
助成金や補助金の多くは中小企業向けのものが多くある印象を受けますが、NPO法人でも貰える助成金があります。
NPO法人とはどういったもので、NPO法人が貰える助成金にはどのようなものがあるのかをご紹介します。
NPO法人とは?
そもそも、NPO法人とはどういった団体なのでしょうか。
特定非営利活動促進法(1998年12月施行)に基づいて設立された、特定非営利活動法人のことです。
特定非営利活動とは、以下の20種類の分野に該当する活動であり、不特定かつ多数のものの利益に寄与することを目的とするものです。
①保健、医療又は福祉の増進を図る活動
②社会教育の推進を図る活動
③まちづくりの推進を図る活動
④観光の振興を図る活動
⑤農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
⑥学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
⑦環境の保全を図る活動
⑧災害救援活動
⑨地域安全活動
⑩人権の擁護又は平和の推進を図る活動
⑪国際協力の活動
⑫男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
⑬子どもの健全育成を図る活動
⑭情報化社会の発展を図る活動
⑮科学技術の振興を図る活動
⑯経済活動の活性化を図る活動
⑰職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
⑱消費者の保護を図る活動
⑲前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
⑳前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動
法人格を持つことにより団体の信頼性が増し、市民の身近な法人として、多様化する昨今のニーズに対応できると期待されています。
NPO法人の数も増えてきていて、社会にも定着しつつあります。
NPO法人の設立方法
法律に定められた以下の10種類の書類を添付して申請を行います。
まずは、定款からご紹介しましょう。
■役員名簿(役員の氏名及び住所又は居所並びに各役員についての報酬の有無を記載した名簿)
■役員の就任承諾書及び誓約書の謄本
■役員の住所又は居所を証する書面
社員のうち 10 人以上の氏名及び住所又は居所を示した書面
■認証要件に適合することを確認したことを示す書面
■設立趣旨書
■設立についての意思の決定を証する議事録の謄本
■設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書
■設立当初の事業年度及び翌事業年度の活動予算書
提出された書類の一部は公開され、誰でも閲覧する事ができるようになっています。
市民の目でも点検されたのち、管轄庁での審査に通り認可されると、法人として登記して初めてNPO法人として設立されます。
公開期間は約2カ月で、審査は4カ月以内に結果が出ます。
NPO法人は無償の活動?
実はNPO法人も法人税を支払わなければなりませんし、透明性のある会計を行うことは他の企業と同じです。
非営利企業だからと言ってもそこで働く人もいますので、賃金などの費用や営業活動の資金は必要です。
なので、利益を上げてはいけないという訳ではないのです。通常の企業と違う点は、配当がない事です。
余剰金が出たら次期に繰り越しをして企業の存続のために利用し、株主に配当を出さない事が大きな違いです。
NPO法人が貰える助成金の条件
NPO法人に対する助成金は、NPO法人が活動する分野に対して支給されるためその分野でなければ支給されません。
例えば、福祉に関する助成金を貰うためには、医療や福祉に関する活動をしているNPO法人でないと受け取る事が出来ないのです。
ただし、助成金を出す団体も特定の1つの分野だけではなく、多岐にわたって募集をしている事も多いため、専門的な助成金ばかりではありません。
また、申請をしても必ず貰えるわけではなく、審査があり審査に通って初めて助成金が支給されます。
例えば300万の基金ならば、30万づつ10社に支給されるという感じです。
近年、NPO法人が増加している事と、助成金自体が減っているため支給される確率はとても低くなっています。
NPOが貰える助成金の種類
助成金に関しては、毎年変動しています。受けられる助成金なども期間などが異なりますので、自分で利用される時に調べる事をオススメします。
現在、調べたところ下記の助成金が申請できるようになっていました。
あくまで、参考までに紹介します。
■スポーツ振興賞
■シニアボランティア活動助成
■ビジネスパーソンボランティア活動助成
■アジア・文化創造協働助成
■ボランティアグループ等が行う事業への助成
助成金や補助金は取得までに時間がかかる?
助成金や補助金は、すぐに取得できるものはほとんどありません。
中でも、1年から1年半経過後に取得できるものが多いです。
助成金申請が実行される前に、資金繰りが悪くなってしまう会社が多い傾向があります。
そこで、多くの経営者が助成金とは別に、金融機関や日本政策金融公庫からの借入もご検討することを推奨しています。
中でも、政府が100%出資している日本政策金融公庫については、日本政策金融公庫の公式サイトで詳しく説明されていますので、情報収集しておくと万が一に備えられるでしょう。
根本的にNPO法人は活動資金不足
NPO法人は日本語で「特定非営利活動法人」といわれるように、非営利活動をおこなうことを主な目的とした法人形態です。
ですから、株式会社や合同会社のように、営利活動に邁進することが法律で規制されています。
上記の法律の規制の問題からNPO法人では事業を継続していくための活動資金の確保に苦労している法人が非常に多くあるようです。
NPO法人のほとんどは社会的な意義のある活動や、弱者を救済する慈善活動を行っていることでしょう。
このように資本主義の根本原理のある利益だけでは測れないものの、社会的に必要であると人々に認知されている活動を行っているものの、活動資金不足で思うように活動できないということがあれば大問題です。
それは、NPO法人で働く職員だけでなく、活動が停止することで実際に困っている人を助けることができないことになり、社会問題の解決が長期にわたって停滞してしまうことになってしまうからです。
活動資金不足を少しでも補うために助成金を活用する
では、上記で挙げた活動資金不足を少しでも補うためにはどのような方策があるでしょうか?
多くのNPO法人では寄付を募集していますので、寄付活動も方法としては行うべきでしょう。
寄付をした個人や法人は寄付額が税金の控除所得となりますので、節税対策で寄付をしてくれる場合もありますが、寄付の金額は毎年必ず一定でもありませんし、そもそも必ず寄付があるわけでもありません。
寄付金に活動資金を依存してしまうとNPO法人の活動が不安定となり職員の定着も厳しくなりますので、寄付金はあくまでもボーナス程度に考えておくことが大切です。
そこで、活動資金を寄付金よりも安定させる方法として利用すべきなのが、国や自治体または各種機関が用意している助成金を最大限に有効利用することです。
助成金を利用するためには、申請書類を作成しなければいけませんし、基準や審査がある場合にはクリアする必要もありますので、法人だけで対処が不可能な場合には行政書士などの専門家に依頼したほうがいい場合もあるでしょう。
ですが、専門家に依頼して報酬を支払ったとしても、助成金を受け取れることでNPO法人の活動資金不足を補うためには非常に助かることは事実です。
活動資金不足に悩んでいるなら、申し込んでも活動へのペナルティはありませんので、助成金に申し込んでみましょう。
2019年のNPO法人が利用できる助成金 おすすめ
助成金は数多くあり、全て紹介してしまうと利用できるものとできないもので混乱しまうおそれがあります。ですから、ここではNPO法人に利用してほしい助成金を厳選して紹介していきます。
ドコモ市民活動団体助成事業
NPO法人モバイル・コミュニケーション・ファンドが実施しているのがドコモ市民活動団体助成事業になります。
■事業の目的
豊かで健全な社会の実現に向けて、全国の市民活動を支援すること
■助成対象活動
①子供の健全な育成を支援する活動
②経済的困難を抱える子供を支援する活動
■助成対象団体
①日本国内に活動拠点がある民間の非営利団体(NPO法人には限られてはいません)であることが必要です。ただし、活動実績が2年以上必要ですので、設立直後の法人は応募することはできないようです。
②単独で活動を行わず、複数の団体で活動を行っている場合に応募する際は、申請する団体が①の条件を満たしていなければいけません。
タカラ・ハーモニストファンド助成事業
宝ホールディングス株式会社が実施しているのが、タカラ・ハーモニストファンド助成事業になります。
■事業の目的
①日本国内の森林・草原・木竹等の緑を保護、育成するための活動・研究
②日本国内の海・湖沼・河川等の水辺の良好な自然環境を整備するための活動・研究
③日本国内の緑と水に恵まれた良好な自然環境の保全及び創出に資するための活動・研究
■助成対象活動
①具体的に着手の段階にある活動・研究であること
②営利を目的としない活動・研究であること
③助成金の使い道が目的に対して明確で、他者に特別な利益を与えないものであること
■助成対象団体
個人でも団体でも応募は可能ですが、目的に日本国内のとあり、対象活動に営利を目的としないことがありますので、日本国内の非営利活動を行っている個人・団体に絞られてくるでしょう。
地域づくり・街づくり支援事業
一般社団法人近畿建設協会が実施しているのが、地域づくり・街づくり支援事業になります。
■事業の目的
地域や街の活性化のための活動費用を支援することで地域づくり街づくりに活かすため
■助成対象活動
①地域の活性化に資する事業
②地域の環境保全に資する事業
③地域の安全・安心に資する事業
■助成対象団体
特定非営利活動促進法(いわゆるNPO法のことです)上の団体または、その団体と同等と認められる市民活動団体となっていますので、実質的にはNPO法人に限られる可能性が非常に高いと予測されます。
注意点として地域が限定されていることがあり、大阪府・兵庫県・奈良県・京都府・滋賀県・和歌山県・福井県・三重県の一部でないと対象となりません。
ですから、あなたの団体が対象になるかどうかは最初に確認しておくといいでしょう。
日本全国!地方創生ビジネスプランコンテスト「カンガルー」
カンガルー便のトラックを全国で見かけることも多いセイノーホールディングス株式会社が実施しているのが、日本全国!地方創生ビジネスコンテスト「カンガルー」となります。
■事業の目的
地方創生をテーマとして、地方創生のアイデアについて参加者でアイデアを共有することを目的としています。
■助成対象活動
地方創生が最大のテーマとなっています。地方創生のアイデアであればどのようなものでも問題ないとのことですので、奇抜かな?と思われるアイデアであっても応募してみることで、あなたの社会起業家としての第一歩が踏み出せるかもしれません。
ちなみに審査基準は「熱意とビジョン」・「事業の魅力」・「ビジネスプランの実現可能性」となっています。
■助成対象団体
起業や地方創生に興味のある学生・社会人(29歳以下)を対象としていますので、これからNPO法人を設立して社会起業家として社会に貢献する活動を行いたいと考えている方には最適なビジネスコンテストの場となるでしょう。
ビジネスコンテストは助成金とは異なるのでは?と思うかもしれませんが、優勝すれば100万円が賞金として出ることから考えると、助成金と同じ意味ともいえるでしょう
まとめ
今回おすすめした助成金は、2019年にも募集があり、今回継続募集をしています。
そのため、2019年以降も募集がある可能性もありますので、今回、間に合わなかった場合には来年に向けて調査しておくと良いかもしれません。
おすすめは全国規模で募集をしている助成金を選んでいますが、地域限定で募集している助成金も多くあります。
お住いの地域によっては、地域ならではの助成金もあり、同じ内容でも審査に通りやすい可能性があります。
市町村から一般企業まで募集をしているので、自分たちに合う助成金を探してみてください。