IoTやAI等の技術が進歩する中で、船舶の開発や設計、建造や運航においてもIoTやAI等の技術活用していき根本的な生産向上を推し進めていくことは大切です。
また、海事分野ではデジタライゼーションがすすみ、IoT活用船がより高度化する中で、AIを含むIT技術を活用して海事産業の課題を解決していためには、ベンチャー企業を含むIT業界との連携が必要となるでしょう。
このようなことを踏まえて、国土交通省では、先進船舶導入等計画策定支援事業が設けられました。
海上運送法に基づく先進船舶導入等計画の策定を促進し、IoTを活用して航行の安全性や効率性の向上等を実現するための民間の発意を促し、さらには資金調達としても役立つ補助金となっています。
こちらの記事では、先進船舶導入等計画策定支援事業を詳しくご紹介していきます。
先進船舶導入等計画策定支援事業
先進船舶導入等計画策定支援事業は、AI を含む IT 技術を活用して海事産業の課題を解決していく重要性が高まっており、そのためにはベンチャー企業を含む IT 業界との連携が重要になると考え、支援するために設けられた事業です。
特に、海事産業の IT 化及び異業種連携の促進につながるような調査を重視しています。
先進船舶導入等計画を策定するための調査に要する経費を補助することで、先進船舶の普及を促し、航行の安全性若しくは効率性の向上、快適性の確保又は環境負荷の低減につなげるとともに海事産業の活性化及び国際競争力の維持・強化を図ることを目的としています。
補助対象事業
先進船舶導入等計画策定支援事業の補助対象となる事業は、下記の通りとなります。
◆先進船舶導入等計画(代替燃料船・IoT 活用船に関するもの)の策定を促進することにより、海事産業の活性化や国際競争力の維持・強化、航行の安全性若しくは効率性の向上、快適性の確保又は環境負荷の低減を図ることを目的とし、この目的を達成するために効果があり、かつ下記のの要件を満たす調査を実施する事業が対象です。
①先進船舶導入等計画を策定するために必要な調査を実施するものであること。
②補助対象事業(①の調査、先進船舶導入等計画の案の策定及び事業完了報告書の策定並び
にこれらの成果の国に対する報告)が 2020 年度内に終了するものであること。
③外部有識者の評価による得点が6割以上であること。
応募資格
先進船舶導入等計画策定支援事業補助事業の実施を希望する者(提案者)は、下記の①~③の要件を満たす、次の企業となります。
◆民間企業、協同組合、企業組合、有限責任事業組合、民間非営利団体、独立行政法人、一般財団法人又は一般社団法人(特例民法法人、公益社団法人又は公益財団法人を含む。)、大学等研究機関等である必要があります。
①補助事業を的確に遂行する能力を有すること。
②補助事業に係る経理その他の事務について的確な管理体制及び処理能力を有すること。
③補助事業により得られた成果を活用し、先進船舶導入等計画を策定し、その計画に沿った
研究開発・製造・導入を行う能力があること。
・複数の者が共同で提案できます。
・共同で補助事業を実施する場合には、自己が実施する分に限り、上記要件を満たしてください。
・同一の提案者からの複数の応募も可能です。
事業計画期間および補助額
先進船舶導入等計画策定支援事業の事業計画期間と補助率と補助上限額は下記の通りとなります。
◆事業計画期間:2020 年度末までの間
◆補助率 1/1
◆補助上限額 700万円
補助対象経費の範囲と注意事項
先進船舶導入等計画策定支援事業の補助対象となる経費は、先進船舶導入等計画の策定を目的とする調査事業及び当該事業の効率的かつ計画的な執行を推進するために必要な経費とします。
補助金交付申請時には、各項目の詳細な積算根拠を提示することになります。
補助対象となる項目は、施設費、機械装置費、工具器具備品費、材料費、使用料、プログラム取得費、直接人件費、外注費及びその他経費です。
次に、補助対象経費の各項目内容の表と経費に関しての注意事項を見てみましょう。
補助対象となる経費
先進船舶導入等計画策定支援事業の補助対象となる経費項目と範囲は下記の表のとおりとなります。
施設費 | 事業に直接必要な船舶又は構築物の購入、建造、改造、借入れ、すえ付け、保守又は修繕に要する経費(ガス、水道、暖房、照明、通 風等船舶又は構築物に附属する施設の買い受け等に要する経費を 含み、専ら事業に使用され、かつ、事業に必要不可欠なものに限る。) |
機械装置費 | 事業に直接必要な機械又は装置の購入、製造、改造、借入れ、すえ付け、保守又は修繕に要する経費 |
工具器具備品費 | 事業に直接必要な工具、器具又は備品(木型、金型及び試験器具を含む。)の購入、製造、改造、借入れ、すえ付け又は修繕に要する経費 |
材料費 | 事業に直接必要な原材料又は部品の購入又は製造に要する経費(試作品の製造に必要な経費を含む。) |
使用料 | 試験水槽等の試験設備又は電子計算機の使用に要する経費 |
プログラム取得費 | 事業に直接必要な電子計算機用プログラムの購入、作成、改良又は 借入れに要する経費 |
直接人件費 | 先進船舶導入等計画の策定に直接従事する職員等の直接作業時間 に対する人件費、事業を実施するために直接必要なアルバイトに係る人件費等経費 |
外注費 | 事業に直接必要な機械装置の設計、試料の製造、試作品の試験・評価データの取得・分析等の外注に必要な経費及び事業内容のうち 主要でない部分を委託するための経費 |
その他 | 補助事業に直接かかる上記以外の経費(旅費、印刷製本費、通信運 搬費、会議費、会場借料、諸謝金など) |
補助対象経費の注意事項について
先進船舶導入等計画策定支援事業の補助対象となる経費の注意事項は、下記の通りとなっていますので、よくご確認ください。
◆注意1:補助事業実施に直接かかる経費のみ補助対象となります。
間接的に必要となる経費(管理費・事務費等)は補助の対象となりません。
◆注意2:補助金の額は下記のとおりに算出を行ってください。
① 直接人件費のうち職員は基本給の他、通勤手当、家族手当、住居手当、賞与及び法定福利費とし(退職給付金引当金等は除外する。)、資料整理作業員等の単純労務に服する者に
対する賃金は実施主体が雇用した者に対して支払う実働に応じた対価の見込額(日給又は時間給)で、常識の範囲を超えない妥当な根拠に基づき設定してください。
② 旅費は補助事業を実施するために必要となる調査、情報収集、会議への出席又は成果の発表、普及を行うための旅費に限り、単価は社内規定若しくは、国家公務員等の旅費に関する法律(昭和25年法律第114号)及び国家公務員等の旅費支給規程(昭和25年大蔵省令第45号)の例によります。
③ 会議費の単価は1人当たり1,000円以内とします。
④ 補助事業者等が所有する設備の借料等は補助の対象外です。
⑤ 謝金の単価は社内規定等により常識の範囲を超えない妥当な根拠に基づき設定してください。
◆注意3:借入れに要する経費は補助対象期間の借料のみが補助対象となります。
◆注意4:補助金の額については、次に掲げる経費を含まないものとします。
① 建物等施設に関する経費。
② 机、いす、複写機等、通常備えるべき設備、備品及びパソコン等の汎用品を購入するた
めの経費。
③ 補助事業実施中に発生した事故・災害の処理のための経費。
④ 価格が50万円以上の機械器具であって、賃借が可能なものを購入するための経費。
⑤ 補助事業とそれ以外の事業との切り分けを明確にすることが困難である経費。
・例えば、光熱水料・通信料等、研究開発を管理する職員及び間接的に従事する職員(総務・会計事務等)及び工員の人件費、は補助対象となりません。
◆注意5:補助金に係る消費税の仕入控除税額
・補助対象経費に含まれる消費税のうち、消費税法の規定により仕入れに係る消費税額として控除できる部分の金額及び当該金額に地方税法の規定による地方消費税の税率を乗じて得た金額の合計額に補助率を乗じて得た金額を減額して交付申請をしてください。
・ただし、申請時において仕入控除税額が明らかでないものについては、この限りではありません。
先進船舶導入等計画策定支援事業の流れ
先進船舶導入等計画策定支援事業の選定結果から、補助金交付決定の流れは下記のような流れて進んでいきます。
①国土交通省による選定→通知
②交付申請
・選定された提案者は、国土交通省が定める様式に従って、交付申請書を提出
・交付申請から30日以内を目途に
③交付決定
・提出された交付申請書について、事業計画と積算の妥当性等についてチェック(必要に応じてヒアリング)した上で、補助金の交付が適当と認められたものについて、交付決定が行われます。
・交付決定を受けた後に事業開始となります。
④事業の実施
募集期間・提出先・提案書類等
先進船舶導入等計画策定支援事業の提案を募集する期間、提出場所、提出書類は、下記の通りとなります。
◆提出期限:2021年2月12日(金)17時必着
◆提出場所:〒100-8918 東京都千代田区霞が関2丁目1番3号
国土交通省 海事局 海洋・環境政策課 技術企画室 宛
・封筒に【先進船舶導入等計画策定調査事業提案書在中】と朱書きしてください。
◆提案書類(提案書の記載要領中の各種様式)に必要事項を記載したもの及びプレゼンテーション様式(プレゼンテーション様式を使用)を各 1部と、その書類の電子ファイルを格納した CD-R 又は DVD-R を提出期限までに、提出先まで持ち込み・郵送等により提出してください。
・提案書類は、A4版で印刷し、必ず通しページを下段中央に付した上で、左上をクリップ止めしてください。
・郵送・宅配等に当たっては簡易書留等を利用し、配達されたことが証明できる方法によってください 。
まとめ
国土交通省が実施している先進船舶導入等計画策定支援事業について、補助対象事業、応募資格、補助対象経費や事業の流れ、募集期間・提出先・提案書類等について詳しく解説してきました。
AIを含むIT技術を活用して海事産業の課題を解決していためには、ベンチャー企業を含むIT業界との連携が欠かせなくなりますが、そのような時には、先進船舶導入等計画策定支援事業を、研究開発、製造、導入に係る計画策定のための調査に要する費用に、お役立てください。
補助率も上限額までならば、1分の1となっておりますので、補助対象となる費用を全て補助金で賄えることができます。
これからの海上運送に基づく先進船舶導入等計画に必要となる資金の調達を、補助金で賄って事業の運営やさらなる発展につなげていきましょう。