最近では、国や自治体によって、起業や新事業の展開、設備投資に対しての補助金制度が多くあり、インバウンド向けの民泊や簡易宿泊所の改行にも補助金制度が使えたりします。
インバウンド向けに宿泊施設を開業するのもそれなりに費用がかかってしまうので、資金調達の観点から言っても、補助金制度はぜひ活用すべきです。
そこで、当記事ではインバウンド向けの民泊や宿泊施設の開業を検討している方に向けて5つの補助金制度を紹介していきます。
民泊業界の現状はどんなものか
最近では、日本に外国人観光客が増え、インバウンドの方の需要に応えていく必要があります。
しかし、民泊新法の施行によって、宿泊施設の選別が進み、運営をするのも容易ではありません。
宿泊施設をインバウンドに向けて整備するために使える補助金制度は多くありますが、民泊新法を踏まえたうえでも、どのような補助金や融資が利用できるのかは知る必要があります。
宿泊施設用補助金の利用
最近は民泊が話題になっていますが、民泊新法でが、民泊施設の整備ために補助金を受け取ることが難しいのが現実です。
そこで、インバウンド向けに宿泊施設の整備を検討しているのであれば、官公庁が公募を始めた「宿泊施設インバウンド対応支援事業」などをおすすめします。
また、東京都観光財団では「インバウンド対応力強化補助金として、宿泊施設が多言語対応できるようなることを目的とする補助金制度もあります。
これらの補助金は基本的に「ホテル営業」「旅館営業」「簡易宿泊所営業」の営業許可を得ている施設のみが対象です。
また、地方自治体でも宿泊施設を対象としたものは多くありますが、民泊新法上、民泊施設の整備で補助金を受けるのは非常に難しいです。
同様に、融資が必要となる場面でも「特区民泊」や「旅館業法上の簡易宿泊」などの営業を受けておかなければ融資すら受けられないかもしれません。
古民家再生補助金・融資制度の利用
古民家をインバウンドに向けて民泊施設に整備した際に利用できる補助金はないのか?とお考えの方もいるでしょう。
こちらの場合では、地方自治体によっては古民家再生事業に力を入れていることがあり、古民家のリフォームや構造補強に対して補助金がでることもあります。
また、古民家をリフォームすることによって、宿泊施設として認定を受けられることもあるので、地域によっては活用すべき方法です。
宿泊施設用補助金について
宿泊施設の整備などに活用できる補助金は数多くありますが、それぞれの補助金で要件や補助金額なども異なるので、対象となる事業が何かを覚えておく必要があります。
・インバウンド対応力強化支援補助金(公益財団法人東京都観光財団)
・宿泊施設インバウンド対応支援補助金(観光庁)
・宿泊施設における安全・安心向上支援補助金(公益財団法人東京都観光財団)
・宿泊施設バリアフリー化支援補助金(公益財団法人東京都観光財団)
・宿泊施設おもてなし環境整備促進事業費補助金
そこで、インバウンドのための宿泊施設の整備で活用できる上記の補助金制度を紹介していきます。
インバウンド対応力強化支援補助金(公益財団法人東京都観光財団)
■目的
東京都内の宿泊施設、飲食店等が訪都外国人旅行者のニーズに対応した利便性や快適性を向上させる目的で実施する受入れ対応居強化の取組支援
■対象地域 対象施設
東京都内
宿泊施設(その他、飲食店、小売店(免税店)、観光関連事業者グループ等)
→宿泊施設は、旅館業法上 ①ホテル営業、②旅館営業、③簡易宿所営業の営業許可を受け
ている場所に限り、民泊新法上の民泊や特区民泊は対象外
■宿泊施設での補助対象事業と経費
① 多言語対応(施設の案内表示・室内設備の利用案内・ホームページ・パンフレット等の
多言語化、多言語対応タブレット導入等)
② 館内及び客室内のトイレの洋式化
③ 客室の和洋室化(洋室→和室、和室→洋室)
④ 館内及び客室内のテレビの国際放送設備の整備
⑤ クレジットカードや電子マネー等の決済機器の導入
⑥ 外国人旅行者の受入対応に係る人材育成(従業員に対する多言語化の習得等)
⑦ その他外国人旅行者受入対応供花のため必要な事業
上記に係る経費のうち、施設整備費、備品購入品、設置工事費、制作費、印刷製本費、翻訳
費、機器購入費、講師謝金、会場賃借料、委託費(コンサルティング経費含む)
■補助金額 補助率
1施設あたり上限300万円
1施設あたり補助対象経費の1/2(コンサルティング経費は補助対象経費の1割)
■申請期間
平成30年4月2日~平成31年3月29日
宿泊施設インバウンド対応支援補助金(観光庁)
■目的 複数の宿泊事業者が共同して当該宿泊事業者の訪日外国人旅行者の受入能力及び生産性を向上することにより宿泊稼働率・宿泊者数の向上を図ることを支援
■対象地域 対象施設
全国
① 宿泊事業者等団体、②構成員宿泊事業者(5事業者が共同して申請)
→宿泊施設は、旅館業法上 ①ホテル営業、②旅館営業、③簡易宿所営業の営業許可を受け
ている場所に限り、民泊新法上の民泊や特区民泊は対象外
■宿泊施設での補助対象事業と経費
① 館内共用部のWi-Fi 整備
② 館内共用部のトイレの洋式化
③ 自社サイトの多言語化(宿泊予約機能を有するサイトに限る)
④ 館内共用部のテレビの国際放送設備の整備
⑤ 館内共用部の案内表示の多言語化
⑥ 館内共用部の段差解消
⑦ オペレーターによる24時間対応可能な翻訳システムの導入または業務効率化のため
のタブレット端末の設置
⑧ クレジットカード決済端末の整備 等
上記に係る経費のうち、機器購入費用
■補助金額 補助率
補助対象経費に補助率を乗じて得た額以内(但し、1事業者あたり上限100万円)
補助対象経費の1/3
■申請期間 現在未募集(平成30年度実施予定あり、昨年例6月28日~7月31日)
宿泊施設における安全・安心向上支援補助金(公益財団法人東京都観光財団)
■目的
防犯カメラ等の導入による都内宿泊施設における安全・安心の向上
■対象地域対象施設
東京都内の宿泊施設
→宿泊施設は、旅館業法上 ①ホテル営業、②旅館営業、③簡易宿所営業の営業許可を受
けている場所に限り、民泊新法上の民泊や特区民泊は対象外
■宿泊施設での補助対象事業と経費
施設及び施設敷地内に防犯カメラ等設備を新たに設置した場合の、機器購入費とこれに係
る設置工事費(設置場所は不特定多数人が利用する施設に限定)
上記に係る経費のうち、カメラ(2台まで)、モニター、録画装置(デジタルレコーダー)、
中継器、防犯カメラ機能を構成する機器の購入費、設置工事費、ステッカー購入費等
■補助金額 補助率
1施設あたり上限90万円、1施設あたり最大2箇所・同一年度に1回限り
補助対象経費の1/2以内
■申請期間 平成30年4月2日~平成31年3月29日
宿泊施設バリアフリー化支援補助金(公益財団法人東京都観光財団)
■目的
東京を訪れる高齢者や障害者が安全かつ快適に過ごせるように宿泊施設の施設整備支援
■対象地域 対象施設
東京都内の宿泊施設
→宿泊施設は、旅館業法上 ①ホテル営業、②旅館営業、③簡易宿所営業の営業許可を受
けている場所に限り、民泊新法上の民泊や特区民泊は対象外
■宿泊施設での補 助対象事業・経 費と補助金額・ 補助率
補助対象施設が行う改修等の規模により以下を限度とする。
補助対象事業 | 改修規模 | 補助率 | 補助限度額 |
コンサルティング | 全施設 | 2/3 | 34万円 |
バリアフリー化整備(改修工事) | 1000㎡未満 | 2/3 | 3000万円
複数障害対応可能な施設4200万円 |
バリアフリー化整備(改修工事) | 1000㎡以上 | 1/2 | 2000万円
複数障害対応可能な施設2800万円 |
備品購入 | 1000㎡未満 | 2/3 | 270万円 |
備品購入 | 1000㎡以上 | 1/2 | 200万円 |
■補助金額 補助率
1施設あたり上限90万円、1施設あたり最大2箇所・同一年度に1回限り
補助対象経費の1/2以内
■申請期間
平成30年4月19日~平成31年2月14日
宿泊施設おもてなし環境整備促進事業費補助金
■目的
大阪府を訪れる宿泊客の利便性快適性の向上
■対象地域 対象施設
大阪府内
宿泊施設及び大阪府内における特区民泊施設における経営事業の特定認定を受けた事業者
(認定事業者)又は特定認定を受けようとする事業者(認定予定事業者)
平成30年度予算(合計3000万円)では、宿泊施設90施設(うち民泊施設60施設、
予算1800万円)
■宿泊施設での補助対象事業と経費
参考:昨年度公募内容
① 施設の案内表示、室内設備の利用案内等の多言語対応
② パンフレット、ホームページ等の広報物の多言語対応
③ 居室内における WiFi 整備
④ 消防設備の整備(自動火災報知設備、誘導灯、スプリンクラー設備)
⑤ その他、知事が受入対応の強化のために必要と認める事業
上記に係る経費のうち、設置・改修費(設計費・工事費等)、機器購入費、初期導入費用(ホ
ームページ製作費、システム構築費)、印刷費(パンフレット作成費(デザイン含む))
■補助金額 補助率
1事業者あたり上限40万円
1事業者あたり補助対象経費の1/2
■申請期間 今年度未定 (昨年例 平成29年7月18日~平成29年3月31日)
■備考 ※特区民泊で使用する場合は、特区民泊開設前に消防設備導入で申請するケースが考えられる。
まとめ
以上、当記事ではインバウンドのための民泊施設の整備などにつかえる補助金について紹介しました。
民泊施設そのもので使える補助金は、過去には民泊特区に関する補助金があったのですが、現在では、東京都内で旅館業法の許可申請を持っている方だけでした。
しかし、最近では民泊事業も増えてきているので、今後各自治体で民泊に関する自治体が増えてくるかもしれません。
また、インバウンド向けの宿泊施設では、使える補助金が多数あるのでそちらを利用しても良いかもしれないです。
今後民泊ビジネスを初めていこうと考えている方は、インバウンド向けも含めて補助金・助成金の活用を検討してください。