ファクタリングは、保有している売掛債権の売買によって資金調達をする方法として広まってきました。
ただ売掛債権というものは、基本的には企業間の取引に際して発生するものです。
そこで個人であっても利用することのできるファクタリングサービスとして、領収書ファクタリングというものが注目されるようになりました。
この記事では、領収書ファクタリングに関する3つのポイントを解説します。
・経費の領収書が対象
・条件に注意
・利用が認められるまでのプロセス
次項から、それぞれの理由をくわしく解説します。
経費の領収書が対象
領収書ファクタリングで取り扱われる領収書は、何に対するものでも良いというわけではありません。
経費として認定される内容で、立て替えて支払いをしたものが対象となります。
領収書ファクタリングのニーズ
企業において就業している中では、交通費をはじめとして立て替えて支払わなければならない費用が多々あります。
そういった費用は本来であれば企業の経費となるべきものであるのですが、いったん社員の側で負担するわけです。
ただ、立て替える事態も連続するとどうしても手持ちの金額を逼迫していくことになります。
企業においては、社員の立て替えた経費について精算する日付を1ヶ月につき一度というように決まったタイミングで定めていることが一般的です。
ですから、立て替えが続いてお金が足りなくなってしまいそうになるという事例も少なくありません。
そこで、領収書ファクタリングというものが注目されるようになってきました。
領収書ファクタリングの概要
領収書ファクタリングは名称の通り、「領収書による資金調達」を可能とするサービスです。
立て替えた経費について、企業で決められている精算日よりも前のタイミングで現金として受け取ることができます。
具体的には経費を立て替え払いした領収書があれば、ファクタリング事業者が買い取るというかたちです。
ですから金融機関などからの借り入れとは異なり、信用情報へ影響を及ぼす性質のものではありません。
たとえば近く住宅ローンの利用を申し込みたいなど、まとまった融資の審査を控えているといった場合であっても条件を不利にすることはないわけです。
サービスを利用するにあたっても厳密な審査が行われることはなく、仮に借り入れを受けることが難しい状況であっても利用することができます。
そして審査にそこまでの時間がかからないことで、実際に現金を手にするまでにあまりタイムラグが生じません。
早ければ、申し込んだその日のうちに資金調達が可能となります。
休日に関係なく営業しているファクタリング事業者も少なくないため、申し込みに関しては日付を問わず年中行うことが可能です。
領収書ファクタリングの性質
領収書ファクタリングは、領収書の買い取りサービスです。
借り入れに当たらないため、資金調達の方法としては借り入れと併用しても問題はありません。
借り入れだけであれば、年収に対して3分の1までの金額しか利用することができないという総量規制があります。
その対象とならない領収書ファクタリングは、加えて利用することができるのです。
また経費が精算された後でファクタリング事業者へその金額を渡すにあたっても、借り入れのように利息が発生することはありません。
領収書ファクタリングの対象
領収書ファクタリングに対応しているファクタリング事業者ごとに、買い取る対象としている領収書の種類は異なっています。
ただ交通費をはじめとして飲食代や交際費、宿泊費のほか携帯電話の料金といったものについては事業者を問わずおおむね対象です。
肝心の領収書については、実は持っていなくても利用することができます。
と言うのも、ファクタリング事業者の側で詳細に領収書の内容をチェックすることはないのです。
そういうこともあり、領収書ファクタリングを利用するにあたっては自作の領収書を準備した上で事業者へ提出されているケースも少なくありません。
条件に注意
領収書ファクタリングは、必ず額面どおりの金額を受け取ることのできるサービスではありません。
領収書の買い取り額、手数料といった点に気を付ける必要があります。
領収書ファクタリングの手数料
領収書ファクタリングは、金融機関などによる融資と比較するとより多くの方へ門戸が開かれているサービスです。
その代わりに、サービスを利用する上で事業者へ支払わなければならない手数料は各種の融資などよりも高い水準となっています。
総じて、利用を申し込む額面の金額に比して20%程度から40%程度の設定です。
なおこの割合は、年利に置き換えてみると実に240%程度から480%程度ということになります。
領収書ファクタリングの買取金額
企業が売掛債権を事業者へ売却して資金調達するファクタリングでは、売掛債権の額面通りに現金を融通することができるわけではありません。
領収書ファクタリングも同様であり、領収書に記載されている金額がそのまま現金として得られるものではないことに注意が必要です。
また、おおむね5万円程度までの額面金額について取り扱いの対象とされています。
利用が認められるまでのプロセス
領収者ファクタリングの利用を申し込んだ際には、申込者に関してチェックされる項目があります。
やはり最低限、申込者の信用度について判断する必要があるのです。
領収書ファクタリングの申し込み
領収書ファクタリングを申し込む上では大体、ファクタリング事業者のホームページに申し込みフォームが設けられていて必要な情報を入力するかたちになっています。
おもに氏名のほか連絡先、勤務先に関する情報が必要項目です。
入力した情報を送信するとファクタリング事業者の担当者から連絡が届き、まず簡易的なヒアリングが行われます。
氏名や住所、勤務先に関する情報は重複する確認事項です。
そのほか給料の月額に借入金額や他社の利用歴、希望の買取金額そして調達した資金の用途といった点も確認されます。
領収書ファクタリングの審査
領収書ファクタリングは借り入れに該当しないものですから、信用情報に関して調査されるようなことはありません。
とは言え支払能力はなければなりませんから収入額、借り入れに関する状況などは確認されることになります。
その上であまりに収入が少ない場合や借り入れが多い場合、別の事業者を利用した履歴が多々あるといった場合には利用が認められない可能性も考えなければなりません。
申し込みにあたっては領収書が必要であることはもちろん顔写真の付いた身分証明書や給料の入金について確認することのできる書類が必要です。
さらに公共料金を支払った旨について証明する書類なども、本人確認に際して効力があります。
書類の提出自体については、画像として送信することが可能です。
申込者の在籍確認
審査の一環として、ファクタリング事業者から申込者の勤務先企業へ在籍確認が行われるケースもあります。
もっともスタンダードな在籍確認の手段は、事業者から企業への電話連絡です。
ストレートに電話連絡があることで、領収書ファクタリングの利用について職場へ露呈する可能性も覚悟しなければなりません。
そのあたりに配慮しているファクタリング事業者では、在籍確認の方法として他にも選択肢を用意しているケースがあります。
たとえば、申込者の側から職場の電話を使ってファクタリング事業者へ連絡することによって勤務先である確認となれば良しといった具合です。
そのほか社員証、名刺などを提示することによって在籍確認となる場合もあります。
さらに実際に利用する上で明細書などが発行されることもなく、職場へサービスを利用した旨の通知がなされるといったこともありません。
契約後の流れ
審査に問題がなければ、ファクタリング事業者から買取金額が示され契約書も用意されます。
近年の事務手続きでは、電子契約書による手続きを実施している事業者が大部分です。
そしてあとは入金があってからファクタリング事業者へ金額を渡すのですが、職場で設定している経費の精算日ないし給料日をその日付として定める場合が多くなっています。
まとめ
以上、領収書ファクタリングに関する3つのポイントを解説しました。
・経費の領収書が対象
・条件に注意
・利用が認められるまでのプロセス
勤務先の経費となるべき費用を社員が個人で立て替えなければならないという場合は、往々にしてあります。
勤務先が決めている精算日となるまでは立て替えが続くことになり、当然ながら手持ちの金額も切羽詰まってしまっていくわけです。
そこで余裕がなくなっている手持ちの資金調達手段として、領収書ファクタリングが注目されるようになってきました。
領収書ファクタリングでは経費を立て替えた領収書をファクタリング事業者が買い取ることで、額面金額そのままではないながらその金額を受け取ることができます。
あくまでも領収書の買い取りという取引になりますから、領収書ファクタリングを利用しても借り入れには該当しません。
ですから金融機関の借り入れと同時に資金調達手段として利用することができますし、借り入れが難しい場合でも利用する上で問題にはならないのです。
申し込みは大体が、ファクタリング事業者のホームページ上に用意されているフォームから必要な項目を入力し送信するかたちになっています。
それに対してファクタリング事業者の担当者から連絡があり、氏名や勤務先に関する情報などのヒアリングを経て審査が行われるのです。
審査に問題がなければ領収書の金額を手にすることができ、勤務先での精算があってからその金額を事業者へ渡す流れとなります。