新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴いリモートワークやサテライトオフィスなど、新しい働き方が広がってきました。
また、先駆的な事業への取組や研究開発の拠点を選ぶときに、地方を視野に入れて検討すれば、コスト面などが削減できるのではないでしょうか?
鳥取県では、企業立地や企業誘致への取組に対して手厚く支援しており、県内の工場等の新増設の優遇助成制度が利用できることはもちろんのこと、併給が全て可能となっています。
新設や増設を予定している企業は、きめ細かな支援が得られる鳥取県でのオフィスや研究開発拠点の開設を検討してみてください。
こちらの記事では鳥取県が実施している、とっとり先駆型ラボ誘致・育成補助金~研究開発拠点設置支援~、次世代ソフトウェア産業等創出支援補助金、とっとり小規模ラボ開設支援事業補助金の3つの補助金を詳しく解説していきます。
とっとり先駆型ラボ誘致・育成補助金
とっとり先駆型ラボ誘致・育成補助金は、鳥取県が実施している先駆的な事業に取り組むオフィス、研究開発拠点開設を支援するために設けられた助成事業です。
立地場所の調査から始まって、拠点の開設や事業費など、段階的に活用することができます。
下記の3つのタイプが用意されていますので、状況に合った補助金をご利用ください。
①事前調査支援
②オフィス設置支援
③研究開発拠点設置支援
3つのポイント
とっとり先駆型ラボ誘致・育成補助金の特徴となる3つのポイントは、下記の通りとなります。
◆ポイント1
・立地場所の事前調査からサテライトオフィスの設置、さらに常設の研究開発拠点の設置まで幅広く最長4年にわたり支援することが可能です。
◆ポイント2
・「先駆的事業」に絞って支援を行います。「尖った研究製品・サービス開発」にチャレンジしたい企業にお薦めです。
◆ポイント3
・県内各市町村の支援制度との併用も可能です。
補助対象業種
とっとり先駆型ラボ誘致・育成補助金の補助対象となる業種は下記の通りとなります。
◆自然科学研究所、ソフトウェア業、デザイン・機械設計業、コンテンツ企画制作業、情報処理・提供サービス業等のうち、先駆的事業を行うもの
「先駆的事業」とは?
・同業他社に普及していない技術等を活用した製品製造、サービス提供を行う事業
・同業他社の一般的な方式とは異なる生産・販売・提供方式を行う事業
・既存技術の組合せ、製品の用途変更等により新たな顧客獲得や市場を創造する事業
・大都市圏等から企業の機能及び業務の一部を県内に移転する事業
3つの支援内容
とっとり先駆型ラボ誘致・育成補助金の支援は、事前調査などの準備や構想段階から拠点開発までを、下記の3つのステージで一貫して支援を行っています。
①事前調査支援→→②オフィス設置支援→→③研究開発拠点設置支援
これらの支援を利用する場合、上記のような順番で利用するほか、「②オフィス設置支援のみ」「①事前調査→③研究開発拠点設置支援」や「②オフィス設置支援→③研究開発拠点設置支援」の形での利用も可能となっています。
次に、①事前調査支援、②オフィス設置支援、③研究開発拠点設置支援を詳しく見ていきましょう。
①事前調査支援
とっとり先駆型ラボ誘致・育成補助金の事前調査支援は、先駆的事業を鳥取県で取り組むことを検討している企業が利用できる支援です。
県外事業者が行う県内企業等と連携して行う事前調査等に対して補助金を交付しています。
事前調査支援の補助対象者、補助要件、補助対象経費、補助率、補助限度額、補助期間は、下記の表の通りとなります。
補助対象者 | 先駆的事業を行おうとする県外事業者 |
補助要件 | 県内企業・団体・支援機関等との連携を前提に補助事業を実施すること |
補助対象経費 | 交通費、委託費、県内企業等と行う共同調査費、通信費 等 |
補助率 | 2分の1 |
補助限度額 | 30万円 |
補助期間 | 最長1年間 |
②オフィス設置支援
とっとり先駆型ラボ誘致・育成補助金のオフィス設置支援は、鳥取県内へのサテライト的な拠点の設置や運営に必要となる経費の一部を補助しています。
補助対象者、補助要件、補助対象経費、補助率、補助限度額、補助期間は、下記の表の通りとなります。
補助対象者 | 先駆的事業を行おうとする県外事業者 |
補助要件 | ・県内企業・団体・支援機関等との連携を前提に補助事業を実施すること ・県内に補助事業を実施するための事業所等を設置すること |
補助対象経費 | 事業所改修・賃借費、機器設備取得・賃借費、通信費、セキュリティ対策費、交通費(県外拠点と県内拠点との往復に限定)、県内企業等と行う共同研究費、光熱水費 等 |
補助率 | 2分の1 |
補助限度額 | 200万円 |
補助期間 | 最長2年間 |
③研究開発拠点設置支援
とっとり先駆型ラボ誘致・育成補助金の研究開発拠点設置支援では、恒常的な研究開発拠点の設置や運営に対して支援を行っています。
上記の「①事前調査支援」「②オフィス設置支援」の活用は必須ではありません。
補助対象者、補助要件、補助対象経費、補助率、補助限度額、補助期間は、下記の表の通りとなります。
補助対象者 | 先駆的事業を行おうとする県内事業者・県外事業者 |
補助要件 | ・県内に補助事業を実施するための恒常的な事業所等を設置すること ・2人以上の雇用を行うこと ・なお、法人代表者及び個人事業主を含めることができます。 ただし、代表者の3親等内の親族は雇用者に含めない。 ・雇用者の2分の1までは、一定の条件でリモートワーカー (在宅・遠隔勤務者)、兼業・副業者も可とする |
補助対象経費 | ②オフィス設置支援の対象経費、直接人件費、人材育成費等 |
補助率 | ・中山間地に設置する場合 2分の1 ・それ以外の地域に設置する場合 3分の1 |
補助限度額 | 500万円
・「②オフィス設置支援」による支援を支援を受けた場合はその補助額を差し引く |
補助期間 | 最長3年間 ②オフィス設置支援による支援を受けた場合はその期間を差し引く |
次世代ソフトウェア産業等創出支援補助金
次世代ソフトウェア産業等創出支援補助金は、上記のとっとり先駆型ラボ誘致・育成補助金を利用した後に、雇用要件を満たせば利用できる補助金です。
最長9年間もの手厚い支援を受けることが可能となります。
ソフトウェア業、デザイン・機械設計業、コンテンツ事業、一般事務・会計事務・事務用機器操作事務等の鳥取県内立地に助成をしています。
対象業種雇用要件
次世代ソフトウェア産業等創出支援補助金の対象となる業種と雇用要件は、下記の通りとなります。
◆対象業種
ア:ソフトウェア業、デザイン・機械設計業等
イ:コンテンツ事業
ウ:一般事務・会計事務・事務用機器操作事務の事業
◆雇用要件 5人以上
補助対象経費
次世代ソフトウェア産業等創出支援補助金の補助対象となる経費は、下記の通りとなります。
①事業所の賃借に要する費用
②設備の賃借に要する費用
③企業が支出した以下の費用(IJUターン者の採用・移転に限る。)
・人材確保費(県外での採用活動に要する経費)
・従業員及びその家族の県内への転居費用等(社内規定に基づき企業が負担する移転に係る経費)別途上限あり
補助額
次世代ソフトウェア産業等創出支援補助金の補助率と補助限度額は下記の通りとなります。
◆補助率 50%
◆補助限度額 1,000万円/年
◆補助期間 5年間
なお、補助金は1年ごとの実績によって交付されます。
とっとり小規模ラボ開設支援事業補助金
とっとり小規模ラボ開設支援事業補助金は、県外企業による県内中山間地域への小規模な研究開発拠点(小規模ラボ等)の開設を支援している補助金です。
空き家を活用した新事業創出や地域課題を解決する事業などを実施する場合に、建物改修経費及び賃借料、機器・設備費等にかかる費用の一部を鳥取県が補助しています。
補助対象事業
とっとり小規模ラボ開設支援事業補助金の補助対象となる事業は、下記の通りとなります。
◆鳥取県が指定する中山間地域において、下記の事業のうち新たな技術・テーマの研究開発等を実施する事業
・情報処理・提供サービス業に属する事業
・ソフトウェア業、デザイン・機械設計業
・まんが・アニメーション等コンテンツ企画制作業
・自然科学研究所に属する事業
なお、中山間地域とは、地域振興三法(過疎法、山村振興法、特定農山村法)で定める地域のことを言います。
補助事業者
とっとり小規模ラボ開設支援事業補助金の補助対象となる事業者は、下記の通りとなります。
◆県外企業のうち、県が指定する中山間地域に補助対象業種の事業所を開設し、2人以上(代表者含む)の雇用を行う事業者
・代表者の3親等以内の親族は雇用者に含みませんので、お気をつけください。
補助対象経費
とっとり小規模ラボ開設支援事業補助金の補助対象となる経費は、補助事業実施に要する経費のうち、下記にあげる経費が対象となります。
①オフィスの改修経費(撤去作業、清掃作業、リフォーム、その他知事が必要と認める経費。ただし、補助事業開始1年目のみ対象とし、市町村等の整備する費用を除く。)
②事業所等の賃借に要する費用
③機器・設備の賃借料
④機器・設備費(取得金額30万円未満のものに限る。)
⑤減価償却費(補助期間中に発生したもの)
⑥事業の実施に伴い発生する直接人件費
補助額
とっとり小規模ラボ開設支援事業補助金の補助率、補助限度額、補助期間は下記の通りとなります。
◆補助率 50%
◆補助限度額 500万円
◆補助期間 最大36カ月
・改修経費の補助金限度額は200万円となります。
・直接人件費に係る補助金額については、補助金総額の30%以内です。
県内主要自治体との優遇助成制度
とっとり小規模ラボ開設支援事業補助金では、下記のいずれ自治体の助成制度との併用が可能となっておりますので、ぜひご利用ください。
①鳥取市 鳥取県東部の中心都市。鳥取県の県庁所在地。
②米子市 鳥取県西部の中心都市。「山陰の商都」。
③倉吉市 鳥取県中部の中心都市。穏やかな町。
④境港市 鳥取県西部の港湾都市。水木しげるロードが有名。
まとめ
鳥取県の企業立地や企業誘致の際に利用できる、とっとり先駆型ラボ誘致・育成補助金、次世代ソフトウェア産業等創出支援補助金、とっとり小規模ラボ開設支援事業補助金の3つの補助金を詳しく紹介してきました。
鳥取県では企業立地や企業誘致を手厚く支援しており、併用助成も可能となっています。
新型コロナウイルス感染症の拡大で、リモートワークやサテライトオフィスなどの新しい働き方に変わってきていることも考えると、鳥取県内での工場等の新増設を検討してみるのもいいかもしれません。
また、鳥取県内でのサテライトオフィスや研究開発拠点の開設を予定しているのなら、これらの補助金を資金調達の一つとして、ぜひ活かしてみてください。