
太陽光発電システムを設置したいけれど「費用面で心配」と考えている方が多くいるでしょう。
確かに、太陽光発電システムを設置するためには費用がかかりますが、自治体によってはその一部を負担してくれる補助金制度が存在します。
今さら聞けない太陽光発電のしくみから、東京都の補助金の例まで詳しく見ていきましょう。
太陽光発電システムのしくみ
そもそも太陽光発電発電システムはどのようなものかご存知でしょうか?
こちらでは、種類や価格、維持費などを解説していきます。
太陽光発電システムは2種類
太陽光発電システムには以下の2種類があります。
・出力10kw未満:住宅用太陽光発電システム(自宅の屋根に取り付けるタイプ)
・出力100kw以上2,000kw未満:産業用太陽光発電(広い土地に土台を作りパネルを敷き詰めるタイプ)
前者は新築住宅には多く見られるので身近ですね。
後者は一見すると業者が管理しているものに思えますが、実は田舎で広い土地を所有している個人でも導入している人が多くいます。
また、個人向けに土地と太陽光発電がセットで売り出されているものもあります。
太陽光発電の価格
太陽光発電システム自体は、実は何十年も前から販売されているのですが、現在ではシステムの生産コストも安くなり、数十万~百万円くらいから導入できるようになりました。
しかし、導入者が増えたことにより、作られた電気を販売できる価格も下落しています。
また、住宅用太陽光発電システムでは、導入から11年目になると固定買取期間が修了して、電気を売る価格も下がってしまう点にも注意しましょう。
メンテナンス費用
太陽光発電は、設置したら終わりではなく、実際には様々なメンテナンスが必要になります。
地面設置型の場合には、パネルに影がかからないように、定期的な草刈りなどが必要になります。
設置時に砂利を敷くことで、除草の手間を省くこともできますが、その分最初に費用もかかります。
また、災害などで太陽光発電システムが破損することも考えられます。
保険に加入していないと、実費での交換が必要になります。
また、システム内の「パワーコンディショナ」の耐用年数は10年と言われていて、交換には1回あたり20万円程かかります。
補助金制度
2009年に、国による太陽光発電システムのための補助金制度ができました。
これは2005年に一度廃止となったあとの、2度目の成立です。
この制度により、太陽光発電が導入しやすくなり、普及が大きく進みました。
補助金制度の動向
2009年から再開された、太陽光発電システムの補助金(住宅用太陽光発電導入支援対策費補助制度)は、普及が進み、それによって太陽光発電の生産コストが大幅に低下したことで、一定の目的を果たしたとして2013年に廃止されました。
しかし、現在も自治体においては、太陽光発電システム導入における補助金制度を継続しています。
お住まいの地域によっては、今後も補助金を利用して太陽光発電システムを導入することが可能なのです。
補助金がなくても損ばかりではない
太陽光発電発電システム導入の初期費用は高額なので、補助金がなくなってから導入するのは損だと感じるのが自然です。
しかし、実は補助金制度を利用して太陽光システムを導入した人に対しては、システムによって自宅などで作られる電気の販売価格も安く設定されていました。
これは、補助金制度の利用者の販売する電気価格を標準にしてしまうと、利用者の利点が大きすぎたからです。
補助金を利用しないことで、システム導入費用は大きくなりますが、電気の販売価格を安く設定されることがない点では、メリットがあるとも言えます。
今太陽光発電システム導入を考えている方は、自分が住んでいる所では補助金が使えるのか、そうでない場合にも、メリットがあるのかを計算してみましょう。
蓄電池の補助金制度
太陽光で発電できない夜間や悪天候の日でも電気を貯めておける「蓄電池」も、現在では一般的になってきました。
この蓄電池設置に対する補助金を用意している自治体もあります。
最近は、電気の販売価格が下がっていることもあり、生産した全ての電気を自宅で消費するために蓄電池も注目が集まっています。
各自治体の補助金
太陽光発電の補助金は、すべての自治体で行っているわけではありませんが、実際はかなり多くの自治体で受け付けています。
ご自身がお住まいの都道府県や市町村について調べてみましょう。
また、補助金の申請は先着順になっていますので、自治体の予算が修了した時点で受付を締め切っている所もあります。
早めの申請、また締め切られていた場合は、来年度に向けての検討をしておきましょう。
以下、東京都の例をもとに解説していきます。
東京都の「充電設備導入促進事業」
東京都は、集合住宅において、充電設備または共用部の電源として太陽光発電システム及び蓄電池を設置する場合、経費の一部または全部を助成しています。(電気自動車・プラグインハイブリッド自動車の充電設備に対しても、経費の一部を助成しています。)
令和元年までの申請受付は修了していますが、令和2年も太陽光発電システム及び蓄電池の補助金申請受付を予定しています。
ただし、最終的な実施は令和2年3月の都議会承認後になるので、受付開始時期は未定です。
この記事では昨年まで行われていた補助金の内容について説明します。
こちらをもとにして、今年の受付が開始するまでに、太陽光発電システムの導入を検討しておきましょう。
申請種別:①集合住宅
■助成対象者
都内の集合住宅の所有者または入居者である個人・法人・管理組合・または、この者の承諾を得たリース事業者など
■充電種別:基礎充電
■充電設備の使用用途:集合住宅の入居者のみが使用
■助成対象経費:充電設備購入費,設置工事費,太陽光発電システム及び蓄電池
申請種別:②事務所・工場など
■助成対象者
都内の事務所・工場などの所有者または使用権限を有する者・または、この者の承諾を得たリース事業者など
■充電種別:基礎充電
■充電設備の使用用途:事務所・工場などで使用する社有車,従業員の通勤車に使用
■助成対象経費:充電設備購入費,設置工事費
申請種別:③商業施設・宿泊施設など
■助成対象者
都内の商業施設・宿泊施設などの所有者または使用権を有する者・または、この者の承諾を得たリース事業者等
■充電種別:目的地充電
■充電設備の使用用途:一般開放
■助成対象経費:充電設備購入費
事業概要(①~③共通)
■助成対象者
1.東京都内の集合住宅の所有者(分譲後の場合は管理組合、分譲前の場合は建築主、賃貸の場合はオーナー)
2.1の許諾を得たリース事業者など(集合住宅の個別の入居者も、所有者の承諾を得れば申請できる。)
※国、地方公共団体を除く
■助成対象機器・要件
【充電設備】
1.電気自動車、プラグインハイブリッド自動車に充電するための設備であること
2.国補助で補助金交付対象として承認された設備であること
3.新品であること
【太陽光発電システム及び蓄電池】
1.充電設備と同時に設置すること
2.発電した電気を充電設備又は集合住宅の共用部のみに使用すること
3.電気安全環境研究所(JET)又はそれに準じる機関の認証を受けていること
4.売電しないこと
5.新品であること
■助成対象経費・助成額
【充電設備】
1.設備購入費:購入価格から国補助を差し引いた額(機種に応じた上限あり)
2.設置工事費:工事費から国補助を差し引いた額(上限81万円。過剰とみなされる経費は対象外)
【太陽光発電システム及び蓄電池】
設備購入費・設置工事費の全額(上限1,000万円。過剰とみなされる経費は対象外)
■申請方法
【充電設備】
1.国補助を併用する場合:国補助の額確定通知を受領してから交付申請書を郵送(申請期限は工事・支払い完了日から1年以内)
2.国補助を併用しない場合:発注・工事開始前に、交付申請書を郵送
【太陽光発電システム及び蓄電池】
発注。工事開始前に、交付申請書を郵送
東京都の「住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進事業」
東京都及び公益財団法人東京都環境公社は、都内の太陽光発電の設置を促進するための助成を行っています。
住宅所有者へ、初期費用無しで太陽光発電を設置するサービスを提供する事業者に、設置費用の一部を助成しています。
※こちらは令和2年1月31日時点でも受け付けています。
助成対象
住宅者所有者に向けて「初期費用0円で太陽光発電を設置するサービス」として、公益財団法人東京環境公社に登録された事業プラン。
※個人に対してではなく事業者に支払われる助成金です。対象になる事業者を選びましょう。
助成金額
太陽光発電1kWあたり10万円(令和元年度時点)。
※助成金は太陽光発電を設置する事業者に支払われますが、サービス利用料の低減等を通じ、住宅所有者に全額還元されます。
設置のパターン
■リース
住宅所有者は、リースとして太陽光発電システムを設置してもらい、設置事業者に毎月リース料金を支払う。(月払いのリース料金から助成金分が割り引かれる。)自宅で太陽光発電の電気を使い、余剰の電力を電力会社に売電するというパターン。
10年後にシステムを事業者に無償譲渡します。
■電力販売
住宅所有者は、事業者の負担で太陽光発電システムを設置し、発電された電気は、事業者が住宅所有者に販売するというパターン。
一般的な電気料金に比べて20%安くなる。
20年後にシステムを事業者に無償譲渡します。(期間は契約による。)
補助金交付の流れ
住宅所有者は、公益財団法人東京環境公社にプランが登録されている事業者を探し、太陽光発電システム設置サービスの契約をします。
公社への補助金申請は事業者が行い、交付されたら事業者が、住宅所有者に全額を還元します。
まとめ
太陽光発電システムにおける補助金は、自治体ではまだまだ積極的に行われています。
ご自身の住む地域で、自分の家や土地の形状、いつまでそこに住むのかというライフプランと共に、最も適した太陽光発電システムの導入方法を考えて、是非導入を検討してみましょう。