最先端のロボットやAI、IoT等の技術が発達していますが、農業分野においても最先端技術の導入や実証、農業データ連携基盤等は欠かせないものとなってきました。
このような状況を踏まえて、農林水産省では、2025年までに農業の担い手のほぼ全てがデータを活用した農業が実践できるように、スマート事業総合推進対策事業を実施しています。
こちらの記事では、スマート事業総合推進対策事業の中でも、農業用機器等から得られるデータや農作業の計画や育成情報、気象予報や病害虫など、様々なデータとの連携や共有に向けての取組を支援している「令和3年度スマート農業総合推進対策事業のうち農林水産データ管理・活用基盤強化事業」をご紹介していきますので、ぜひご覧ください。
令和3年度スマート農業総合推進対策事業のうち農林水産データ管理・活用基盤強化事業
農林水産省が実施している、令和3年度スマート農業総合推進対策事業のうち農林水産データ管理・活用基盤強化事業は、「農業用機械等」から得られるデータや、農作業の計画・履歴、農作物の生育状況、気象予報や病害虫の発生予察などの農業生産に資する環境情報等のデータの連携・共有に向けて行う取組を支援している事業です。
補助対象となる取組に必要な経費に対して、補助金を交付しています。
「農業用機器等」とは?
農業機械、環境計測機器や制御装置等の ICT 機器、穀物乾燥調製貯蔵施設や青果物選果施設等の農業生産関連施設等、農業生産から農産物調製・選果までにおいて利用される機械・機器のこと。
◆事業実施期間
・交付決定の日から令和4年3月31日まで
事業の内容
令和3年度スマート農業総合推進対策事業のうち農林水産データ管理・活用基盤強化事業の補助対象となる事業は、下記の①、②、④及び⑤の取組はは必須とし、③の取組については必要に応じて実施することができます。
・事業の実施に要した費用については、①から⑤までの取組ごとに区分し整理する。
・さらに、農業データ連携基盤(WAGRI)の活用推進も念頭に、農業分野におけるオープン API 整備に関するガイドライン、農業分野における AI・データ契約ガイドライン(令和2年3月農林水産省策定)の趣旨を十分に踏まえて取り組むこととする。
◆事業①:事業検討委員会の設置・開催
②から⑤までにおいて実施する取組内容の検討等を目的として、学識経験者、試験研究機関、農業用ソフトウェア製造事業者、農業者等を招へいして行う検討委員会を設置・開催する。
◆事業②:データの連携・共有に向けた調査・検討
次のアからウまでに掲げる取組を行う。
取組に当たっては、必要に応じて事業検討委員会に参画する事業者以外の関係事業者にヒアリングを実施するなど、関係者の意見を広く伺いつつ、運用基準等の合意形成を図るよう努めること。
ア:連携対象として検討を進める農業データ項目の特定
イ:アの項目を円滑に連携・共有するためのデータの標準化や API 連携に係る契約事項の整理等の必要な取組
ウ:ア及びイの取組成果を盛り込んだデータ連携・共有のための運用基準案の策定
◆事業③:データの連携・共有を行うための API 等整備、接続検証及び分析・評価
②の検討事項・内容に応じて、次のアからウまでに掲げる取組
・農業データ連携基盤を介したデータ提供・受領の仕組みの整備・検証を含む。
ア:機器製造事業者又は農業用ソフトウェア製造事業者等によるデータ提供又は受領に係る API 等整備(API の作成・改良及びそれに付随して API 接続検証に必要となるシステム開発・改良)
イ:機器製造事業者及び農業用ソフトウェア製造事業者等によるアで整備したAPI による接続の検証、当該農業用ソフトウェア上での運用確認
ウ:ア及びイの取組により明らかとなった課題等の整理及び②ウの運用基準案への反映、検討
◆事業④:データの連携・共有に向けた推進方策の検討
②及び③の結果を踏まえ、データの連携・共有を円滑に行うために必要となる事項について検討を行い、農業分野におけるオープン API 整備に関するガイドライン等の追記・修正事項等を検討する。
◆事業⑤成果の報告及び普及
①から④までの成果に関する報告書を作成し、公表する。
応募団体の要件
令和3年度スマート農業総合推進対策事業のうち農林水産データ管理・活用基盤強化事業の応募団体の要件は、下記の通りとなります。
◆本事業の事業実施主体は、第2の事業の内容に係る項目についての専門性を有する、下記に掲げる①~④の要件を満たす事業化共同体(コンソーシアム)とする。
①農業者、農業者の組織する団体、民間事業者、民間事業者の組織する団体、地方公共団体、公益社団法人、公益財団法人、一般社団法人、一般財団法人、企業組合、事業協同組合、技術研究組合、国立大学法人、公立大学法人、学校法人、特殊法人、認可法人、公社、独立行政法人、地方独立行政法人のいずれかを構成員とすること。
また、構成員のうちのいずれかが代表団体として選定されていること(法人格を有するものに限る)。
②代表団体が、本事業に係る補助金交付の全ての手続を担うこと。
③定款、組織規程、経理規程等の組織運営に係る規約等を明確に定めるほか、一つの手続に複数の者が関与するなど、事務手続に係る不正を防止する体制が整備されていること。
④本事業に係る経費関係その他の事務について、適切な管理体制及び処理能力を有していること。
成果目標
令和3年度スマート農業総合推進対策事業のうち農林水産データ管理・活用基盤強化事業の成果目標は下記の通りとなります。
①成果目標
成果目標は、事業内容に応じて適切な指標を設定することとする。
②目標年度
成果目標の目標年度は、事業実施年度とする。
補助対象経費
令和3年度スマート農業総合推進対策事業のうち農林水産データ管理・活用基盤強化事業の補助対象となる経費は、下記の表の通りとなります。
◆本事業において補助対象となる経費は、下記の表にあげる経費のうち本事業の対象として明確に区分できるもので、かつ証拠書類等(請求書、領収書の写し等)によって金額等が確認できるものに限られています。
1.直接経費
費目 | 細目 | 内容 |
備品 | ー | 本事業を実施するために直接 必要な試験・調査備品・物品等 の購入及びこれらの据付等に必要な経費 |
事業費 | 会場借料費 | 事業を実施するために直接必要な会議等を開催する場合の会場費として支払われる経費 |
通信運搬費 | 事業を実施するために直接必 要な郵便代及び運送代の経費 | |
借上費 | 事業を実施するために直接必要な実験機器、事務機器、情報 通信機器・システム、ほ場等の借上げ経費 | |
資料作成費 | 事業を実施するために直接必要な運用基準等の資料の作成に要する経費 ・謝金、人件費及び旅費 | |
印刷製本費 | 事業を実施するために直接必要な資料等の印刷費の経費 | |
開発・改良費 | 事業を実施するために直接必要なシステム等の開発・改良に要する経費 ・システム設計費等 ・謝金、人件費及び旅費 | |
消耗品費 | 事業を実施するために直接必 要な以下の経費 ・短期間(事業実施期間内)又 は一度の使用によって消費され、その効用を失う少額(3 万円未満)な物品の経費 ・CD-ROM等の少額(3万円未満 )な記録媒体 ・試験等に用いる少額(3万円 未満)な器具等 | |
資材費 | 事業を実施するために直接必要な種子・苗、肥料等の資材にかかる経費 | |
情報発信費 | 事業を実施するために直接必要なウェブページ作成等の情報発信に要する経費 | |
旅費 | 委員等旅費 | 事業を実施するために直接必 要な会議の出席又は技術的指導 等を得るための旅費として、依 頼した専門家に支払う経費 |
調査旅費 | 事業を実施するために直接必 要な事業実施主体が行う資料収 集、各種調査、打合せ、成果発 表等の実施に必要な経費 | |
専門員旅費 | 事業を実施するために直接必 要な事業実施主体が行う資料収 集、各種調査、打合せ等を行うための旅費として、依頼した専 門員に支払う経費 | |
謝金 | ー | 事業を実施するために直接必 要な資料整理、補助、専門的知識の提供、資料の収集等につい て協力を得た人に対する謝礼に 必要な経費 |
人件費 | ー | 事業実施主体が当該事業に直 接従事する者に対して支払う実働に応じた対価(給与その他手 当) |
委託費 | ー | 本事業の交付目的たる事業の 一部分(例えば、事業の成果の 一部を構成する調査の実施、取 りまとめ等)をほかの者(応募 団体が民間企業の場合、自社を 含む。)に委託するために必要 な経費 |
役務費 | ー | 事業を実施するために直接必 要であり、かつ、それだけでは 本事業の成果としては成り立た ない分析、試験、加工等を専ら 行う経費 |
雑役務費 | 手数料 | 事業を実施するために直接必 要な謝金等の振込手数料 |
印紙代 | 事業を実施するために直接必 要な委託の契約書に貼付する印紙の経費 |
2.一般管理費
事業を実施するために必要 であるが、当該事業に要した経費として抽出・特定が困難 な光熱水料、燃料費、電話回 線使用料等の経費
申請できない経費
令和3年度スマート農業総合推進対策事業のうち農林水産データ管理・活用基盤強化事業に下記の経費は、申請できませんのでご注意ください。
・事業実施に直接関係ない経費
・事務所の家賃など事業実施主体の経常的な運営経費
・事業の期間中に発生した事故又は災害の処理のための経費
・補助対象経費に係る消費税及び地方消費税に係る仕入れ控除税額(補助対象経費に含まれる消費税及び地方消費税相当額のうち、消費税法(昭和63年法律第108号)の規定により仕入れに係る消費税額として控除できる部分の金額及び当該金額に地方税法(昭和 25 年法律第 226 号)の規定による地方消費税の税率を乗じて得た金額の合計に補助率を乗じて得た金額)
補助額
令和3年度スマート農業総合推進対策事業のうち農林水産データ管理・活用基盤強化事業の補助率と補助額は、下記の通りとなります。
◆補助率 定額
◆補助額
予算の範囲内で支援を行うものとし、この範囲内で本事業の実施に必要となる経費を助成することとする。
なお、予算及び補助対象経費等の精査により減額することがあるほか、本事業により収益を得る場合には、当該収益分に相当する金額の返還が必要となる場合がありますので、お気をつけください。
まとめ
農林水産省が実施している「令和3年度スマート農業総合推進対策事業のうち農林水産データ管理・活用基盤強化事業」について、対象事業の内容、応募団体の要件、成果目標、補助対象経費、補助額などをまとめてご紹介してきました。
これからは、農業用機器等から得られるデータや農業作業の計画や生育状況、さらに天気予報や害虫の発生予察など情報の連携・共有が、データを活用した農業を実践するためには重要となってきます。
このような取組を行っているのであれば、ぜひ「令和3年度スマート農業総合推進対策事業のうち農林水産データ管理・活用基盤強化事業」を資金調達の一つとして活用し、スマート農場の発展や推進にお役立てください。