人を雇う、人材を育成するということは企業にとっては日常的なことですが、その日常的なことを手続きをして行う事で助成金が貰える場合があります。
助成金をもらうための申請手続きを社労士さんに依頼するべきか、自分でやるべきかお悩みの皆さんのために、今回は、社労士さんに依頼するメリットとデメリットをご紹介します。
助成金としていくらもらえるのか、利用できる助成金にどんな助成金があるのかなど、専門家の意見を聞いてみたいという方は下記をご利用ください。
社労士って何?
企業経営にはヒト・モノ・カネの3つの要素があります。
社労士(社会保険労務士)は、その中のヒトに関するエキスパートです。
労働・社会保険に関する法律、および人事・労務管理の専門家として、採用から退職に至るまでの労働・社会保険に関するさまざまな問題や年金などの相談に応じてくれる、中小企業にとっては頼もしい存在です。
弊社でも大変お世話になっています。
創業期や異業種への進出を検討する際、助成金を活用したいと考える企業も多いことでしょう。
どのような助成金が支給対象になるのか、申請の要件として何が必要なのかなど、社労士からは、助成金に関するアドバイスやサポートも受けることができます。
今回は、その助成金と社労士の関係を紹介します。
助成金申請を社労士に依頼する3つのメリット
助成金申請は、事業主自身でも申請が可能です。
しかし、社労士に助成金の申請代行を依頼する事は、事業主の手間や時間を削減する以上に大きなメリットがあるのをご存知ですか?
以下は、そのメリットのいくつかを紹介します。
メリット1 助成金が活用できる
社労士は助成金にも精通しています。
助成金は、企業や業種によって効果が大きく異なるため、申請しても十分な恩恵を受けられないことも考えられます。
社労士は、その会社に必要な助成金は何か、その会社にとってメリットが大きな助成金は何かなど、助成金について適切なアドバイスをしてくれます。
メリット2 助成金申請を代行依頼する
助成金を申請する基本的な流れは以下の通りです。申請する助成金によって多少異なります。
社労士にお願いする部分は1・2・4といったところです。
雇用関係の助成制度を検討するときには、WEBサイトの資料をダウンロードしパンフレットを入手して、様々な要件やどのような申請書類が必要になるのか細かく確認してみましょう。
その内容は、労務分野の法律用語や専門用語が頻発しており、人事専任担当者がいるような事業規模であっても、その意味するところを正しく理解して書類の記入ができる人はなかなかいません。
行政機関へ何度も足を運び確認しながらも、書類に不備があっては助成金の支給はされないのです。
このような書類の申請代行を依頼することができるのが社労士です。
円滑な審査のために、社労士に助成金の申請代行を依頼しましょう。
メリット3 最新の情報が手に入る
会計年度がかわると、助成制度の内容も変更になることがあります。
この場合、厚生労働省のWEBサイトでは「平成●年度版は準備ができ次第、順次掲載します。」との案内文がかかれるのみで、更新を知らせてくれる仕組みはありません。
通常業務で忙しい事業主や担当者は、忘れてしまう可能性もあります。
信頼できる社労士に相談できれば、適切なタイミングで情報を入手することができます。
社労士を利用する事で得る他の良い部分は?
ここまで社労士を利用する上で、助成金に関するメリットを紹介しました。
そこで疑問になるのが、社労士にお金を支払って利用して、他に良い点は無いのか?という疑問だと思います。
そこで、社労士が助成金以外に経営にどんな良い点があるのか紹介します。
良い点① 本業に専念できる
営業や開発などとは異なり、総務や労務の仕事は会社の売上げに直結するものではありません。
中小企業では、社長自身がトップセールスマンということも多くあります。また、事務員が不足している会社では、社長自らが総務や経理の仕事もこなすということも珍しくありません。
本来であれば、社長は経営や営業に専念し、売上を伸ばしたいところです。
そこで、売上げに直接貢献しない総務や労務の仕事を社労士に委託したとしたらどうでしょう。
社長は本来の業務に専念することができるようになり、会社の売上げアップを図ることも可能になります。
良い点② 人事・労務のトラブル防止に
トラブルの発生を未然に防ぐ、または万が一トラブルが起きてしまったとしても、それに起因する損失を最小限にとどめるために行う法的措置、これを予防法務といいます。
問題の発生を未然に防ぐ、その予防法務の考えに基づいた就業規則を定めることも、社労士の重要な仕事のひとつです。
問題が発生すれば会社は損害を被ることになります。
その問題を未然に防ぐことができれば、会社を損害から守ることに繋がります。
助成金制度をみつけ、申請書類を提出しても、すぐに助成金が入金されるわけではありません。
誤った理解で進めると、助成金の支給要件を満たさない場合もあるのです。
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)を例に説明します。
指定された条件にあう候補者を有期雇用し、実施計画書をハローワークに提出します。
その後常用雇用すれば、指定期間内に支給申請書をハローワークまたは労働局に提出します。
このとき、助成金の支給対象事業主の満たすべき要件は26にも及びます。
事業主都合ではなく、雇用された従業員が自己都合で離職した場合には、支給金額も変わります。
このように、助成金は一般的に事後に支給され、支給要件も複雑に取り決められています。
上手に助成金を申請しきちんと支給されるためには、トラブルを回避して成功事例を導ける社労士へ申請の代行依頼をすることが安心です。
良い点③ 法定帳簿や就業規則を整える
事業主は、労働者の雇用や退職に関する書類や名簿、賃金台帳などを整える義務があります。
また、従業員数が10名以上になれば、就業規則を作成し届け出なければなりません。
雇用に関する助成制度を検討するとき、これらの法定帳簿があることを前提に計画書の作成や労務環境改善の目標を設定することになります。
お近くの労基署でも相談に乗ってくれますが、経営環境に照らし合わせた細かい部分まで判断してくれるものではありません。
従業員とのトラブルを防ぎ助成金制度の活用につなげるためにも、信頼できる社労士に相談しましょう。
良いことばっかり?社労士に依頼するデメリットは?
一方、社労士を利用する事で、デメリットは存在するのでしょうか。
会社の事を親身になって考えてくれる社労士ですが、唯一挙げるデメリットを紹介します。
デメリット1 報酬の支払いが発生する
社労士は、厚生労働省管轄の国家資格者です。助成金申請に係る書類作成代行により報酬を得ることができます。
そのため、労務に関する書類には、社労士の署名欄があります。
賃金や年金に関することは、従業員の生活にかかわる大事なことなので、法律で定められたルールが多くあり、プロフェッショナルである社労士が頼りにされるのです。
社労士との契約には、毎月の顧問契約と、助成金申請などの一時的なものがあります。
顧問契約は、従業員の採用や退職に伴う社会保険や雇用保険の手続き代行や、初期の労務トラブル相談が含まれることが一般的です。
対象となる従業員の数により毎月の顧問料金は異なってきますが、雇用関係の助成金申請に最低限必要な法廷帳簿や就業規則は、的確に運用されていることでしょう。
助成金の申請に伴う費用は、着手金のほか成功報酬(支給された助成金の〇%)が定められることが多いです。
助成制度も多様であり、その種別や申請から支給に至る期間により金額は変わってきます。実際の報酬については、信頼できる社労士にご相談ください。
助成金申請代行の社労士を選ぶポイント
同じく、助成金も社会保険労務士には得意なものと苦手なものがあります。
そもそも、助成金申請が得意な社会保険労務士もいれば、反対に助成金申請は苦手な社会保険労務士もいます。
手続業務は、一切行わないような、コンサルや講演のみの社会保険労務士もいます。
また、助成金は、種類が多く、助成金の分野の中でも、「創業系」が得意、「教育訓練系」が得意、「育児・介護系」が得意、など社労士によって得意分野がある場合があります。
助成金の申請代行を社会保険労務士に依頼するときは、その社会保険労務士が何が得意なのかをしっかりと確認することが重要です。
せっかく依頼したのに実際は、その業務についてあまり得意でない社会保険労務士に依頼してしまい、結果として満足のいかない結果となる可能性も出て来てしまいます。
助成金に関するノウハウや実績
御社にどの助成金があっているのか?を考えるには助成金について詳しくなくてはいけません。
なるべく豊富なノウハウや実績を持った社労士事務所に依頼するのが助成金申請の鍵と言えます。
信頼性や先生の人となり
良くわからない助成金をお願いするには、「ちゃんと教えてくれるか?」「きっちり動いてくれるか?」「信頼できるか?」などの信頼性・先生の人となりが大事です。
ネットの情報や一回あった程度で 信頼性や人となりを見極めるのは大変難しいですが、「この先生は信頼できる!」と思える先生を選びたいものです。
助成金の分野ごとの得意・不得意もある
助成金の分野の中でも、「創業・新規事業系」が得意、「育児・介護系」が得意、など社労士の背院生によって得意分野がある場合があります。
自社が今たのみたい分野に合わせて社労士を選びましょう。
医者に外科や内科などあるように、社労士にもそれぞれ得意とする助成金分野が存在します。
厚労省のHPなどを見ると、世の中には、たくさんの助成金が存在します。それらにはガイドブックなどがありますが、とても分厚い取り扱い説明書のようなものです。
さらにその内容は、不定期に更新を繰り返しています。
情報処理能力の高い人でもこれらすべてに目を通し、理解して、各事業所にあった制度を見つける事はほぼ不可能といえます。
自社で申請したい助成金に対して、経験や実績の有無を社労士に確認しましょう。
助成金申請代行の料金相場
助成金申請代行は大体、初期費用+成功報酬(助成金でもらえる額の○%)か成果報酬のみの形式が多いようです。
まとめ
行政対応や計画書・完成届などの書類にミスがあれば、助成金は支給されることはありません。
事業主や従業員は定常業務を行い、助成金申請のような一時的な業務量の増加は、プロフェッショナルである社労士にお任せするのが安心です。
助成金や補助金は、すぐに取得できるものはほとんどありません。
中でも、1年から1年半経過後に取得できるものが多いです。
助成金申請が実行される前に、資金繰りが悪くなってしまう会社が多い傾向があります。
そこで、多くの経営者が助成金とは別に、
金融機関や日本政策金融公庫からの借入もご検討することを推奨しています。
中でも、政府が100%出資している日本政策金融公庫については、
下記サイトで詳しく説明されていますので、情報収集しておくと万が一に備えられるでしょう。