多くの情報を発信する放送事業者の通信や放送役務として、身体障害者への利便性を図っていくことは大切なこと、生放送番組のリアルタイムの字幕はその一つとなるでしょう。
しかし、生放送番組においてリアルタイムの字幕を行うには機器の整備が必要となり、機器を整備するには多くの費用がかかってしまうために、躊躇している事業者も多いのではないでしょうか?
そのような時には、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)で実施している生放送字幕番組普及促進助成金をご利用ください。
生放送字幕番組普及促進助成金は、生放送番組の字幕を付ける機器の整備に対して支援を行っている助成金です。
こちらの記事では資金調達に繋がる、生放送字幕番組普及促進助成金を詳しくご紹介していきます。
生放送字幕番組普及促進助成金の概要
生放送字幕番組普及促進助成金は、生放送番組に字幕をリアルタイムで付与するための機器の整備を支援している助成金です。
通信・放送役務の利用に関する身体障害者の利便の増進を図ることを目的として、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が予算の範囲内で必要な助成措置を行っています。
生放送番組に字幕をリアルタイムで付与する機器の整備等に必要となる経費の一部を助成金にて交付しています。
交付の対象
生放送字幕番組普及促進助成金の交付の対象となるのは、下記の通りとなります。
◆生放送番組に字幕を付与する機器を有していない放送事業者における、生放送番組に字幕をリアルタイムで付与するための機器等の初回整備に必要な経費のうち、機構が予算の範囲内で助成を行うことが適当であると認めたものとします。
・ソフトウェアとそれを動作させるPCが必要な場合はそれらも含まれます。
・対象外となる経費
現地調査費、設置工事費、既存設備改修費、保守費等に係る経費は、助成の対象とはなりませんので、お気をつけください。
(認められる例)
・PC及びソフトウェアであって、助成対象事業以外には使用されないもの。
(認められない例)
・助成対象事業以外にも使用される事務処理用のPC等の汎用装置。
・助成対象事業の遂行に関係する既存設備の更新・増設・改修等に係る経費。
・機器の購入に付随する保守サービスに係る経費。
助成額
生放送字幕番組普及促進助成金の助成限度額は、下記の通りとなります。
◆当該助成対象経費の額の2分の1に相当する額を限度とし、かつ1放送事業者当たり600万円を上限とします。
申請期間
生放送字幕番組普及促進助成金の申請期間は下記の通りとなります。
◆令和3年1月25日(月)から令和3年2月19日(金) 17:00まで(必着)
生放送字幕番組普及促進助成金の流れ
生放送字幕番組普及促進助成金を申請する流れは、下記のように進められていきますので、ご確認ください。
◆ステップ1:助成を希望する事業者は、「生放送字幕番組普及促進助成金交付要綱」所定の交付申請書を機構に提出します。
◆ステップ2:国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、採択案件の選定を行い、交付、不交付決定通知書を送付します。
◆ステップ3:助成対象事業者は、助成対象事業の終了後、実績報告書を提出します。
◆ステップ4:国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、実績報告書の内容を審査(経理検査を含む。)し、額の確定を行い助成金の交付を行います。
◆ステップ5:国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、助成対象事業の適正執行を確認するため、必要に応じて助成対象事業終了時及び終了後に適時実地調査を実施します。
◆ステップ6:助成終了年度以降5年間は利用実績報告書の提出が必要です。
交付申請書と交付決定の通知
生放送字幕番組普及促進助成金を受けるためには、助成対象事業者が交付申請書を提出し、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)から助成対象事業の交付決定を受ける必要があります。
①交付申請書の提出
助成対象事業者は、公募期間中に交付申請書を様式第1に従って作成し、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)に提出します。
②交付申請書の内容
交付申請には、下記の資料を添付してください。
◆様式第1 生放送字幕番組普及促進助成金交付申請書
◆添付資料1 申請者概要説明書
◆助成対象事業の内容等説明書
(参考資料2-1) イラスト図
(参考資料2-2) 次年度における字幕付与予定の生放送番組
選定基準
生放送字幕番組普及促進助成金の助成対象事業者の選定は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)で選定されます。
選定にあたっては、下記①~⑤の各項目を満たしていることを基準としています。
① 助成対象事業を的確に遂行するに足る能力を有すること。
②助成対象事業を的確に遂行するのに必要な経費のうち、自己負担分の調達に関して十分な能力を有すること。
③助成対象事業に係る経理その他の事務について的確な管理体制及び処理能力を有すること。
④ 生放送番組に字幕を付与する機器を有していないこと。
⑤機器を整備する年度の翌年度において、字幕を付与する生放送番組の放送予定が明確になっていること。
経理に関する検査
生放送字幕番組普及促進助成金の経理検査(確定検査)は、交付される助成金等の原資が国民の税金から賄われていることから、適正な経費の執行が要求されているという観点に基づき、事業の経理処理についての検査を行っています。
確定検査は、実施された事業の内容とこれに計上された経費の適正性について、提出された実績報告書に基づき確認し、当該年度に支出すべき経費の額を最終的に確定するために行うものです。
◆検査における着眼点
検査においては、実施計画等に基づき助成事業が実施されているかという点、経費の執行にあたっても下記のようなことが遵守されているかを確認していきます。
・当該助成事業に直接必要な経費であるか。
・助成期間中に発生かつ支払いが行われた経費であるか。
・当該事業費が、他の資金と混同して使用されていないか。
・会計処理が、法令や内部規程等に照らして適正か。
・経費の使用に際し、経済性や効率性が考慮されているか。
・確定検査の方法
なお、確定検査は、実績報告書の内容を書面により審査する「書面検査」と、必要に応じて行う「実地検査」により実施します。
ア 書面検査
事業内容や経費計上の適正性について、当該事業を実施した者から提出のあった実績報告書ほか関係証憑等の書面をベースに機構職員(又は機構が指定する者)が確認を行うものです。
イ 実地検査
事業実施内容や経費計上の適正性について、書面のみではその確認が困難な場合に機構職員(又は機構職員が指定する者)が事業を実施した者へ直接出向き、当該事業の進捗状況や購入物品、機器、設備等の管理・使用状況等を確認するものです。
実績報告書と助成金の交付
助成対象事業者が生放送字幕番組普及促進助成金の交付を受けるためには、実績報告書を機構に提出し、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)から助成対象事業の終了の認定を受けた上で、交付される助成金の額の確定通知を受ける必要となります。
実績報告書の提出と実績報告書の内容は下記の通りとなります。
◆実績報告書の提出
助成対象事業者は、助成対象事業が終了したときは、終了日より30日以内又は当該事業年度末のいずれか早い日までに、助成対象事業を実施した証拠となる実績報告書(使用した経費に係る経理的証拠書類等)を様式第8に従って作成し提出します。
◆実績報告書の内容
実績報告には、次の資料を添付してください。
・助成対象経費一覧
・ 選定理由書
・ 助成対象経費に係る証拠書類の写し
・ 資産管理台帳
申請の手続きについて
生放送字幕番組普及促進助成金の申請方法、申請書類、提出先は、下記の通りとなりますので、よく確認して申請してください。
申請方法
生放送字幕番組普及促進助成金の申請方法は、メールによる申請と、補助金システム(Jグランツ)による申請が行えます。
① メールによる申請
申請書に必要事項を記入のうえ、申請書、その他申請書類の電子ファイルを添えてメールでエントリーします。
申請書原紙はその他申請書類を添えてNICTの窓口へ郵送し、その際には送付用の封筒等の表面に「生放送字幕番組普及促進助成金申請書在中」と朱書きします。
② 補助金申請システム(Jグランツ)による申請
本事業は補助金申請システム(Jグランツ)での申請が可能となっておりますが、申請にはGビズIDのgBizIDプライムが必要ですので、事前にIDの取得を済ませておきましょう。
申請書類
生放送字幕番組普及促進助成金の申請書類は下記の通りとなります。
交付要綱、事務・経理処理事項書及び申請書類書式については、下記の国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT) Webページの「3.交付要綱等」、もしくは補助金申請システム(Jグランツ)からダウンロードしてご利用ください。
①生放送字幕番組普及促進助成金申請書(様式第1)
② 申請者概要説明書
③助成対象事業の内容等説明書(イラスト図、生放送番組予定リストを含む)
④助成対象経費積算表
提出先
生放送字幕番組普及促進助成金の提出先は、下記の通りとなっています。
◆メール・郵送の場合
〒184-8795 東京都小金井市貫井北町4-2-1
国立研究開発法人情報通信研究機構
デプロイメント推進部門 情報バリアフリー推進室(担当:小倉 浩嗣)
メールアドレス: jimaku@ml.nict.go.jp
・国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)Webページ
生放送字幕番組普及促進助成金
・補助金申請システム(Jグランツ)
jGrantsネットで簡単!補助金申請|jGrants
まとめ
生放送字幕番組普及促進助成金の概要に加えて、生放送字幕番組普及促進助成金の流れと申請の手続きについて、詳しくご紹介してきました。
生放送番組のリアルタイムでの字幕には機器が必要となりますが、まだ機器を購入していないのなら、ぜひ生放送字幕番組普及促進助成金を資金調達の一つとしてご活用ください。
また、助成金を交付してもらうには、選定が行われ、助成対象事業が終了した後は実績報告書の提出、また必要に応じて適時実地調査が行われることがありますので、忘れないようにしておきましょう。
申請期間を見逃すことのないように、資金調達の一つとして生放送字幕番組普及促進助成金を役立ててください。