土地改良事業を円滑に行うためには、水田や耕作経営所得の安定、災害被害地域の営業再開までの資金、資金の貸付を行うための事業計画など、様々な負担がかかることになります。
土地改良事業を行う農家にとって、このような多くの負担に不安を感じる方は多いのではないでしょうか?
農林水産省では、このような負担を軽減するために「令和3年度農家負担金軽減支援対策事業」を設けました。
土地改良事業を円滑に推し進め、農地集積等に取り組む地域などに対して、負担金の軽減や計画的償還を支援している事業となっていますので、ぜひご利用ください。
こちらの記事では、「令和3年度農家負担金軽減支援対策事業」について、詳しく解説していきます。
令和3年度農家負担金軽減支援対策事業
農林水産省が実施している令和3年度農家負担金軽減支援対策事業は、土地改良事業の円滑な推進を図るとともに、担い手への農地集積等に取り組む地域を支援している事業です。
土地改良事業の農家の負担金の軽減と、計画的償還の一層の推進を図るために設けられました。
令和3年度に土地改良区等から承認申請のあった計画に対し、審査委員会を開催し審査・認定を行い、また認定した土地改良区等に対する支援資金の貸付け及び償還金の徴収並びに助
成金の交付を行っています。
令和3年度農家負担金軽減支援対策事業の3つの事業内容
令和3年度農家負担金軽減支援対策事業の事業には、「水田・畑作経営所得安定対策等支援事業」と「災害被災地域土地改良負担金償還助成事業」、「農地有効利用推進支援事業」の3つの事業が設けられています。
1.水田・畑作経営所得安定対策等支援事業
2.災害被災地域土地改良負担金償還助成事業
3.農地有効利用推進支援事業
公募対象団体
令和3年度農家負担金軽減支援対策事業の公募対象団体は、下記の①の対象団体にあげる団体であり、②の応募資格と条件等を全て満たすことが必要となります。
①対象団体
民間団体(民間企業、一般財団法人、一般社団法人、公益財団法人、公益社団法人、協同組合、企業組合、特定非営利活動法人、国立大学法人、公立大学法人、学校法人、特殊法人、認可法人、独立行政法人等)
② 応募資格・条件等
・意思能力及び行為能力を有する団体であること。
・補助事業等を遂行する資力を有する団体であること。
・法人格を有さない任意団体の場合は、会計処理や意思決定等の方法について規約等が整備されていること。
・農業農村整備事業に関する法体系、事業体系、事業制度等に精通していること。
・土地改良事業に関連した市町村及び土地改良区等との緊密な連絡調整を図りつつ、国及び都道府県と連携し本事業に係る事務を円滑に行うことが可能であるとともに、中立性・公平性を保持しつつ事業を実施できること。
補助額
令和3年度農家負担金軽減支援対策事業の補助率と補助額は下記の通りとなります。
◆補助率 定額
補助対象となる事業費は、66,500,000円以内とし、予算の範囲内において、事業の実施に必
要となる経費を定額により補助する。
・上記のうち災害被災地域土地改良負担金償還助成事業、農地有効利用推進支援事業に係る補助対象経費は17,500,000円以内
・補助金の額は、補助対象経費の金額の算定等に誤りがないかどうか審査をした上で決定するため、提案のあった額より減額されることがあります。
1.水田・畑作経営所得安定対策等支援事業
水田・畑作経営所得安定対策等支援事業の事業内容は、下記の通りとなります。
◆担い手への農用地の利用集積を支援するための水田・畑作経営所得安定対策等支援計画に従って、土地改良区等に対して負担金の一部に充てる資金の貸付けを行うための事業計画認定及び貸付け実行、償還金の徴収を行う。
◆種別 無利子貸付
実施期間
水田・畑作経営所得安定対策等支援事業の実施期間は下記の通りとなります。
◆令和3年度に経営所得安定対策等支援計画の認定を受ける借入主体に対して貸し付けた経営所得安定対策等支援資金に係る償還金の徴収が終了するまでの間
補助対象経費の範囲
水田・畑作経営所得安定対策等支援事業の補助対象となる範囲は、下記の通りとなります。
◆水田・畑作経営所得安定対策等支援事業に係る支援資金
水田・畑作経営所得安定対策等支援事業に必要な事務費は、下記の表の通りとなります。
費
費目 | 内容 |
①賃金 | 本事業の実施に直接必要な業務を目的として、事業実施主体が雇用した者に対して支払う実働に応じた対価 |
②報酬費 | 本事業の実施に直接必要な委員等謝金、講師等謝金、原稿執筆謝 金及び資料収集等に協力を得た人に対する謝礼に必要な経費(社 内規定等に基づく単価の設定根拠によること) |
③旅費 | 本事業の実施に直接必要な会議の出席、各種調査、打合せ及び資 料収集等に必要な旅費、又は、技術指導を行うための旅費として 依頼した専門家に支払う旅費 |
④需用費 | 本事業の実施に直接必要な消耗品、自動車等燃料、印刷製本等の調達に必要な経費 |
⑤役務費 | 本事業の実施に直接必要、かつ、それだけでは本事業の成果とは なり得ない器具機械等の各種保守・改良、翻訳、分析及び試験等 を専ら行うために必要な経費 |
⑥委託料 | 本事業の成果の一部を更生する調査の実施、取りまとめ等を他の 団体に委託するために必要な経費。ただし、事業の根幹を成す業 務の委託は認めない |
⑦使用料及び賃借料 | 本事業の実施に直接必要な車両等の借り上げ、駐車場、会議の会場及び物品等の使用料、有料道路使用料に必要な経費 |
⑧備品購入費 | 本事業の実施に直接必要な備品の購入にかかる経費 |
⑨給料、職員手当等又は技術員手当 | 「補助事業等の実施に要する人件費の算定等の適正化等について(平成22年9月27日付け22経第960号農林水産省大臣官房経理課長通知)」に基づき算出される経費 |
⑩共済費 | ①及び⑨に該当する者に対する共済組合負担金及び社会保険料等 |
⑪補償費 | 本事業の実施に直接必要な業務の遂行上、一時的に必要となる仮 設的用地の借料 |
⑫資材購入費 | 本事業の実施に直接必要な資材の購入費 |
⑬機械賃料 | 本事業の実施に直接必要な機械・器具等の借料及び損料 |
・補助対象とならない経費
恒久的な建物等の建築に関する経費、不動産取得に関する経費及び本事業を実施しなくとも必要となる経費で、事業に直接関連のない経費。
管理費等事業共通で使用する経費については、事業分を明確に証明できない経費。
災害被災地域土地改良負担金償還助成事業
災害被災地域土地改良負担金償還助成事業の事業内容は下記の通りとなります。
◆災害被災地域土地改良負担金償還助成計画に従って、土地改良区等に対して、一定規模以上に被災した農用地又は土地改良施設等の受益地に係る営農再開まで(但し、被災年を含
めた3年間を上限とする)の負担金の償還利息に相当する額を助成するための事業計画認定と助成金の交付を行う。
◆種別 利子助成
実施期間
災害被災地域土地改良負担金償還助成事業の実施期間は下記の通りとなります。
◆令和3年度に災害被災地域土地改良負担金償還助成計画の認定を受ける土地改良区等に対する助成金の交付が終了するまでの間
補助対象となる経費の範囲
災害被災地域土地改良負担金償還助成事業の補助対象となる経費の範囲は下記の通りとなります。
◆災害被災地域土地改良負担金償還助成事業にかかる助成金
農地有効利用推進支援事業
農地有効利用推進支援事業の事業内容は下記の通りとなります。
◆農地耕作条件改善事業を実施する地区における担い手への農地利用集積を支援するための農地有効利用推進支援計画に従って、負担金の償還利息に相当する額を助成(事業費負担
型)と、農地の出し手に対する一括前払金の借入資金に対する償還利息に相当する額を助成(一括前払金助成型)するための事業計画認定と助成金の交付を行う。
◆種別 利子助成
実施期間
農地有効利用推進支援事業の実施期間は下記の通りとなります。
◆令和3年度に農地有効利用推進支援計画の認定を受ける土地改良区等に対する助成金の交付が終了するまでの間
補助対象経費の範囲
農地有効利用推進支援事業の補助対象経費の範囲は、下記の通りとなります。
◆農地有効利用推進支援事業の事業に係る助成金
提出書類等と提出方法について
令和3年度農家負担金軽減支援対策事業の提出書類、提出方法、提出期限、提出窓口は下記の通りとなっていますので、よくご確認したうえで提出するようにしてください。
提出書類
令和3年度農家負担金軽減支援対策事業の提出書類は、下記の①~⑤の書類となります。
①「令和3年度農家負担金軽減支援対策事業に関する課題提案書の提出について」
② 課題提案書
③ 事業費内訳
・本事業を実施するために必要な経費をすべて記載すること
④定款、規約、寄付行為、業務方法書等の規約
⑤ 直近の資産、負債、収支予算及び収支決算等に関する事項が記載された財務関係書類
提出方法・提出期限
令和3年度農家負担金軽減支援対策事業の提出方法と提出期限は、下記の通りとなります。
◆提出方法
・メール、持参又は郵送のいずれかによって提出します。
◆提出期限
・令和3年3月1日(月)午後6時15分まで
・郵送の場合は、令和3年3月1日(月)午後6時15分までに窓口必着となります。
提出窓口
令和3年度農家負担金軽減支援対策事業の提出窓口は、下記の通りとなります。
〒100-8950 東京都千代田区霞が関1-2-1
・農林水産省農村振興局整備部農地資源課経営体育成基盤整備推進室
(北別館5階ドア番号:北515)
TEL:03-3502-8111代表)
FAX:03-3592-0302
e-Meil:yosuke_koshida180@maff.go.jp
担当者:事業推進企画官 稲田 浩一(イナダ コウイチ:内線5614)
保全指導係長 腰田 洋祐(コシダ ヨウスケ:内線5614)
まとめ
令和3年度農家負担金軽減支援対策事業の事業内容、公募対象団体、補助額、提出書類等と提出方法に加えて、3つの事業である水田・畑作経営所得安定対策等支援事業、災害被災地域土地改良負担金償還助成事業、農地有効利用推進支援事業を詳しく紹介してきました。
農林水産省が実施している令和3年度農家負担金軽減支援対策事業では、円滑な土地改良事業を推進していくために、支援金の貸付や利子助成を行っています。
土地改良事業を行う農家にとって、資金調達を補うことのできる助成金や貸付となっていますので、見逃すことのないようにこれらの支援策をぜひご利用ください。