ZEHゼッチとは、エネルギー収支がゼロとなる住宅で太陽光発電したエネルギーと消費エネルギーが概ね同じになる、省エネ性能が高い住宅をいいます。
政府は「住宅について、2020年までに標準的な新築住宅で2030年までに新築住居の平均でZEHを目指す」という目標を掲げていて、目標を達成するために補助金交付の支援を行っています。
従来のZEHに更に省エネ要件が加わったZEH+(ゼッチプラス)、2019年度からは更にその上を行くZEH+R(レジリエンス)が登場して、補助金が増額されて給付されるようになりました。
ZEH+は太陽熱利用温水システムにより停電時のレジリエンスを強化した住宅で、さらにZEH+R(レジリエンス)はZEH+を利用して停電時に太陽光発電で住宅内の電力確保、太陽熱利用温水システムによる太陽光エネルギーの夜間有効活用、蓄電システムによる夜間の電力利用の措置を行う災害対策型住宅です。
国は補助金を使い、災害に強い住宅建設を国民に勧めています。
そしてZEH+R(レジリエンス)は、マイホーム費用の負担軽減と設備のグレードアップが実現できるのです。
ZEH+R(レジリエンス)での補助金は定額で1戸あたり125万円。
太陽熱利用システムは空気式60万円、液体式は集熱パネル面積4平方メートル17万円、
6平方メートル20万円が加算されます。
蓄電システムはキロワットあたり2万円~30万円(上限)となっています。
そこで、当記事では「申請できるのはどんな人?」「申請すれば誰でも補助金はもらえるのか?」「交付決定日前に事業に着手しても補助金はもらえるのか?」「発電した電気は買い取ってくれるのか?」「どんなメリットがあるのか?」などについて解説していきます。
ZEH+R(レジリエンス)の特徴
ZEH+Rは、太陽光発電による創エネルギー、創り出した電力を蓄える蓄エネルギー、家電の消費電力を制御する省エネルギーを連携させることで、効率よくエネルギーを活用します。
生活に必要なエネルギーを自給するだけではなく、災害時には昼夜問わず自家発電で電力を賄える住宅、それがZEH+R(レジリエンス)です。
小さな太陽光発電であっても省エネ効果が期待できるZEHの家を建てることが重要なのです。
そうすれば初期投資も抑えられますし、将来的なメンテナンスや修理費用を抑える効果もあります。
申請できるのは施主または施工会社
気になるのは国から補助金がもらえる住宅はどんな住宅でもいいのかという問題です。
しかし、申請すればどんな住宅でも貰えるものではありません。
中古住宅でも申請可能なのか、誰が申請できるのかどうかを解説していきます。
申請できる対象者
レジリエンス強化事業として申請できるのは、戸建てZEH+Rを新築する方、新築戸建て建売ZEH+Rを購入する方、自己所有の戸建て住宅をZEH+Rに改修する方が対象です。
また施主に代わって施工会社が申請することも可能です。
具対的な必要要件は、ZEH+の要件を満たしていること、停電時に主たる居室で3箇所以上非常用電源が確保できること、太陽光発電システムまたは太陽光発電システムにより発電された電力を蓄電する蓄電システムから、住宅内またはその一部に電力供給することができること、蓄電システム(蓄電容量4kWh以上)または太陽熱利用システムのいずれかまたは両方を導入することが要件です。
なお、賃貸住宅や集合住宅は対象外となっています。
申請すれば誰でも補助金がもらえるのか
ではこれらの要件を満たす住宅を購入すれば誰でも申請して補助金がもらえるのでしょうか?個人で申請申し込みをするのは専門的な知識が必要ではないのでしょうか?
しかし、要件を満たしたとしても貰えない可能性があるので注意しなければなりません。
こちらでは、その貰えない可能性について詳しく解説します。
条件が揃っても補助金がもらえな可能性がある
実は要件を満たしたからといって誰でも申請すれば補助金がもらえるわけではありません。
公募規模を超えて申請が行われた場合は、抽選で申請者を決定します。
2018年と2019年を比較すると補助金がもらえた人が62%も少なかったのです。
国はZEHを推進しているので、今後は補助金を増額する方向になっているようです。
また申請を実際に行うのは施主か設計、建築、販売するSII(一般社団法人 環境共創イニシアチブ)に登録されたZEH資格を持ったビルダー・プランナーです。
手続きはスケジュール管理も必要であり、煩雑で専門的知識も必要、迅速な申請と対応が求められるのでZEHビルダー・プランナーに手続きを依頼するのが普通です。
そうすれば施主の方が用意する書類は印鑑証明くらいになります。
ZEHビルダー・プランナーに対する事前割当公募方式では、各ビルダー・プランナーごとに申請できる戸数が決められているので、それを超えて申請できません。
国にも予算があるためです。
そのため住宅購入者は補助金申請を出す際は事前に確認が必要です。
ちなみに2019年はZEHビルダー・プランナー向け公募期間は3回ありました。
交付が決定してから事業期間は約5ヶ月以内です。
木造伝統工法など既存改修事業で事業期間までに完了しないなどあればSIIに問い合わせることになっています。
またZEH+Rが抽選で漏れてもZEH支援事業で応募枠が広いので補助金がもらえるチャンスがあります。
補助金は減額されますが申請できる可能性があります。
申請に必要な書類は以下の通りです。
・交付申請書
・実施計画書
・交付申請額算出表
・配置図
・平面図
・立面図
・印鑑登録証明書の写し
・提出書類内容チェックシート
・再生可能エネルギー導入をした機器の証明書か図面
・補助対象になる建材、設備のカタログ
申請のスケジュール管理ですが、まずは土地探し・建築会社を探すのに2~3ヶ月、工務店やハウスメーカーとの打ち合わせに必要な時間が約2~3ヶ月程度かかると言われています。
こうしたスケジュール管理ができる建築会社を検索できるサイトもあるので、建築会社探しで困っている方は利用してみてはいかがでしょうか。
交付決定日前に事業着手
補助金をあてにして先に住宅を購入あるいは改修しても補助金はもらえるのかという疑問が
出てきます。
実際はどのタイミングで補助金が貰えるのでしょうか?
あくまで交付決定通知が届いてから着手
結論からいうと、交付決定日前に新築で自前着工したり、新築建売住宅購入の場合で事前引き渡ししたものは要件不適合とみなされ補助金はもらえなくなります。
申請してから結果が出るまで2~3週間かかります。
注意したいポイントは交付通知が届いてからすみやかにスタートします。
これからは補助金を交付した事務局とのやりとりが多くなります。
次に注意するポイントは、交付時の計画書を勝手に変更してはいけません。
申請時の間取りや設備で了承もらっているので、その通りに建てなければなりません。
また補助金の対象となった領収証や証拠書類は全て残しておく必要があります。
完了したら、かかった経費の報告や実際に施工が適正に行われたか検査をします。
その結果、補助金の交付額が正式に決定されます。
以上のことからも専門のZEHビルダー・プランナーとの連携がいかに重要であることが理解できるのではないでしょうか。
電力買取制度
ZEH では家庭で太陽光発電システムなどを使いエネルギーを作ります。
発電して電気が余ったら、電力会社が買い取る余剰電力買取制度があります。
ZEH でも同じように買取制度があるのでしょうか?
ZEHでは買取が認められるのは余剰電力のみ
ZEH支援事業、ZEH+実証事業、ZEH+R強化事業では余剰電力のみ買取制度が認められ、全量買取方式は認められていません。
電力買取価格も下げる傾向が強くなっており、今後は電力を売るより電力を作り賢く消費することが重要になります。
ZEHのメリット
ZEHは高断熱、高効率設備、発電、蓄電を組み合わせた省エネ比率20%以上を実現して、年間のエネルギーの収支をゼロにすることを目指したネット・ゼロ・エネルギー・ハウスですが、どんなメリットがあるのでしょうか?
メリットとデメリットの把握
主なメリットとしては以下の通りです。
・CO2削減
・エネルギー消費が少なく光熱費が低減
・高性能な省エネルギー住宅として資産の高価値化
・停電時でも電気やお湯が使える
・補助金制度を使えば初期投資が抑えられる
・優遇減税が受け安くなる
・フラット35Sの金利優遇が受けられる
無理なく節約できて、自宅で快適に過ごすことができるのがZEH住宅のメリットだと言えます。
太陽光発電やエコファームで電力会社からの買電を減らせたり、蓄電池があれば夜間や悪天候でも安定した電力が使えます。
また、高機能の断熱材、HEMSシステム、最新の省エネ設備を導入すれば、より快適で住みやすい住環境が保証されます。
このようにZEH化することで家計にも恩恵があり、長い目で見れば国が勧めるZEH住宅はお得だと言えます。
一方、デメリットとしては初期費用の負担が大きいことです。
一般的にZEH化には250万円~300万円くらいかかると言われています。
しかし、補助金が利用できて、光熱費の節約や売電収入を得られることを考えたら、総合的に考えると負担を感じ過ぎることはありませんが、デメリットを把握して、後で後悔しないようにしましょう。
使用電力を控えたり、天候によって発電電力が多くなった場合は、余剰電力の買取によって、光熱費の収支がゼロになるケースもあり得るのです。
まとめ
以上、当記事ではZEH+R(レジリエンス)に関する補助金についてご紹介しました。
ZEHは2019年の台風15号や大雨による被害状況から国が施策として推しすすめるものです。
初期投資という問題はありますが、災害国日本においては高性能住宅は計りしれない可能性を秘めています。
ぜひ当記事で解説した、
・申請できるのはどんな人?
・申請すれば誰でも補助金はもらえるのか?
・交付決定日前に事業に着手しても補助金はもらえるのか?
・発電した電気は買い取ってくれるのか?
・どんなメリットがあるのか?
というポイントを抑えて快適な住空間を実現しましょう。
また、ZEH住宅は住宅メーカーによって使う機器の種類、コンセプトが異なります。
快適な生活を送るためには、希望に沿ったZEH住宅を設計・建築・購入することが大切です。家族や自分にあったメーカーを選ぶことが補助金の申請をスムーズにでき、将来に渡って費用対策効果が最大限生かされるのです。