生産性の向上や新製品やサービスの開発をしようと思っていても、かかる費用に躊躇している中小企業や小規模事業者の方は多いのではないでしょうか?
「ものづくり補助金」は予算枠と上限額の補助金額が、他の補助金よりも多く設定されている補助金です。
生産性の向上や新製品やサービスの開発を検討している企業にとって、規模の大きな「ものづくり補助金」は力強い味方となってくれるでしょう。
また、新型ウイルス感染症対応として特別枠が設けられ、5月27日には新たな3次締切の公募要領が更新されています。
こちらの記事では「ものづくり補助金」や特別枠、公募の回数、必要書類、採択率などについて詳しく解説していますので、前向きな設備投資を有利に進めたい方はぜひご覧ください。
INDEX
生産性革命推進事業が実施する3つの補助金
中小企業生産性革命推進事業は、数年にわたっての中小企業の生産性向上を継続的に支援するために設けられた国が行っている事業です。
中小企業の制度変更、生産性向上の取り組みに応じた設備投資、IT導入、販路開拓などの支援を、一体的かつ素早く実施しています。
中小企業生産性革命推進事業は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」「持続化補助」「IT導入補助」などの3つの事業が実施されています。
コロナ支援の特別枠を設置
新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えるために、「通常枠」に加えて前向きな投資を行う事業者を対象とした「特別枠」が設けられています。
緊急事態宣言解除を受けて本格的に事業が再開するために、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」「持続化補助」「IT導入補助」において、中小企業、小規模事業者に対して支援内容が拡充されました。
3つの事業の中でも補助金額がもっとも多いのが「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。
一般的には、「ものづくり補助金」と言われています。
公募スケジュール
「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」「持続化補助」「IT導入補助」の公開スケジュールは下記の通りとなっています。
◆ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 (一般型)
・通常枠、特別枠共通 申請締切 8月3日(月)17時(3次締切)
・5次締切 令和3年2月頃までの通年公募
◆持続化補助
・通常枠 6月5日(金)当日消印有効
・特別枠 6月5日(金)必着
◆IT導入補助
・通量枠、特別枠共通 申請締切5月29日(金)17時
次に「ものづくり補助金(一般型)」について、詳しくみていきましょう。
ものづくり補助金の特別枠とは?
特別枠とは、コロナウイルスの影響を乗り越えるために前向きな投資を行う事業者に対して行っています。
通常枠とは別に、補助率を引き上げ営業経費を補助対象として、優先的に支援します。
また、業種別のガイドラインに基づいた感染拡大予防の取組を行う場合は、定額補助・上限50万円が別枠(事業再開枠)として上乗せとなります。
ものづくり補助金特別枠の申請要件
ものづくり補助金特別枠の申請要件は、補助対象経費の1/6以上が、以下のいずれかの要件に合致する投資であることとなります。
◆類型A:サプライチェーンの毀損への対応
顧客への製品供給を継続するために必要な設備投資や製品開発を行うこと
(例:部品調達困難による部品内製化、出荷先営業停止に伴う新規顧客開拓)
◆類型B:非対面型ビジネスモデルへの転換
非対面・遠隔でサービス提供するためのビジネスモデルへ転換するための設備・システム投資を行うこと
(例:店舗販売からEC販売へのシフト、VR・オンラインによるサービス提供)
◆類型C:テレワーク環境の整備
従業員がテレワークを実践できるような環境を整備すること
(例:WEB会議システム、シンクライアントシステム等の導入)
ものづくり補助金(一般型)
ものづくり補助金とは、中小企業庁が実施している生産性向上を目的とした取り組み対して支援を行っている補助金です。
中小企業・小規模事業者等が複数年にわたって直面する働き方改革や被用者保険の拡大、賃上げ、インボイス導入などの制度変更の対応に利用できます。
また、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発、試作品開発、生産プロセスの改善を行うため設備投資等の資金に対しての補助も行っています。
今年度の一般型公募は、コロナウイルス感染症拡大によって設けられた特別枠と事業再開枠が含まれる形で行われています。
補助要件
ものづくり補助金の補助対象となるには、下記を満たす3~5年の事業計画の策定及び実行が要件となります。
◆事業者全体の付加価値額 を年率平均3%以上増加
◆給与支給総額を年利率平均1.5%以上増加
◆事業場内最低賃金≧地域別最低賃金+30円
なお、特別枠は、補助事業実施年度の付加価値額及び賃金の引上げを求めることなく、目標値の達成年限を1年猶予としています。
補助対象者
ものづくり補助金の補助対象者は、日本国内に本社及び補助事業の実施場所を有する中小企業者(「中小企業等経営強化法」第2条第1項に規定する者)および特定非営利活動法人に限られています。
ただし、申請締切日前10ヶ月以内に同一事業(令和元年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業)の交付決定を受けた事業者は除かれますので、ご注意ください。
◆中小企業者(組合関連以外)
資本金または従業員数(常勤)が下記の表の数字以下となっている会社および個人が補助対象となります。
業種 | 資本金 | 従業員数(常勤) |
製造業・建設業・運輸業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業(ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業を除く) | 5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業は除く) | 3億円 | 900人 |
ソフトウェア業または情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
その他の業種(上記以外) | 3億円 | 300人 |
◆中小企業者(組合関連)
・企業組合
・協業組合
・事業協同組合、事業協同小組合、協同組合連合会
・商工組合、商工組合連合会
・商店街振興組合、商店街振興組合連合会
・水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会
・生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会
・酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会
・内航海運組合、内航海運組合連合会
・技術研究組合(直接又は間接の構成員の3分の2以上が中小企業者であるもの)
◆特定非営利活動法人
・広く中小企業一般の振興・発展に直結し得る活動を行う特定非営利活動法人であること。
・従業員数が300人以下であること。
・法人税法上の収益事業(法人税法施行令第5条に規定される34業種)を行う特定非営利活動法人であること。
・認定特定非営利活動法人ではないこと。
・交付決定時までに補助金の事業に係る経営力向上計画の認定を受けていること。
補助対象経費
ものづくり補助金(一般型)の補助対象経費は、下記の通りとなります。
なお、設備投資として、単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要となりますので、ご確認ください。
◆通常枠
機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費
◆特別枠
上記に加えて、広告宣伝費・販売促進費
◆事業再開枠
業種別ガイドラインに基づく感染防止対策費
補助上限・補助率
ものづくり補助金の補助上限と補助率は、下記の通りとなります。
◆補助上限 1,000万円
・特別枠の場合に限り、事業再開枠の上乗せが可能 +50万円
◆補 助 率
・通常枠 中小企業 1/2、 小規模企業者・小規模事業者 2/3
・特別枠 A類型 2/3、 B・C類型 3/5
・事業再開枠 定額(10/10、上限50万円)
問合せ先
ものづくり補助金の問い合わせは、ものづくり補助金事務局サポータセンターとなります。
原則、下記の電子メールでの問い合わせとなります。
◆公募要領に関するお問合わせ:monohojo@pasona.co.jp
◆電子申請システムの操作に関するお問合わせ:monodukuri-r1-denshi@gw.nsw.co.jp
【ものづくり補助金事務局サポートセンター】
・受付時間:10:00~17:00(土日祝日を除く)
・電話番号:050-8880-4053
公募回数5回まである令和2年度ものづくり補助金(一般型)
ものづくり補助金(一般型)の公募種ケジュールは、初回の令和2年度3月31日(火)締切を皮切りに、5月、8月、11月、令和3年2月にそれぞれ締切が設定されて行われる予定です。
2次締切以降は、応募期間を約1ヶ月半(2次締切)~3ヶ月(3次締切以降)と長い期間にわたって公募されることになります。
審査期間は約1ヶ月となり、6月末、9月末、12月末、令和3年月末にそれぞれの審査を通った方の採択発表が行われます。
採択された事業者は、交付決定後より補助事業が始められます。
なお、補助事業の実施期間は、交付決定から最大で10ヶ月間となっていますが、補助事業の終了期限は、採択発表日から12ヶ月後となっていますのでお気をつけください。
ものづくり助成金の申請に必要な書類
ものづくり助成金に申請する時に必要な書類は、事業計画書、賃金引上げ計画の表明書、決算書となります。
また、その他として、加点に必要な資料(任意)も必要となる場合があります。
◆事業計画書
・具体的な取組内容や将来の展望、数値目標などを記載した事業計画書
・様式は自由ですが、A4で10ページほどです
・特別枠と事業再開枠には、新型コロナウイルス感染症との関係性の記載してください。
◆賃金引き上げ計画の表明書
・直近の最低賃金と給与支給総額を明記し、それを引き上げる計画に従業員が合意していることがわかる書面
◆決算書
・直近2年間の貸借対照表、損益計算書等
◆その他加点に必要な資料(任意)
・成長性加点:経営革新計画承認書
・政策加点 :開業届 又は 履歴事項全部証明書(創業又は第2創業の場合)
・災害等加点:(連携)事業継続力強化計画認定書
・賃上げ加点:特定適用事業所該当通知書(被用者保険の適用拡大を行う場合)
ものづくり補助金の採択率
ものづくり補助金には、審査があり通過しないと受給することができません。
ものづくり補助金の実際の選択率は、その年によって違いはありますが、約4割程度となっています。
3月31日締切分にいおいての採択率は62.5%と通常の値よりも高くなっていますので、コロナウイルス感染症拡大の影響も受けて、通常よりも高い採択率になるかも知れません。
まとめ
国が実施している生産性革命推進事業の紹介と、その中でも補助額の大きなものづくり補助金について解説してきました。
ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発、試作品開発、生産プロセスの改善を行うため設備投資等の資金に対して継続的に支援してくれる補助金です。
今回は特にコロナウイルス感染症拡大に伴い特別枠が設けられており、5回の公募期間という長い期間の公募が設定されています。
コロナ対策につながるテレワークの整備や非対面型ビジネスモデルへの転換、さらにはサプライチェーンの毀損への対応もものづくり補助金を利用すれば、有利な条件で整備が整えられるでしょう。
ものづくり補助金には審査があり、採択されなければなりませんが、この機会に「ものづくり補助金」に挑戦してコロナウイルスの影響を乗り越えてください。