令和2年度 省エネルギー投資促進に向けた支援補助金

令和2年度省エネルギー投資促進に向けた支援補助金で資金調達の計画

補助金

工場や事業所単位で省エネルギー設備が導入できれば、省エネと同時に環境を改善することに大きく貢献できます。

しかし、工場や事業所に設備を整えるとなると、かなりの費用がかかってしまうために、導入に踏み切れない企業も少なくありません。

そのような時には、省エネルギー投資促進に向けた支援補助金が役立ちます。

省エネルギー投資促進に向けた支援補助金には、様々要件があり複雑となっていますので、ぜひこの機会に確認をして準備を進めてください。

こちらの記事では、令和2年度の省エネルギー投資促進に向けた支援補助金をわかりやすく解説していきます。

令和2年度省エネルギー投資促進に向けた支援補助金の概要

令和2年度 省エネルギー投資促進に向けた支援補助金

2015年7月に決定された「長期エネルギー需給見通し」における5,030万kl程度の省エネ実現のためには、産業・業務部門等における省エネルギー設備投資を促すことが必要です。

今後はエネルギーの設備投資の推進やエネルギー管理の適正化等によっての高い省エネルギー水準に近づけていくことが、重要なカギとなるでしょう。

そのような省エネルギー投資促進に向けて、資源エネルギー庁では「省エネルギー投資促進に向けた支援補助金」が設けられました。

事業者が計画したエネルギー使用合理化の取組のうち、省エネルギー性能の高い機器及び設備の導入に必要な経費の一部を補助してくれる事業です。

補助対象事業者

省エネルギー投資促進に向けた支援補助金の補助対象の事業者となる方は、下記の要件を全て満たす方となります。

◆国内において事業活動を営んでいる法人及び個人事業主であること。

◆本事業を確実に遂行するために必要な経営基盤を有し、事業の継続性が認められる者であること。

◆本事業により国内において設置する補助対象設備の所有者であり、その補助対象設備の処分制限期間、継続的に使用する者であること。
・導入する補助対象設備の所有者と使用者が異なる場合、導入する補助対象設備の所有者と
使用者が共に補助対象事業者となり、共同申請を行うことを原則とする。

◆本事業により取得した補助対象設備を、SIIが交付規程で定める取得財産等管理台帳に記載の上、善良な管理者の注意をもってその設備等を管理し、補助金の交付の目的に従って、その効率的運用を図る者であること。

◆経済産業省から補助金交付等停止措置又は指名停止措置が講じられていない者であること。

◆ 公的資金の交付先として社会通念上適切と認められない者ではないこと。

◆「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条に規定する「性風俗関連特殊営業」を営む事業所ではないこと。

補助対象事業の共通要件

省エネルギー投資促進に向けた支援補助金は、エネルギー管理を一体で行っている工場や事業場等で実施する下記の条件を全て満たす事業となります。

◆投資回収年数が5年以上の事業であること。
(投資回収年数の算出方法)
・投資回収年数=補助対象経費[円]÷(計画省エネルギー量[kl/年]×燃料評価単価[円/kl])
(燃料評価単価の算出方法)
・燃料評価単価=2019年4月~2020年3月の事業所単位のエネルギーコスト[円]÷同期間の事業所単位のエネルギー使用量[kl]

◆「エネルギー使用量が1,500kl以上の工場・事業場」と「中小企業者に該当しない会社法上の会社 (株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、有限会社)」は、省エネ法に基づき作成した中長期計画書等に記載されている事業であること。

◆照明を導入する場合、補助対象経費に関して事業全体の設備費のうち照明に係る設備費が
50%未満の事業であること。

◆経費当たり計画省エネルギー量が補助対象経費1千万円当たり1kl以上の事業であること。
(経費当たりの計画省エネルギー量の算出方法)
・経費当たりの計画省エネルギー量=計画省エネルギー量[kl/年]÷補助対象経費[千万円]

補助対象事業の種類

令和2年度 省エネルギー投資促進に向けた支援補助金

省エネルギー投資促進に向けた支援補助金の補助対象となる事業は、エネルギー管理を一体で行っている下記の4つの事業となります。

◆(a)一般事業
省エネルギー設備への更新、改修等、計測・見える化・制御等の機能を備えたエネルギーマネジメントシステム(EMS)の新設により、原油換算量ベースで、省エネルギー率5%以上又はエネルギー消費原単位改善率5%以上のいずれかを達成する事業。

・エネルギー消費原単位改善率での申請は、設備更新後において、生産量が増加し、かつエネルギー使用量が増加する事業に限られます。

◆(b)大規模事業
省エネルギー設備への更新、改修等、EMSの新設により、原油換算量ベースで省エネルギー
量500kl以上を達成する事業。

◆(c)複数事業者連携省エネルギー事業
複数の事業者間において、生産設備の統合やユーティリティーの共有によるエネルギーや生 産品等の相互融通等により、一体となって省エネルギー化を図り、上記の「(a)一般事業」や「(b)大規模事業」の要件のいず れかを満たす事業。

◆(d)エネマチ事業
SIIに登録されたエネマネ事業者と「エネルギー管理支援サービス」を契約し、SIIに登録されたEMSを用いて、より効果的に省エネルギー化を図り、EMSの制御効果と省エネルギー診断等による運用改善効果により、原油換算量ベースで省エネルギー率2%以上を達成する事業。

補助対象経費

令和2年度 省エネルギー投資促進に向けた支援補助金

省エネルギー投資促進に向けた支援補助金の補助対象となる経費は、補助対象設備に係る設計費、設備費、工事費となり、詳細は下記の表の通りとなります。

設計費 補助事業の実施に必要な機械装置、建築材料等の設計費、システム設計費等
設備費 補助事業の実施に必要な機械装置、建築材料等の購入、製造(改修を含)又は据付 等に要する経費(当該事業に係る土地の取得及び賃借料を除く)
  EMS部分 (省エネルギーに 寄与するものに限る) 主装置・盤 計測制御主装置、ローカルサーバー、ロガー、主装置盤 等 計測計量機器 電力量センサ、ガスメーター、流量計、水量計、温湿度センサ、 熱量計、パルス検出器 等 機械監視装置 生産量制御管理装置、設備稼働状況監視装置 等 制御機器 制御用センサ、リレースイッチ、コントローラ、インバータ、 流量調整弁、自動制御設備、 制御PLC(Programmable Logic Controller)、 VAV(Variable Air Volume System) 等 通信装置 モデム 、ルーター、通信PLC(Power Line Communication) 等 モニター装置 監視用端末、PC、タブレット、モニター、ローカルサーバ 等 ソフトウェア 導入拠点での需要予測、最適化計算、最適制御機能 等
工事費 補助事業の実施に不可欠な工事に要する経費

事業ごとの補助金額

令和2年度 省エネルギー投資促進に向けた支援補助金

省エネルギー投資促進に向けた支援補助金の補助金額は、事業ごとによって補助率と補助限度額が異なっています。

次に、事業ごとの補助率と補助限度額について詳しくみてみましょう。

補助率

省エネルギー投資促進に向けた支援補助金の事業者ごとの補助率は、下記の表の通りとなります。

  省エネルギー設備導入事業 (d)エネマネ事業
(a)一般事業 (b)大規模事業 (c)連携事業
中小企業者等 補助率 1/3 以内 補助率 1/2 以内
投資回収年数7年未満は 補助率 1/3 以内
補助率 1/2 以内
大企業(みなし大企業含) 補助率 1/4以内 補助率 1/3 以内
投資回収年数7年未満は 補助率 1/4 以内
補助率 1/3 以内

補助対象設備に発電設備が含まれる場合には、下記の事項に注意してください。
・当該発電設備の発電量全てを自家消費する場合は、上記に定める補助率となります。
・発電量の5割以上を自家消費し、且つ売電量が増加しない場合は、上記に定める補助率の1/2となります。
なお、共同申請の範囲で消費する電力については、自家消費とみなされます。

補助限度額

省エネルギー投資促進に向けた支援補助金の事業者ごとの補助限度額は、下記の表の通りとなります。

  省エネルギー設備導入事業 (d)エネマネ事業 
(a)一般事業 (b)大規模事業 (c)連携事業
上限額 3億円/年度 15億円/年度 15億円/年度 1億円/年度
複数年度事業の 事業全体の上限額 10億円/事業全体 20億円/事業全体 30億円/事業全体 1億円/事業全体
下限額 1事業当たりの補助金 100万円/年度(補助金100万円未満は対象外)

なお、省エネルギー設備導入事業とエネマネ事業を同時申請した場合、事業全体の補助金上限額は、省エネルギー設備導入事業とエネマネ事業それぞれの上限額の合計額となります。

国庫債務負担行為分(年度またぎ事業)

省エネルギー投資促進に向けた支援補助金では、単年度事業や複数年事業ではスケジュール上申請できなくても国庫債務負担行為分(年度またぎ事業)として、申請できる制度が設けられています。

申請の要件

国庫債務負担行為分(年度またぎ事業)の申請要件は、補助事業が下記の①②の双方を満たすかを確認してください。

①下記のエネルギー使用合理化等事業者支援事業のいずれかの要件を満たしているか?
(a)一般事業     (b)大規模事業
(c)連携事業     (d)エネマネ事業

②2021年2月から4月の期間に事業実施せざるを得ない外的要因または、特段の事由があるか?

申請する際の注意事項

令和2年度 省エネルギー投資促進に向けた支援補助金

省エネルギー投資促進に向けた支援補助金に申請する際には、下記の注意事項をご確認ください。

・申請にあたっては必ず公募要領等を確認する。

・補助金申請にあたっては、インターネット環境が必要です。
補助事業ポータルサイトにアクセスしてIDを取得のうえ画面の内容に沿って必要事項の入力してください。

・補助金の交付決定の前に、既に契約、発注等がなされた事業は交付対象とはなりません。

・交付決定した事業者名、エネマネ事業者名、補助事業の概要等をSIIのホームページ等で公表されます(個人又は個人事業主を除く)。

・事業完了(設置完了、検収、支払完了)後、SIIに実績報告書を提出する必要があります。
SIIの確定検査後に補助金の支払いとなります。

・導入した設備は、善良な管理者の注意をもって管理し、補助金の交付の目的に従って、その効率的運用を図る必要があります。

・設備の稼働後、省エネルギーの実績をSIIに報告する必要があります。

・導入した設備を財産処分する場合は、あらかじめSIIの承認を得る必要があります。

・補助金を返還いただく場合もあります。

まとめ

令和2年度 省エネルギー投資促進に向けた支援補助金

工場や事業所単位の省エネルギー設備を導入する際の資金調達となる省エネルギー投資促進に向けた支援補助金について、補助金の概要、事業ごとの補助金額、申請する際の注意事項をまとめて解説してみました。

省エネルギー設備促進に向けた支援補助金を資金調達として利用すれば、工場や事業所単位での省エネルギー設備の導入負担を軽減することができ、さらには企業の省エネ対策にもつながっていくでしょう。

省エネルギー設備の導入を検討している企業はもちろんのこと、省エネルギー設備に関心のなかった工場や事業所をお持ちの方も、補助金を利用した省エネルギー設備の導入を考えてみてはいかがでしょうか?

令和2年度の省エネルギー設備促進に向けた支援補助金の公募は終了していますが、来年度に向けて準備を進めていきましょう。

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