商工会 融資

商工会議所のアドバイスが受けられる安心のマル経融資の5つの条件を紹介

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事業を経営するにあたって、資金繰りの調整や資金調達に悩んでいる中小企業や個人事業主は多いのではないでしょうか?
誰にも相談できないのであれば、悩みや問題がさらに大きくなるばかりです。

そのような時は、資金調達として活用できる「マル経融資」を検討してみてください。
「マル経融資」は、日本政策金融公庫が設けている融資制度のひとつで、商工会・商工会議所を介して融資が行われていきいます。

融資を受けられることがもちろんですが、その他にも相談やアドバイスが受けられるなど、事業者にとって有意義なメリットが含まれている融資制度です。
こちらの記事では、「マル経融資」の仕組みを始めとして、借入れ条件、融資までの流れなどについて、わかりやすく解説していますので、ぜひご覧になってください。

マル経融資とは「小規模事業者経営改善資金」のこと

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国の金融機関となる日本政策金融公庫が実施している「マル経融資」は、信頼できる公的な融資制度です。
「マル経融資」の正式な名称は「小規模事業者経営改善資金」といい、個人事業主や小規模事業者に向けて融資を行っています。

「マル経融資」の一番の特徴として上げられるのは、融資の窓口が商工会・商工会議所が設けている点です。
融資の資金元は日本政策金融公庫になりますが、まずは商工会・商工会議所を通じて日本政策金融公庫へ推薦してもらわなければなりません。
その後、審査が通過となれば、日本政策金融公庫から融資を受け取ることができます。

立場の違う商工会と商工会議所

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「マル経融資」を利用する前に、知っておきたいのが商工会と商工会議所の違いです。
名称は似ていますが、立場が異なるので確認しておいてください。

商工会議所

「商工会議所」は、経済産業政策局管轄となっている公益法人です。
「商工会議所法」によって定められ団体であり,事業者経営者を中心とした会員組織で運営を行っています。

中小企業の支援はもちろんですが、国際的な活動や事業なども行っている「商工会議所」です。

商工会

「商工会」は「商工会法」によって定められた団体で、管轄は中小企業庁となっています。
小規模事業者が会員の9割をしめており、経営改善普及事業を中心として事業を行っています。

「商工会議所」も「商工会」も、その地域で営業している商工業者であれば入会することができますが、入会金と年会費を会費として納める必要があります。
会費は必要となりますが、その他の融資制度、複利厚生サービス、共済制度などを利用することができ、また経営相談なども行ってくれます。
事業者にとってはメリットの多い「商工会議所」と「商工会」の会員と言えるでしょう。

【東京商工会議所の場合】
法人の場合:年会費15,000円以上(資本金によって変わる)
個人事業主の場合:年会費10,000円以上

マル経融資を詳しくご紹介

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日本政策金融公庫が実施している「マル経融資」、正式名称は「小規模事業者経営改善資金」です。

ここからは、「マル経融資」の限度額や返済期間を始めとして、金利や活用するための条件やメリット、さらには「マル経融資」を申し込みから受給までの流れ、審査に判断基準や必要な書類をご紹介していきます。

マル経融資の限度額と返済期間

◆融資限度額:2,000万円

◆返済期間:「運転資金」の場合は7年
「設備資金」の場合は10年以内

【運転資金】
仕入資金、掛金・手形決済資金、給与・ボーナスの支払いなど
【設備資金】
設備資金…店舗・工場改装、営業車両購入、機械・設備・什器等の購入など

「マル経融資」には、決められた期間は「利息の返済のみでよい」とされる据置期間の制度が設けられています。
融資を申込む際に希望すれば、措置期間の制度の利用が可能となります。

措置期間は、期間終了から元本の返済が始まり、運転資金ならば1年以内、設備資金であれば2年以内の措置期間を希望することができます。

【措置期間】

運転資金の場合:1年以内

設備資金の場合:2年以内

マル経融資の金利

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令和元年12月2日の小規模事業者経営改善資金の金利は、利率1.21%(特別利率F)となっています。
他の全期間固定金利で比べても、低金利で融資を受けることができますが、金利は変動していますので、日本政策金融公庫のホームページで確認しておきましょう。

利子補助制度が設けられている

利子補助制度とは、返済利息の一部を市区町村が補助してくれる制度です。
「マル経融資」では、利用している事業者に対して、利子補助制度を利用することができまます。

利子補助制度は、区や市によって、また補助をうける条件や内容によって違ってきますので、事前によく確認しておいてください。
次に、「東京都中央区」「岡山県岡山市」「福井県福井市」の利子補助制度を見てみましょう。

地域 補助対象となる条件 補助期間と補助割合
東京都中央区

 

・中央区内に事業所あるいは住所がある

・マル経融資の申込みを平成15年4月1日以降行い、この利子の支払いを行っている       

融資実行月から25カ月~最大36カ月、利子の30%を補助
岡山県岡山市 ・市内において事業を営んでいる

・市税を完納している

・平成24年4月1日〜平成32年3月31日までに、岡山商工会議所、岡山北商工会、岡山西商工会、岡山南商工会、赤磐商工会いずれかの推薦によりマル経資金の貸付を受けている

融資実行月から12回目までの年利1%相当額を補給
福井県福井市 ・市内に住所及び事業所を有している個人、又は市内で事業を営む法人

・市税の滞納がない

・平成30年4月1日~平成31年3月31日の期間に福井商工会議所、福井北商工会、福井東商工会、福井西商工会の推薦によりマル経資金の貸付を受けている

融資実行から2年間、最大0.75%の利子補給

・中央区内に事業所あるいは住所がある
・マル経融資の申込みを平成15年4月1日以降行い、この利子の支払いを行っている
融資実行月から25カ月~最大36カ月、利子の30%を補助
岡山県岡山市
・市内において事業を営んでいる
・市税を完納している
・平成24年4月1日〜平成32年3月31日までに、岡山商工会議所、岡山北商工会、岡山西商工会、岡山南商工会、赤磐商工会いずれかの推薦によりマル経資金の貸付を受けている
融資実行月から12回目までの年利1%相当額を補給
福井県福井市
・市内に住所及び事業所を有している個人、又は市内で事業を営む法人
・市税の滞納がない
・平成30年4月1日~平成31年3月31日の期間に福井商工会議所、福井北商工会、福井東商工会、福井西商工会の推薦によりマル経資金の貸付を受けている
融資実行から2年間、最大0.75%の利子補給

マル経融資の5つの条件

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「マル経融資」を受けるためには、次にあげる5つの条件を満たさなければなりません。
条件を満たすことで、融資審査に進むことになります。

①従業員20人以下の法人・個人事業主
(ただし、宿泊業と娯楽業を除く商業・サービス業は5人以下)
②商工会議所の経営・金融指導を受けて事業改善に取り組んでいる
③指導を受ける商工会議所の地域内で1年以上、事業を行っている
④商工業者であり、日本政策金融公庫の融資を受けることができる事業を営んでいる
⑤税金(所得税、法人税、事業税、住民税)を完納している

低金利のマル経融資メリットとデメリット

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「マル経融資」のメリットとなるのは、他の金融機関に比べて金利が低いところと、無担保、無保証でも融資が利用できるところです。

デメリットとしては、融資を受けるまでの時間がかかる点です。
原則として半年間の経営指導をを受ける必要があるので、融資をすぐに受け取れるわけではありません。
「すぐに資金調達をしたい」という方は、ご注意ください。
また、「指導を受ける商工会議所の地域内で1年以上、事業を行っていること」となっていることから、創業1年以内の事業者は、「マル経融資」を利用することができません。
創業したばかりの方は、融資を受けられないということになります。

マル経融資を受けるまでの流れを確認

STEP1:商工会・商工会議所の経営相談員から6カ月間以上の経営指導

STEP2:商工会・商工会議所の経営相談員に推薦依頼を申し出る

STEP3:月に一度開催されるマル経審査会にて審査が行われる

STEP4:マル経審査会を通過後、日本政策金融公庫へ推薦される

STEP5:日本政策金融公庫にて審査が行われ、承認されれば融資が受けられる

商工会議所で行われる経営アドバイス

「マル経融資」には、上記のように、商工会・商工会議所の経営相談員から6カ月間以上の経営指導を受けなくてはなりません。

経営指導は、商工会・商工会議所の経営相談員が事業所に訪問する形で行われ、無料で事業者の悩みや相談に対応してくれます。
ケースによっては、税理士等の専門家も紹介してくれることもありますので、事業にとってプラスとなります。

審査の判断基準

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「マル経融資」の審査判断の基準は、今までの業績が大きな判断材料となってきます。
業績が悪く、融資を活用しても改善の可能性が少ない、事業計画が不明瞭など、返済において見通しができない場合には、融資が受けられないかも知れません。
たとえ、経営指導が済んでいても、このように返済できないと判断されると、審査が通らないこともありえます。

ただし、審査の厳しさについては、「マル経融資」は、既にマル経審査会をクリアしているので、日本政策金融公庫での審査は、それほど厳しくないとされています。

審査に必要な書類を確認

「マル経融資」に提出する書類は、商工会・商工会議所によって多少異なっていますが、2~3期分の確定申告書や決算書の控えが必要となります。
次のような書類が必要となりますので、申し込みをする前に準備をしておきましょう。
①所得(法人)税・住民税・事業税の領収書の写しまたは、納税証明書
②残高試算表(決算後6カ月を経過している場合)
③商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書、法人企業のみ)
④見積書(設備資金申込みの場合)

以下は状況に応じて必要になる書類
◆許認可証(許認可を必要としている業種の場合)
◆不動産(土地・建物)の権利書、または登記簿謄本(全部事項証明書)
◆借入金がある場合は借入先別の返済明細書
◆所定の事業計画書(申込金額が1500~2000万円の場合)

その他の資金調達方法

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創業したばかり企業や資金調達のスピードによっては、「マル経融資」以外の資金調達法を検討した方がよい場合があります。
次に、その他の融資方法として、「新創業融資制度」「ビジネスローン」「ファクタリング」をご紹介します。

新創業融資制度

創業前や創業後には、「マル経融資」は創業1年以上の事業者が対象のため利用することができません。
創業前や創業したばかりの方は「新創業融資制度」を検討してみてください。

「新創業融資制度」は、事業を始めていない方、事業開始から2期を終えてない事業者が対象となっている融資制度です。

◆無担保・無保証

◆限度額:3,000万円

◆融資を受給できるまでの期間:通常約1ヶ月

ビジネスローン

すぐに資金が必要となったときには、事業者向けのビジネスローンが役立ちます。
通常のカードローンとの違いは、総量規制の対象外となっているので、多くの融資を調達することが可能です。

◆総量規制:すべての借り入れを合計した金額が、年収の1/3までのこと

ファクタリング

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事業者が保有している債権などをファクタリング会社へ売却することで、資金を調達することをファクタリングと言います。
債権の売却となるので、融資のように借り入れにはなりません。
融資を断られてしまった場合、税金を滞納している場合など、業績悪化したときには、ファクタリングも資金調達として、視野に入れておいてください。

まとめ

個人事業主や小規模にとって活用しやすい「マル経融資」の仕組みやメリットを始めとして、借入れ条件、利子補助制度、据置期間、融資までの流れなどを解説してきました。

小規模事業者にとって「マル経融資」は、低金利、無担保、無保証で利用することができ、さらに利子補助制度や据置期間まで設けることができる条件のいい融資制度です。
また、「マル経融資」を活用するときには、 商工会・商工会議所の経営指導を受けることになるので、悩みやアドバイスを解決できる可能性もでてきます。

事業計画書や必要書類をしっかりと準備して、「マル経融資」を事業の運営や経営に役立てていきましょう。

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