両立 支援 等 助成 金

育児しながら働く人材をサポートする4つの両立支援等助成金

助成金

近年では、女性の方だけでなく、男性の方でも働きながら育児を行う方が増えています。
そして、政府からは働きながら出産や育児をしやすいように、さまざまな支援策が取られています。
「両立支援」という助成金もその中の一つです。
働きながら出産・育児をしやすいように、さまざまな支援策がとられています。両立支援等助成金もそのひとつです。
本記事では、出産や育児を考えている従業員が安心して働き続ける仕組みを作りながら貰える、両立支援とはどのような助成金なのか、要件や支給額について詳しく紹介します。

両立支援等助成金とは

両立 支援 等 助成 金

助成金とは厚生労働省が窓口となり、環境整備に取り組む事業主に対し、支援金を交付するお金の事を指します。
なかでも両立支援等助成金は、働きながら育児や介護との両立ができる労働環境づくりのための助成金となっています。
事業主等が、労働者のために、育児や介護等と仕事の両立を行う為の制度の導入、利用しやすい環境づくりを整え、対象者が制度を利用した場合に助成金は支給されます。
助成金を受けるための制度の内容は、毎年見直しが行われています。

2018年度は以下の5つの制度があり、そのうち育児休業等支援コースは中小企業のみが利用できる制度となっています。

・出生時両立支援コース
・介護離職防止支援コース
・再雇用者評価処遇コース
・育児休業等支援コース(中小企業対象)
・女性活躍加速化コース
※「事業所内保育施設コース」は2016年4月に新規計画の認定申請受付を終了しました。

中小企業の定義

下記で助成金の種類を紹介する前に、中小企業の定義を説明します。

ここでの中小企業とは、法人・法人格のない社団・財団・個人事業のうち、資本金等の額か常時雇用する労働者の数のどちらかが、以下の表にあてはまるものを指します。

主たる事業:卸売業
資本金の額又は出資の総額:1億円以下
常時雇用する労働者の数:100人以下

主たる事業:サービス業
資本金の額又は出資の総額:5,000万円以下
常時雇用する労働者の数:100人以下

主たる事業:小売業(飲食店を含)
資本金の額又は出資の総額:5,000万円以下
常時雇用する労働者の数:50人以下

主たる事業:その他
資本金の額又は出資の総額:3億円以下
常時雇用する労働者の数:300人以下

出生時両立支援コース

両立 支援 等 助成 金

近年では男性の方であっても子育てのための育児休暇を取る場合があります。
出生時両立支援コースでは男性も子育てしやすい社会の実現に向けて、男性が育児休暇を取得しやすい環境づくりを目的としています。
このコースには、「男性労働者の育児休業」と「育児目的休暇」の2つのコースがあります。

事業主に求められる要件

■「男性労働者の育児休業」と「育児目的休暇」のどちらのコースにも共有する要件
・雇用保険の被保険者である男性
・育児・介護休業法第2条第1号に規定する育児休業の制度及び育児のための短時間勤務制度について、労働協約または就業規則に規定していること
・次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局長に届け出ていること
※次世代育成支援対策推進法第15条の2に基づく認定を受けた事業主を除く
・2016年4月以降、男性が育児休暇を取得しやすい職場風土づくりのための取組を行うこと

■職場風土づくりのための取組例
・管理職による、子が生まれた男性労働者への育児休業取得の勧奨

・育児休業取得についての管理職向けの研修の充実

■「男性労働者の育児休業」の要件
男性労働者の育児休業を取得するには上記の「共通の要件」に加えて以下を満たす必要があります。

・子供の誕生後、8週間以内に連続して14日以上(中小企業は5日以上)の育児休暇を取得開始していること

■「育児目的休暇」の要件
育児目的休暇を取得するには上記の「共通の要件」に加えて以下を満たす必要があります。

・男性労働者が、子の出生前後に育児や配偶者の出産支援のために取得できる育児目的休暇の制度を新たに導入し、労働協約または就業規則に規定すること

・上記の新たに導入した制度を男性が、子の出生前6週間または出生後8週間以内に合計して8日以上(中小企業は5日以上)取得すること

生産要件について
生産性向上の取組を支援するため、雇用関係助成金を受給する事業主が次の1及び2を満たしている場合に、助成金の割増等を行います。

1. 助成金の支給申請を行う直近の会計年度における「生産性」がその3年前に比べて6%以上伸びていること またはその3年前に比べて1%以上(6%未満)伸びていること

2. 1の算定対象になった期間について、雇用する雇用保険被保険者を事業主都合によって解雇等をしていないこと

支給額

こちらでは、出生時両立支援コースの支給額を中小企業とそうでない場合の支給額を紹介します。

■中小企業
1人めの育休取得
57万円(72万円)

2人め以降の育休取得
・育休5日以上:14.25万円(18万円)
・育休14日以上:23.75万円(30万円)
・育休1ヶ月以上:33.25万円(42万円)

育児目的休暇の導入・利用
28.5万円(36万円)

■中小企業以外
1人めの育休取得
28.5万円(36万円)

2人め以降の育休取得
・育休5日以上:14.25万円(18万円)
・育休14日以上:23.75万円
・育休1ヶ月以上:33.25万円(42万円)

育児目的休暇の導入・利用
14.25万円(18万円)

※()内は生産要件を満たした場合の支給額です。

介護離職予防支援コース

両立 支援 等 助成 金

介護離職予防支援コースは仕事と介護の両立のために職場の環境を整備し、介護休業や介護制度を円滑に利用することを目的としています。

このコースは、「介護休業」と「介護制度」の2つのコースに分かれています。

事業主に求められる要件

■「介護休業」と「介護制度」のどちらにも共通する要件
・介護離職を予防するための両立支援対応モデルに基づき、職場環境整備の取組を実施すること

・介護有業の取得等について「介護支援プラン」により支援する旨を、就業規則等で明文・化・周知すること

・介護に直面した労働者との面談を実施し、介護の状況や今後の働き方についての希望を確認の上、「介護支援プラン」を作成・導入すること

■職場環境整備への取組
1. 従業員の仕事と介護の両立に関する実態把握(社内アンケートの実施)

2. 制度設計・見直し(育児・介護休業法に基づく介護関係制度の導入)

3. 介護に直面する前の従業員への支援(人事労務相談担当者による)

4. 介護に直面した従業員への支援(相談窓口の設置及び周知)

■介護休業の要件
介護休業を取得するためには上記の「共通の要件」に加えて以下を満たす必要があります。

・「介護支援プラン」に沿って業務の引き継ぎを実施し、対象労働者に連続2週間以上(分割利用時は合計14日以上)の介護休業を取得させること

・現職等復帰1ヶ月以内に、今後の働き方についてのフォロー面談を実施すること

■「介護制度(勤務制限制度)」の要件
介護制度を取得するためには上記の「共通の要件」に加えて以下を満たす必要があります。

・「介護支援プラン」に沿って業務体制の検討を行い、対象労働者に、いずれかの勤務制限制度(所定外労働の制限制度、時差出勤制度、深夜業の制限制度、短時間勤務制度)を連続6時間以上(分割利用時は合計42時間以上)利用させること

・連続6週間(又は42日)の制度利用後、対象労働者に対して今後の働き方等についてのフォロー面談を実施すること

支給額

こちらでは、介護離職予防支援コースの支給額を中小企業とそうでない場合の支給額を紹介します。

■中小企業
介護休業:57万円(72万円)
介護制度:28.5万円(36万円)

■中小企業以外
介護休業:38万円(48万円)
介護制度:19万円(24万円)

※()内は生産要件を満たした場合の支給額です。

再雇用者評価処遇コース

両立 支援 等 助成 金

再雇用者評価処遇コースは妊娠、出産、育児または介護を理由として退職した人が、就業が可能になったときに復職できる再雇用制度の導入を目的としています。

事業主に求められる要件

再雇用者評価処遇コースには以下の要件が求められます。

・妊娠、出産、育児または介護を理由とした退職者について、退職前の実務実績等を評価し、処遇の決定に反映させることで明記した再雇用制度を導入すること

・上記制度に基づき、離職後1年以上経過している対象者を再雇用し、無期雇用者として6ヶ月以上継続雇用すること

支給額

こちらでは、再雇用者評価処遇コースの支給額を中小企業とそうでない場合の支給額を紹介します。

■中小企業
再雇用人数(1人め):38万円(48万円)
再雇用人数(2~5人め):28.5万円(36万円)

■中小企業以外
再雇用人数(1人め):28.5万円(36万円)
再雇用人数(2~5人め):19万円(24万円)

※2 ()は生産性要件を満たした場合の支給額です。

育児休業等支援コース(中小企業対象)

両立 支援 等 助成 金

児休業等支援コースには、以下の4つのコースがあります。

・育休取得時
・職場復帰時
・代替要員確保時
・職場復帰支援

児休業等支援コースは中小企業が対象となる支援なので、注意してください。

事業主に求められる要件

■「育休取得時」の要件
・対象者の休業までの働き方、引き継ぎのスケジュール、復帰後の働き方について、上司または人事担当と面談を実施した上うえで面談結果を記録すること

・「育休復帰支援プラン」を作成すること

・育休復帰支援プラン」に基づき、対象者の育児休業開始日までに業務の引き継ぎを実施すること

・対象者に3ヶ月以上の育児休業を取得させること

■「職場復帰時」の要件
・対象者の休業中に育休復帰支援プランに基づき、職場の情報・資料の提供を実施すること

・対象者の職場復帰前と職場復帰後に、上司または人事担当者が面談を実施し、面談結果を記録すること

・対象者を原則として原職等に復帰させ、さらに6ヶ月以上継続雇用すること

■「代替要員確保時」の要件
・育児休業者の職場復帰前に、育児休業が終了した労働者を原職等に復帰させる旨を就業規則に規定すること

・対象者が3ヶ月以上育児休業を取得し、事業主が休業期間中の代替要員を新たに確保すること

・対象者を上記規定に基づき原職等に復帰させ、さらに6ヶ月以上継続雇用すること

■「職場復帰後支援」の要件
・育児・介護休業法を上回る「A:子の介護休業制度」または「B:保育サービス費用補助制度」を導入していること

・対象の育児休業取得者が1ヶ月以上の育児休業から復帰後6ヶ月以内において、導入した

・制度の一定の利用実績(上記Aの場合は20時間以上の取得、B の場合は三万円以上の補助)があること

支給額

各コースの支給額をそれぞれ紹介します。

・育休取得時 28.5万円(36万円)
・職場復帰時 28.5万円(36万円)
・ー職場支援加算(職場復帰時に加算して支給) 19万円(24万円)
代表要員確保時※1
・支給労働者一人あたり 47.5万円(60万円)
・ー有期契約労働者の場合の加算 9.5万円(12万円)
・職場復帰後支援 制度導入※2 28.5万円(36万円)
・職場復帰後支援 制度利用※3 A:看護休業制度 1000円(1200円)×時間
B:保育サービス費用補助制度 実費の2/3

※1 支給対象期間は5年間、支給人数は1年度あたり10人まで

※2 制度導入のみの申請は不可。AかBいずれかについて1回のみ

※3 制度利用は3年以内5人まで。1企業当たりの上限はA:200時間(240時間)、B:20万円(24万円)まで

まとめ

両立 支援 等 助成 金

以上、両立支援等助成金について紹介しました。
両立支援等助成金の制度は、男性女性限らず、育児休暇や介護休暇を取得しやすくするための制度となっています。
要件に関してはコースによって大きく変わってきますが、事業主の方はこれらの制度を取り入れる事によって、従業員が働きやすい環境を作る事ができるでしょう。
事業主の方は、是非優秀な人材を確保するためにもこの制度を是非活用してみましょう。

この記事をシェアする