ネットショップを立ち上げ運営していく中では、使い勝手の良いサイトを追求していく必要があります。
効率的な管理のためには、時に何かしらのプロセスを外注化することや有料で高い機能を有するツールなどを取り入れることも考えなければなりません。
また、イメージを一新したりターゲットへより特化したショップを目指したりする目的でリニューアルが計画される場合もあります。
いずれにしてもショップにとって必要なプロジェクトとなるわけですが、少なからず予算も必要とされるものです。
いかにして資金調達するかが固まらなければ、実行に着手することもできません。
そこで、小規模なネットショップの運営に対しても助けとなる補助金や助成金の制度があります。
・IT導入補助金
・小規模事業者持続化補助金
・ネットショップを運営する事業者にも適用され得る助成金
次項から、それぞれの制度をくわしく解説します。
IT導入補助金
IT導入補助金の正式名称は、「サービス等生産性向上IT導入支援事業」です。
経済産業省の事業として、実施されています。
IT導入補助金の概要
IT導入補助金は、新規でITツールを導入するにあたって必要とされる費用として充当することのできる補助金です。
ネットショップという形態の事業に対して、やはりITツールは相性の良いものとなっています。
IT化の進展とともに、多種多様な種類のツールがリリースされるようになりました。
そこでショップを運営する側としては、まずは現状を鑑みてショップの強みとなっている部分やより強化することが必要な点について把握する必要があります。
その上で、ニーズと合致する部分へ課題の解決に役立つITツールを導入するのです。
それによって経営力を高め、売り上げの増大やより効率的な業務遂行の実現に資することを目的としてIT導入補助金制度は創設されました。
対象としてはIT事業をサポートするITツールでありネットショップ作成サービス、ホームページ作成サービスなどが該当します。
IT導入補助金をめぐる手続き
IT導入補助金に関しては「事業実績報告」や「事業実施効果報告」というプロセスがあり、これは事業者の側で行わなければなりません。
あらかじめ、そういった点や補助金事業に関する理解は十分にしておく必要があります。
注意すべきは補助金の交付が決まった連絡よりも先に対象の事業へ着手した場合すなわち契約や発注、支払いなどのアクションをしてしまうと補助金は交付されない点です。
導入するITツールについては、「IT導入支援事業者」と紐付けられています。
IT導入支援事業者は事業者が補助事業を実施する上でのパートナーであり、ITツールもIT導入支援事業者があらかじめ事務局から認定を受けているものでなければなりません。
ですからネットショップにとって必要な施策を行うために事業者はまず、適切なIT導入支援事業者とITツールを選ぶ必要があるのです。
そして交付申請する事業計画は、事業者とIT導入支援事業者とで打ち合わせながら決めていきます。
申請はインターネット上、「申請マイページ」から行うようになっていますが公開されているものではなくIT導入支援事業者からの「招待」を受けるかたちです。
また、行政サービスであることからログインに必要な「gBizIDプライムアカウント」もあらかじめ取得しておかなければなりません。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は名称のとおり、特に規模の小さな事業者が対象とされている補助金制度です。
日本商工会議所の事業として、実施されています。
小規模事業者持続化補助金の概要
小規模事業者持続化補助金は販路の開拓やプロモーション、販売促進活動のほかITを活用しての取り組みに必要とされる費用として充当することのできる補助金です。
ネットショップに欠かすことができないIT絡みの戦略もカバーされていますから、資金調達に役立てることができます。
なお、新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年の状況下においては世情が考慮されることとなりました。
支援対象として、経営上の打撃を受けつつもなおあらたな販路の開拓などへ精力的に取り組んでいく事業者が重視される旨についてアナウンスされています。
具体的な対象事業については、たとえばウェブサイトを使っての広告費用が生産性を向上させる地道な販路開拓などが目的となる取り組みとして示されているものです。
ネット販売システムを構築する上での経費についても、広報費用として含まれます。
また、各種ソフトウェアの購入も「IT利活用」の取り組みとしてイメージされているものです。
配送を効率化する倉庫管理ソフトや人事・給与管理を効率化する労務管理ソフト、決算を効率化する経理・会計ソフトといったものの購入費用が機械装置等費となります。
小規模事業者持続化補助金をめぐる手続き
小規模事業者持続化補助金の補助対象経費としては展示会等出展費をはじめとして旅費や開発費、資料購入費に雑役務費のほか借料といった費目も挙げられています。
さらに専門家謝金や専門家旅費、委託費に外注費そして設備処分費も対象です。
ただし設備処分費に関しては、総額の半分が上限として定められています。
また事業を行うために用いられたことについて明確に特定することができ、支払われた金額が証拠資料などからわからなければなりません。
それとともに交付が決まった日よりも後に発生し、対象とされた期間内に支払いを終えていることも必要です。
申請に際しては、商工会議所からの指導や助言を受けながら手続きを進めることができます。
まずは補助事業者としての要件を満たしている必要があり、これは地域の商工会議所で確認を受けておくことが無難です。
その上で経営計画書と補助事業計画書を作成し、事業支援計画書などの作成と交付を依頼します。
補助金事務局である日本商工会議所へ申請書類を送付した後は日本商工会議所が審査を行い、採択となれば正式に交付が決定されてから取り組みを実施する流れです。
そして実績報告書などを提出しその確認が行われてから補助金の請求が可能となり、受領へ至ります。
ネットショップを運営する事業者にも適用され得る助成金
補助金は申請した後に審査が行われ、採択されなければ交付されないものです。
つまり審査の結果次第によって、必ず交付されるというものではありません。
一方、助成金に関しては条件を満たしてさえいれば確実に助成を受けることができます。
特定求職者雇用開発助成金
ネットショップを運営する事業者であっても、従業員を雇用しての事業展開が行われているのであれば雇用関係助成金の支給対象となり得ます。
厚生労働省の管轄となっているもので多種多様なものがあり、区分は数十種類です。
そのいずれについても条件としては雇用保険適用事業所であることが必要であり、支給にともなう審査へ対応しなければなりません。
加えていくつか例示すると「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」はハローワークや有料、無料の職業紹介事業者などから紹介された求職者が対象です。
事業者はその従業員を2年以上、また65歳以上になるまで継続して雇用している必要があります。
「特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)」については、求職者の紹介経緯に限ると特定就職困難者コースと同様です。
ただ求職者は雇用された日付での年齢が満65歳以上であり、紹介された日において雇用保険の被保険者となっていないことが条件となります。
また、事業者はその従業員を1年以上にわたり雇用すると確約していなければなりません。
中途採用等支援助成金
事業所として中途採用によって従業員を雇用する上では、ネットショップの運営事業者が中途採用等支援助成金の支給対象になり得ます。
「中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)」は、40歳以上になってから起業し自分でその事業に専従することが条件です。
さらに計画書を用意し期間中に60歳以上であれば2人以上、40歳以上であれば3人以上を雇用している必要があります。
そして支給を申請する段階では、雇用した人員の過半数が引き続き在籍しているなどしていなければなりません。
そのほか、「中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)」ははじめて45歳以上の人材を雇用するか中途採用の割合を高める場合に適用されるものです。
東京圏から移住してきた人材の雇用に関しては、「中途採用等支援助成金(UIJターンコース)」というものもあります。
働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)
働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)は、在宅ないしサテライトオフィスでのテレワークを推進している中小の事業者が対象とされています。
新型コロナウイルス感染症への対策としてにわかに注目が高まったことから、申請数が急増したという状況もありました。
事業者は継続してテレワークを活用しているか、新規に導入することが必要です。
具体的な取り組みに関しては通信機器のうちパソコンなどシンクライアント端末を導入することや労働者、労務管理担当者への研修なども該当します。
また1ヶ月から6ヶ月の評価期間を設定した上で、成果目標の達成を目指すことも求められることに注意しなければなりません。
該当期間の中ですべての従業員が一度以上のテレワークを実施し、さらに平均して1週間につき一度以上となるテレワークの実施が成果目標となります。
まとめ
以上、ネットショップの資金調達を可能とする5種類の補助金や助成金を紹介しました。
・IT導入補助金
・小規模事業者持続化補助金
・ネットショップを運営する事業者にも適用され得る助成金
事業において新しくITツールを導入する上では、IT導入補助金の交付を申請することができます。
小規模事業者持続化補助金は、直接的にITとかかわる施策に限らずネットショップの運営に関連する部分も含めて適用されるイメージです。
そのほか条件を満たせば必ず支給される助成金としては特定求職者雇用開発助成金や中途採用等支援助成金、働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)が挙げられます。