
企業信用調査といえば帝国データバンクですが、金融機関や取引先からより大きい信頼を得るために評点アップをしたい方も多いのではないでしょうか?
本記事では、帝国データバンクの評点の要点を5つの要点で解説します。
・帝国データバンクとは?
・帝国データバンクの評点とは
・評点を上げる要素&下げる要素と信頼性
・評点が上がるメリット
・評点を上げるコツ
帝国データバンクとは?
帝国データバンクは、1900年(明治33年)に創業した日本最大手の信用調査会社です。
TDBの略称でも知られており、主に企業を対象とした信用調査をしています。
帝国データバンクの事業内容
帝国データバンクの主な事業内容は、
「企業信用調査」
「信用リスク管理サービス」
「データベースサービス」
「マーケティングサービス」
「電子商取引サポートサービス」
などの様々な業務を行っています。
上記の中でも企業信用調査に力を入れています。
商取引の円滑化を目的として、現在でもさまざまな企業の信用調査を行っています。
信用調査を行った企業に対しては「評点」がつけられ、その評点や詳しい状況は銀行などの金融機関へと伝えられます。
つまり、帝国データバンクは金融機関をサポートする役目を果たしており、このサポートによって銀行などは貸し倒れリスクの低い融資先を選ぶことが可能になります。
そのため、帝国データバンクから高い評点を受ければ、金融機関から融資を受けやすい状況を作り出すことができるのです。
信用情報調査の手順
また、帝国データバンクによる企業信用調査は、以下のような手順で実施されています。
<STEP1>対象会社に対して、電話による申し込みを行う
<STEP2>対象会社に訪問し、聞き取り調査を実施
<STEP3>さまざまなデータの分析、信用情報の作成
<STEP4>金融機関などのクライアントに提出する報告書の作成
<STEP5>報告書の提出
調査対象と企業となった場合、<STEP1>で電話による申込が来ますが、義務ではないので、その時点で調査を断ることも可能です。
ただし、調査結果により帝国データバンクの評点が上がることで、銀行や取引先からのアプローチが増える可能性もあるため、余裕がある場合は信用調査に応じると望ましいでしょう。
帝国データバンクの評点とは
帝国データバンクの企業信用調査では、評価項目があらかじめ決められています。
各企業を100点満点で評価した点数で各項目に点数がつけられ、その合計点が最終的な評点となります。
評価項目は以下の通りです。
<業歴> 配点:1~5点
企業がどのくらいの業歴があるのか「継続性」を評価する項目。
業歴が長ければ長いほど評価は高くなります。
<資本構成> 配点:0~12点
財務状況が安定しているか評価する項目。
<規模> 配点:2~19点
経営規模を評価する項目。
具体的には「年間の売上高」や従業員数などを元に調査を行います。
<損益> 配点:0~10点
決算報告書などから会社の損益を評価する項目。
<資金現況> 配点:0~20点
業況や収益、支払状況、回収状況、資金調達余力などを調査する項目。
<経営者> 配点:1~15点
経営者の資産や経営経験、人物像を評価する項目。
<企業活力> 配点:4~19点
企業活力を調査する項目。
人材や取引先、生産、販売力のほか、将来性もチェックされます。
<加点・減点> 配点:加点+1~+5点、減点-1~-10点
上の項目でカバーできない部分を評価する項目。
帝国データバンクによる信用程度のランク付け
また、評点により信用程度は以下のようにランク付けされます。
<Aランク>86 ~100点
<Bランク>66 ~ 85点
<Cランク>51 ~ 65点
<Dランク>36 ~ 50点
<Eランク>35 以下点
中小企業経営者の方なら、評点が「Cランク」より上の位置にあれば十分です。
実際に、90点以上は超超優良企業(国内トップクラスの大手企業)であり、81点以上で黒字を出す超優良企業、66点より上で、経営状況が抜群に優れた中小企業〜大手がこの位置を占めます。
また60点以上あれば、中小企業でもかなり優良な企業として見られます。
評点50点以上でも「健全な状態にある企業」として金融機関、銀行が安心して融資をしてくれるレベルになります。
帝国データバンクの発表によると、評点で最も多い(平均点)は40点台と言われています。
評点を上げる要素&下げる要素と信頼性
次に、評点を上げる要素・下げる要素と、評点の信頼性について見ていきましょう。
評点を上げる要素
積極的な情報公開をする企業ほど評点は上がりやすいと言われています。
また、評点は取材対応により上がることもあるため、帝国データバンクの調査員に対して企業の将来性をしっかりと説明できれば評点が上がる可能性はあります。
評点を下げる要素
評点を下げるのは減収減益が主な要素です。
経営規模は年単位で評価しているため、前年度に比べて業績が悪化した企業では評点を下げてしまう可能性があります。
そのほか、虚偽の情報公開をしている企業や取材を拒否してしまう企業も評点が下がりやすいと言われています。
評点の信頼性
評点は総合的な視点で評価、算出されているため、一定の信頼性はあると言えます。
ただし、評価項目が多岐に渡っていることと、点数配分に大きな違いがあることには注意したほうがいいでしょう。
たとえば、経営者の評点が満点の15点でも資金現況が0点なら小計は15点です。
しかし、逆に経営者が0点でも資金現況が満点なら20点で小計が20点で逆転します。
つまり、評点は全体で判断するだけでなく信用要素に注目することも大事です。
評点が上がるメリット
帝国データバンクの評点が上がると様々なメリとがあります。
例えば
・金融機関からの信用を得やすくなる
・取引先から安全な企業と認識される
・自社の強みを考えるきっかけになる
などが挙げられます。
これらのメリットについて細かくみていきましょう。
(1)金融機関からの信頼を得やすくなる
帝国データバンクの評点が上がれば、一般的には企業の評価が上がったとみなされます。
そのため、基本的に信頼度が高まるものと考えられます。
新規事業に着手する際の資金調達の面でも容易になりやすいと言えるでしょう。
また融資を申し込むときにも、帝国データバンクからの評点が高ければ説明が楽になります。
事業の損益の状態などの基本的な決算のデータはすべて提出しており、その結果評価をしているので信頼が高くなります。
(2)取引先から安全な企業と認識される
高い評点がついたことを取引先が知れば、安全な企業と認識されます。
これから新しい取引先とお付き合いするにあたり、信用が原因で断られる可能性が減るのは大きなメリットです。
大手の企業は新規提携先を決めるときに、信用調査を必須としているところもあります。
高得点を取ることができれば、大手からの取引の機会に恵まれる可能性も出てきます。
(3)自社の強みを考えるきっかけになる
評点を上げるために対策する過程で、自社の強みやどのようにしたら経営状態が改善するか考えることになるでしょう。
また、丁寧に対応して評点をあげようとすれば、調査員も向き合って応えてくれます。
受け答えの過程で、気づいていなかった自社の強みを指摘してもらえる可能性もあるでしょう。
評点を上げるコツ
しかし、実際に帝国データバンクの評点を上げるにはどうすれば良いのでしょうか?
ここではどうすれば帝国データバンクの評点が上がりやすくなるのかを紹介します。
①調査の実施内容を把握する
評点を上げるためには、帝国データバンクがなぜ調査するのか、どのような調査をするのかの理解が欠かせません。
本来の調査目的は企業同士の比較や時系列での比較を容易にするためです。
帝国データバンクから取材の申し入れがあった場合は積極的に受け入れて、正しい情報の提供と企業の将来性をわかりやすく解説しましょう。
②決算書を調査会社に公開する
調査会社から決算書を求められた場合はしっかりと公開することが大切です。
決算書を求められた際に拒否してしまう企業や、無視してしまう企業は評価を下げてしまう可能性があるからです。
そのため、調査会社が決算書を求めた際は協力する姿勢を見せるのが評点を上げるためのコツです。
③正確な資料を作成する
資料を作成する際は、どのような種類のものでも正確な数値を基に資料作成するのが基本です。
評点を上げようとして虚偽の資料を作成して一時的に評点が上がったとしても、いずれ嘘は発覚します。
また、故意ではなかったとしても間違った数字を用いて作成した資料は評価を下げてしまいます。
普段から正しい資料作成を心がけることが、他社からの信頼を得られるはずですし、帝国データバンクからの信用を失うリスクも避けられます。
④説明の事前練習をする
帝国データバンクではメールやファックスを使った調査や電話調査以外に、直接企業に足を運ぶ訪問調査もあります。訪問調査では主に自社の優れた点を明確に説明できることがポイントです。
具体的な業歴や企業規模の話などは資料を見ればわかることなので、自社の取り組みや将来的な見通しの部分について、丁寧にわかりやすく説明しましょう。
⑤専門家を同席させる
専門的な話については専門家に任せることが大切です。
事前練習を重ねても専門外のことまで具体的に説明できるとは限りません。
もちろん、社内に適当な人材がいるのが望ましいですが、評点を上げたいと願うなら会社の顧問税理士などに依頼すると良いでしょう。
まとめ
今回は帝国データバンクの評点について解説しました。
評点は企業の信用度を知る目安として多くの企業で参考に使われています。
また、評点がアップすると金融機関や取引先からの信頼が増したり、新たなビジネスチャンスや従業員のモチベーション向上に繋がる可能性も高まります。
企業活動は帝国データバンクの評点を上げるためにするものではありませんが、調査内容を頭の片隅に置いておけば自然に業績が向上し、評点が上がる可能性はあるでしょう。
評点アップを目的とせず、会社をより良くするための活動と思って取り組むことが大切です。