店舗をリフォームしたいと思ったとき、補助金、助成金といったものが支給されることがあるのはご存知でしょうか?
補助金、助成金を受け取るための応募要項を満たし、受け取ることができれば店舗リフォームにかかる費用は大分楽になるはずです。
しかし、これらを受け取るのにはいくつか注意点もあるため、あらかじめ把握しておきましょう。
今回は、以下3つの店舗のリフォームに使える補助金、助成金を紹介していきます。
①小規模事業者持続化補助金
②業務改善補助金
③受動喫煙防止対策助成金
①小規模事業者持続化補助金
日本商工会議所による小規模事業者が対象となっている補助金で、飲食業の場合は常時使用する従業員の数5人以下の場合申請可能です。
店舗のリフォームの経費などが対象となります。
趣味で店舗のリフォームをしたいとか、気分転換のためにリフォームをしたい、といった動機だけでは申請は下りません。
あくまでも、経営にかかわることが大前提になることを認識してください。
1.対象事業の例(販路の拡大)
補助金の対象となる【販路の拡大】となる事業を小売店や飲食店を例に挙げてみます。
■広報費
・チラシを制作、配布して【販路の開拓】をする
・HPの作成やネット販売システムを構築して【販路の開拓】をする
■開発費
・新商品を開発して【販路の開拓】をする
■外注費
・飲食店などで、個室やお座敷などを設けて【販路の開拓】をする
その他にも出張販売の為の車両購入や、マスコミやウェブサイトでの広告費なども補助金の対象となります。
2.対象事業の例(業務の効率化)
そして、もう一つのテーマ【業務の効率化】にあたる事業は、
■機械装置等費
・新たなPOSレジシステムを導入し、売上管理業務を【効率化】する
・経理・会計ソフトウェアを導入し、決算業務を【効率化】する
■外注費
・従業員の作業動線の確保や整理スペスを導入して作業を【効率化】する
などが例として挙げられます。
上限額は原則50万円まで(補助率2/3)となっており、他の補助金(例:ものづくり補助金なら上限額1000万円)に比べると低めとなっていますが、顧客獲得に向けた取り組みや、労働環境の改善への取り組みが、直接対象事業となっている点で分かりやすく、初めて補助金の利用を考えている事業者にもおすすめです。
補助金を申請するときのステップ
補助金を申請するときのステップは、大きく4つに分かれています。
1. 経営企画書、補助事業計画書を作成
2. 1.で作成した書類を地域の商工会議所に提出し、事業支援計画書の作成・交付を依頼
3. 事業支援計画書を商工会議所から受け取る
4. 必要な提出書類を補助金事務局に提出
なお、1から4をすすめるときに、商工会議所の支援を受けることができます。
また、4で応募者全員が必要となる提出書類は下記のとおりです。なお、法人や個人事業主によって追加で必要な書類もあります。
・小規模事業者持続化 補助金事業に係る 申請書
・経営計画書
・補助事業計画書
・事業支援計画書
・補助金交付申請書
・電子媒体(CD-R・USB メモリ等
②業務改善補助金
賃金水準の底上げを支援する目的で制定された、厚生労働省の制度。従業員の時間給をあげ、条件を満たすことができれば、店舗のリフォーム費に使える補助金を得ることができます。
支給の要件
1・賃金引上計画を策定すること
2・事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる(就業規則等に規定)
3・引上げ後の賃金額を支払うこと
4・生産性向上に資する機器・設備などを導入することにより業務改善を行い、その費用を支払うこと
( (1) 単なる経費削減のための経費、 (2) 職場環境を改善するための経費、 (3)通常の事業活動に伴う 経費は除きます。)
5・解雇、賃金引下げ等の不交付事由がないこと など
その他、申請に当たって必要な書類があります。
助成額
申請コースごとに定める引上げ額以上、事業場内最低賃金を引き上げた場合、生産性向上のための設備投資等にかかった費用に助成率を乗じて算出した額が助成されます(千円未満端数切り捨て)。
なお、申請コースごとに、助成対象事業場、引上げ額、助成率、引き上げる労働者数、助成の上限額が定められていますので、ご注意ください。
生産性向上に資する設備・機器の導入例
・POSレジシステム導入による在庫管理の短縮
・リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮
・顧客・在庫・帳票管理システムの導入による業務の効率化
・専門家による業務フロー見直しによる顧客回転率の向上
・作業効率及び安全性の向上を目指した工場、店舗等の改装、機器等の購入費用
・労働能率の増進に資する研修
業務改善助成金の手続き
1.助成金交付申請書の提出
業務改善計画(設備投資などの実施計画)と賃金引上計画(事業場内最低賃金の引上計画)を記載した交付申請書(様式第1号)を作成し、都道府県労働局に提出します。
2.助成金交付決定通知
都道府県労働局において、交付申請書の審査を行い、内容が適正と認められれば助成金の交付決定通知を行います。
3.業務改善計画と賃金引上計画の実施
業務改善計画に基づき、設備投資等を行います。
賃金引上計画に基づき、事業場内最低賃金の引上げを行います。
4.事業実績報告書の提出
業務改善計画の実施結果と賃金引上げ状況を記載した事業実績報告書(様式第9号)を作成し、都道府県労働局に提出します。
5.助成金の額の確定通知
都道府県労働局において、事業実績報告書の審査を行い、内容が適正と認められれば助成金額を確定し、事業主に通知します。
6.助成金の支払い
助成金額の確定通知を受けた事業主は、支払請求書(様式第13号)を提出します。
注1:交付申請書を都道府県労働局に提出する前に設備投資等や事業場内最低賃金の引上げを実施した場合は、対象となりません。
注2:事業場内最低賃金の引上げは、交付申請書の提出後から事業完了期日までであれば、いつ実施しても構いません。
注3:設備投資等は、交付決定通知後に行う必要があります。
③受動喫煙防止対策助成金
厚生労働省による助成金で、飲食店等で喫煙室の設置にかかる経費のうち、工費、設備費、備品費、機械装置費などが助成対象になります。
例えば、喫煙可能区域と非喫煙区域を隔てるためのパーティション、ドアや換気装置・空気清浄装置などが該当します。
通常の補助率は1/2ですが、飲食店に関しては平成30年度は特別に2/3となっており、飲食店の分煙化促進に適した助成金といえるでしょう。
対象事業主
以下のような条件が定められています。
〇労働者災害補償保険の適用事業主で、以下の条件に該当する中小企業事業主
〇卸売業:常時雇用の従業員が100人以下、または資本規模が1億円以下であること
〇小売業:常時雇用の従業員が50人以下、または資本金規模が5,000万円以下であること
〇サービス業:常時雇用の従業員が100人以下、または資本金規模が5,000万円以下であること
〇それ以外の業種:常時雇用の従業員が300人以下、または資本金規模が3億円以下であること
助成対象
〇一定の要件を満たす喫煙室の設置に必要な経費
〇一定の要件を満たす屋外喫煙所の設置に必要な経費
〇喫煙室・屋外喫煙所以外に、受動喫煙を防止するための換気設備の設置などの措置に必要な経費
(参考)各措置の違い
助成率、助成額
喫煙室の設置などに係る経費のうち、工費、設備費、備品費、機械装置費などの 2分の1(飲食店は3分の2)
上限100万円となっています。
※申請に当たっては、喫煙室の設置等の事業計画の内容が技術的及び経済的な観点から妥当であることが必要です。
特に経済的な観点の目安として、単位面積当たりの助成対象経費が下の表に掲げる上限を超える場合、合理的な理由があると都道府県労働局長が認める場合を除き、単位面積当たりの助成対象経費上限額までで助成金の交付決定を行いますのでご注意ください。
例) 飲食店以外の事業場が3m 2 の喫煙室を設置する計画の場合、合理的な理由が認められない限り、助成対象経費として3m 2 ×60万円 /m 2 =180万円まで(助成額にして90万円まで)しか認められません。
交付対象 | 設置を行おうとする喫煙専用室等の単位面積あたりの助成対象経費上限額 |
①喫煙専用室の設置・改修
②指定たばこ専用喫煙室等の設置・改修 ③屋外喫煙所の設置・改修 |
60万円/㎡ |
④上記以外の受動喫煙を防止するための措置・改修
(換気装置の設置など) |
40万円/㎡ |
助成金・補助金の申請に必要な書類
ここでは、厚生労働省「受動喫煙防止対策助成金」を例に挙げ、助成金の申請・実績報告に必要な書類についてご紹介します。
かなり多くの書類を必要としますので、チェックしておきましょう。
・交付申請に必要な書類
1.受動喫煙防止対策助成金交付申請書(所定の様式)
2.受動喫煙防止対策についての事業計画(所定の様式)
3.交付要件に該当する旨及び不交付要件には該当しない旨の申立を行う書類(所定の様 式)
4.措置を講じる場所の工事前の写真(申請日より3か月以内の撮影)
5.設置を予定している喫煙室や換気装置の場所など助成事業の詳細を確認できる資料
6.講じる措置が要件を満たして設計されていることが確認できる資料
7.事業場の室内とそれに準ずる環境で、措置を講じる区域以外での喫煙を禁止する旨を説明する書類
8.講じる措置に関する施工業者からの見積書の写し(2つ以上の業者から見積を取ること)
9.その他都道府県労働局長が必要と認める書類
・事業実績報告に必要な書類
1.受動喫煙防止対策助成金事業実績報告書(所定の様式)
2.受動喫煙防止対策についての事業結果概要報告書(所定の様式)
3.受動喫煙防止対策助成金交付決定通知書の写し
4.交付決定内容について変更をおこなった場合には、受動喫煙防止対策助成金交付決定内容変更承認通知書の写し(複数回変更をおこなっているなら、すべての写し)
5.工事に関する領収書や、経費に関する内訳を記載したものの写し
6.措置を講じた場所や、受動喫煙防止のための設備・備品に関する詳細を確認可能な写真(工事終了後すぐ撮影したもの)
7.交付決定を受けた内容と実際に実施した事業が相違ないことを説明する書類
8.講じた措置が要件を満たしていることが確認できる資料
9.その他都道府県労働局長が必要と認める書類
申請手続きの流れ
※ 工事の着工前に「受動喫煙防止対策助成金交付申請書」を所轄都道府県労働局長に提出し、あらかじめ交付決定を受ける必要があります。
※ 助成金の支給は工事実施後となります(概算払いではありません)。
まとめ
店舗のリフォームには、いろいろお金が掛かるものです。
しかし、各種補助金や助成金を活用することによって負担を大きく減らすことができることを知っておきましょう。
まずは、補助金や助成金に当てはまるのか、どのように申し込みをしたら良いのかなど、確認してください。
とくに、喫煙スペースの設置にお金がかかると思われている方は、受動喫煙防止対策助成金の活用がうってつけだと思います。
せっかくの店舗のリフォームですから、補助金や助成金をもらって満足のいく仕上がりを目指しましょう。