昨年10月から消費税が10%になると共に、飲食料品などは軽減税率が適用され、飲食店や小売店等では2種類の税率により、業務が煩雑になりました。
これに対する救済措置として政府が給付していた「軽減税率対策補助金」によって、このタイミングでタブレットのレジを導入した店舗も多くあります。
この記事では、タブレットのレジ導入も対象となった「軽減税率対策補助金」には、A,B,Cと3種類の支援がありました。この記事では、実際にレジを使用している店舗や企業が特に対象となったA型の中身について、解説します。
皆さんもご存じの通り、昨年10月に消費税が10%に上がって既に4ヶ月が経ちました。大手企業では完全に環境が整っているとは思いますが、小さな店舗などでは、未だ軽減税率に完璧に対応できていない店もあるかもしれません。レジを替えるだけでもかなりのコストがかかりますよね。
政府が打ち出した「軽減税率対策補助金」とは、2016年3月29日から2019年9月30日までに軽減税率対応レジの設置・支払いが完了したものに対して、その一部を負担する補助金でしたが、既に受付は修了しています。ですが、今後の状況に応じて似たような補助金が再び導入される可能性もありますので、今回この補助金を受けていなかった方も、是非手順などを知っておき、今後の参考にしてみてください。
支援の種類
今回の補助金では、以下のように大きく分けて3種類の支援体制がありました。
・A型:複数税率対応レジの導入支援
レジで軽減税率対象商品を販売する店舗等で使用するレジやその周辺機器の導入が対象ですね。タブレットレジもこの中に含まれます。
・B型:受発注システムの改修支援
店舗や企業から商品の受発注を請負う企業のシステム改修が対象ですね。
・C型:請求書管理システムの改修支援
軽減税率商品を扱う企業間の取引における、請求書の管理システム(ソフト等)改修が対象ですね。
今回は、この中でA型の支援の一部を紹介します。
【A-3型】モバイルPOSレジシステムの導入支援
複数税率に対応した継続的なレジ機能サービスを、タブレット・PC・スマートフォンを用いて利用し、レシートプリンタを含む付属機器を組み合わせてレジとして新たに導入するものが補助対象となっていました。
※この補助対象となる機器は、指定サービスベンダーが提供する対象サービスにおいて「事務局に登録されたもの」に限ります。
申請者(中小企業・小規模事業者等)
この事業の申請者(中小企業・小規模事業者)は、以下の要件を満たす中小企業支援法に規定する中小企業者、特定非営利活動法人、社会福祉法人、消費生活協同組合、商工会・都道府県商工会連合、商工会議所、商店街振興組合、商店街振興組合連合会その他中小企業長官が認める者となります。
事業者の申請要件
①軽減税率対象商品を将来にわたり継続して販売するために、複数税率対応レジを導入又は改修する必要があること。
②補助対象機器等を補助事業の完了後も、適切に管理して財産処分制限期間(新品は5年、中古品は中古資産の耐用年数)の間、補助対象機器を継続的に維持運用できること。
③導入・改修した補助対象機器の使用状況について、事務局が行う調査に協力できること。
④日本国内で事業を行う公人又は法人であること。
⑤「風俗営業」、「生風俗関連特殊営業」及び「接客業務受託営業」を営むものでないこと。
⑥補助金等指定停止命令または指名停止措置が講じられていない者であること。
⑦反社会的勢力に該当せず、今後も反社会的勢力との関係を持たないもの。
この事業における中小企業・小規模事業者の定義
1.中小企業支援法第2条第1項第1号~第2号に規定される中小企業者
■製造業・建設業・運輸業・その他の業種
資本金額・出資総額:3億円以下/従業員数300人以下
■卸売業
資本金額・出資総額:1億円以下/従業員数100人以下
■小売業
資本金額・出資総額:5千万円以下/従業員数50人以下
■サービス業
資本金額・出資総額:5千万円以下/従業員数100人以下
2.中小企業支援法第2条第1項第3号(中小企業支援法施行令第1条)に規定される中小企業
■ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)
資本金額・出資総額:3億円以下/従業員数900人以下
■ソフトウェア業又は情報処理サービス業
資本金額・出資総額:3億円以下/従業員数300人以下
■旅館業
資本金額・出資総額:5千万円以下/従業員数200人以下
3.中小企業支援法第2条第1項第4号に規定される中小企業団体
事業協同組合・事業協同小組合・協同組合連合会・企業組合・協業組合・商工組合・商工組合連合会
5.特定非営利活動法人
従業員数:50人以下
6.社会福祉法人
従業員数:50人以下
7.消費生活協同組合
資本金額・出資総額:5千万円以下/従業員数50人以下
8.商工会・都道府県商工連合会及び商工会議所
9.商店街振興組合及び商店街振興組合連合会
10.その他の中小企業庁長官が認める者
法人格を持たない団体で飲食料品を継続的に事業として販売している団体等
風営法の許可を受けた事業者であって風営法の適用外の事業で複数税率対応レジの導入や改修、受発注システムの改修等の必要がある者
補助対象
【1】モバイルPOSレジシステムの定義
モバイルPOSレジシステムとは、複数税率に対応(※)したサービスをタブレット・PC・スマートフォンを用いて利用し、レシートプリンタを含む付属機器を組み合わせてレジとして機能するものとする。※複数税率に対応とは、次の①と②を満たすものとする。
①.売上げの区分経理に資する機能
税率ごとに日次ベースで以下の事項を計算・表記できること。
・消費税8%の売上額の合計
・消費税10%の売上額の合計
②.区分記載請求書等保存方式に対応した請求書等の発行機能
以下7つの事項を記載した請求書が発行できること。
①請求書発行者の氏名または名称②取引年月日③取引内容④対価の額
⑤請求書受領者の指名又は名称⑥軽減税率の対象商品である旨の表記
⑦税率ごとに合計した対価の額
【2】モバイルPOSレジシステムの補助対象
以下の①対象サービス及び②レシートプリンタ、又はこれらと合わせて③、④を一体的に導入する際の費用が補助対象になります。
①対象サービス(必須)
②レシートプリンタ(必須)またはレシートプリンタを内蔵した一体型付属機器(レシートプリンタ内蔵キャッシュドロア等)
③タブレット・PC・スマートフォン(以下「タブレット等※」と表示)
ンとする
④付属機器(専用機器に限る)
バーコードリーダー、キャッシュドロア、クレジットカード決済端末、電子マネーリーダー、カスタマーディスプレイ、ルーター
⑤設置に要する経費(商品マスタ設定費、運搬費含む)
軽減税率対象商品を含む商品マスタの設定および関連する作業が補助対象となる。
■モバイルPOSレジの具体的な導入パターン
a.「タブレット等」+レシートプリンタを含む付属機器
b.「タブレット等」+一体型付属機器(例:レシートプリンタ内蔵キャッシュドロア)
c.「タブレット等」+レシートプリンタのみ
d.一体型付属機器(例:レシートプリンタ内蔵キャッシュドロア)
e.レシートプリンタを含む付属機器のみ
f.レシートプリンタのみ
補助対象サービス及び補助対象機器等
この事業では、事務局に登録された「対象サービス」、「対象機器」、「対象パッケージ」及びこれらについての、「導入に要する費用」が補助対象でした。(※当時は、2016年3月29日から2019年9月30日までに締結されていることが必須でした。)
【1】対象サービス
指定のサービスベンダーが登録する「複数税率に対応したレジ機能を有するサービスを継続的に提供するモバイルPOSレジのサービス」とし、軽減税率制度が実施される2019年10月1日以降も継続してサービスを利用することが必要です。
【2】対象機器
指定のサービスベンダーが各対象サービスにおいて動作保証し、推奨しているタブレット等、レシートプリンタを含む付属機器で事務局に登録されたもの。
【3】対象パッケージ
指定サービスベンダーが登録する「対象サービス+タブレット等+レシートプリンタを含む付属機器をセットにしたもの」とし、軽減税率制度が実施される2019年10月1日以降も継続してサービスを利用することが必要です。
補助対象経費
1.タブレット等:タブレット、PC又はスマートフォンの導入費用及び対象サービスの導入費
2.付属機器
レシートプリンタ:レシートプリンタ又はレシートプリンタを内蔵した一体型付属機器の導入費
その他付属機器:バーコードリーダー、キャッシュドロア、クレジットカード決済端末、電子マネーリーダー、カスタマーディスプレイ、ルーターの導入費用
3.設置に要する経費:商品マスタ設定費、運搬費、設置に要する経費、レンタル費
補助率と上限金額
1.タブレット等
補助率:1/2
補助金額上限:1システムあたり20万円
2.付属機器及びサービス導入費
補助率:3/4
補助金額上限:1システムあたり20万円
3.設置に要する経費
補助率:3/4
補助金額上限:1システムあたり20万円
またA型(レジの導入・改修、POSレジシステム、券売機)全体で1事業者あたりの補助金上限額は200万円です。
以上がタブレットのレジ導入にあたり、補助金申請ができる企業や店の条件でした。また、ごく小さな店舗など、POS機能のないレジを使用している所も多くあると思います。この場合、タブレット端末に乗り換えることはできませんでしたが、POS機能のない軽減税率対応レジ導入も支援の対象だったので、ご参考にしてください。
【A-1型】レジ・導入型
【A-1型】レジ・導入型複数税率対応の機能を有するPOS機能のないレジを対象機器とし、その導入費用を補助対象とするものとなっております。
申請者/>事業者の申請要件/中小企業・小規模事業者の定義
モバイルPOSレジシステムの導入支援に同じ。
補助対象機器等
以下の要件を満たす複数税率に対応したレジであること、また、事前に指定された指定メーカーにより、事務局に登録されたレジであることが必要です。
1.売上げの区分経理に資する機能
税率ごとに日次ベースで以下の事項を計算・表記できること。
・消費税8%の売上額の合計
・消費税10%の売上額の合計
2.区分記載請求書等保存方式に対応した請求書等の発行機能
以下7つの事項を記載した請求書が発行できること。
①請求書発行者の氏名または名称②取引年月日③取引内容④対価の額
⑤請求書受領者の指名又は名称⑥軽減税率の対象商品である旨の表記
⑦税率ごとに合計した対価の額
補助対象事業(補助対象機器等の導入)
補助対象機器等を導入する場合、又は既に導入している機器などを補助対象機器等に改修(ソフトウェアの入替や更新)する場合が支援対象になります。
補助対象経費の範囲・補助率・費用
1.レジ本体機器:補助対象機器の導入費用
・レジ付属機器等:レジ本体機器に付属する機器の費用(バーコードリーダーやクレジットカード決済端末、電子マネーリーダーなど)
・レジ専用ソフトウェア等:レジ専用ソフトウェア、サーバ、ルータ
補助率は、レジ1台のみと付属機器などを導入した場合でその合計額が3万円未満の場合4/5。レジを2台以上またはレジ1台のみと付属機器の合計額が3万円以上の場合3/4。
補助金の上限額は1台あたり上限20万円。
2.設置に要する経費:商品マスタ設定日、レジ運搬費、設置にかかる経費、レンタル費
補助率は3/4で導入するレジの台数×20万円が上限。
まとめ
軽減税率対象補助金では、上記のレジ本体や周辺機器導入だけでなく、POSシステムや商品マスタの設定、また券売機の導入などに関しても補助対象となっていました。今回の募集は締め切られていますが、今後同様の補助金が導入される可能性もありますので、参考になさってください。