水産物輸出拡大連携推進事業

資金調達と活用したい水産物輸出拡大連携推進事業の補助金を徹底解説

補助金

日本の水産物をTPP参加国やEU加盟国などの海外市場へと、輸出を拡大していくためには、生産者はもちろんのこと、加工や流通業者、輸出関連業者が連携していかなければなりません。

そして、日本では水産物の輸出額の目標として、2025年には5,568億円を掲げています。

このような水産物の輸出の拡大と、輸出額の目標を達成するために、水産庁では水産物輸出拡大連携推進事業を設けて支援を行っています。

水産物流通のバリューチェーン等の体制を改善する取組に対して行っていますので、資金調達としてお役立てください。

こちらの記事では、水産物輸出拡大連携推進事業について、詳しくご紹介していきます。

水産物輸出拡大連携推進事業

水産物輸出拡大連携推進事業

水産物輸出拡大連携推進事業は、輸出を確実に実施できる体制に改善する取組を支援している事業です。

生産、加工・流通、輸出入の各段階に所属する事業者又は団体、機関等3者以上により構成された協議会が、それら複数の段階における取組を組み合わせ、既存の水産物流通のバリューチェーンを、輸出を確実に実施できる体制に改善する取組に対して、補助金を交付しています。

対象となる取組内容

水産物輸出拡大連携推進事業の取組内容は、下記のア~エまでの要件を全て満たし、必要として認められる取組となります。

(ア) 事業実施主体が、以下の①から③までの各段階の取組を組み合わせ、既存の水産物流通のバリューチェーンを輸出を確実にできる体制に改善する取組であること。
なお、③輸出段階の取組は必須とします。

① 生産段階の取組
② 加工・流通段階の取組
③ 輸出段階の取組

(イ) 水産物の輸出額を拡大する効果が見込まれる取組であること。

(ウ) 本事業による支援が終了した後も自律的に継続可能と見込まれる取組であること。

(エ) 事業実施主体の代表機関はGPF 農林水産物・食品輸出プロジェクトに登録している者であること。

(オ)次の①もしくは②の取組であること

① 輸出事業計画(GFP グローバル産地計画)の認定規程(令和2年4月1日付け農林水産大臣決定)に基づき農林水産大臣による認定を受けたグローバル産地計画に従って実施する取組もしくは同認定に向けグローバル産地計画を農林水産大臣に申請中である取組

② 「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」(令和2年11月30日農林水産物・食品の輸出拡大のための輸入国規制への対応等に関する関係閣僚会議とりまとめ)における輸出重点品目及び当該品目の重点輸出先国・地域へ輸出する取組

支援内容

水産物輸出拡大連携推進事業

水産物輸出拡大連携推進事業の輸出バリューチェーン改善検討事業、輸出バリューチェーン改善システム等導入事業、輸出バリューチェーン改善実証事業のそれぞれの支援内容は、下記の通りとなります。

(ア) 輸出バリューチェーン改善検討事業
事業の運営及び対象となるの取組の実施にかかる検討に必要と認められる経費を補助します。

① 応募資格に規定する輸出拡大連携協議会の運営

② 連携体制の強化、取組計画の深化及び新技術・システム等の導入にかかる調査・検討

③ 輸出拡大連携協議会による取組の効果等の測定・検討

(イ) 輸出バリューチェーン改善システム等導入事業
バリューチェーン改善のためのシステム・機器の整備、資材の導入を行う場合に、対象となるの取組を実施するために必要と認められる経費を補助します。

① 電子システムを構築する情報通信機器・備品等の購入・賃借

② 水産物の加工に必要な機器・資材(水産物の処理・加工機器、冷凍・冷蔵・貯蔵機器、衛生管理機器、包装用機器、パレット等)の購入・賃借

③ 水産物の集出荷・貯蔵・販売等に必要な機器・資材(水産物の選別機器、冷凍・冷蔵・貯蔵機器、集出荷用機器、集出荷用資材、販促資材、鮮度保持容器等)の購入・賃借

④ 水産物の品質・衛生等の管理に必要な機器・資材(輸出先国・地域が求める品質・衛生等の基準を充たすために必要な、検査・測定機器、衛生管理機器等)の購入・賃借

⑤ その他、本事業の取組に必要な備品等の購入・賃借

(ウ) 輸出バリューチェーン改善実証事業
対象となる取組の効果・持続可能性を実証し、事業実施主体による自律的な活動に円滑に
移行させるため必要と認められる経費を補助します。

応募資格

水産物輸出拡大連携推進事業

水産物輸出拡大連携推進事業の応募資格は下記の通りとなります。

◆複数の民間団体等(民間企業、一般財団法人、一般社団法人、公益財団法人、公益社団法人、協同組合、企業組合、特定非営利活動法人、学校法人、特殊法人、認可法人、独立行政法人等)が本事業の実施のために組織した任意団体とします。

・この場合、本事業を実施すること等について、構成する全ての団体の同意を得た規約書若しくは構成する全ての団体が交わした協定書、又は構成する全ての団体間での契約締結書等を予め作成し、当該団体を代表する機関を定める必要があります。

応募要件

水産物輸出拡大連携推進事業の応募要件は、応募者となる協定機関が下記の①の要件を満たし、輸出拡大連携協議会を構成する全ての団体が②から⑦の全ての要件を満たすものとします。

① 生産者、加工・流通業者と輸出関係業者等が連携して、水産物の輸出を確実に実施でき
る体制を構築するため、(ア)から(ウ)までの各段階に所属する民間団体等の参加は必
須とし、(ア)か(オ)までで構成される輸出拡大連携協議会であることとします。

(ア) 生産段階の民間団体等
漁業者、養殖業者又はこれらの者が構成する団体

(イ) 加工・流通段階の民間団体等
国内において水産加工、倉庫・保管、卸売・仲卸、物流等の業を営む事業者又はこれらの者が構成する団体

(ウ) 輸出段階の民間団体等
我が国から海外への水産物の輸出又は海外における我が国水産物の輸入の業を営む輸出商社、海外インポーター・ディストリビューター、海外バイヤー等

(エ) 行政・試験研究機関

(オ) その他の民間団体等
情報通信事業者、機械メーカー等

②本事業を行う意思及び具体的計画を有し、かつ、事業を的確に実施できる能力を有する団体であること。

③本事業に係る経理及びその他の事務について、適切な管理体制及び処理能力を有する団体であって、定款、役員名簿、団体の事業計画書・報告書・収支決算書等(これらの定めのない団体にあっては、これに準ずるもの)を備えているものであること。

④ 日本国内に所在し、本事業全体及び交付された補助金の適正な執行に関し、責任を負うことができる団体であること。

⑤輸出拡大連携協議会体の代表機関は、手続の窓口となるほか、他の構成員等と協議・連携し、事業全体の方針決定、工程管理を行うとともに、事業終了後も成果報告及び必要なフォローアップを行うこと。

⑥本事業により得られた成果について、その利用を制限せず、公益の利用に供することを認めること。

⑦法人等(個人、法人又は団体をいう。)の役員等(個人である場合はその者、法人である場合は役員又は支店若しくは営業所(常時契約を締結する事務所をいう。)の代表者、団体である場合は代表者、理事等、その他経営に実質的に関与している者をいう。)が暴力団員(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第6号に規定する暴力団員をいう。)でないこと

補助額

水産物輸出拡大連携推進事業

水産物輸出拡大連携推進事業の補助上限額と補助対象経費ごとの補助率は下記の通りとなります。

◆1つの課題提案に対する補助金額は100,000千円程度を上限とします。
◆総額 600,000 千 円以内。

 

事業内容 補助対象経費の範囲 補助率
①輸出バリューチェー ン改善検討事業 人件費、賃金、謝金、旅費(国内 旅費及び外国旅費)、消耗品費、役 務費、委託費、その他 定額
②輸出バリューチェー ン改善システム等導入事業 設備費、備品費、消耗品費、役務 費、委託費、その他 1/2以内
③輸出バリューチェー ン改善実証事業 人件費、賃金、旅費(国内旅費及 び外国旅費)、消耗品費、役務費、 委託費、加工経費、保管経費、運 送経費、その他 1/2以内

事業実施期間

水産物輸出拡大連携推進事業

水産物輸出拡大連携推進事業の事業の実施期間は下記の通りとなります。

◆交付決定日から令和3年3月31日までとします。
・ただし、本事業は、財政法(昭和22年法律第34号)第14条の3の規定により令和3年度に繰り越すことが可能です。

水産物輸出拡大連携推進事業の注意事項

水産物輸出拡大連携推進事業

水産物輸出拡大連携推進事業の補助金に応募する際の注意事項は下記の通りとなりますので、よくご確認ください。

①補助金に関係する全ての提出書類において、いかなる理由があってもその内容に虚偽の記述を行わないでください。

② 偽りその他不正な手段により、補助金を不正に受給した疑いがある場合には、農林水産省として、補助金の受給者に対し必要に応じて現地調査等を実施します。

なお、事業に係る取引先(請負先、委託先以降も含む)に対して、不明瞭な点が確認された
場合には、補助金の受給者立ち会いのもとに必要に応じて現地調査等を実施します。

その際、補助金の受給者から取引先に対して協力をお願いしていただくこととします。

③ 上記の調査の結果、不正行為が認められた時は、当該補助金に係る交付決定の取消を行うとともに、受領済の補助金のうち取消対象となった額に加算金(年10.95%の利率)を加えた額を返還していただきます。

併せて、農林水産省から新たな補助金等の交付を一定期間行わないこと等の措置を執るとともに当該事業者の名称及び不正の内容を公表することがあります。

④ 補助金に係る不正行為に対しては、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30 年法律第179号。以下「補助金適化法」という。)第29条から第32条において、刑事罰等を科す旨規定されています。

あらかじめ補助金に関するそれら規定を十分に理解した上で本事業の申請手続を行うこととしてください。

⑤ 農林水産省から補助金の交付決定を通知する前において、発注等を行った経費については、補助金の交付対象となりません。

⑥ 補助事業を遂行するため、売買、請負その他の契約をする場合、若しくは補助事業の一部を第三者に委託し、又は第三者と共同して実施しようとする場合の契約(契約金額100万円未満を除く)に当たっては、農林水産省から補助金交付等停止措置又は指名停止措置が講じられている事業者を契約の相手方とすることは原則できません。(補助事業の実施体制が何重であっても同様。)

⑦ 補助金で取得、または効用の増加した財産(以下「取得財産等」という。)を、当該財産の処分制限期間内に処分(補助金の交付目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、または担保に供すること)しようとする時は、事前に処分内容等について農林水産大臣の承認を受けなければなりません。

なお、必要に応じて取得財産等の管理状況について調査することがあります。

まとめ

水産物輸出拡大連携推進事業

水産物輸出拡大連携推進事業について、対象となる取組内容 支援内容 応募資格 応募要件 補助額等に加えて、水産物輸出拡大連携推進事業の注意事項をご紹介してきました。

水産物の輸出拡大に向けて、TPP参加国やEU加盟国、さらには海外市場への進出を図るためには、 生産者はもちろんのこと、加工や流通業者、輸出関連業者との連携が重要なポイントとなるでしょう。

水産庁ではこれらを支援するために、水産物輸出拡大連携推進事業で補助金を交付していますので、応募期間を見逃すことのないようにしてご活用ください。

資金調達につなげていける補助金を利用して、水産物の輸出拡大、輸出額の目標達成を目指していきましょう。

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