国や地方自治体の助成制度は幅広く認知されていますが、財団で実施している助成金や補助金の制度は、意外に知られていません。
財団で行っている助成金も国と同様に、返済のいらない資金源として、事業や生活のゆとりにつなげていけるでしょう。
このような財団で実施している助成金を積極的に活用していくことをおすすめしますが、まずはその前に、存在を確認しておく必要があります。
そこで、こちらの記事ではニッセイ財団こと、公益財団法人 日本生命財団で実施している5つの助成事業をご紹介します。
対象となっている助成金がありましたら、事業や生活の資金源として、積極的にお役立てください。
ニッセイ財団の概要
ニッセイ財団こと、公益財団法人 日本生命財団は、1979年に設立された多目的の助成型財団です。
創業90周年を迎えた日本生命保険相互会社が、共存共栄、相互扶助の精神に基づいて設けられています。
◆目的 『人間性・文化性あふれる真の豊かな社会の建設に資すること』
ニッセイの行っている助成事業は、特に「児童・少年の健全育成助成」「高齢社会助成」「環境問題研究助成」の3つの分野に力を入れています。
1979年に財団を創立して、今までに約1万8,000件、総額にして170億円の助成を行いました。
ニッセイ財団の助成事業
ニッセイ財団では、全国各地の団体やグループ、研究者などの方々と協力しながら、17,720件の事業活動や研究に対する助成を実施してきました。
ニッセイ財団の実施している助成事業は、下記の表の通りとなります。
(ニッセイ財団の助成事業)
助成事業名称 | 概要 |
児童・少年の健全育成助成 | 子どもの健全育成に向け活動する地域の団体へ必要な物品を助成 |
生き生きシニア活動顕彰 | 高齢者が主体となる地域貢献活動を顕彰 |
高齢者社会助成 | 高齢社会の課題に資する活動・研究に助成 |
環境問題研究助成 | 環境問題研究に取り組む研究者等への研究助成 |
出版助成 | 環境助成の成果出版と博物館展示案内助成 |
次に、ニッセイ財団で実施している助成事業について、詳しくみていきましょう。
研究・地域活動助成 高齢社会助成
研究・地域活動助成 高齢社会助成は、「共に生きる地域コミュニテイづくり」にむけた活動、研究に役立つことをめざして設けられた助成事業です。
「人生100年時代」を活力あふれる社会にするためには、自助・互助・共助・公助が一体となって人々を支え合う社会の構築が課題となっていますが、これらの課題の解決に取り組んでいる活動や研究に対しての助成を行っています。
研究・地域活動助成 高齢社会助成は、「地域チャレンジ活動助成」と「実践的研究助成・若手実践的課題研究」の2種類の助成の募集が行われています。
次に、「地域チャレンジ活動助成」と「実践的研究助成・若手実践的課題研究」について、みていきます。
地域チャレンジ活動助成
地域チャレンジ活動助成は、地域包括ケアシステムの展開、そして深化につながる5つのテーマのいずれかに該当する活動を助成しています。
なお、原則として財団選考委員をアドバイザーとして、連携しておこなっていくこととなります。
(5つのテーマ)
◆福祉施設や福祉・介護・保健・リハビリテーション専門職と地域住民の協働によるインフォーマルなサービスづくりへ向けてのチャレンジ活動
◆認知症(若年性認知症を含む)の人、家族と地域住民がともに行う安心、安全に暮らせる地域づくりへ向けてのチャレンジ活動(本財団恒久分野)
◆人生の看取りまで含む生活支援*につながる実践へ向けてのチャレンジ活動 *日常生活支援、身元保証、死後対応等
◆高齢単身者、家族介護者を含めた複合的な生活課題に対する(家族への)支援につながる実践へ向けてのチャレンジ活動
◆高齢者、障がい者、子ども等全世代交流型の活動・就労の機会提供、社会参加づくりへ向けてのチャレンジ活動
(地域チャレンジ活動助成)
助成内容 | 地域包括ケアシステムの展開、そして深化につながる5つのテーマ(上記)のいずれかに該当する活動 |
助成期間 | 2020年10月から2年 |
助成金 | 最大400万円(1年最大200万円) |
募集締切 | 2020年5月31日(日) |
助成決定 | 財団選考委員会にて選考の上、9月上旬に理事会で決定 |
助成予定件数 | 4団体程度 |
実践的研究助成・若手実践的課題研究
実践的研究助成・若手実践的課題研究は、研究者と実践家が協力し、実践に役立つ成果をあげるための実践的研究などの支援を行っています。
3つの分野となる「いつまでも地域で高齢者が安心した生活が送れるまちづくり(地域包括ケアシステム)の推進」、人生 100 年時代の「高齢者の生きがい・自己実現・就業支援」、「認知症の人が地域で安心した生活ができるまちづくり」の中で、5つの課題を明確にした実践的課題研究に対して助成をしています。
(5つの課題)
◆研究者と実践家(社会福祉士、介護福祉士、看護師、理学療法士、保健師、臨床心理士等現場の職員)が協働して取り組むこと。
よって研究組織に研究者と実践家が共に参画していること。
◆実践活動をベースに、サービス開発やシステム・制度設計の提案、提言、マニュアルの作成、試行のフォローアップに取り組むこと。
◆研究手法が具体的に明示されていること。
実践のデータを収集し、仮説を策定し、質的・量的な分析を通じて 仮説を検証し、実践を通じて評価する実証研究の手法。
または、実践を考案し、それを試行、検証、修正を通じて理論化していくアクションリサーチの手法
◆研究結果が提案性・提言性に富み、開発された手法や提案・提言が 実行性に優れ、成果の対象フィールドへの還元や他地域への波及が期待されること。
◆文献調査等の予備研究が終了していること。
(実践的研究助成・若手実践的課題研究)
助成内容 | 上記の「実践的研究助成対象分野・テーマ」に対する課題を明確にした実践的研究 |
助成期間 | 2020年10月から 実践的課題研究:2年 若手実践的課題研究:1年 |
助成金 | 実践的課題研究:最大400万(1年最大200万) 若手実践的課題研究:総額約700万(1件最大100万) |
募集締切 | 2020年6月15日(月) |
助成決定 | 財団選考委員会にて選考の上、9月上旬に理事会で決定 |
助成予定件数 | 実践的課題研究:2件程度 若手実践的課題研究:7件程度 |
ニッセイ財団環境問題研究助成
ニッセイ財団環境問題研究助成は、豊かな人間生活にとって欠かせない基盤の一つとなる、環境の改善・充実に資する研究に対して支援を行っています。
◆研究課題
『人間活動と環境保全との調和に関する研究-人口減少社会における持続可能な地域づくり、気候変動の影響や自然災害に対する適応力の強化-』
学問領域の枠をこえて学際的・総合的な研究として、大学研究者と地元自治体、更にはNPO・NGO・地域住民等の実践活動者などが協働して推進する他分野協力型、実践型、提言型の研究に対して、助成を行っています。
ニッセイ財団環境問題研究助成は、「学際的総合研究」と「若手研究・奨励研究」の2つの区分に分かれています。
(ニッセイ財団環境問題研究助成)
区分 | 学際的総合研究 | 若手研究・奨励研究 |
課題 | 人間活動と環境保全との調和に関する研究-人口減少社会における持続可能な地域づくり、気候変動の影響や自然災害に対する適応力の強化 | ニッセイ財団の「助成の趣旨」を踏まえた環境問題研究で、若手研究者の基礎的研究・萌芽的研究や新しい分野への挑戦的研究(特に課題は設定していません) |
助成金 | 4千万円程度(予定) | 4千万円程度(予定) |
1件あたり助成額(目途) | (2年間分)1,000万円~1,500万円 | 50万円~150万円 |
申請書 | 学際的総合研究助成申請書 | 若手研究・奨励研究助成申請書 |
都道府県助成 児童・少年の健全育成助成 (物品助成)
都道府県助成 児童・少年の健全育成助成 (物品助成)は、地域活動の一環として定期的・継続的に実施している子どもたちが行うことを支援している助成事業です。
自然体験・生活体験活動、仲間づくりや文化の伝承活動、地域の子育て支援活動などに対して、都道府県知事のご推薦に基づいた助成を行っています。
そのような活動に取り組んでいる民間団体に、常時または直接必要な物品を助成しています。
補助対象団体
都道府県助成 児童・少年の健全育成助成 (物品助成)の補助対象となる団体は、下記の条件を見たしている民間の団体となります。
なお、法人格の有無は問いません。
◆申請時点で設立後1年以上の活動実績がある団体
◆常時10名以上の構成員がいる団体
「子育て支援活動」「療育支援活動」を行う団体は、活動の対象となる児童・少年の延べ人数を含めます。
◆構成員の半数以上が18歳未満の児童・少年である団体
「子育て支援活動」「療育支援活動」「フリースクール活動」を行う団体には、この要件を適用しません。
◆少なくとも月1回以上を目処として定例活動を行っている団体
◆地域住民との交流やボランティア活動等を実践している団体
◆助成により購入した物品を直接・継続的に活用し管理できる団体
対象活動
都道府県助成 児童・少年の健全育成助成 (物品助成)の対象活動となるのは、次世代を担っている児童や少年が健やかに育つために行われる、定期的に継続して行う下記のような活動となります。
◆自然と親しむ活動
・野外活動、自然体験活動
・自然観察、天体観測、自然・森林の保護活動
・野外活動を通してのジュニアリーダー育成活動
◆異年齢・異世代交流活動
・異年齢集団の交流活動
・スポーツ活動、芸術活動
・郷土文化芸能の保存伝承活動
◆子育て支援活動
・子育てサークル活動
・子育て支援ネットワーク活動
・地域に根ざした文庫、読み聞かせ、人形劇活動
・児童少年の居場所づくり支援活動
・子ども食堂、学習支援活動(フリースクールを除く)
◆療育支援活動
・障がいのある子どもたちの療育支援活動
・ノーマライゼーション推進活動
◆フリースクール活動
・フリースクール運営活動
助成金額
都道府県助成 児童・少年の健全育成助成 (物品助成)の助成金額は、活動に常時または直接必要となる物品の助成となり、助成金額は下記の通りとなります。
◆助成金額 1団体 30万円~60万円(物品購入資金助成)
なお、60万円を超える物品購入を希望される場合は、総額に占める申請額の割合が6割以上であることが必要となります。
また、物品購入総額と助成金額との差額は、自己資金からご負担となるのでお気を付けください。
まとめ
ニッセイ財団の紹介と同時に、設けられている3つの助成制度となる「研究・地域活動助成高齢社会助成」「ニッセイ財団環境問題研究助成」「都道府県助成 児童・少年の健全育成助成 (物品助成)」について、詳しく解説してきました。
ニッセイ財団では、40周年記念特別事業として、「児童・少年の健全育成助成」「高齢社会助成」「環境問題研究助成」が設けられています。
対象とや条件に合っているのなら、これらの助成金を積極的に利用して、事業の発展や生活のゆとりにつなげてください。
ただし、助成金の募集期間は限られていますので、よく確認した上で早めの申請を行うことが大切となります。
返済の必要がない助成金を資金源として、有効に活用していきましょう。