銀行からの借り入れを検討されている方は多いと思いますが、銀行にはいろいろな貸付や融資の方法があるのをご存知でしょうか?代表的な4つの方法として、当座貸越(OD)、手形割引、証書貸付、手形貸付があげられます。
有効的にこれらを利用するためには、それぞれの特徴を理解して貸付方法を選ばなければなりません。
そこで、こちらでは、当座貸越(OD)、手形割引、証書貸付、手形貸付を詳しく解説いたします。
自社に合った貸付方法を見つけ出すために、ぜひお役立てください。
金融機関の4つの貸付方法
銀行の代表的な貸付方法は、手形貸付、証書貸付、当座貸越(OD)、手形割引があります。
貸付方法の中には、「返済期間が短い」「返済期間が長い」「一括で返済する」「分割で返済」「カードタイプのもの」など、貸付の違いによって様々な特徴を持っています。
次に、これらの4つ貸付方法を詳しく解説していきますので、貸付や融資が必要になる前にしっかりと把握しておくようにしましょう。
1年以内に返済する手形貸付
借り入れる側が約束手形を銀行に降り出し、銀行は受け取った手形の額面を融資するやり方を手形貸付といいます。
約束手形が借用証書の代わりとなるような貸付の仕方です。
手形には、融資を受ける企業のみの署名で、他に手形債務者はいません。
返済期間が短い短期貸付
手形貸付は返済期限が1年以内という短い期間融資です。
約束手形に記された金額、期日に従って貸付を行っていきます。
その返済期日が短いことから「短期貸付金」と言われおり、銀行で扱う場合も「手形貸付」ではなく「短期貸付金」と呼んでいます。
利息は前払い
手形貸付の利息は前払いとなっていますので、注意しておきましょう。
もしも、100万円を1年間手形貸付、金利2%で借り入れたときの利息は2万円となります。
この場合、利息分である2万円を差し引かれた98万円が融資されるのです。
ただし、額面の期日よりも早く返済できた場合には、払いすぎた利息は戻ってきます。
返済は全額一括返済
手形貸付で返済するときには、原則として額面に記載している期日に「一括返済」しなければなりません。
もしも期日前の返済であれば、手形の内入れと言う形となるので、分割での返済が可能となります。
これらのときにも、未経過分の利息は戻し利息として戻ってきます。
短期間での資金が必要な場合
手形貸付は、「短期間の貸付金」と「一括返済」が特徴なので、融資されるのは短期の資金が必要なケースに限られます。
例えば、工事にかかる経費が発生した場合が考えられます。
工事完了後に売上金が入金される予定があっても、「手元にお金がないため仕事が取れない」などの場合に、手形貸付は利用されます。
審査は短期返済を重点的に見る
手形貸付における審査のポイントは、「短期間に返済ができるのか?」がチェックされます。引き受けている工事があるのなら、工事の契約書提出も必要となるでしょう。
財務状態は「いいのか?悪いのか?」なども審査されます。
手形貸付のメリット&デメリット
【メリット】
・短期間の借り入れなので利息の負担が少ない
・繰り返して利用できる
【デメリット】
・一括返済しなければならない
・突発的な事情に対応できない
契約書を交わす証書貸付
融資条件となる融資金額、返済方法、利率などを記した「金銭消費貸借契約書」を交わした上で行われるのが証書貸付です。
1年以上の長期借入金
返済に関する細かい契約を行った上で、借入期間が1年以上となる「長期借入金」のときに利用される証書貸付です。
手形画質怪我、金額と期日しかありません。
しかし、証書貸付の場合には、期日、毎月返済額、ボーナス返済額、初回返済日、最終返済日と細かく決めることができます。
住宅ローンやカーローンなどは、このような長期借入金となっています。
利息は分割で返済
証書貸付は毎月の返済日に銀行へ返済していきます。
契約書に基づいた取り決めた返済方式で計算して、元金と一緒に支払うのです。
返済方法は元金均等or元利均等
返済方法は、「元金均等」と「元利均等」という2つの返済方法から選ぶ形となります。
「元金均等」は元金を均等に払って、利息は別に支払う問うことです。
利息は元金によって少なくなってきますので、毎月の返済額が変わってきます。
「元利均等」は、元利と利息を足した金額が、毎月同じ金額になるように返済を行っていくやり方です。
毎月の返済を審査
証書貸付での審査のポイントとなるのは、「毎月きちんと返済していけるのか?」というところです。事業計画書が審査の対象となり、個人向けであれば勤務先や勤続年数も審査の対象となります。
証書貸付のメリット&デメリット
【メリット】
・分割での返済ができる
・時間をかけて返済できる
・少ない年収でも借りることが可能
【デメリット】
・利息の支払い額が高い
・必要以外の借金を背負ってしまう可能性がある
自動的におこなわれる当座貸越(OD)
当座貸越(OD)は、決められた融資限度額内なら自由に融資と返済ができる融資方法です。
支払い資金が不足した時に、いちいち手続きをする必要がありません。
※OD:overdraft 金融機関の当座貸越。預金を担保として自動的に当座貸越を行う機能のことを指しています。
限度額の作成
当座貸越は「いくらまで借りられるのか?」という枠組みを作成します。
その後は、範囲内にであれば、審査をしなくてもお金を借りることができるのです。
急に必要となった場合に、保険的な目的として当座貸越の枠を作成している企業も多いほどです。
一般当座貸越と約定返済型当座貸越の違い
当座借越の中には、「一般当座貸越」と「特定型当座貸越」という2つの方法があります。
「一般当座貸越」は、原則として期日になったときに一括返済を行い、利息は毎月支払うというやり方です。
「特定型当座貸越」は、毎月利息+αの元金というように決まった金額を返済していきます。
カードローンのようなイメージです。
当座貸越枠にローンカードを付ける
自由に借入や返済ができる当座貸越ですが、その都度銀行の窓口に行ったり、銀行の営業時間内に合わせたりと、対応できないことがでてきます。
そのようなときは、当座貸越枠の中で借り入れをしやすいようにカードを発行することがあり、これをカードローンと呼んでいます。
カードローンと言うと、個人向けのカードローンを思い浮かべますが、法人や個人事業主のためのカードローンも取り扱っているのです。
<h3当座貸越の審査は厳しい
個人向けののカードローンの審査は、甘めの審査ですが、法人や個人事業主に対しての審査は甘いとは言えません。
審査では、「財務内容がしっかりしているか?」「資金繰りに不備はないか?」に重点をおき、問題のある会社だと審査は通過しにくくなっています。
ただし、金利が10%を超えるような高い金利の商品であれば、当座貸越の審査は厳しくはないようです。
当座貸越のメリット&デメリット
【メリット】
・緊急時の対応が可能
・保険的な意味合いで利用できる
・作成のみなら利息はかからない
【デメリット】
・安易に借金をしてしまう可能性がある
・金利は高めに設定されている
現金に変える手形割引
取引先から受け取った受取手形を金融機関に依頼して、手数料を引いた手形金額をすぐに受け取ることが出来ることを手形割引といいます。
受取手形を期日前に現金化
売上の際に受け取った受取手形は、支払期日がこないと現金化することができません。
受取手形を持っているのに、現金が足りないときにすぐに現金化してくれる手形割引は役に立ちます。
利息は割引時に徴収
手形割引を行えば、銀行にその分の利息を払わなければなりません。
額面金額が入金される時に、その利息分が差し引かれて徴収されます。
取り立ては銀行がおこなう
手形割引の行ったのならば、銀行が手形振出先の銀行への取り立てをするので、借主は特に何もする必要はありません。
手形が期日となり、銀行へ入金となれば返済が終わりになります。
手形の振出先が返済をしてくれるという形になります。
総合的に判断される審査
手形割引の審査は、振出先の企業の財務状況などから判断されます。
財務状況が健全であるほど金利は低く押さえることができます。
優良企業だった場合には、手形割引の金利は1%を切ることもありますが、そうでない場合には5%程度となる企業もあります。
要は、企業の財務状況や業務状況によります。
手形割引の仕分け方
手形を割り引いたときには、貸方に受取手形、借方に現金と支払利息割引を記入していきます。
【受取手形100万円を割引料800円を支払って銀行で割り引いた場合】
借方 | 貸方 |
現金(999,200円) | |
支払利息割引料(800円) | 受取手形(1,000,000円) |
資産の勘定科目である受取手形を、費用である支払利息割引料が差し引き、その差し引いた額を現金として受け取った仕分けとなります。
不渡りとなったら返済の義務が生じる
手形割引として、一番大きなリスクは不渡りとなったときです。
手形が期日となっても決済ができない場合は、不渡りとなってしまい、その場合には手形割引をしてもらった企業が銀行に返済しなければなりません。
手形割引のメリットとデメリット
【メリット】
・期日前に現金に変えられる
・取り立ては銀行が行ってくれる
【デメリット】
・利息分が差し引かれる
・不渡りになったら返済しなければならない
まとめ
金融機関が行っている手形貸付、証書貸付、当座貸越(OD)、手形割引の4つについて解説しました。
貸付はそれぞれの種類によって異った特徴を持っています。
短期の融資で乗り切れるときには手形貸付を利用し、急にお金が必要となったときのために当座貸越(OD)を作成しておくなど、経営や財務状況によって、臨機応変に貸付を選ぶことが大切となってきます。
金融機関が提供してくれている貸付の違いを理解して、自社の運営に役立ててみてください。