
これから不妊治療を始めたいけど、治療費のことが心配でなかなか踏み切れない人も多いのではないでしょうか?
実は、不妊治療のために使える補助金制度が存在しています。
不妊治療を考えている方は、助成金を活用することによって不妊治療にかかる治療費を抑えることができるでしょう。
各地方自治体で不妊治療に関する助成金は様々出していますが、今回は東京都における特定不妊治療の助成金の3つの基礎知識を解説していきます。
①不妊治療助成金の種類
②東京都の不妊検査等助成金概要
③不妊検査等助成金の具体的な申請方法
それでは、一つ一つ解説していきましょう。
①不妊治療助成金の種類
不妊治療助成金には、大きく分けて以下の2種類があります。
・不妊検査等の助成金
・特定不妊治療の助成金
こう書いてもピンとこないと思いますが、ざっくりいうと、不妊治療の段階によって対象となる助成金が異なってくるということです。
つまり、治療が進んでいくと助成金をもらえるタイミングが複数回あるということです。
特定不妊治療助成制度とは
不妊治療とは「不妊症」を改善するための治療のことです。
具体的にはタイミング療法や人工授精など様々な治療法がありますが、今回紹介する「特定不妊治療」とは「体外受精」と「顕微授精」、それと「男性不妊治療」のことを指します。
この特定不妊治療にはとてもお金がかかります。病院によりますが、大体1回の治療にかかる費用が30〜60万ほどになってしまうのです。
そういった夫婦の負担を軽減するための制度が「特定不妊治療助成制度」です。
助成金額は治療1回につき15万円まで(初回のみ30万円まで)。
助成を受けられる回数については年齢によって異なります。
不妊治療の段階
⑴不妊検査⇒妊娠に適した健康状態であるかどうかの検査
⑵タイミング法⇒医師の指示に従って排卵日を目がけて夫婦生活を持つ方法
⑶人工授精⇒精子を女性器に注入することで授精しやすくする方法
⑷体外受精⇒体外で精子と卵子を授精させ体内に戻す方法
不妊治療助成金の種類は2種類あるといいましたが、このうち、1つ目の「不妊検査等の助成金」の対象となるのが、上でいう⑴~⑶の段階です。
そして、2つ目の「特定不妊治療」の助成金の対象となるのが⑷の段階です。
不妊治療の助成金はどこからもらえる?
不妊治療の助成金の種類は大きく分けて2種類あることがわかりました。
それでは、それぞれの助成金は、どこに申請してもらうことが出来るのでしょうか。
2種類の助成金について、どこからもらえるのかを表にしてみました。
地方自治体については、基本は都道府県からもらえるのですが、都道府県の助成金で足が出てしまった分を更に市区町村が負担してくれるというパターンが多いと思います。
国 | 地方自治体(都道府県・市区町村) | |
不妊検査等の助成金 | × | 〇 |
特定不妊治療の助成金 | 〇 | 〇 |
※地方自治体は東京都を想定しています。東京都以外の方は必ず自分の所属する地方自治体に確認してみてください。
おそらく、特定不妊治療の助成金は間違いなくあります。
この記事で主に紹介する不妊検査等の助成金はない場合も多いかもしれません。
②東京都の不妊検査等助成金概要
東京都は、高額の治療費がかかる特定不妊治療について、経済的負担の軽減を図るため、医療保険が適用されない治療費の全部又は一部を助成しています。
助成の対象となる治療は、体外受精及び顕微授精(特定不妊治療)です。
助成額
治療1回につき、以下の助成額上限まで助成されます。(初めて助成を受ける場合、上限額額はカッコ内の額)
■治療ステージA 20万円(30万円)
■治療ステージB 25万円(30万円)
■治療ステージC・F 7.5万円
■治療ステージD・E 15万円(30万円)
※初回の助成上限額拡大(30万円)についての注意点
複数回の治療を受けた場合、「治療終了日」の早い順番で承認されます。
初回(1回目)として助成を受けた治療よりも前に終了していた治療を、後から承認することはできません。ご注意ください。
「1回の治療」の考え方と治療ステージごとの助成対象となる範囲
「1回の治療」とは、採卵準備のための投薬開始から、体外受精・顕微授精1回に至る治療の過程を指します。
また、以前に行った体外受精・顕微授精により作られた受精胚による凍結胚移植も1回とします。
助成回数
初めてこの助成を受けた時の治療開始日時点で、下記の内容が回数になります。
・妻の年齢が39歳までの夫婦 通算6回まで
・妻の年齢が40歳以上の夫婦 通算3回まで
・ただし、1回の治療期間の初日における妻の年令が43歳以上で開始した治療は全て対象外です。
年齢は特定不妊治療費助成事業受診等証明書(第2号様式)に記載のある治療開始日時点の年齢です。
通算の助成回数は、初回の助成認定時における治療開始時点の年齢で固定されます。
39歳までに初めて助成を受けた場合、40歳を超えても通算回数は6回のままです。
助成を受けた回数が上限に満たない場合でも、妻の年齢が43歳以上で開始した治療は全て助成の対象外となります。
助成回数は、他の自治体(道府県・指定都市・中核市)での助成を含みます。
男性不妊治療(精巣内精子生検採取法等)に係る医療費助成
特定不妊治療(体外受精及び顕微授精)に至る過程の一環として行われる、精巣内精子生検採取法(TESE)、精巣上体内精子吸引採取法(MESA)、経皮的精巣上体内精子吸引採取法(PESA)、又は精巣内精子吸引採取法(TESA)の費用の一部が助成されます。
1.特定不妊治療の治療終了日の属する年度の前年度(4月1日)以降に行われた手術1回につき、15万円を上限に助成されます。平成31年4月1日以降に行った手術は、初回の治療に限り助成額が30万円に拡大されました。
2.特定不妊治療費助成の妻の助成上限回数の範囲内で申請できます。
3.指定医療機関又は指定医療機関から紹介等をされた医療機関において手術を受けたことが必要です(指定医療機関の主治医の指示のもとに行われた治療に限ります。)。
4.助成対象費用は、医療保険が適用されない手術代及び精子凍結料です。
5.男性不妊治療単独での助成申請はできません。特定不妊治療費助成の申請と同時に申請することが必要です。
6.特定不妊治療費が助成の対象とならなかった場合は、男性不妊治療についても助成の対象とはなりません。
対象者(要件)
次のすべての要件を満たすことが必要です。
・特定不妊治療(体外受精・顕微授精)以外の治療法によっては妊娠の見込みがないか又は極めて少ないと医師が診断したこと。
・指定医療機関で特定不妊治療を受けたこと(1回の治療の初日から終了まで指定されていることが条件です。)。
・申請日の前年(1月から5月までの申請日については前々年)の夫婦の合算の所得額が以下のとおりであること。
平成31年3月31日以前に開始した1回の治療=730万円未満
平成31年4月1日以降に開始した1回の治療=905万円未満
■婚姻している夫婦の場合
・申請日現在、東京都内(八王子市の区域を除く。)に住所があること。ただし、夫婦のいずれかが都外(国外除く。)在住の場合は、所得の多い方の住所地が申請先となります。
申請期限や必要書類は自治体によって異なりますので、必ず、申請先の自治体にご確認下さい。
・治療開始時に婚姻していない又は下記の事実婚の要件を満たしていない場合は、申請日現在婚姻していても助成対象になりません。
■事実婚の夫婦の場合
・「1回の治療」の初日から申請日まで夫婦が継続して東京都(八王子市の区域を除く。)に住民登録をいること。
・住民票の続柄に夫(未届)、妻(未届)等の記載があり、他に法律上の配偶者がいないこと。(「未届」の届出をした時に住民票の写しの交付を受けることをお勧めします。)
・平成30年4月1日以降に開始した「1回の治療」から対象となります。
③不妊検査等助成金の具体的な申請方法
以上の概要を踏まえて、今度は実際の申請方法に移っていきます。
必要書類
申請に必要な書類は以下の5つです。
⑴不妊検査等医療費助成申請書
⑵不妊検査等助成事業受診等証明書
⑶住民票の写し
⑷戸籍前無事項証明書の原本(戸籍と本)
⑸振込口座の通帳コピー
その内、⑴だけを自分で記入します。
下記のあて先に郵送で申請してください。
(申請日は消印日です。差出し・配達の記録の残る簡易書留や特定記録郵便などの御利用をお勧めします。普通郵便で送付された書類の到達確認等はお受けできない場合があります。)
【提出先】
〒163-8001 東京都新宿区西新宿二丁目8番1号
東京都 福祉保健局 少子社会対策部 家庭支援課 助成担当
(東京都都庁第一本庁舎28階)
結果通知及び支払方法
・申請を受けてから約2か月後に審査結果通知が送られてきます。
・結果通知の約1か月後に、指定された口座に助成金を振り込みます。
<上記の期間は目安ですので、申請が多い月(例年2月~5月位)は結果通知を送られてくるまで3か月程度かかる場合があります。>
・決定通知書は再発行されませんので、大切に保管してください。
まとめ
今回は東京都の特定不妊治療の助成金を中心に解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
地方自治体によって多少の違いはありますが、各地方自治体で特定不妊治療の助成金を用意しているところもあるので、不妊治療を受ける予定のある方はまずはそれぞれの役所に問い合わせてみてください。
不妊症のために出産できない女性が増えるということは、その分だけ少子化が進んでしまうことを意味しています。
そのため、今回紹介した厚生労働省だけでなく、多くの自治体でも不妊治療を支援する助成金を積極的に出しています。
不妊症の医療費でお困りの方は、是非助成金の申請を検討してみてください。