課税対象となる補助金と助成金の会計処理と節税や2種類の圧縮記帳について解説

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節税

補助金や助成金は、事業を運営する上で有効となる資金調達ですが、課税対象となることをご存知でしょうか?
補助金と助成金は収入と見なされ、金額によっては企業に大きな負担となってしまいます。

「課税対象だから仕方がない」と、諦めている方も多いと思いますが、そのような時には節税となるかも知れない「圧縮記帳」を検討してみてはいかがでしょうか?

税金を繰り延べできる「圧縮記帳」は、条件が合えばキャッシュフローの負担を軽くしてくれます。

こちらの記事では、課税対象となる補助金や助成金の説明を始めとして、会計処理や圧縮記帳の方法などについて解説しています。

課税対象となる補助金と助成金

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返済する必要がない補助金や助成金は、企業に対して行われている事業支援制度です。
国や自治体が主体となって実施しており、対象となった企業は補助金や助成金を受給することができます。

【補助金】
◆主に経済産業省や地方自治体の管轄
◆創業支援や設備投資に関する資金援助が対象
◆受給条件を満たし審査を通過すると補助金が受給できる

【助成金】
◆主に厚生労働省の管轄
◆雇用関係や職場環境を中心とした資金援助
◆受給条件を満たせば必ず受給できる

補助金と助成金は、税務の上では収入として見なされ課税の対象となります。
補助金と助成金の受給額と収益を合わせた合計額から、費用を差し引いた利益に対して課税される仕組みです。

補助金と助成金を受給したために収益が増えるために、税金を納めることになります。
その結果、キャッシュフローが悪化し、せっかく受給された補助金と助成金の受取額が減ってしまうということにつながります。

補助金と助成金の税務上の区分をご紹介

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補助金と助成金の税務上の区分は、使用する目的によって違ってきます。
「人件費、物件費、事業経費の場合」と、「建物、機械設備などの固定資産の場合」に分けられ、その扱い方は異なります。

「人件費、物件費、事業経費の場合」には、給付された金額と支出する金額が同じ年度に計上となるために、所得税が生じず税金は発生することはありません。

「建物、機械設備などの固定資産の場合」には、減価償却をしなくてはいけないため、給付された金額と実際の支出した金額に差額分が生じてしまいます。
この差額分が収益とみなされて、課税の対象となってしまうのです。

非課税となる消費税

受給した補助金や助成金に対して、消費税は課せられることはありません。
消費税が加算されるのは、事業者が資産を販売し、対価を得た時に生じる税金です。

補助金や助成金は、その対象とならないので消費税は非課税です。

補助金や助成金の会計処理のやり方

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補助金や助成金の会計処理を行うときには、基本的に雑収入の勘定科目を使って処理していきます。
どのようなタイミングで行うのか、仕訳方法や勘定科目、決算期をまたぐ場合など、補助金と助成金の会計処理について、詳しく見ていきましょう。

支給決定通知書を受け取るタイミング

補助金と助成金を会計処理は、次の3つのタイミングが考えられます。

◆補助金や助成金を受け取った時
◆固定資産なとを取得した時
◆決算時の減価償却を計上する時

しかし、補助金や助成金の入金には、時間がかかってしまうのが一般的です。
そのため、会計処理を行うタイミングは、「支給決定通知書」が送られてきたときに処理を行うとよいでしょう。

ただし、支給決定から補助金や助成金の入金日が短い場合には、同事業年度に処理を行っても問題ありません。
もしも決算日をまたいでしまう場合には、「支給決定通知書」が送られてきた時点で処理を行うとよいでしょう。

※会計処理を行わないで計上漏れとなってしまうと、過少申告加算税や延滞税が科せられる可能性がでてきてしまうので、注意してください。

補助金と助成金の仕訳方法

補助金と助成金を仕分けるときには、雑収入の勘定科目を使って仕訳を行ってください。

次に、仕訳例として、「事業年度をまたがないで1,000万円の補助金を受給し、2,000円の建物(耐用年数5年)を購入した」場合、下記のような仕訳となります。(直接法を使用)

【決算をまたがない場合の会計処理】

  借方 貸方
補助金の受け取り時 預金 1,000万円 雑収入 1,000万円
固定資産等の取得時 建物 2,000万円 預金 2,000万円
決算時の減価償却費の計上 減価償却費 400万円 建物 400万円

補助金と助成金が決算期をまたぐ入金の場合

補助金や助成金の支払決定日と、実際の受取日が決算日をまたいでしまう場合には、「未収入金」の勘定を使って会計処理を行ってください。
そして、実際に入金された時に、「未収入金」と「預金」を振り替える会計処理をしていきます。

【決算期をまたぐ場合の会計処理】

借方 貸方
支給が決定した日 未収入金 1,000万円         雑収入 1,000万円
補助金の受け取り時 預金 1,000万円 未収入金 1,000万円
固定資産等の取得時 建物 2,000万円 預金 2,000万円
決算時の減価償却費の計上 減価償却費 400万円 建物 400万円

補助金と助成金が課税となる問題点

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受け取った補助金や助成金は、収入とみなされる「雑収入」として計上され、課税の対象となります。
設備や機械の固定資産を取得しようとしていた場合には、補助金や助成金の課税分が資金不足になってしまう可能性がでてしまい、資金繰りが悪化するという問題が発生するかも知れません。

このような問題を解決するために、「圧縮記帳」という方法が用いられています。

圧縮記帳で節税する方法

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「どのような節税なのか?」と心配される方も多いと思いますが、圧縮記帳は、税法で認められている特例なので安心して使うことができます。

「圧縮記帳」では、受け取った補助金を損金として計上することができ、さらに取得金額から補助金額を差し引いた金額を固定資産額にします。

【圧縮記帳できる場合】

◆国庫補助金となる国や地方自体が交付する特定の施策の奨励、財政援助のための助成金や補助金を取得した場合

◆火災による保険金を受けて固定資産を取得した場合

圧縮記帳をしない場合

下記の条件で、圧縮記帳をしていない場合をみています。
【補助金1,000万円を受給。2000万円の建物(耐用年数5年)を購入し税率が35%の場合】
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補助金1,000万円に対して1年度は35%の課税となり、350万円もの税金を納めなければなりません。

2年度からは減価償却費として、「固定資産2000万円 ÷ 耐用年数5年 = 400万円」が1年度分として損金計上できることになります。

5年間において合計700万円の税金を軽減することができます。

圧縮記帳を適用した場合

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上の図は、圧縮記帳をした場合の会計処理の流れです。

圧縮記帳をした場合、1年度目は補助金を圧縮損1,000万円と計上しますので、雑収入は0円となり課税の対象ではなくなります。

2年以降からは、「固定資産1000万円 ÷ 耐用年数5年 = 200万円」が1年度分の減価償却費となりますので、5年間で350万円の税金を軽減することができます。

圧縮記帳の納税額比較

「圧縮記帳をした場合」と「圧縮記帳をしない場合」を比較してみると、「圧縮記帳をした場合」は、1年目の納税額を減らすことは可能となります。
ただし、2年度からは減価償却が少なくなり納税額が大きくなります。

ここで気をつけてほしいのは、1年度目に払うはずの税金を、耐用年数の期間で後払いとするということです。
税金を払わなくてもいいと言うことではありません。

しかし、圧縮記帳を利用すると、次年度以降に税金が繰り延べられると同時に、分散できるため、補助金を受給した年度の資金繰りを改善することができます。

圧縮記帳の2種類の方法を確認

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資金繰りを改善できる圧縮記録には、「直接減額方式」と「積立金方式」の2つの種類があるので、よく確認しておいてください。

直接減額方式

固定資産を得た取得金額から、受給した補助金額を直接減額して計上する方法を「直接減額方式」といいます。
会計処理は、固定資産を取得した時に行い、補助金分を「固定資産圧縮損」として差し引く形で処理します。

決算の際に、固定資産の記帳価値に対しての減価償却費を計上していきます。(間接法を使用)

  借方 貸方
固定資産等の取得時 建物 2,000万円 預金 2,000万円
  預金 1,000万円 雑収入 1,000万円
  固定資産圧縮損 1,000万円 建物 1,000万円
(決算時)減価償却費の計上 減価償却費 200万円 減価償却累計額 200万円

「固定資産圧縮損」として計上しても、記帳された固定資産額のみで減価償却費を算出すればよいだけなので、会計処理が簡単に行なえます。

積立金方式

決算時に「圧縮積立金」を計上する方法を、「積立金方式」といいます。
仕訳の方法は、次のように行います。

  借方 貸方
固定資産等の取得時 建物 2,000万円 預金 2,000万円
  預金 1,000万円 雑収入 1,000万円
取得した事業年度の決算時 繰越利益剰余金 1,000万円 圧縮積立金 1,000万円
(決算時)減価償却費の計上 減価償却費 400万円 減価償却累計額 400万円
  圧縮積立金 200万円 繰越利益剰余金 200万円

「積立金方式」は、決算時に「圧縮積立金」計上し、毎回の決算時に耐用年数で等分した「圧縮積立金」を差し引く形で行われます。

「直接減額方式」よりも複雑になりますが、固定資産の取得原価を帳簿に反映できること「圧縮積立金」の特徴と言えるでしょう。

圧縮記帳をする際の注意するべき事

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補助金と助成金を受給した時に、圧縮記帳を活用すれば1年度目に高額な税金を納める必要はなくなりますが、いくつか注意点も生じてくるので確認しておきましょう。

1年度の税金は少ない額ですみますが、次年度からは計上できる減価償却費が減ってしまいます。
圧縮記帳は、税金を後払いにしているだけなので、節税できるメリットはないのです。

また、圧縮記帳を利用するときには、収益全体を考える必要があるので、税理士や専門家に相談すると安心です。

優遇措置を受けるときには注意

圧縮記帳を利用しているのなら、税制上の「優遇措置」を受ける時には気をつけてください。
「中小企業投資促進税制」を利用した場合、取得価格の30%までが特別償却として認められることになっていますが、「圧縮記帳」を利用していると、補助金が取得金額から引かれているために、特別償却の金額も少なくなってしまいます。

圧縮記帳を利用していると、その他の優遇措置が最大限に生かされない場合が生じるので、よく確認しておくことが大切です。
税務のプロや専門家にアドバイスを受けることも、ひとつの解決策となるでしょう。

まとめ

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課税対象となる補助金や助成金について、会計処理のやり方、圧縮記帳の解説など、補助金や助成金にかかる税金に対して、まとめてみました。
補助金や助成金には税金がかかり、受給された際には多くの税金がかかってしまうことがあります。
資金繰りに響かないようにするには、圧縮記帳を使い1年度目の税金を、後払いにするという方法があります。
この場合、圧縮記帳は節税とはならず、税金を繰り延べしただけですが、1年度にかかってくる税金をあとに回して分散することで、資金繰りの負担を軽くすることができます。

補助金や助成金を受け取った際には、圧縮記帳を使って賢く税金を納めることを考えてはいかがでしょうか?

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