事業を向上させるために新エネルギー分野の技術開発・研究開発を支援する助成金の募集が毎年開始されています。
独自性・優位性がある新たな技術によって、事業化を目指すために研究している企業者におすすめの助成金です。
分野・技術により、6つのフェーズに分けて募集をしているので、その詳細やそれぞれの助成金額・対象などの情報も解説していきます。
どんな事業なの?
研究開発・事業化計画がどこまで進んでいるかの状況に応じて、研究開発の支援をしてくれます。
エネルギー基本計画、新成長戦略など、再生可能エネルギー分野を重視して事業の育成を行いながら研究開発を進めることによって、技術の選択肢の多様性と技術革新を目指したり、福島県浜通り地域の復興に貢することを目的とした事業です。
また、この新エネルギー技術研究開発事業は6つのフェーズがあります。
詳しくは次の項目で解説します。
社会課題解決枠フェーズA
技術シーズを持つ中小企業などが事業化に向けて必要になるフィージビリティ・スタディを産学官連携の体制で行います。
社会的ニーズに当てはまるもので、ナショナルプロジェクトなどの制度は、十分に対応ができない技術開発を支援します。
NEDOが予め決めている課題に当てはまる事業の提案を募集します。
助成金額
助成率10分の8以内(NEDO負担額1,000円以内)として、1テーマ1,250万円以内の金額を支援してもらえます。
対象
①共同研究先として大学などを実施体制にする
②NEDOが決めた課題に合っているテーマにする
新市場開拓枠フェーズα
技術シーズを持つ中小企業などが事業化に向けて必要になるフィージビリティ・スタディを、国内のベンチャー・キャピタルやシード・アクセラレーターなどからの支援をしてもらいながら行っていきます。
助成金額
助成率3分2以内(NEDO負担額1,000万円以内)とし、1テーマ1,500万円以内の金額を助成してもらえます。
対象
新市場開拓枠フェーズα を申請する際は、以下の2つの資料を提出する必要があります。
①国内のベンチャー・キャピタルやシード・アクセラレーターなどから提案の出資をしていることを示すために、出資理由確認書もしくは投資契約書の出資を証明する書類の写し
②ベンチャー・キャピタル、シード・アクセラレーターなどの出資意向確認書
①は原則として、契約の出資実行が応募締め切り日から1年程度以内であることも条件なので気をつけてください。
社会課題解決枠フェーズB
①技術シーズを持つ中小企業などが要素技術の信頼性・品質の向上・システムの最適設計・運用などに役立てるの研究開発
②プロトタイプの試作・データ計測
など、事業化に向けて必要な基盤技術の研究を産学官連携の体制で行うものです。
社会的ニーズに合うもので、ナショナルプロジェクトなどの制度では、十分に対応ができない技術研究を支援するためにNEDOが決めた課題に合う事業の提案を募集しています。
助成金額
助成率10分の8以内(NEDO負担額5,000万円以内)とし、1テーマ6,250万円以内の金額を支援します。
対象
①実施体制に大学を含ませる
②NEDOが決めた課題に合っているテーマにする
①は、「委員会などにおける外部からの指導や協力者」に大学からの指導や協力者を入れるなどが良いでしょう。
新市場開拓枠フェーズβ
①技術シーズを持つ中小企業などが要素技術の信頼性・品質向上・システムの最適設計・運用などに役立てるの研究開発
②プロトタイプの試作・データ計測
などのように、事業化に向けて必要な基盤技術の研究を国内のベンチャー・キャピタルやシード・アクセラレーターなどからの支援をもらいながら行うものです。
助成金額
助成率3分2以内(NEDO負担額5,000万円以内)とし、1テーマ7,500万円以内の金額を支給してもらえます。
対象
新市場開拓枠フェーズβを申請するには、以下の2つの必要書類を用意しましょう。
①ベンチャー・キャピタルやシード・アクセラレーターなどから出資を得ていることを証明する出資理由確認書、もしくは投資契約書の出資を証明する書類の写し
②ベンチャー・キャピタルやシード・アクセラレーターなどが出資を予定していることを証明する出資意向、もしくは理由確認書
①は、出資実行が応募締め切り日からさかのぼって1年程度以内であることが条件です。
申請して採択をもらった場合、通知書が届いてから30日以内に、投資契約書などの出資を証明する書類を提出しましょう。
フェーズC 実用化研究開発
事業化する可能性が高い基盤技術要素を持つ中小企業などが、事業化を目指すために必要な実用化研究開発・実証研究などを行います。
助成金額
助成率3分の2以内(NEDO負担額5,000万円以内)とし、1テーマ7,500万円以内の金額を支援してもらえます。
対象
①事業期間終了後3年以内で事業化を目指す具体的な内容にする
②法的規則がある場合、具体的な対応策を持っている
③具体的な知財戦略を持っている
④予め、基礎の技術をしっかりと確立している
④の基礎の技術とは、具体的には社会課題解決枠フェーズAやBで取得されるようなもののことを指します。
フェーズD 大規模実証研究開発
すでに基盤技術を確立していて、実証する能力を持つ中小企業などが必要に応じて自治体や大企業と連携し、事業化のために大規模な実証研究をします。
助成金額
助成率3分の2以内、大企業については2分の1以内(NEDO負担額3億円以内)とし、1テーマ4.5億円以内の金額を支給してもらうことができます。
対象
①事業期間終了後1年以内で事業化を目指す具体的な内容にする
②法的規則がある場合、具体的な対応策を持っている
③具体的な知財戦略を持っている
④実証研究を実施する場所を確保している
⑤予め基礎の技術が確立している
全フェーズの対象
以上の研究開発の助成を申請するには、各フェーズの対象の他に、分野・技術・事業者にも条件が複数あります。
中小企業の自由は発想を支援するする事業なので、具体的な技術開発・研究開発が明確になっていることが最も重要です。
まずは、対象の分野から解説していきます。
対象の分野
エネルギー基本計画・新成長戦略などを示す分野で、再生可能エネルギーの普及につながる提案にすることが条件です。
大きく分けると以下の4つになります。
①太陽光発電
②風力発電
③系統対策分野
④蓄電池分野
他にも水力発電・地熱発電・バイオマス利用・太陽熱利用・その他未利用エネルギー分野にも支援してもらえます。
分野の具体的にどのような技術開発では支援してもらえるのか、次の項目から詳しく解説していきます。
太陽光発電
太陽光発電の均等化発電原価の大幅削減に役立つ技術開発が対象です。
例えば、
①低コスト・メンテナンスフリーな追尾システムの開発
②部分影などの影響に強いシステム技術の開発
③設置工事費を大幅に削減する機器・周辺技術の開発
④太陽光スペクトル分野型の超高効率太陽電池ユニットの開発
⑤太陽光発電所の自動設備に役立つ技術の開発
などが当てはまります。
風力分野
①浮体式洋上風力発電の低コスト化・信頼性向上に役立つ技術開発
②洋上風力のための生物付着対策技術の開発
など、風力発電の大量導入に役立つ技術の開発が対象です。
系統対策分野
①再生可能エネルギーの出力変動に追従可能で、低コスト・効率的に充放電できる蓄エネシステムの開発
②配電系統の電圧・周波数の調整機器・スマートメーターなどに関する小型化・高性能化の技術開発
③慣性力を低コスト・高精度にする技術開発
④変動再生可能エネルギーの発電量を低コスト・高精度に予測することを目指す技術開発
⑤ブロックチェーン技術などを活用したアグリゲータビジネス向けのソフトウェアを開発
など、変動再エネの活用に役立ち、電力需給バランスを経済的に制御するシステム・要素技術の開発が対象です。
蓄電池分野
①電極層・個体電解質層の成形ぎじゅつ
②電極活物質への無機材料の薄膜コート技術
③負極活物質のリチウムプレドープ技術
など、全個体リチウムイオン電池の量産化に役立つ技術開発が対象です。
対象の技術
技術課題としての例は以下のような技術です。
①燃料電池・蓄電池・エネルギーマネジメントシステムなど、再生可能エネルギーの普及・エネルギー源の多様化に役立つ新規技術
②低コスト化・歩留まり向上・生産性向上など製造法の改良に役立つ技術開発
③変換効率・信頼性・耐久性・利便性向上など性能改良に役立つ技術開発
④効率向上・安全か・安定化・長寿命化などコスト削減に役立つ技術開発
⑤再生可能エネルギーを利用する際の信頼性・品質向上・メンテナンス性向上・リサイクル性向上などに役立つ技術開発
⑥システムの最適設計・最適運用などに役立つ技術開発
⑦短時間の停電時でも、地域・ビル・家屋などに非常用電源を供給できる再生可能エネルギー利用システムに関する技術開発
⑧エネルギー需給ギャップの解消に役立つ再生可能エネルギー利用システムに関する技術開発
⑨独立運転可能な再生可能エネルギー利用システムに関する技術開発
⑩テストプラントなどの大規模な実証研究開発
⑪その他、再生可能エネルギーの普及に役立つ技術開発
①は、原子力は対象外になるので注意してください。
原子力とは、原子核変換の過程によって原子核から放出する種類のエネルギーのことです。
申請できる事業者とは?
対象の事業者は、新エネルギーの普及につながる計画があることはもちろんですが、もう一つは日本国内で登記されている中小企業が技術開発のための拠点を国内で確保できることです。
具体的な申請者の条件は以下になります。
①複数の事業者で提案する場合、代表の事業者を「提案者」にし、提案者以外の事業者は「共同提案者」にする
②中小企業者であること
対象に含まれる中小企業は「中小企業としての組合など」のことで、社団法人・NPO法人は対象外になります。
また、中小企業基本法第2条に定められている資本金基準・従業員基準のどちらかを満たしている会社で、みなし大企業ではない会社のことを言います。
まとめ
以上、新エネルギー等のシーズ発掘・事業化に向けた技術研究開発事業について詳しく解説してきました。
フェーズAとフェーズα、フェーズBとフェーズβは似ていますが、支援の仕方が違います。
・フェーズAとフェーズBは十分に対応できない技術開発を支援し、NEDOの課題に合う事業の提案をする
・フェーズαとフェーズβは国内のベンチャー・キャピタルやシード・アクセラレーターから支援してもらいながら実施する
また、支給してもらえる助成金額も多少違いますね。
是非参考にしていただいて、新しい自由な研究開発テーマを応募してみてはいかがでしょうか?