親子リレーローンとはご存知でしょうか?
親子リレーローンとは、親と子など親族同士で同居するために住宅ローンを組み、将来的に親から子へ2世代に渡って、借り入れを返済していく制度です。
一般的に中高年の親と成人した子というペアで融資を受け、最初は親から払い始めるケースが多いです。
親子リレーローンでは、借り換え、住み替え、リフォームなど新築購入以外でも利用することができます。
では、まず親子リレーローンの利用要約について解説していきます。
親子リレーローンの利用要件
親子リレーローンは誰でも利用できるわけではありません。
いくつかの利用条件を満たした場合のみ、親子リレーローンを借りることができます。
その利用要件は、申込みを行う機関によって異なります。ですので一般的なものを以下にまとめてみました。
■利用できる人
・現在同居中、または将来同居を予定している親、子(実子または養子)
・借入時の年齢が満20歳以上満70歳未満で、最終返済時の年齢が満80歳未満である。ただし、親は最終返済時の年齢が満80歳以上であってもかまわない。
・前年の税込年収が100万円以上の方
・給与所得者の場合は、勤続年数1年以上の方、給与所得者以外の場合は、勤続または営業年数が3年以上の方
・団体信用生命保険に加入できる方(保険料は当社が負担します)
■資金の使いみち
親子が共有またはいずれか一方の方が所有し、親子または親子の家族が同居する
・住宅の新築・購入資金
・マンションの購入資金
・住宅の増改築・修繕資金
・中古住宅(マンションを含む)の購入資金
・住宅用土地(建物建築計画のある場合)の購入資金
■融資金額
50万円以上1億円以内
■借入期間
最長35年
■団体信用保険
・親、子 それぞれ融資金額の1/2ずつ加入
・親が満80歳になった時点で子に借入残高全額の加入に変更
■金露融資
変動金利型 または 固定金利選択型
■返済期間
1年以上35年以内(1年単位)
上記に記載したような条件に当てはまる方は検討しても良いと思います。
こうした条件は金融機関によって異なるので、他社をしっかり比較して自分に合ったローンを探してほしいです。
また、親子リレーローンに似た“親子ペアローン”というものがありますが、どういった違いがあるのでしょうか。
親子ペアローンとの違い
親子ペアローンとは、同じ不動産の購入を親と子がそれぞれ住宅ローンを組む仕組みです。
それぞれが単独でローン契約を行い、それぞれが連帯保証人になります。
1つの住宅に2個のローンを組むのが親子ペアローンで、1つのローンを交代で返済していくのが親子リレーローンとなります。
この2つは名前が似ているので間違えないように気をつけましょう。
「親子で同居を予定しているまたは同居中である人」は2個のローンを組んでしまうと親子リレーローンが向いていると思うのでぜひ検討しましょう。
親子リレーローンのメリット
では、次に親子リレーローンのメリットについて解説していきます。
メリットは以下の3つです。
1.融資額が増える
2.住宅ローン控除を適用することができる
3.月の負担額を抑えることができる
次項で詳しく解説していきます。
融資額が増える
親と子、両方の収入を合わせた金額で借入時の計算が行われます。
そのため、単独でローンを組むより借入れ可能額が増え、住居の選べるバリエーションが増えます。
二世帯住宅を考えている方は将来のことも見据えた上で、子どもが増えた場合、両親の介護が始まった場合などにも対応できるような、単独では手の届かない物件も購入できるチャンスが増えます。
住宅ローン控除を適用することができる
親子リレーローンでは、返済の負担割合に応じて親と子の両方が住宅ローン控除を受けられます。
住宅ローンの対象になるのは、親と子それぞれの年末での段階の住宅ローン残高です。
ですので、返済がまだ始まっていない子の方にも住宅ローン控除が適用されます。
住宅ローン控除を利用することで親と子の両方が還付金を受けることができるのは嬉しいですよね。
しかし、住宅ローン控除は対象の住居に済み始めてから10年までしか受けられないので、子が返済始まってから申請しても、対象期間が終わってしまい、控除が受けられないことがありますので注意が必要です。
月の負担額を抑えることができる
親が65歳、子が30歳の場合、親が単独でローンを組むと返済期限は15年ほどになってしまします。(返済上限を80歳とする場合)
5,000万円で金利が0.7%(ボーナス払いなし、元利金等・固定金利の場合)の場合、月の返済額は292,697円となります。約29万円を15年間も月に払い続けるのは負担が大きすぎますよね。
しかし、親子リレーローンの場合、子の年齢から返済期間を設定します。
今回の場合、子が30歳で、金融機関は返済年数を35年でみてくれるので同じ条件で計算した月の返済金額は134,260円となり、その差額は158,437円と、大幅に抑えることができます。
以上が親子リレーローンのメリットになります。
親子リレーローンデメリット
では次に反対にデメリットも3つ解説していきます。
1.別のローンを組むことが難しくなる
2. 親が亡くなっても債務は残る
3.相続の際のトラブル
以上3つについて詳しく説明していきます。
別のローンを組むことが難しくなる
親子リレーローンでは、親と子の療法が債務者になります。ですので、もし何かの事情で別居したいとなったときに、子がまだ支払いを開始していなくても、融資する側はダブルローンだと認識し、審査に通過することが難しくなります。
よって、新たにローンを組むことは難しいでしょう。
また、親子リレーローンでは、抱えている総返済金額次第では他のローン(教育ローンや自動車ローンなど)が組めなくなってしまうことがあります。
1人で組むローンよりも制限されてしまう部分が多くなるということもしっかり理解しておきましょう。
親が亡くなっても債務は残る
住宅ローンを借りる際には、団体信用生命保険(団信)への加入が必須となっています。
親子リレーローンの場合、一般的には最後まで返済義務を追う子のほうが団信に加入します。
よって団信に加入していない親が、返済負担金をすべて払い終える前に亡くなってしまった場合、残された債務は子がすべて引き継ぐことになります。
もともとは親が支払う予定だった返済を子が引き継ぎ負うことで、返済負担が増大してしまうリスクがあることに注意しましょう。
相続の際のトラブル
通常であれば、親が所有する土地や物件の相続はその親の子みんなにあります。
しかし、親子リレーローンでは、支払い義務が生じている子に原則、所有権は相続されます。
その事がよく理解されていないと、土地や物件の取り分で相続争いが起こるケースもあります。
親子リレーローンデメリットの解決策
そんな親子リレーローンのデメリットを減らしていくためには対策方法を考えなければなりません。
そこで、こちらではケースごとの解決策を解説するので参考にしてください。
【ケース1】親が亡くなったことで毎月の返済額が増える
・団信の代わりになる生命保険に親が加入する
もしものときのために掛け捨てタイプの割安な生命保険に親が加入しておきましょう。そうするともし万が一のことが起きてしまったときに保険金を受けられます。
しかし、過去に大きな病気をしていたりすると加入できなかったり、保険料が高いところでしか契約できないこともあります。その場合には、保険に入るよりもそれに備えて貯蓄したほうが良いこともあります。
・親の返済期間を短く設定する
親の返済期間を短く設定しておき、子のほうが多めに返済するという計画を立てることで万が一の事態が起きた際のリスクを最初から下げることができます
【ケース2】土地や建物の相続で子の兄弟トラブルが起きてしまう
・誰がどの資産を引き継ぐのか予め家族で話し合う
兄弟間でのトラブルを防ぐためには、予め話し合っておき、誰が何を相続するのか家族の中で合意を得ておくことが大切です。その話し合いの際も、言った・言ってないという事態を防ぐために書面に残しておくことも効果的だと思います。
もし自分たちで話し合うことが難しい場合、専門家に依頼してみるのも1つの手です。
【ケース3】不動産登記をすべて子の名義にしてしまい、課税対象になってしまう
・ローンの返済比率に合わせて不動産の持ち分を登記する
最終的に子どもの家になるのだから、最初から子の名義にしてしまおうとする方もいますが、すべての名義を子の名義にしてしまうと、親名義の不動産を子に贈与したとみなされ、「みなし贈与」と判断されてしまうケースがあります。
それを避けるためにも物件の所有権は親と子の共同名義にしておきましょう。
例えば5,000万円の住宅ローンを親子リレーで契約し、親の返済を3,000万円、子の返済を2,000万円にした場合、不動産登記は親が3/5、子が2/5となります。
その際に、不動産の持ち分割合をローンの返済比率と合致させることがポイントです。
まとめ
以上、当記事では親子リレーローンのメリットやデメリット、デメリットの解決方法について解説しました。
親子リレーローンには当記事で解説した、
1.融資額が増える
2.住宅ローン控除を適用することができる
3.月の負担額を抑えることができる
などのメリットがある反面、
1. 別のローンを組むことが難しくなる
2. 親が亡くなっても債務は残る
3. 相続の際のトラブル
などのデメリットがあります。
それを両方知った上で自分のライフスタイルに合った方法を見つけてください。
また親子リレーローンも様々な金融機関があるのでしっかりと見比べて、後悔のない選択をしていきましょう。