
新型コロナウイルス感染拡大によって、感染症を防止することや蔓延しにくい環境が大切となってきました。
特に人々が集まる商店街や、店舗、飲食街などは、今後もこのような基盤を構築することは重要な課題となっているのではないでしょうか?
経済産業省では、このようなことを踏まえて、面的キャッシュレス・インフラの構築支援事業補助金を設けています。
面的キャッシュレス・インフラの構築支援事業補助金は、地域が一体となってキャッシュレス化を推し進める団体に対して支援している事業です。
こちらの記事では、面的キャッシュレス・インフラの構築支援事業を詳しく解説していきますので、補助金を資金調達として活かし感染症を蔓延しにくい環境を整える際にお役立てください。
面的キャッシュレス・インフラの構築支援事業補助金
面的キャッシュレス・インフラの構築支援事業補助金は、地域団体や当該地域団体、民間事業者のコンソーシアムが地域の中小企業者、小規模事業者等が一体的に、キャッシュレス決済を導入する取組を支援している事業です。
地域における面的なキャッシュレス決済の普及を推し進め、感染症が蔓延しにくい環境と、消費喚起の基盤を構築することを目的と設けられました。
地域が一体となって行うキャッシュレスを導入する際に、キャッシュレス決済端末本体などにかかる経費の一部を補助しています。
補助対象者
面的キャッシュレス・インフラの構築支援事業補助金の補助対象となる者は、下記の「地域団体」または「該当地域団体」と「民間事業者」のコンソーシアムとなります。
【地域団体】
(1)商店街等の組織
①商店街等を構成する団体の内、商店街振興組合、事業協同組合等の法人格を有する商店街等組織
②商店街等を構成する団体の内、法人化されていない任意の商店街等組織であって、規約等により代表者の定めがあり、財産の管理等を適正に行うことができる者
③上記の①と②に類する組織
◆商店街等組織とは?
上記の「商店街等の組織」とは、商店街その他の商業施設の集積(共同店舗・テナントビル等、温泉街・飲食店街等または問屋街・市場等のことをさしています。
・共同店舗・テナントビル等
小売業・サービス業等を営む者の店舗等が主体となっているものであって、構成する店舗の多くが中小・小規模事業者等であること
・温泉街・飲食店街等
小売業・サービス業等を営む者の店舗等が主体となって街区を形成しているものであって、構成する店舗の多くが中小・小規模事業者等であること
・問屋街・市場等
構成する店舗の多くが中小・小規模事業者等であり、不特定多数の一般消費者を対象として事業を行い、開場時間が極めて限定的でないことが明らかとなっていること
(2)商工会議所、商工会、観光協会
◆商工会議所
商工会議所法(昭和28年法律第143号)に基づく商工会議所のことです。
◆商工会
商工会法(昭和35年法律第89号)に基づく商工会をさしています。
(3)街づくり事業者等を中心とした複数事業者の集合体
街づくり事業者および当該まちづくり事業者と密接に関係しており、当該関係性を名簿等で証明できる複数事業者の集合体といいます。
◆街づくり事業者とは?
地域の街づくりや商業活性化等の担い手として事業に取り組むことができる者であり、定款等に代表者の定めがあり、財産の管理等を適正に行うことができる者となります。
当該地域の街づくり事業者が補助対象者となるかは、地域の街づくりや商業活性化等の担い手として行ってきたこれまでの取組み内容や事業計画等から判断されます。
(4)その他地域団体として補助金事務局が認めるもの
主に一般消費者に対して事業者を展開している店舗を営む中小・小規模事業者が複数所属している団体であって、次に掲げる事項を規約等で定める団体をいう。
(ア) 目的
(イ) 構成員、事務局、代表者および代表権の範囲
(ウ) 意思決定方法
(エ) 解散した場合の地位の承継者
(オ) 事務処理および会計処理の方法
(カ) 会計および監査の方法
(キ) その他運営に関して必要な事項
【民間事業者】
◆キャッシュレス決済事業者
・地域団体等と包括加盟店契約等により、密接に連携してキャッシュレス決済端末等を調達するもの
応募資格
面的キャッシュレス・インフラの構築支援事業補助金の応募するには、下記の要件を満たす地域団体、民間事業者となります。
◆日本に拠点を有していること。
◆本事業を的確に遂行する組織、人員等を有していること。
◆本事業を円滑に遂行するために必要な経営基盤を有し、かつ、資金等について十分な管
理能力を有していること(任意団体の場合は、原則、応募時において、設立(結成)後1年
以上を経過していること)。
◆経済産業省からの補助金交付等停止措置又は指名停止措置が講じられている者ではな
いこと。
なお、コンソーシアムで申請する場合は、地域団体を幹事者とし、幹事者が事業提案書の提出が必要となります。
ただし、幹事者が業務の全てを他の者に委託することはできませんので、お気を付けください。
補助対象事業
面的キャッシュレス・インフラの構築支援事業補助金の補助対象となる事業は、間接補助事業者が地域の中小・小規模事業者等に対し、キャッシュレス決済サービスの提供と共に当該サービスの決済が可能なキャッシュレス決済端末本体等を無償で提供する事業となります。
ただし、次の①から⑩の要件を満たす事業でなければなりません。
① 間接補助事業者はキャッシュレス決済端末本体等の導入先が中小・小規模事業者等の要件を満たしているかを確認すること。
② 間接補助事業者と中小・小規模事業者等との間において締結された契約書等の書面等において、キャッシュレス決済サービスの提供及びキャッシュレス決済端末本体等を無償で提供することが明記されており、かつ補助金事務局が当該契約書等を確認できること。
③ 令和3年2月26日までにキャッシュレス決済端末本体等を中小・小規模事業者等が営む店舗に設置すること。
④ 中小・小規模事業者等の事業者情報に変更が生じた場合は、速やかに補助金事務局へ報告をし、その指示を受けなければならない。
⑤ 本事業の実施にかかわらず、キャッシュレス決済端末本体等を予め無償で提供するもの(一時的なキャンペーン等を除く)でないこと。
⑥ 無償提供するキャッシュレス決済端末本体等の所有権が、本事業が終了するまで、間接補助事業者に帰属していること。ただし、間接補助事業者が決済事業者からキャッシュレス決済端末本体等をレンタルする場合はその限りではない。
⑦ キャッシュレス決済端末本体等を提供した中小・小規模事業者等に対して、当該キャッシュレス決済端末本体等が提供する機能について、事業終了後に追加的なコスト負担を求めないこと。
⑧ 間接補助事業者がキャッシュレス決済端末本体等を導入する中小・小規模事業者等に対して、端末操作に関する説明・フォローアップを行うこと。
⑨ キャッシュレス決済端末本体等を導入した後も、間接補助事業者が十分な支援(返品、故障、入替等への対応)を行うことが予定されていること。
⑩ 本事業で導入するキャッシュレス決済端末等は、国からの他の補助金(負担金、利子補給金並びに補助金適化法第2条第4項第1号に掲げる補助金及び同項第2号に掲げる資金を含む。)交付された実績のあるキャッシュレス決済端末本体等と異なる決済端末等であること。
なお、交付決定前に行われる契約・発注行為については本事業の対象外となりますので、お気を付けください。
補助対象経費
面的キャッシュレス・インフラの構築支援事業補助金の補助対象となる経費は、キャッシュレス決済サービスの導入に必要となる決済端末本体等のうち、間接補助事業者が負担する下記の費用となります。
決済端末本体等を無償で提供していることが確認できる決済端末本体等の調達に必要となる経費のみが補助対象です。
また、決済端末本体等を導入する場合のレンタル料・利用料については、当該事業期間中に要した費用が補助対象となります。
【決済端末本体等】
◆決済端末
下記の機能を有する機器が対象となります。
・読み取り機能
・決済処理機能
・精算データ作成機能
・精算データ送信機能
・通信機能
◆決済関連ソフトウェア
・キャッシュレス決済端末と連動し、中小・小規模事業者等の経営効率の向上に資する
プログラム等
(個客対応・販売支援」、「決済・資金回収管理」、「コロナ対策・三密を考慮した対策」等に資するソフトウェアを想定)
・上記ソフトウェア等にかかわる導入費用等
なお、本事業開始後から令和3年 2月26日までの期間、当該事業の実施に当たり、地域団体が傘下の中小・小規模事業者等に対して周知・広報するための外注費又は委託費が補助対象となります。
◆広報費
・当該事業の実施に当たり、間接補助事業者が取り組む広報活動に係る外注費又は委託費(テキストメール広告、インターネット動画広告、説明用動画、DM、パネル等のグラ
フィック、動画の制作、開拓人件費等)
補助額
面的キャッシュレス・インフラの構築支援事業補助金の補助率と補助限度額は下記の表の通りとなります。
◆補助率
補助対象 | 補助率 | |
決済端末本体等
|
決済端末 | 3分の2以内 |
決済関連ソフトウェア | 3分の2以内 | |
広報費(令和3年 2月26日まで) | 定額(10分の10以内) |
◆補助上限額
・1間接補助事業者あたりの補助金申請上限額 5,000万円
◆補助下限額
・間接補助事業者あたりの補助金申請下限額 100万円
補助対象とならない経費に注意!
面的キャッシュレス・インフラの構築支援事業補助金では、下記の経費に関しては、原則として補助対象外となりますので、確認しておきましょう。
◆クレジットカード決済における、IC決済非対応端末(改正割賦販売法に適合しない端末)
◆決済端末で電子サインを行うために必要な機器(サインパッド)、決済価格を表示するために必要な機器(カスタマーディスプレイ)等の付属品
◆キャッシュレス決済端末本体機器を据え付けるために必要な設置費用(据付・配線工事費)
◆システム利用料、アプリの保守費用、電子サイン、電子伝票保管サービスを利用するためのASPサービス利用料等
◆キャッシュレス決済端末本体等を利用するために必要なルーター、サーバー等の費用
◆ キャッシュレス決済端末本体等の通信に係る費用
◆組込み系ソフトウェア(キャッシュレス決済端末以外の特定のハード機器等を操作させることに特化した専用システム。)
◆契約後に新規・追加機能開発が必要なソフトウェア、又は大幅なカスタマイズが必要となるソフト
ウェア
◆ 恒常的に使用されるソフトウェアではないもの
◆キャッシュレス決済の振込手数料等の費用
◆ キャッシュレス決済に直接連動しない(間接的に別システムを介してつながると解釈される)ソフトウェア費用
◆キャッシュレス決済に直接連動するソフトウェア・システムの新規開発費用
まとめ
面的キャッシュレス・インフラの構築支援事業補助金について、補助対象者、応募資格、補助対象事業、補助対象経費、補助額、補助対象とならない経費について詳しくまとめてみました。
新型コロナウイルス感染症により、感染症を防止するとともに蔓延しにくい環境を整えていくことは、今後重要な課題となります。
商店街振興組合や観光協会等で一体となって面的なキャッシュレス化を取組を検討しているのなら、面的キャッシュレス・インフラの構築支援事業補助金を活用して、資金調達の一つとしてお役立てください。