
国産の麦や大豆の需要は、しっかりと堅実に伸びていることは喜ばしいことですが、天候等による供給の変動が激しいために、実際に消費する使用量の拡大に踏み切れていないことが課題とされています。
課題をクリアしていくためには、凶作時であっても安定して供給できるように、一定数量の保管が大切になってくるのではないでしょうか?
農林水産省では、このような状況を踏まえて、令和2年度麦・大豆保管施設整備事業を設けました。
麦や大豆の安定供給体制の強化に取り組んでいる方を支援している事業となっていますので、ぜひご利用ください。
こちらの記事では、令和2年度麦・大豆保管施設整備事業を詳しく解説していきます。
令和2年度麦・大豆保管施設整備事業
農林水産省が実施している令和2年度麦・大豆保管施設整備事業は、国産麦・大豆を新たに一定数量保管し、需要に合わせて供給する等により、安定供給体制の強化に取り組む者を支援している事業です。
消費者の根強い国産需要はあるにも関わらず、天候等による生産量の変動が激しく、供給量や価格が不安定なため、豊凶変動に対応し、凶作時であっても安定して供給できる体制を図るために設けられました。
凶作時であっても安定して供給できる体制作りに向けた取組に必要となる経費の一部を補助しています。
事業内容
麦・大豆保管施設整備事業の事業内容は、下記の通りとなります。
◆国産麦・大豆の安定供給体制の構築に向けて、安定供給計画を策定の上、計画の達成に必要な国産麦・大豆を新たに保管するための保管施設の整備を支援します。
事業実施主体
麦・大豆保管施設整備事業の事業実施主体となるものは、下記の通りとなります。
◆コンソーシアム
「コンソーシアムの要件」は、下記にあげる全ての条件を満たすことが必要です。
①都道府県、市町村、農業関係機関(農業協同組合、農業協同組合連合会等)、農業者、実需者等により構成されていること。
②コンソーシアムの運営に係る規約が定められていること。
③施設の利用料金を設定する場合は、原則として施設の管理運営に必要な経費の範囲内で設定すること。
◆農業者の組織する団体
対象となる施設
麦・大豆保管施設整備事業の対象となる施設は、下記の通りとなります。
◆国産麦・大豆の安定的な供給に向けて一定数量を保管し、需要に合わせて供給するための施設・設備
◆国産麦・大豆の安定的な供給に向けて一定数量を保管し、需要に合わせて供給するために必要な機能を既存の施設・設備に付与するための改修
・改修とは、既存施設を本事業の麦・大豆保管施設に仕向けるために必要な内部設備の導入等をさしています。
保管対象となる作物
麦・大豆保管施設整備事業の保管対象となる作物は、下記の通りとなります。
◆国産の麦(小麦、大麦及びはだか麦をいう。以下同じ。)及び国産の大豆
採択要件
麦・大豆保管施設整備事業の採択の要件は下記の通りとなります。
◆政策統括官が別に定める事業実施計画(安定供給計画を含む。)を策定していること。
◆国産麦及び大豆の安定供給に資することを目的に、新たに国産麦及び大豆を保管する取組であること。
補助対象経費
麦・大豆保管施設整備事業の補助対象経費の範囲は下記の通りとなります。
◆本事業の実施要領に定める経費で、事業の実施に直接必要な経費です。
・本事業の補助対象経費等については、「補助事業等により取得し、又は効用の増加した財産の処分等の承認基準について」(令和元年7月31日付け元予第539号農林水産省大臣官房経理課長通知)を準用しています。
・事業実施要領等に定める経費であっても、証拠書類(請求書、領収書の写し等)によって金額、内容等が確認できないものについては補助対象となりません。
・応募に当たっては、本事業期間中における所要額を算出しますが、実際に交付される補助金の金額については、申請書類審査の結果等に基づき決定されることとなりますので、必ずしも提案額と一致するとは限りませんので、お気をつけください。
・所要額については、円単位で積算し、千円単位(未満切捨て)で計上します。
申請できない経費
麦・大豆保管施設整備事業の経費として申請できない経費は、下記の通りとなりますので、よくお確かめください。
・応募団体の運営に係る経費
・本事業を実施するために雇用した者に対して支払う経費のうち、実働に応じた対価として支払う賃金以外の経費
・事業実施期間中に発生した事故又は災害の処理のための経費
・補助対象経費に係る消費税及び地方消費税に係る仕入控除税額(補助対象経費に含まれる消費税及び地方消費税相当額のうち、消費税法(昭和63年法律第108号)の規定により仕入れに係る消費税額として控除できる部分の金額及び当該金額に地方税法(昭和25年法律第 226号)の規定による地方消費税の税率を乗じて得た金額の合計額に補助率を乗じて得た金額)
・飲食費
・傷害保険等任意保険の加入に要する経費
・補助金の交付決定前に支出される経費
・応募団体の他の事業に要する経費と区分できない経費
・その他本事業を実施する上で必要とは認められない経費及び本事業の実施に要したものとして証明できない経費
補助額
麦・大豆保管施設整備事業の補助率は下記の通りとなります。
◆補助率 2分の1以内
麦・大豆保管施設整備事業の申請に必要な書類
麦・大豆保管施設整備事業の申請するときに必要な書類は、下記の通りとなりますので、申請書類を作成し、提出期限までに提出先に送付してください。
◆申請書類
ア:麦・大豆保管施設整備事業応募書(別記様式第1号)
イ:麦・大豆保管施設整備事業実施計画書・添付書類・安定供給計画(別記様式第2号)
ウ:その他、必要な書類
・コンソーシアムで応募される場合は、代表者、意思決定の方法、事務・会計の処理方法及びその責任者、財産管理の法補及びその責任者並びに内部監査の方法等を明確にしたコンソーシアムの運営等に係る規約(コンソーシアム規約)の案についても提出します。
・応募時点では、コンソーシアムが発足していることは求めません。
提出先・問合せ先
麦・大豆保管施設整備事業の事業の内容、申請書類等の作成等に関する問い合わせ先と提出先は、下記の通りとなります。
◆問合せ先
・農林水産省 政策統括官付 穀物課 麦生産班
・電話番号 03-6744-2108
・問合せの受付時間は、土・日・祝祭日を除く午前10時から午後5時までとなっております。(正午から午後1時の間を除く。)
◆申請書類の提出先
〒100-8950 東京都千代田区霞が関1-2-1
農林水産省 政策統括官付 穀物課 麦生産班
麦・大豆保管施設整備事業の事業計画書
麦・大豆保管施設整備事業は、農林水産省が公募をし、事業実施主体が提出した事業計画書(安定供給計画を含む。)に基づいて、ポイント上位より採択されます。
次に、提出する事業計画書の記載内容と実施状況報告・成果目標について、見ていきましょう。
記載内容
麦・大豆保管施設整備事業の事業計画書の記載内容は、下記の通りとなります。
◆事業実施計画には、補助事業者の名称、概要、対象作物・事業実施年度・目標年度、事業の目的・効果、整備する施設等が収集範囲とする地区(受益地区)、施設等の整備、事業費、計画の採択基準等を記載するとともに、不作等による国内供給量減少時の国産麦・大豆の安定供給等に係る計画(安定供給計画)を添付します。
実施状況報告・成果目標
麦・大豆保管施設整備事業の事業計画書の実施状況報告・成果目標は、下記の通りとなります。
◆補助事業者は、本事業の実施年度から目標年度までの間、毎年度、当該年度における事業実施状況を作成し、農林水産省に報告してください。
・事業実施年度を含む5年間までの間、毎年度、当該年度における安定挙旧計画の達成状況を作成し、農林水産省に報告します。
◆審査結果の通知等
審査結果は、補助金交付対象者として特定した者に対してはその旨を、それ以外の申請者に対しては補助金交付対象者とならなかった旨を、それぞれ書面により通知されます。
申請する際の注意事項
麦・大豆保管施設整備事業に申請する際の提出にあたっての注意事項は、下記の通りとなりますので、よくご確認ください。
① 申請書類に虚偽の記載、不備等がある場合は、審査対象外となる場合があります。
② 申請書類の作成及び応募に係る費用は、応募者の負担とします。
③ 申請書類の提出は、原則として郵送又は宅配便(バイク便を含む。)とし、やむを得ない場合には、持参も可としますが、ファクシミリによる提出は受け付けません。
・なお、電子メールでの提出方法については、申請書類の提出先まで問い合わせて下さい。
④ 申請書類を郵送する場合は、簡易書留、特定記録等、配達されたことが証明できる方法によって行ってください。
・提出期限前に余裕を持って投函する等、必ず提出期限までに到着するようにしてください。
⑤ 提出後の申請書類については、原則として、資料の差し替え等は不可とし、採 用、不採用にかかわらず返却されません。
⑥ 申請書類は、封筒に入れ、「麦・大豆保管施設整備事業申請書類在中」と封筒 の表に朱書きの上、書類一式を入れて提出します。
⑦ 提出された申請書類については、秘密保持に十分配慮するものとし、応募審査 以外には無断で使用されません。
まとめ
農林水産省が実施している令和2年度麦・大豆保管施設整備事業について、事業内容、事業実施主体、対象となる施設、保管対象となる作物、補助対象経費、補助額、さらに必要な書類や事業計画書など、まとめて解説してきました。
麦や大豆においては、天候等により供給の変動によって左右されることは避けられませんが、一定数量の保管を維持することによって凶作時であっても安定して供給できるようになります。
保管する際に係る費用は負担となってきますが、ご紹介した麦・大豆保管施設整備事業の補助金を資金調達の一つとして活用して、麦や大豆の安定供給体制の強化に取組んでみてはいかがでしょうか。
国産の麦や大豆の堅調な需要を支えていくために、供給量や価格の不安定さなどの課題をクリアしていきましょう。