国内産地の農産物を輸出拡大に向けて、競争力を高めていくためには、農業生産資材および生産コストを低く抑えることが大切です。
しかし、農業生産肥料については、人の手による積込みや取り卸しが広く行われていることから、ドライバーへの負担、ドライバー不足、さらにはトラック運賃の上昇やトラック確保が難しくなっています。
今後ますます肥料流通や遅延等が加速することに、不安を感じている農業者は多いのではないでしょうか?
農林水産省はこのような状況を踏まえて、農業者の所得減少や適期作業に支障をきたすことのないように、「令和2年度産地生産基盤パワーアップ事業のうち新市場獲得対策(新市場対応を支える物流体制の革新)」を設けて支援を行っています。
こちらの記事では、肥料一貫パレチゼーションの体制の構築の取組を行う農業者が利用できる「令和2年度産地生産基盤パワーアップ事業のうち新市場獲得対策(新市場対応を支える物流体制の革新)」をご紹介していきます。
令和2年度産地生産基盤パワーアップ事業のうち新市場獲得対策(新市場対応を支える物流体制の革新)
令和2年度産地生産基盤パワーアップ事業のうち新市場獲得対策(新市場対応を支える物流体制の革新)は、トラック運賃の肥料価格への転嫁による農業者の所得減少や農業者の適期作業に支障が生じることのないよう、肥料の流通合理化を推進するために設けられています。
「肥料一貫パレチゼーション」の体制の構築に必要な以下の取組に対して、補助金を交付しています。
◆肥料一貫パレチゼーションとは?
・肥料を製造地から産地まで同一のパレットに乗せたまま効率的に輸送・保管を行うことをいいます。
応募対象事業の内容
令和2年度産地生産基盤パワーアップ事業のうち新市場獲得対策(新市場対応を支える物流体制の革新) の応募対象となる事業は、肥料の流通合理化を図るため、肥料の製造・流通事業者等が連携し、統一規格パレットや管理システムを活用した肥料一貫パレチゼーションの確立に必要な実証等の取組となります。
実施することができる取組内容は、下記①~⑤の通りとなりますが、②以外の取組は必須となっていますので、よくご確認ください。
① 検討委員会の開催
・本事業に効率的に取り組むため、肥料の製造・流通事業者や学識経験者等からなる検討委員会を開催し、事業全体の方針・内容、課題の解決策等の検討、進行管理及び成果の取りまとめ等を行います。
② 統一規格パレットの導入
・肥料の輸送における荷役を効率化するため、統一規格パレット(1,100mm×1,100mm・プラスチック製平パレット)を導入します。あわせて、必要に応じ、統一規格パレットを用いた輸送における品質維持、積載率向上、作業性向上等に資する資材(2段積み用パレットラック、養生資材等)を導入します。なお、施設内の移送や保管のみを用途とする統一規格パレット等の導入は、取組対象とはしません。
③肥料一貫パレチゼーションの確立に必要な管理システムの開発
・肥料の輸送を効率化するため、統一規格パレットの管理・回収や肥料の出荷等の管理の省力化に必要なRFID等を用いた管理システムを開発します。
④肥料一貫パレチゼーションの確立に必要な管理システムの導入及び実証の実施
・肥料一貫パレチゼーションを確立するための管理システムを導入するために必要なアプリケーション、統一規格パレットに搭載するRFID等のタグ、RFID等を読み取るための機器等を導入します。あわせて、統一規格パレットや管理システムを活用した肥料一貫パレチゼーションの確立に向けた実証を行います。
⑤肥料一貫パレチゼーションの確立に必要な調査の実施
・統一規格パレットや管理システムを活用した肥料一貫パレチゼーションの実証の効果(パレットの回収率・滞留時間・回収コスト、荷待ち時間、荷役作業時間、肥料の出荷等の管理に係る作業時間等)について、現在の輸送体系と比較し、検証や考察等に必要な調査を行います。
◆成果目標
・成果目標は、本事業の実施により、荷待ち時間、荷役作業時間、肥料の出荷等の管理に係る作業時間又は輸送コストのうち、一つ以上が30%以上削減されることとします。
・目標年度は、事業終了年度とします。
応募団体の要件
令和2年度産地生産基盤パワーアップ事業のうち新市場獲得対策(新市場対応を支える物流体制の革新) に応募できる団体は、下記の①~⑦要件をすべて満たしている協議会となります。
①民間団体等(肥料の製造・流通事業者の組織する団体、民間事業者、企業組合、事業協同組合、公益社団法人、公益財団法人、一般社団法人、一般財団法人、特定非営利活動法人等。以下同じ。)により協議会が構成されていること。
②協議会の構成員の中から代表団体が選定されていること。
③代表団体が、本事業を的確に遂行するに足る知見、意思及び具体的計画を有すること。
④代表団体が、本事業に係る経理及びその他の事務について、適切な管理体制及び処理能力を有すること。
⑤代表団体が、本事業の適正な執行に関し、責任を持つことができること。
⑥代表団体が、補助金交付等に係る全ての手続等を行うこと。
⑦定款、組織規定、経理規定等の組織運営に関する規定の定めがあること。
採択要件
令和2年度産地生産基盤パワーアップ事業のうち新市場獲得対策(新市場対応を支える物流体制の革新) の応募する団体は下記の①と②の要件を全て満たしていなければなりません。
①本事業の実施に当たり、肥料の流通関係者(川上となる肥料の製造事業者から、川中となる肥料の卸売事業者等を経由し、川下となる肥料の小売事業者等までの関係者)が一体となって行うものであること。
②本事業を実施するに当たり、統一規格パレットの無選別回収(肥料の製造事業者Aから出発した統一規格パレットが、肥料の流通事業者(卸売事業者や小売事業者等)を経由して、最終的に肥料の製造事業者BやCの手元に戻り、同様に、肥料の製造事業者B又はCから出発した統一規格パレットが、肥料の流通事業者(卸売事業者や小売事業者等)を経由して、最終的に肥料の製造事業者「AやC」又は「AやB」の手元に戻ることであり、肥料の製造事業者における統一規格パレットの出発地と到達地がクロスする仕組への取組を行う。
・無選別回収の取組を行うに当たり、パレットのレンタル会社が協議会の構成員の一員となる場合、すでに商品化されている方法については、取組対象としないため、商品化されていないことを証明する資料を添付すること。
補助額
令和2年度産地生産基盤パワーアップ事業のうち新市場獲得対策(新市場対応を支える物流体制の革新) の補助額と補助上限額は下記の通りとなります。
◆補助上限額 2千5百万円を上限
◆補助率
・定額
① 検討委員会の開催
⑤肥料一貫パレチゼーションの確立に必要な調査の実施
・2分の1以内
② 統一規格パレットの導入
③肥料一貫パレチゼーションの確立に必要な管理システムの開発
④肥料一貫パレチゼーションの確立に必要な管理システムの導入及び実証の実施
・補助金額については、補助対象経費等の精査により減額することがあるほか、補助事業で収益を得る場合には、当該収益分に相当する金額の返還が必要となるときがありますので、お気をつけください。
補助対象経費
令和2年度産地生産基盤パワーアップ事業のうち新市場獲得対策(新市場対応を支える物流体制の革新) の補助対象となる経費は、下記の表の通りとなります。
◆本事業に直接必要な経費であって、本事業の対象として明確に区分できるものとします。
・応募に当たっては、本事業期間中における所要額の算出が必要となりますが、実際に交付される補助金の額は、申請書類に記載された事業実施計画等の審査の結果に基づき決定されることとなります。
・必ずしも所要額とは一致しません。なお、所要額については、千円単位で計上することとしています。
費目 | 細目 | 内容 |
事業費 | 統一規格パレット導入費 | 本事業を実施するために直接必要な統一規格パレット(1,100mm ✕ 1,100mm・プラスチック製平パレッ ト)の導入に係る経費 |
管理システム導入費 | 本事業を実施するための直接必要な管理システムの導入に係る経費 | |
借上費 | 統一規格パレット、統一規格パレットを用いた輸送における品質維持・積載率向上・作業性向上等に資する資材、管理システムの導入に必要な機器等のリース又はレンタルでの導入に係る経費 | |
備品費 | 事業を実施するために直接必要な備品の調達に係る経費(ただし、リース又はレンタルによることが困難な場合に限る。) | |
消耗品費 | 事業を実施するために直接必要な以下の物品の調達に係る経費(短期間(補助事業実施期間内)又は一度の使用により消費され、その効用を失う少額(3万円未満)物品(記録媒体を含む)) | |
会場借料 | 本事業を実施するために直接必要な会議等を開催する場合の会場費として支払う経費 | |
通信運搬費 | 本事業を実施するために直接必要な郵便代、運送代として支払う経費 | |
印刷製本費 | 本事業を実施するために直接必要な資料等の印刷費 | |
賃金 | ー | 本事業を実施するために直接かつ追加的に必要となる業務(資料の収集・整理、情報入力や会議運営の事務補助等)への従事のために、臨時で雇用した者に対して支払う実働に応じた対価(日給又は時間給) |
謝金 | 委員等謝金 | 本事業を実施するために直接必要な専門的知識の提供や資料の収集等について協力を得た者に対する謝礼として支払う経費 |
旅費 | 委員等旅費 | 本事業を実施するために直接必要な会議の出席又は技術指導等を依頼した専門家に支払う旅費 |
事業実施主体旅費 | 本事業を実施するために直接必要な会議、効果検証等を事業実施主体が行うための旅費 | |
委託費 | ー | 本事業の一部分(管理システムの開発や効果検証の調査等)を他の民間団体等に委託するために必要な経費 |
役務費 | ー | 本事業を実施するために直接必要であり、かつ、それだけでは成り立たない業務の役務発注に係る経費 |
雑役務費 | 手数料 | 本事業を実施するために直接必要な謝金等の振込手数料 |
印紙代 | 本事業を実施するために直接必要な委託等契約書に添付する印紙に係る経費 |
補助対象外となる経費
事業実施に必要な経費出合ったも、下記の経費は補助対象外となり、所要額に含めることができませんので、ご注意ください。
①応募団体の運営に係る経費
②肥料の出荷や統一規格パレットの回収に係る輸送費
③統一規格パレットや管理システムの導入に伴い積載率が低下した場合の補てん料
④本事業を実施するために雇用した者に対して支払う経費のうち、実働に応じた対
価として支払う賃金以外の経費
⑤事業実施期間中に発生した事故又は災害の処理のための経費
⑥補助対象経費に係る消費税及び地方消費税に係る仕入控除税額(補助対象経費に含まれる消費税及び地方消費税相当額のうち、消費税法(昭和63年法律第108号)の規定により仕入れに係る消費税額として控除できる部分の金額及び当該金額に地方税法(昭和25年法律第226号)の規定による地方消費税の税率を乗じて得た金額の合計額に補助率を乗じて得た金額)
⑦飲食費
⑧傷害保険等任意保険の加入に要する経費
⑨補助金の交付決定前に支出される経費
⑩応募団体の他の事業に要する経費と区分できない経費
⑪その他本事業を実施する上で必要とは認められない経費及び本事業の実施に要し
たものとして証明できない経費
まとめ
令和2年度産地生産基盤パワーアップ事業のうち新市場獲得対策(新市場対応を支える物流体制の革新)の応募対象事業の内容に加えて、応募団体の要件、採択要件、補助額、補助対象経費をまとめてご紹介してきました。
令和2年度産地生産基盤パワーアップ事業のうち新市場獲得対策(新市場対応を支える物流体制の革新)は、農業者の所得減少や適期作業に支障をきたすことのないように設けられている補助金です。
補助対象経費においては、細かく分類されていますので、よく確認したうえで応募するようにしましょう。
肥料一貫パレチゼーションの体制の構築の取組を行う農業者の方は、これらの補助金を資金調達の一つとして、積極的にご活用ください。