の運転量を制御するもの。また、この機器の稼働に必要とみとめられる付帯設備も対象になりますが、キュービクルは対象外となります。
東京都LED照明等節電促進助成金の助成対象経費
東京都LED照明等節電促進助成金の助成対象となる経費は、「設備購入費」「工事費等」について、必要最小限の費用が対象となります。
設備導入費
設備購入費は、「助成対象設備」の購入費が対象となり、既設のものを器具ごと交換するものが対象です。
設備の出力仕様が既設のものより大きく上回るもの、電気出力等の機能を増強する部分に係るものや予備として購入するもの(LED 電球等)は対象外となります。
工事費等
工事費用は、「助成対象設備」の導入、設置に直接必要な経費(材料・消耗品・雑材料費、直接仮設費、労務費、総合試験調整費、立会検査費、設備搬入費など)が対象です。
次の工事費は対象外となりますので、お気を付けください。
・結線工事以外の工事
・設備増設等に係る工事費
・東京都が定める「公共工事設計労務単価」の上限(令和 2 年度は 25,500 円)超えた部分の労務費
助成事業の流れ
東京都LED照明等節電促進助成金の助成事業の流れは、下記の図の通りとなります。
緑の部分は申請者自身が行う手続きとなりますので、よくご確認ください。
なお、申請後には、必要に応じて現地調査が行われる場合もあります。
まとめ
東京都LED照明等節電促進助成金の概要を始めとして、東京都LED照明等節電促進助成金の5つの申請要件、助成対象事業、助成対象経費、助成事業の流れについて解説してきました。
生産コストを抑えることができる節電設備を導入するには費用が必要となりますが、東京都LED照明等節電促進助成金を利用すれば費用の一部が助成されます。
助成対象になるには、5つの申請要件、対象事業や対象設備の条件を満たす必要がありますので、よくご確認の上で申し込みを行いましょう。
また、申請期間は数回設けられていますが、申請受付期間は1週間程度となっていますので見逃すことなく東京都LED照明等節電促進助成金をご活用ください。