
堅実なイメージで、安定した収入も期待できる金融業界機関です。
どういった資格が必要なのか、キャリアアップにつながる資格はあるのか、気になる方も多いのではないでしょうか?
今回は、一部の業務で必須の資格や、持っていると役立つ資格まで、金融機関の以下5つの資格を紹介します。
①証券外務員
②証券アナリスト
③ファイナンシャル・プランナー(FP)
④DCプランナー (企業年金総合プランナー)
⑤貸金業務取扱主任者
①証券外務員
証券外務員の資格は、金融機関に勤務していれば必ずといってよいほど会社から取得を命じられます。
証券外務員は、金融機関において証券や株式、信用取引などの案内・勧誘活動に携わるうえで必須となる資格です。
金融商品や取引業務のノウハウを熟知し、法令諸規則への理解度も高いと見なされた者に対し、日本証券業協会から金融取引業務の代理を許可されます。
証券外務員には二種と一種がある
証券外務員二種はあくまで現物の株式といった外務員の業務を行えますが、信用取引やデリバティブ取引といった責任が大きく、高リスクの商品については募集・勧誘を行うことができません。
一方で証券外務員一種は、証券外務員二種の上級資格として位置付けられていることから、上述した信用取引、デリバティブ取引を含めたすべての有価証券に関係する業務を行うことができます。
種類 | 特徴 |
二種外務員 | 株式・国債・公社債・投資信託等のいわゆる現物を扱うことができる。 |
一種外務員 | 二種外務員が行える業務に加え、信用取引・デリバティブ取引などリスクの高い商品も含めて、金融商品取引に関する全ての金融商品を取り扱うことができる。 |
証券外務員とFPの違い
証券外務員に似た金融系の資格には、FP(ファイナンシャルプランナー)があります。
この2つの資格の違いとしては、証券外務員は金融商品を取り扱うこと(募集や契約の媒介)ができる公式な資格であるのに対して、FPは投資信託、税金、不動産などの金融知識を身に付けることができる資格であり金融商品は取り扱うことができません。
FPはあくまで、一般の人やご家庭のお金についてアドバイスを行うことができる知識を勉強して習得した、と証明する資格です。
ご家庭などの財産管理や人生設計についてアドバイスすることはできますが、金融商品を取り扱うことはできないのです。
証券外務員と証券アナリストの違い
金融関係の会社に勤める人が取得を目指す資格の1つが証券アナリストです。
証券アナリストは証券外務員と比べても難易度はかなり上なので、上位資格であるといえます。
勉強する内容や範囲において、証券外務員(一種、二種)と証券アナリストは2~3割ほど重複しています。
証券アナリスト取得者が証券外務員を取得するのは簡単ですが、逆の場合はさらに勉強しなければなりません。
証券アナリストの試験問題は、高度な数学知識が必要で、計算問題も多いです。一方、証券外務員は簡単な暗記モノの出題が中心で計算問題はほとんどありません。
新卒で金融関係の会社に就職するのであれば、まずは、入社前に証券外務員を取得して、入社後に証券アナリストを取得するのが流れです。
②証券アナリスト
証券アナリストとは、公益社団法人日本証券アナリスト協会が運営する資格試験です。
証券投資の分野において、高度の専門知識と分析技術を応用し、各種情報の分析と投資価値の評価を行い、投資助言や投資管理サービスを提供するプロフェッショナルです。
仕事内容は「金融市場を分析し調査すること」
証券アナリストの仕事内容は、 金融市場を分析し、調査することです。
証券アナリストが専門とするのは株式市場だけでなく、債券市場や商品市場なども分析・調査を行います。
株式市場、債券市場、商品市場とはそれぞれ以下のような市場のことです。
株式市場 | 株式会社が発行する株式の流通市場 |
債券市場 | 国債や地方債、政保債、普通社債、外債などの債券が流通する市場 |
商品市場 | 金やプラチナ、商品ファンド、商品先物取引の流通市場 |
証券アナリストが活躍するフィールド
それでは、実際に証券アナリスト資格保有者はどのような分野で活躍しているのでしょうか?
銀行・証券業界のみならず、一般事業会社など幅広い業種に拡大しており、金融・資本市場のプロとして、資産運用、調査、財務、IR、IT、営業など多様な分野で活躍しています。
ファイナンスはもちろんのこと、マクロ経済学や財務会計まで幅広い知識を有しており、変化する時代の経営判断に欠かせない人材といえます。
MBAホルダーたちが、「経営に関わる知識を身に付けたければうってつけの資格だ。理論をしっかりと身に付けるための勉強がしたければ、MBAに2年間通うより、この資格試験の勉強をした方が効率的かもしれない」、と称賛する所以が、まさにここにあります。
③ファイナンシャル・プランナー(FP)
ファイナンシャル・プランナー(FP)は、個人や中小企業の相談に応じて、資産に関する情報を分析し、ライフイベントに沿って資金計画を立て、資産設計のアドバイスを行う仕事です。
年金、金融資産運用、保険、税、不動産、相続・事業承継等を総合的に検討します。
資格の種類は国家資格の1級FP技能士、2級FP技能士、3級FP技能士と、日本FP協会が認定する民間資格のAFP、CFPがあります。
業務内容
⑴ライフプランを考える
人生を通してのライフプラン(生涯生活設計)をお客さまと一緒に考え、課題を明確化し、解決する手伝いをするのがファイナンシャルプランナーの主な仕事です。
生涯生活設計とは、就職、結婚、子の誕生、教育、マイホーム取得、子の独立、老後の生活というライフステージごとに必要になる金額を計算し、資金計画を立てることです。
⑵資金計画のアドバイスをする
ファイナンシャルプランナーは、顧客と一緒に作成したライフプランに基づき、顧客が不安を感じることに相談にのったり、アドバイスをしたりする仕事です。
日本FP協会のサイトには、「ファイナンシャル・プランニングとは夢や目標に対して総合的な資金計画を立て、経済的な側面から実現に導く方法である」と書かれています。
また、金融財政事情研究会のサイトによれば、「ファイナンシャルプランナー(FP)は個人や中小企業の相談に応じて、顧客の資産に関する情報を収集・分析し、顧客のライフプランやニーズに合わせた貯蓄、投資、保険、税務、不動産、相続・事業承継等についてのプランを立案し、アドバイスを行う資産相談に関する専門家」と定義されています。
役割
ファイナンシャルプランナーの役割をわかりやすくまとめてみると、「人生設計に必要とされる各分野の情報を総合的に考えて問題点を見つけ、お客さまの立場で解決方法を考えること」といえるでしょう。
顧客が自身の人生の目標を達成し、安定した生活が送れるように、長期的な視点でアドバイスすることがファイナンシャルプランナーの役割です。
④DCプランナー (企業年金総合プランナー)
年金制度に関する専門的な知識を持って、年金の普及・啓発をするのがDCプランナー(企業年金総合プランナー)。
DCプランナーは、日本商工会議所と金融財政事情研究所が共催して行うDCプランナー(企業年金総合プランナー)認定試験に合格して、日本商工会議所に登録することで活動することができます。
仕事内容
「DC」とは、確定拠出年金プラン(=Defind Controbution Plan)のことです。
確定拠出年金というのは、国民年金や企業年金などの確定給付年金に加えて、新たな選択肢として公的年金に上乗せされる制度です。
老後の所得保障のいっそうの充実が可能になります。
また、国民年金などと違い、加入者個人が運用方法を決めて、その結果に応じた年金額の給付を受けとるという制度です。
従来の年金制度とは違い、
・自分で年金資産の運用を選定・指図
・運用実績に応じて将来の受給年金額が決まる
・転職しても年金資産を持ち運べる
等が大きな特徴です。
勤務形態
とても知名度の低い資格ですので、この資格だけで独立というのは困難ですが、社会保険労務士やファイナンシャルプランナーの方がダブル取得することで地位を高めているようです。
銀行や金融関係の方であれば、就職・転職の際にも有利となりますので、取得しておいて損をするような資格ではありません。
社労士やFPが退職金のコンサルティングなどを行う為の学習にもなりますし、売り込むための要素にもなるかもしれません。
DCプランナーが活躍する場は、企業の戦略担当として、そこで働く社員に対する教育とライフプランアドバイザーとして、まだまだ十分に活躍する場が用意されているということになります。
⑤貸金業務取扱主任者
平成21年に始まった国家資格である貸金業務取扱主任者は、資金需要者を保護する目的で制定されました。
この背景には、多重債務者の増加やグレーゾーン金利の廃止などがあります。
そして平成22年以降、貸金業者の事業所には、規模ごとに定められた人数の貸金業務取扱主任者を配置することが義務づけられています。
資格詳細
貸金業務取扱主任者とは、2003年の「貸金業の規制等に関する法律」(貸金業法)が改正された際に創設された制度で、2009年から国家資格として試験が実施されるようになった新しい資格です。
2010年以降は、貸金業務取扱主任者の設置が義務づけられ、貸金業者は営業所または事務所ごとに法定人数(50人あたり1人以上)を配置せねばならない、いわゆる「必置資格」となっています。
貸金業に従事する人にとっては、もはやなくてはならないほど重要な資格です。
活躍場所
貸金業務取扱主任者の活躍場所は、消費者金融に代表される貸金業界です。
ヤミ金などの悪質業者を取り締まるための法改正によって誕生した経緯からわかるとおり、貸金業務取扱主任者の使命は、貸金業界の健全化にあります。
業務に従事する人びとが、貸金業に関する法令を遵守し、適正に業務をおこなえるように、助言および指導を実施するのが主な役割です。
こうして利用者が、適切な契約のもとで安心してお金を借り、返済できる環境を整備、監督します。
業務適切性維持の為、主任者が管理すべき事
・法令等遵守(コンプライアンス)態勢等
貸金業者が貸金市場の担い手としての自らの役割を十分に認識して、法令及び社内規則等を厳格に遵守し、健全かつ適切な業務運営に努めることは、貸金業者に対する資金需要者等からの信頼を確立することとなり、ひいては貸金市場の健全性を確保する上で極めて重要です。
・本人確認、疑わしい取引の届出
犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号。以下「犯収法」)に基づく本人確認及び、「疑わしい取引の届出」に関する内部管理態勢を構築することは、組織犯罪による金融サービスの濫用を防止し、我が国金融市場に対する信頼を確保するためにも重要な意義を有しています。
・反社会的勢力による被害の防止
反社会的勢力を社会から排除していくことは、社会の秩序や安全を確保する上で極めて重要な課題であり、反社会的勢力との関係を遮断するための取組みを推進していくことは、企業にとって社会的責任を果たす観点から必要かつ重要なことです。
特に、公共性を有し、経済的に重要な機能を営む貸金業者においては、貸金業者自身や役職員のみならず、顧客等の様々なステークホルダーが被害を受けることを防止するため、反社会的勢力を金融取引から排除していくことが求められます。
まとめ
金融業界で活躍するための資格はとても多くあります。職種によって必要な資格が異なり、資格を持っている事で、昇給したりキャリアアップする事ができます。
これらの資格は、一口に「金融」といってもその難易度や主要科目は幅広く、気軽に取得できるものから、一生ものとして目指す価値のあるものまでバラエティーに富んでいます。
とくに、証券外務員資格は金融関連の知識を網羅的に学べるので、金融業界を目指す人はもちろん、将来金融業界に行くかどうか分からない人も社会人として持っていて損はない資格です。
また、証券外務員資格は一定数しか合格させないのではなく、7割正解すれば合格といったように努力がそのまま結果につながる試験ですので、就職活動中の大学生にとってもおすすめです。
転職やキャリアアップを後押ししてくれるような資格を選んでみてはいかがでしょうか。