ベンチャー企業とスタートアップ企業の7つの明確な違いを詳しく解説

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よく耳にする「ベンチャー企業」や「スタートアップ企業」という言葉。この2つはどちらも何となく同じような意味だと理解されていることが多いですが、実は明確な違いがあります。

ベンチャー企業やスタートアップ企業に就職したい、転職したい、もしくはベンチャー企業・スタートアップ企業を起業したいという人は少なくありません。しかし、行動する前にまずは「ベンチャー企業」と「スタートアップ企業」の違いについてしっかり知っておいた方がいいでしょう。

この記事ではベンチャー企業とスタートアップ企業の違いについて詳しく解説していきます。

ベンチャー企業とは?

まずはベンチャー企業とは一体どんな企業なのかということをご説明したいと思います。ベンチャー企業とは、新しい技術や革新的なアイディアをもとに、今までにはなかった新しいサービスや商品、ビジネスを展開していく会社のことを指しています。

大企業はなかなか挑戦することが出来ないような新しい分野を切り開いていくベンチャー企業は会社の規模としては中・小規模の場合が多いです。また、新興企業と言われることもあります。

ベンチャー企業の特徴

今までになかった新しい事業を始め、ビジネスとして展開していくのがベンチャー企業です。

新しい価値を生み出すことを目指すベンチャー企業は将来大きく化けて爆発的な規模の利益を上げる可能性もあります。しかし、その一方で、新しい事を始める際には当然リスクも存在しています。

ベンチャー企業は前例や実績がないため銀行など金融機関からの融資を受けることが出来ず、財政的には苦しいことがほとんどです。

ベンチャー企業で働く人については福利厚生や企業のネームバリューなどより、仕事へのやりがいを重視している人が多い傾向にあります。求人や採用についても同じビジョンを持っている人を探している場合が多いでしょう。

ベンチャー企業の資金調達方法

銀行から融資を受けることが出来ないベンチャー企業が一体どのようにして資金調達を行っているのかというと、ベンチャーキャピタル(VC)からの投資です。

【ベンチャーキャピタル】投資家たちから集めた資金をベンチャー企業に投資し、それにとって利益を得ることを目的にした投資会社(投資ファンド)のこと。

ベンチャーキャピタルは企業形態。個人で投資を行っている人のことは「エンジェル投資家」と呼ぶ。

事業が成功すれば莫大な利益を生み出す可能性を秘めたベンチャー企業ですが、もちろん成功する企業ばかりではありません。むしろ、事業に失敗したり資金が尽きてしまい廃業したベンチャー企業の方が遥かに多いと言えます。

しかし、当たった時のリターンは相当に大きなものです。最も成功したベンチャー企業の一つである「Facebook」の2004年会社設立時に1200万ドルを投資したベンチャーキャピタルが持っていた株は8年後の2012年に株式上場した時には約90億ドルとなり、700倍以上もの利益を生み出しました。

ベンチャーキャピタルもこのようにハイリスク・ハイリターンだということを理解して投資を行っているため「この会社は将来化ける可能性がある」と思わせることが出来れば投資を受ける事ができる可能性が高まります。

スタートアップ企業とは?

スタートアップ企業とは、新しいビジネスモデルを生み出すことを目的とした企業のことです。日本でスタートアップ企業という場合、一般的に創業から2~3年程度のという場合が多くなっています。(アメリカの場合は設立年数や会社規模に関わらず事業内容や目標などで「スタートアップ企業」と判断される)

1990年代後半、IT関連企業が数多く集まるアメリカのシリコンバレーで急成長したのがスタートアップ企業で、この「スタートアップ」という言葉は主にアメリカで使われ、日本ではあまり使われることがありませんでしたが近年になって日本でもスタートアップという言葉が頻繁に使われるようになってきました。

スタートアップ企業の特徴

新しい事を始めるという部分ではベンチャー企業と同じように思えますが、スタートアップ企業の場合は「短期間で急激な成長を遂げ、大きな利益を狙う」という明確な目標があります。

普通の会社ならなるべく早く経営を安定させて早い段階で黒字化させ、長期的な目標を持って着実に会社を成長させていくことが出来るように長期的な目標を立てるものです。

しかし、スタートアップ企業の場合はそうではありません。大切なのは安定ではなく「成長」なので、売上や利益を上げることよりも会社を育てることを何よりも優先させるのです。

また、ビジネスの内容についても、新しさだけではなく「社会に新しい価値を生み出すことで人々に貢献する」ことが出来るか、つまりイノベーションを起こすことを目的としているのかということが「スタートアップ企業」と名乗るための条件でもあります。

創業間もない新しい事業であったとしてもイノベーションの観点がない場合や既存のサービスの延長線上であるビジネスの場合はスタートアップ企業とは呼びません。

スタートアップ企業の資金調達方法

資金調達方法についてはスタートアップ企業もベンチャー企業と同じで、前例や実績がなく銀行融資は受けられないため、ベンチャーキャピタルによる資金調達を行ないます。

ベンチャー企業とスタートアップ企業7つの違い

ここまでで「ベンチャー企業」と「スタートアップ企業」の違いをご紹介してきましたが、「どちらもかなり似ているな」と思ったのではないでしょうか?

それもそのはず。本来、ベンチャー企業とスタートアップ企業は全く同じ意味の言葉で、日本の言い方なのかアメリカの言い方なのかという違いだけしかないのです。ベンチャー企業が行う事業である「ベンチャービジネス(VB)」という言葉は元法政大学総長・日本ベンチャー学会特別顧問の清成忠男らが作り出した和製英語。このような企業や事業のことを英語では「startup company」や「startup」と言います。

では結局「ベンチャー企業とスタートアップ企業は同じものなのか?」というと、それも違います。

実際には日本の「ベンチャー企業」が行っていることと、アメリカの「スタートアップ企業」が行っていることは全く異なっているという現状があるのです。

少しややこしくなってしまいますが、日本の多くのベンチャー企業が行っている事業はアメリカの考え方からするとスタートアップ企業に当てはまらず、どちらかというと「中小企業(スモールビジネス)」に近いと認識されています。

具体的にどのような違いがあるのかということをこれから詳しくご説明していきます。

日本とアメリカでの違い

アメリカで「スタートアップ企業」と呼ばれるかどうかは会社の設立年数などは無関係で、会社の成長スピード、目指す目標、組織構成などの内容に特殊な特徴があるかどうかに関係しています。

スタートアップ企業のような特殊な特徴のないそれ以外の新しい事業を行っている会社のことはただ単に中小企業(スモールビジネス)と認識されていますが、日本の「ベンチャー企業」の多くはスタートアップ企業というよりも、どちらかというとこの中小企業(スモールビジネス)の方に近く、純粋な意味でのスタートアップ企業はほんの一握りか存在していないと言われています。

【ポイント】

  • スタートアップ企業の定義…会社の成長スピード、目標、組織構成などに特殊な特徴があるかどうか
  • 日本で言われている「ベンチャー企業」はスタートアップ企業のような特殊な特徴のないスモールビジネスに近い

存在意義の違い

上でもご説明しましたが、スタートアップ企業はイノベーションを起こすことを目的として立ち上げられます。「今までに無い新しい技術やサービスを生み出すことで世の中を変え、人々の生活に変化をもたらすこと」がスタートアップ企業の存在意義です。

勢いがあり急成長しているベンチャー企業でも、この「イノベーションによる社会貢献」という存在意義が存在しない限りはスタートアップ企業ではなく中小企業に分類されます。

【ポイント】

  • 新しいビジネスによる「イノベーション」と「社会貢献」という存在意義がなければスタートアップ企業とは言えない。

目標の違い

スタートアップ企業で重要となるのが「急激な成長」です。新しいビジネスモデルを生み出し、エグジット を狙って短い期間で会社を急激に成長させることを目指すスタートアップ企業に対し、スモールビジネス的なベンチャー企業は経営・収益を安定させ、長い目で見て会社を成長させることを目指しています。

【エグジット (イグジット)】投資資金の回収手段・戦略のこと。株式公開(IPO)、M&Aによって他の株主へ売却するなどの方法がある。ハーベスティングと呼ぶこともある。

【ポイント】

  • スタートアップ企業の目標…新しいビジネスモデルによってごく短期間で会社を急成長させ、大きな利益を得る
  • スモールビジネス的ベンチャー企業の目標…収益を安定させ会社の長期成長を目指す

ビジネスモデルの違い

ビジネスモデル(企業が利益を生み出す仕組み)についても違いがあります。スモールビジネス的なベンチャー企業の場合、既存のビジネスモデルをベースにして事業を展開していくことがほとんどです。

しかしスタートアップ企業の場合、最初はしっかりしたビジネスモデルがありません。何故なら、これから新たなビジネスモデルを生み出していくからです。ビジネスモデルを生み出すことがスタートアップ企業の最初の仕事とも言えるでしょう。

ここがスタートアップ企業の難しいところで、市場の反応を見ながらダメならすぐに方向転換を行ったりしつつ最適なビジネスモデルを模索しますが、ほとんどの場合は結果が出ず、約9割は失敗します。われわれが名前を知る事もなく終了してしまったスタートアップ企業たちの屍を乗り越え、成功を手にすることが出来るのはほんの一握りに過ぎないのです。

【ポイント】

  • スタートアップ企業…最初ははっきりしたビジネスモデルが無く、新しく作っていく
  • スモールビジネス的ベンチャー企業…既存のビジネスモデルをベースに展開

収益モデルの違い

スタートアップ企業は最初はビジネスモデルが確立されていないと上でご説明しました。ビジネスモデルが確立されていないということは詰まり、収益を上げるための見通しが立っていないということです。そのため、とにかくお金がありません。

ベンチャーキャピタルなどから資金を調達しながらビジネスモデルを模索していき、ある程度しっかりとした目標が定まったところで資金調達を何度か繰り返しつつ、最終的なエグジット (IPOやM&Aによる大きなリターン)を目指していきます。

このように、スタートアップ企業は常に最終的なエグジット を狙っているため、それまでの売り上げが全く無いということも珍しくありません。しかしベンチャーキャピタルや投資家もそれを承知の上で大きなリターンを期待して投資しているため、それまでの売り上げについては気にしていないという場合がほとんど。

しかし、日本のスモールビジネス的なベンチャー企業の場合、最終的な目標を出すまでにもある程度売り上げを立てないと事業を続けさせてもらうことが出来ません。だからこそ日本ではスタートアップ型のビジネスを継続していくのが難しく、実際にスタートアップ企業が少ない理由となっているのです。

日本とアメリカではそもそもエグジット の規模が異なります。日本のエグジット が比較的小規模であるのに対し、アメリカの場合は上でもご紹介したFacebookに代表されるように、成功すれば莫大なリターンがを得ることが出来ます。一攫千金の大逆転を狙えるアメリカだからこそこのようなハイリスク・ハイリターンのスタートアップ的なビジネス展開を行うことが可能となっているのです。

【ポイント】

  • スタートアップ企業…最終的な目標達成までは全く売り上げが出ないが、ベンチャーキャピタルや投資家もそれを了承している。
  • スモールビジネス的ベンチャー企業…最終的な目標達成までにもある程度売り上げを出さないとベンチャーキャピタルや投資家から投資を打ち切られる可能性がある。

組織形態の違い

スタートアップ企業で最も特徴的だとされているのが組織形態です。スタートアップ企業を立ち上げたスタッフたちは「ファウンダー」、その他のスタッフも合わせて「チーム」と呼ばれます。

チームには既存の企業のような組織やシステムやプロセスなどは存在せず、立ち上げしたばかりは法人登記すらしていないということも少なくありません。

チームメンバー全員が全力で会社を急成長させることだけに集中して取り組みますが、多くのメンバーはまだ未熟さの残る若者のため、勢いはあるものの長期的に継続していくということが苦手です。そんなスタートアップ企業で必要とされるのは「即戦力」となる人間です。

対して、スモールビジネス的ベンチャー企業の場合は長期成長を目標としているため、スタッフの成長や組織のバランスなども重視されます。

InstragramはFacebookに10億ドルで買収されましたが、買収当時Instagramのチームの人数はたった10人ほどだったそうです。

【ポイント】

  • スタートアップ企業…短期勝負のため即戦力になるかどうかを重視
  • スモールビジネス的ベンチャー企業…長期成長を目標としているため組織バランス、スタッフの成長などを重視

成長スピードの違い

スタートアップ企業の最も重要なポイントが「成長スピードの違い」です。長期的な成長を目標としている通常の企業が毎年数十パーセントの成長を目指すのに対して、スタートアップ企業はごく短い期間で会社を急激に成長させることを目指しています。

売り上げが全く無いという会社としてはかなりアンバランスな状態のまま、チーム一丸となってなりふり構わず突っ走るからこそスタートアップ企業は会社を急激なスピードで成長させることが出来るのです。

【ポイント】

  • スタートアップ企業…短期間で急激な成長スピードを目指す
  • スモールビジネス的ベンチャー企業…長期成長に向け毎年安定した成長を目指す

まとめ

ベンチャー企業とスタートアップ企業は本来同じ意味の言葉として日本・アメリカでそれぞれ使われていましたが、現在の日本では本来の「スタートアップ」の意味があまり浸透しておらず、スタートアップの定義に当てはまらない企業もベンチャー企業やスタートアップ企業として扱われていることが多いようです。

ベンチャー企業・スタートアップ企業に就職したい、転職したい、起業したいと考えている方はまず日本とアメリカではこのような認識の違いがあるということを知り、今後の自分の選択に活かしてみてください。

最後にGitHubのCEOでありプログラマーでもあるトム・プレストン・ワーナーの「あなたたちはスタートアップなのか?」という問いに対する答えをご紹介します。(GitHubは2008年4人のチームで開始されたスタートアップ企業。急成長を遂げ、2012年には社員数が150人を越えた)

スタートアップには色々な定義があるけれど、例えばポール・グレアムはこう言ってる。「めちゃくちゃな勢いで成長するのがスタートアップだ。」ってね。だからGithubもスタートアップだ。

出典:CEOが自ら語った「イノベーションを起こすためのGithubの哲学」

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