エコな家づくりで注目されるスマートハウスというものがありますが、住まいのエネルギーに関する言葉とは知っていても、詳しくは分からないという人も多いのではないでしょうか?
住宅のエネルギーをコントロールできるスマートハウスは、まさに地球環境に優しいエコな住宅です。
今回はスマートハウスの補助金と、HEMSのまとめ5つについて紹介していきます。
①スマートハウスとは
②スマースマートハウスのメリット・デメリット
③スマートハウスの補助金
④HEMSとは
⑤HEMS導入のメリット・デメリット
新しくスマートハウスを建てたい方、既存の家をスマートハウス化したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
①スマートハウスとは
スマートハウスとは、ITの技術を使って家庭内のエネルギー消費が最適に制御された住まいのことです。
より効率的にエネルギーを利用するための工夫が加えられた省エネ住宅のことを指します。
スマートハウスの定義
スマートハウスは住宅関連の概念であり、明確な定義はありませが、一般的には「太陽光発電システムや蓄電池などの設置によって家電などをコントロールすることで、CO2の排出を削減する省エネ住宅」が定義とされています。
また、スマートハウスに関係したエネルギー機器は大きく分けて3つあり、「省エネ機器(エネルギーを省く機器)」「創エネ機器(エネルギーを創る機器)」「蓄エネ機器(エネルギーを蓄える機器)」に分類されます。
〇省エネ機器
省エネは、言い換えればエネルギーを賢く使うことです。
スマートハウスではHEMSで省エネを実現すると同時に、LED照明、高効率給湯器、高効率エアコンなどの省エネ機器を設置して消費エネルギーを抑えて効率的なエネルギーの活用を実現します。
〇創エネ機器
創エネは自らエネルギーを創り出すことです。
家庭における創エネの代表は太陽光発電システムです。太陽光によって発生した直流電力をパワーコンディショナーで交流に変換し、家庭用の電力として使用します。
使用電力量よりも発電電力量が多い場合は電力会社に売電することが可能です。スマートハウスにおいてもこの太陽光発電システムによる創エネを実現しているものが多くあります。
〇蓄エネ機器
蓄エネはエネルギーを蓄えておいて、必要なときに取り出して利用できるようにすることです。
家庭における蓄エネの代表は家庭用蓄電池や電気自動車です。
家庭用蓄電池は太陽光発電システムと併用することで、夜間や悪天候時の買電量を減らし、災害時や停電時でも電気を使えるというメリットをもたらします。
また電気自動車の中でもV2H対応車種は蓄電池として利用することができます。
スマートハウスのメリット・デメリット
地球環境の保全に貢献するスマートハウスですが、いざ住むにあたってどのようなメリットやデメリットがあるのか見ていきましょう。
スマートハウスのメリット
メリット1:電力消費の節約
スマートハウスではHEMSを利用し、エネルギーの消費量を常に把握することができます。
その結果として、毎日の電力消費の節約をサポートしてくれるでしょう。
メリット2:経済的なメリット
一般的に、生活で必要な電力は電力会社から購入します。
しかし、太陽光発電を用いれば家庭でエネルギーを生み出せるため、電力会社から購入する電力を減らせるように、電気料金を削減できるだけでなく、太陽光で発電した電力のうち、余った分を売電して収入も得られます。
メリット3:災害時の電力トラブル対策
なんらかの災害が発生した場合、電力の供給がストップしてしまうことも予想されます。
そんな非常事態が起こったとしても、スマートハウスなら自宅でエネルギーがつくれるため、緊急時の備えとしても役立つでしょう。
スマートハウスのデメリット
デメリット1:初期コストが高い
スマートハウスに関連する機器を揃えようとするとコストが非常に高くなってしまいます。省エネ目的で始めたはずが想定以上にお金がかかってしまったということも少なくありません。
デメリット2:設備のメンテナンス
高いコストをかけた設備も年月が経てば 老朽化 が進んでしまいます。長く利用するためには定期的なメンテナンスが必要不可欠となります。
当然メンテナンスにはお金がかかりますし、手間もかかります。維持していくだけでも費用がかかってしまいます。
一度導入したら後は使うだけとはいかないのがスマートハウスの難しい部分とも言えるでしょう。
さらに、通常の住宅をスマートハウス仕様にすると、坪単価が10万円程度上がるとも言われています。
③スマートハウス補助金
スマートハウスには太陽光パネルなど、省エネ関連の様々な設備が導入されています。
これらの設備を導入するにあたって政府や地方自治体から補助金がもらえます。
地方自治体の補助金の例
東京都武蔵野市
補助対象 | ・武蔵野市内の自宅にHEMS、太陽光発電システム、太陽熱温水システム、燃料電池コージェネレーションシステム、蓄電池システムのいずれかを導入または断熱改修する方
・交付決定後、アンケートを提出できる方 |
補助額 | 対象機器の購入費用 HEMS導入の場合は5万円 |
申請期間 | 2020年4月8日まで |
埼玉県熊谷市
補助対象 | ・熊谷市にスマートハウスを購入、または新築し、居住する人
・太陽光発電システム、家庭用燃料電池システムまたは家庭用蓄電システム、HEMS、LED照明を備えた住宅 |
補助額 | 一律50万円(25万円を現金、25万円を商品券) |
申請期間 | 2020年3月31日まで |
愛知県豊田市
補助対象 | 既存住宅にHEMSを設置する方 |
補助額 | 設置費用の25%(工事費含む) |
申請期間 | 2020年3月31日まで |
このように、スマートハウス化を実現するにあたって、さまざまな補助金があります。
スマートハウス導入を検討している方は、補助金制度も併せてチェックしてみましょう。
④HEMSとは
HEMSとは家庭で使用するガス、電気、水道の利用状況をパソコンやタブレット端末などの画面上で「見える化」するととともに制御・最適化するシステムのことです。
最近では遠隔操作でエアコンなどの家電製品や給湯器のオン・オフが可能になるなど技術も急速に進化しつつあります。
スマートハウスでは、このHEMSと太陽光発電システム、蓄電池を利用して、以下の流れでエネルギー消費量を抑制しています。
1. 割安な夜間電力料金を利用して蓄電池に充電する
2. 早朝や夕方は蓄電池から電力を供給する
3. 日中は太陽光発電システムを利用して自家発電する
4. 電力が余った場合には売却するか、蓄電池に貯めて後で活用する
HEMS導入の基本的な流れ
⑴分電盤に電力測定ユニットを設置
まず、HEMSの電力測定ユニットを家庭の分電盤に設置します。分電盤ではなく、コンセントにユニットを設置するタイプもあります。
⑵電気機器をネットワークに接続
電力測定ユニットに接続した電気機器を、無線のネットワークで繋ぎます。
⑶エネルギーの使用状況をタブレット端末やPCなどでチェック
家庭内のエネルギーの使用状況を、タブレット端末やPCなどで確認できます。たとえば、部屋ごとの室温や湿度、エアコンの運転時間などを、グラフで確認できるものもあります。
⑷エネルギーを管理
家庭内のエネルギー使用状況を把握し、消費者自らがエネルギーを管理していきます。
アプリを導入することで、タブレット端末などでエネルギーの使用状況を確認しながら電気機器の操作ができるものもあります。
「見える化」と「一元化」
HEMSが目指す最大の目的はエネルギーの見える化と一元化(一元管理)にあります。ここではその二つの意味について説明します。
〇エネルギーの見える化
住宅にHEMSを設置すると家庭の電気使用量の数値が最少単位まで見えるようになります。
それだけでなく他のエネルギーであるガスや水道とも連携ができますから、家庭のすべてのエネルギー使用量の数値を把握することができるようになります。
毎日のエネルギー使用量をグラフで比較することができるため、省エネを意識しやすくなり、エネルギーの無駄遣いを減らすことができます。
〇エネルギーの一元化(一元管理)
家電をネットワーク化することで、自動制御や遠隔操作ができます。
外出先から家電製品を操作することや、家電の使用量が一定量に達したら、自動で電源を切るといったことが可能です。
また、家電や水道等の使用状況によって家族が家に帰っているかがわかったり、留守中にガスの消し忘れがないかがわかったりします。
⑤HEMS導入のメリット・デメリット
HEMS導入にもメリットだけではなく、デメリットもあります。
どのようなデメリットがあるのか見ていきましょう。
HEMSを導入するメリット
メリット1:電化製品の自動制御や遠隔操作ができる
HEMSをスマートフォンと連携させると、より高いメリットを感じられるようになります。
スマートフォンに専用のアプリケーションをダウンロードし、HEMSに対応した家電製品を使用することで、照明や床暖房の点灯・消灯、電動シャッターの操作、お風呂のお湯張りなどが、外出先から遠隔操作可能になります。
快適な生活や、無駄な待ち時間の短縮に役立ちます。
メリット2:節電しながら快適に過ごせる
HEMSを導入して使用電力量を把握することで、「毎月の使用電力量の目標値設定」が容易になります。
またHEMSには「使用電力量の上昇を察知する機能」が搭載されており、エアコンの設定温度や照明の明るさを自動調節することで、効果的な節電をサポートし、快適な室内環境を維持しながら、電力浪費を抑制することができやすくなります。
メリット3:ピークシフトが行える
HEMSを導入すると「どの時間帯に、どのくらい電力量を使用したか」をグラフ表示から簡単に把握できるようになります。
電力消費の少ない時間帯にバッテリーの充電をしておき、多い時間帯にはそのバッテリーを使用するなどといったピークシフトを行うことで効果的な節電を実現できます。
また、一般的に電力使用量の増える日中のピークタイムに、多くの人が電力使用を意識的に抑えることで、環境や電力供給システムへの負荷軽減につながります。
HEMSを導入するデメリット
デメリット1:HEMSに対応した電化製品がまだ少ない
HEMSとスマートフォンを連動すると、電化製品の自動制御や遠隔操作が可能になると前述しましたが、これは自宅で使用している電化製品がHEMSに対応していることが前提となります。
しかしHEMSが一般化し始めたのは近年のことですから、まだまだ未対応の機種が多いのが現状です。この問題が解決し、多くの人がHEMS本来の実力を実感できるようになるまでには、もう少し時間がかかるといえるでしょう。
デメリット2:費用対効果が分かりにくい
HEMS導入にあたっては購入費用や工事費用がかかります。
しかし、HEMSの主な利用目的は、日々の電力浪費を節約することであり、何らかの出費が大幅に削減されるといったシステムではありません。
そのため、電気代の節約分で導入コストを回収できるかどうかの費用対効果が分かりにくく、導入に踏み切れないという人もいるようです。
まとめ
ここまで、スマートハウスの補助金とHEMS導入に関するまとめ5つを紹介してきました。
スマートハウスは簡単に省エネができる住宅として注目が集まっています。省エネ住宅に住むことで家族全員がエネルギーの使い方に関心を持てるのはとてもいいことだと思います。
また、HEMSはこれまで消費者が未着手だった「住宅のエネルギー」を、消費者が自ら把握し管理するための画期的なシステムだということがご理解いただけたのではないでしょうか。
しかし、その認知度はまだまだ低く、導入のメリットが明記されないまま進行していることも事実だと思います。
コスト面など難しい部分も存在しますが、住宅のスマート化が進んでいけば、エネルギーの無駄を省き環境面でも良い結果が出ることが考えられます。
自治体でもいろいろな補助金が用意されているので、関心のある方はぜひ検討してみてください。