
鳥獣による農作物の被害が拡大するにともない、被害を防ぐため捕獲頭数が大幅に増加しています。
営農意欲を減退を避けるために鳥獣の捕獲は仕方ありませんが、これらの捕獲鳥獣を地域資源(ジビエ等)として活かし、マイナスからプラスへと変えてジビエ利用を拡大していく事が、これからの課題となってくるのではないでしょうか?
そこで、農林水産省では「鳥獣被害防止総合対策交付金(ジビエ利用拡大推進事業) 」設けてし、野生鳥獣肉(ジビエ)の活用や需要拡大を図っています。
取扱量を拡大するための調査や商品開発、広報や普及啓発など、ジビエ利用する方はぜひご利用ください。
こちらの記事では「鳥獣被害防止総合対策交付金(ジビエ利用拡大推進事業) 」を詳しく解説していきます。
鳥獣被害防止総合対策交付金(ジビエ利用拡大推進事業)
農林水産省が実施している鳥獣被害防止総合対策交付金(ジビエ利用拡大推進事業)は、ジビエ等の利用拡大に向けた地域の取組について、多様な機関等で構成されるコンソーシアム方式での取組に対して支援を行っています。
鳥獣捕獲数が増加する中で、野生鳥獣肉(ジビエ)のさらなる活用や需要拡大を図るためには、ジビエの処理加工施設や実需者との連携強化が必要であることから設けられました。
流通拡大や利用拡大に向けた構築や会議、課題や実地調査、ジビエ加工製品の開発や試作など、ジビエ利用を拡大していくための事業に対して交付金を支給しています。
8つの事業内容
鳥獣被害防止総合対策交付金(ジビエ利用拡大推進事業) の事業内容は、下記の通りとなります。
◆処理加工から流通までの関係者で構成される検討体制(コンソーシアム)を構築し、野生鳥獣肉(ジビエ)等の流通段階での取扱量を拡大するための調査、商品開発、広報・普及啓発等に向けた取組を総合的に実施できるものとします。
1.流通拡大のための検討体制の構築
・鳥獣被害防止総合対策交付金実施要綱(平成20年3月31日付け19生産第9423号農林水産事務次官依命通知。以下「実施要綱」)採択要件に定める者から構成されるジビエ利用拡大推進コンソーシアムを構築し、運営方針を協議するとともに、以下の2~8に係る実施方針を検討し、実践することができるものとします。
2.ジビエの利用拡大に向けた会議
・コンソーシアムの構成機関を参集する会議を1回以上開催し、ジビエの利用拡大に向けた取り組み等を検討する会議を開催することができるものとします。
3.流通業者及び実需者等を対象としたジビエ利用及び購入に関する意向調査、流通に関する課題調査
・ジビエの利用拡大に向けて流通業者、実需者等を対象とした各種調査、結果の取りまとめ、分析等を実施できるものとします。
4.流通業者を対象としたジビエ処理加工現場での現地調査
・ジビエの利用拡大に取り組む流通業者が、ジビエの処理加工の状況について、現地見学、現地調査等を実施できるものとします。
5.実需者を対象とした処理加工施設や加工場のプロモーション関連動画やリーフレット等の情報提供資料の作成
・実需者のジビエに関する理解を深め、取扱いを促すため、プロモーション動画やリーフレットにより、処理加工施設や加工場の品質管理、衛生管理等の情報提供に関する取組を実施できるものとします。
6.ジビエ意向調査を踏まえたジビエ加工製品等の試作、開発
・実需者の意向を踏まえ、ジビエの加工製品等の試作や開発ができるものとします。
7.流通業者や実需者を対象としたジビエ加工製品等の試食会及びマッチング
・流通業者や実需者を対象に試作、開発したジビエ加工製品等の試食会や外食産業等とのマッチング会開催ができるものとします。
8.その他事業の目的の達成のために必要な取組
・上記のほか、事業の目的を達成するために必要な取組については、コンソーシアムで検討の上、実施できるものとします。但し、事業実施計画書に事業内容、事業規模等の記載が必要です。
応募資格
鳥獣被害防止総合対策交付金(ジビエ利用拡大推進事業) の応募資格は下記の通りとなります。
◆民間企業、一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人、公益財団法人、協同組合、企業組合、特定非営利活動法人、国立大学法人、公立大学法人、学校法人、独立行政法人、国立研究開発法人及び協議会
・民間企業、一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人、公益財団法人、協同組合、企業組合、特定非営利活動法人、国立大学法人、公立大学法人、学校法人、独立行政法人又は国立研究開発法人等で構成される組織又は団体であって、代表者の定めがあり、かつ、組織及び運営についての規約の定めがある協議会とし、事業実施及び会計手続を適正に行いうる体制を有しているものとなっています。
◆コンソーシアムの要件
コンソーシアムは、民間企業の他、地方公共団体、野生鳥獣の捕獲、処理加工、供給及び消費に取り組む民間団体等から構成するものとし、事業内容の実施方針を協議する前までに確実に構築することとします。
交付対象経費
鳥獣被害防止総合対策交付金(ジビエ利用拡大推進事業)の付の対象となる経費は、事業の実施に直接必要な経費及び成果の取りまとめに必要な経費で、詳しくは下記の表の通りとなります。
・申請に当たっては、事業実施期間中における所要額を算出し、交付対象となる交付金の額は、申請書類に記載された事業実施計画等の審査の結果、決定されます。
・必要経費については、円単位で積算することとします。
・事業を実施するなかで、不用又は過度と認められる経費は交付対象外となります。
経費費目 | 内容 |
消耗品費 | 「消耗品費」とは、事業を実施するための原材料、消耗品、消耗器材、薬品類、 各種事務用品等の調達に必要な経費です。 |
旅費 | 「旅費」とは、事業を実施するための事業実施主体又はその委託を受けた者が 行う資料収集、各種調査、打合せ、成果発表等の実施のための旅行に必要な経費です。 |
謝金 | 謝金 「謝金」とは、事業を実施するための資料整理、調査補助、専門的知識の提供、 資料収集等について協力を得た者に対する謝礼に必要な経費です。 謝金は、業務の内容に応じ、常識の範囲を超えない妥当な単価を設定する必要 があり、その謝金の単価の設定根拠となる資料を、公募申請の際に提出する必要があります。 |
賃金 | 「賃金」とは、雇用者等に対して支払う実働に応じた対価(日給又は時間給) です。 賃金については、本事業の実施により新たに発生する業務について、支払の対 象とします。 事業実施に関係のない既存の業務に対する支払はできません。 賃金は、業務の内容に応じ、常識の範囲を超えない妥当なものを設定する必要 がありますので、賃金支給に係る規則及び設定根拠となる資料を、公募申請の際に提出します。 なお、「補助事業等の実施に要する人件費の算定等の適正化について」(平成22年9月27日付け22経第960号農林水産省大臣官房経理課長通知)の定める ところにより取り扱うものとします。 |
役務費 | 「役務費」とは、事業を実施するための、それだけでは本事業の成果とは成り 得ない器具機械等の各種保守、翻訳、鑑定、設計、分析、試験、加工等を専ら行うために必要な経費です。 |
委託費 | 「委託費」とは、本事業の交付目的たる事業の一部分(例えば、事業の成果の 一部を構成する調査の実施、取りまとめ等)を他の者に委託するために必要な経費です。 委託を行うに当たっては、第三者に委託することが合理的かつ効果的な業務に 限り実施することができます。 この場合、事業実施計画の承認申請の際に2者以 上の見積書の提出が必要となります。 ただし、委託費は、交付金の額の 50%を超えることはできません。 また、事業の根幹を成す業務を委託することはできません。 |
その他 | 「その他」とは、事業を実施するための、設備・機材等の賃借料、労働者派遣 事業者から補助者の派遣を受けるための経費、臨時に補助者を雇用するための経費(賃金を除く。)、物品購入費、文献購入費、通信運搬費(切手、運送費等)、 複写費、印刷製本費、会議費(会場借料等)、自動車等借上料、事業成果を学会 誌等に発表するための投稿料、各種手数料、収入印紙代等の雑費など、他の費目 に該当しない経費です。
なお、取得単価が、50万円以上の物品等については、事業実施計画の承認申請の際に2社以上の見積書、カタログを提出が必要です。 |
交付額
鳥獣被害防止総合対策交付金(ジビエ利用拡大推進事業) の補助率と交付限度額は下記の通りとなります。
◆補助率 定額
◆交付限度額 1 コンソーシアムあたり 10,000 千円を限度
審査方法と手順
鳥獣被害防止総合対策交付金(ジビエ利用拡大推進事業)は、下記のような流れで審査が進められていきます。
①書類確認
・応募の要件(応募者の資格、交付申請金額、事業期間、重複申請の制限等)について、農林水産省農村振興局農村政策部鳥獣対策・農村環境課において、要件を満たすことを確認します。
・応募の要件を満たしていないものについては、以下の審査の対象から除外されます。
②書類審査
・審査委員会において、審査を行います。
③最終審査
書類審査の評価結果を踏まえ、交付金交付候補者を選定します。
④交付金交付候補者の決定
審査委員会による審査結果は農林水産省農村振興局長に提出され、農村振興局長は、交付金交付候補者を最終決定します。
◆審査結果の通知等
・審査の結果については、交付金交付候補者が最終決定し次第、速やかに応募者に対してその旨通知されます。
・最終決定された交付金交付候補者については、その名称及び事業名を農林水産省のホームページ等で公表されます。
まとめ
農林水産省が実施している「鳥獣被害防止総合対策交付金(ジビエ利用拡大推進事業)」について、 事業内容を始めとして、応募資格、交付対象経費、交付金額、審査方法と手順などをまとめて解説してきました。
鳥獣の被害が拡大していますが、捕獲した鳥獣を地域資源として小売や外食、農泊や観光につなげていくことで、農山村の所得に変えていけるのではないでしょうか?
野生鳥獣による被害であるマイナスをプラスに変えるジビエ振興に取り組んでいるのなら、資金調達としても活用できる「鳥獣被害防止総合対策交付金(ジビエ利用拡大推進事業)」をぜひお役立てください。
野生鳥獣肉(ジビエ)の活用や需要拡大を図り、地域資源として活かしていきましょう。