担保

融資の条件を有利にしてくれる5つの担保のメリットとデメリット

融資

会社運営や事業の拡大、また起業時には百万円単位から一千万単位の多くの資金が必要となってきます。
このような多額な資金を資金繰りで確保することは難しいため、融資を考える会社は少くありません。

多額な融資を希望する場合には、担保を必要とする場合と、担保を必要としない場合に分けられるのですが、担保を利用すれば有利となるのをご存知でしょうか?

担保を用意するのが難しい方もいるかも知れませんが、担保があることによっての有利な条件で融資を受けられる可能性が高くなるのです。

こちらの記事では、担保についての解説をしながら、5つの担保のメリットとデメリットをご解説していきます。

借入金返済の手段として用いられる担保

担保

担保とは、融資が返済できなくなった場合に備えて、事前に債務者は債権者へ提供されるものを担保と言います。
もしも、債務者が返済できなくなった時には、事前に受け取ってある担保を処分して、債権者は貸付金を回収するのです。

債務者が返済できないのであれば、債権者に損害が生じることになりますが、担保をがあれば、その損害が回避されます。

このように、担保を提供するということは、債権者にとってリスクが低くなるということにつながり、その分融資が受けやすくなっていきます。

◆債務者とは、資金を借りる人のこと

◆債権者とは、資金を貸し出す人のこと

担保の具体例

担保

【田中さんが佐藤さんに1,000万円を貸した場合】
田中さんは、佐藤さんからの返済が心配な時には、担保として佐藤さんの不動産を預かることができます。

そして万が一、佐藤さんが1,000万円の返済できなくなった際には、担保として預かった佐藤さんの不動産は、田中さんのものとなるのです。

このように、あらかじめ担保を確保しておけば、損失などの不測の事態に備えることができ、田中さんは1,000万円を安心して貸し付けを行えるようになります。

物的担保と人的担保

担保にできるものには、「物的担保」と「人的担保」の2つの種類があります。
「物的担保」とは、物を担保として預ける方法です。
「人的担保」とは、債務者の代わりとなる保証人や連帯債務者を立てる方法のことをいいます。

担保を用意しているかで、銀行融資を受ける際の信頼度やイメージが大きく変わってくるといってもよいでしょう。

融資に有利な担保の5つのメリット

担保

融資の時に担保を用意すれば、次のような5つのメリットが得られます。

【担保のメリット】
①債務不履行となった場合の財源確保ができるため、融資が受けやすい
②無担保融資に比べて金利が低くおさえられる
③担保によっては、融資額の増額につなげられる
④長期の返済期間を設定できる
⑤無担保融資に比べて審査結果が早い。

担保を用意すれば、融資が受けやすくなると同時に、金利を低くし、融資額を増やせるかもしれません。
また、返済期間も長期間に設定が可能となってくるので、結果として低金利で長期に渡って返済できるようになり、返済計画が立てやすくなるでしょう。

担保ととして利用できるものとは?

融資を受ける際には、担保があれば有利にすすめることができますが、どのようなものでも担保にできるわけではありません。

担保となるには、客観的な価値があることに加えて、換金性が高くて価格が安定していることが条件となってきます。

次に、担保にできる「物的担保」について、5つの担保を紹介していきます。
具体的に見ることで、自身に「提供できる担保があるのか?」を確認しておきましょう。

担保①:不動産

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「物的担保」の代表格とも言えるのが、土地や建造物などの不動産です。
不動産は、価格が安定している上に換金性が高いために、担保として多く用いられます。

また、不動産は債務不履行になった場合には、不動産登記によって権利を移動するだけなので、管理がしやすいというのも不動産が選ばれる理由です。

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不動産を担保にするための要件

不動産を担保として利用するためには、次の要件をクリアしておく必要があります。
もしも、要件に当てはまるものがあるのなら、担保にする前にクリアにしておきましょう。
◆所有権の争いがない。
◆建築基準法に合致している。
◆仮登記、賃借権などの登記が付いていない。
◆不法占拠者などがいない。
◆担保に利用不可能な建造物が建っていない。

不動産を担保で得られるメリットとデメリット

不動産を担保にしたことで、低金利の他にも、借入限度額が増加につながる可能性がでてきます。
契約によっては、30年ほどの長期間の借入期間が実現することもできるようになるでしょう。

デメリットな部分としては、担保として土地や建物を失うことになるので、しっかりとした返済計画をたてなければなりません。

【不動産のメリット】
低金利での融資が可能となる
借入限度額の増加につなげていける
複数の金融機関でまとめて融資を受けられる可能性がでてくる
長期間の借入も可能な場合もある
追加融資の可能性と、経営が悪化しても融資を借り続けられる可能性がでてくる
(評価額が上がった場合)
【不動産のデメリット】
返済できなければ不動産をうしなってしまう
事務手数料などが発生する場合がある
追加融資を受けられなかったり、新たな担保を用意したり融資の返済を求められる可能性がある(評価額が下がった場合)

担保②:自動車

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自動車を担保にする場合、金融機関や貸金業者などで自動車の査定を依頼し、査定額を上限にして融資を受けることができます。
「金融機関」が対象とする自動車は、トラック、バス、トレーラー、タンクローリー、ミキサー車、ミキサー車、冷凍車、冷蔵車などの商用車です。
「貸金業者」の場合であれば、自家用車も担保にすることができます。
自動車を担保とした場合には、人気や価値の高い自動車の査定額は高額になりますが、車種によっては購入金額の半額以下となってしまう場合もあるので、期待にそった融資額を得られないかも知れません。

特に、貸金業者の担保にすると、査定料やリース料が高く、管理費なども発生することもあるので、注意してください。

自動車のメリットとデメリット

【自動車のメリット】
低金利での融資が可能となる
査定額が高ければ融資額の増額につなげられる
【自動車のデメリット】
対象車両が限られる
査定額が低ければ高額融資が受けられない
査定料やリース料などの支払いが発生する可能性がでてくる
返済できなければ自動車の差し押さえられ、使えなくなる

担保③:銀行預金

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銀行に定期預金として預けているお金があれば、「定期預金担保貸付」として利用することができます。
定期預金とは、一定期間お金を預け、満期がくるまで引き出すことができないかわりに、高めの金利を設定してくれる預金のことです。
「定期預金担保貸付」は解約せずに融資を受けることができ、申し込みや審査を行わなくても誰でも利用することができます。
「定期預金担保貸付」は、残高が不足している引き落としに自動的に預金口座から融資され、普通口座に入金される仕組みになっています。
手軽な「定期預金担保貸付」ですが、知らないうちに定期預金担保貸付が行われてしまうこともあるので、定期的に預金残高をチェックしてよく確認しておきましょう。

銀行預金のメリットとデメリット

【銀行預金のメリット】
定期預金を解約せずに利用できる
申込み手続きや融資審査、貸付額の申請などが不要
低金利での融資が可能となる
定期預金残高が多ければ多いほど、高額な融資が受けられる
信用情報に記載されることはない
【銀行預金のデメリット】
知らないうちに貸付が発生する可能性がでてくる
定期預金残高が少ないと、融資額も少ない
定期預金の満期までに返済できないと、満期額から相殺される

担保④:証券

担保

担保として利用できる証券には、株券や国内債券、国内ETF、国内REIT、国内公募投資信託などの有価証券です。

有価証券の時価の6割から8割程度が融資可能額となり、年率は4%ほどに設定されている場合が多いので、カードローンなどと比較すると低金利での融資ができる担保となるでしょう。

「証券担保ローン」は、資金使途に基本的に制限を設けていないので、生活や旅行資金、住宅のリフォームなど、自由に使える資金として利用することができます。
ただし「証券担保ローン」によっては、事業資金に使用できない商品もあるので、申し込む前にはよく確認してください。

証券のメリットとデメリット

【証券のメリット】
低金利での融資が可能となる
資金使途は原則自由に使える
信頼性の高い有価証券を担保にすると、融資を受けやすくなる。
【証券のデメリット】
商品によっては事業資金に使用できない場合もある

信頼性の低い有価証券では融資を受けられない可能性もでてくる
有価証券の時価が一定基準を下回ると、融資額の一部返済・担保の追加などの必要
返済が遅延した場合には、高い金利が生じてくる

担保⑤:特許

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「知的財産権」となる特許権、著作権、商標権、商号なども担保として利用することが可能です。

その中でも、出願から20~25年間保護される権利を持つ特許権は、知的財産権を担保とする中で、75%と数多く利用されています。

「知的財産権」を担保として利用するためには、その特許に対しての安定性と将来性、さらには収益性がなければなりません。

そのため「知的財産権」を担保として成り立つかを判断する「コストアプローチ」「インカムアプローチ」「マーケットアプローチ」という3つの方法が用いられています。

「コストアプローチ」は、発明から完成までに至るまでの費用を算出する方法ですが、全てを算出するのは困難となり、正しい価格がだせない恐れがあります。
「マーケットアプローチ」は、取引されているものの中から、参考に価値を算出しますが、事例の少ないと正確な価格を出すことは難しくなるでしょう。

今では、特許によって将来見込まれる収入や収益を元にした「インカムアプローチ」が特許の価値を算出する方法として、主流となっています。

特許の将来性を見極るのが難しいですが、不動産や自動車、定期預金などがなくても融資を受けられるのが、特許の特徴だと言えるでしょう。
特許を利用して担保を受ける時には、特許の取得済み、出願中の特許を利用するとよいでしょう。

特許のメリットとデメリット

【特許のメリット】
固定資産がなくても融資が可能
特許の価値によっては高額融資もできる
【特許のデメリット】
未公開の特許は対象外
特許に価値によっては融資を受けられない可能性も出てくる
特許の評価時に手数料が発生する場合がある

まとめ

担保

融資を行う際に利用できる担保の説明に加えて、担保として利用できる5つの「物的担保」をご紹介してみました。

融資を受ける際に、担保があれば、金利や限度額、さらには返済期間が長く設定できる可能性がでてきます。
きちんと返済すれば、担保は戻ってきますので、融資を利用する時には、担保を有効的に活用してみてはいかがでしょうか?

ただし、融資の返済が滞ってしまったり、返済できなくなってしまうと担保は無くなり、信用も失ってしまうことになります。

要は、「担保があるから大丈夫」と過信せず、無理のない返済計画を立てていくことが大切なのです。

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