ファクタリングは、資金調達の手段として有力な選択肢になってきました。それとともに、メガバンクがグループ会社でファクタリング事業を展開するケースも見られるようになってきています。
やはり、名前を初めて耳にするような企業と比較してメガバンク系列のファクタリング事業者には最初から信頼感があるものです。
それだけでなく提供されているサービスについても、金融機関大手の資本があることによって中小の事業者にはないものがあります。
そこで、メガバンク系のファクタリングについて覚えておきたい3つのポイントを解説します。
・国際ファクタリング
・保証ファクタリング
・メガバンク系のファクタリング事業者
次項から、それぞれのポイントをくわしく解説します。
国際ファクタリング
一般的にファクタリングと言うと、取引対象となる売掛債権の債務者は日本国内の企業が想定されています。
国際ファクタリングは海外企業に対する売掛債権、具体的に言うと輸出取引の代金が対象となるものです。
以下で国際ファクタリングとはどのようなものなのかご紹介します。
国際ファクタリングの難しさ
ファクタリング事業者はサービスの利用申し込みがあった際、審査を行います。この審査は申し込み希望者よりも、むしろ取引対象となる売掛債権の債務者に関する信用が重視されるものです。
何と言っても売掛債権を回収することができなければ、ファクタリング事業者がそのダメージを受けることになります。
ですから債務者となる企業に経営上の問題がないかどうかなど、慎重な調査が行われるのです。
ただ国際ファクタリングとなると、海外企業に対する調査を行わなければならず簡単なものにはなりません。
また金額が大きな取引に対して利用されることが一般的であり、民間のファクタリング事業者が取り扱うにも難しいところがあります。
国際ファクタリングの意義
輸出代金を回収するにあたってのリスクヘッジとしては保証状、輸出貿易保険などの方法があるものの手続きは簡単なものではなく費用もかかります。
そこで荷物が到着して何日後に代金が支払われるという輸出代金債権に対し、ファクタリング事業者がその支払いを保証するのです。
その保証の上に、輸出契約が成り立ちます。
ファクタリング事業者自体にも相当の信用がなければならず、そのために各国のファクタリング事業者による連携の上に成り立っているインターナショナルな組織があるほどです。
こういった組織に、メガバンク系のファクタリング事業者が名を連ねています。
国際ファクタリングのしくみ
国際ファクタリングにおける取引の流れでは、海外のファクタリング事業者も介在することが一般的です。
利用者は輸出企業であり、まず国内のファクタリング事業者へ相談することになります。
それを受けて、ファクタリング事業者が輸出先となる国で提携しているファクタリング事業者へ保証の受諾について相談する流れです。
海外のファクタリング事業者が利用者の取引相手である輸入企業の信用性について調査し、問題がなければここで国際ファクタリングが成立します。
改めて利用者が国際ファクタリングを利用する旨について取引相手へ連絡し、了解を得た上でようやく売買契約が結ばれるのです。
そして海外のファクタリング事業者が債務者である海外企業から輸出代金を回収し、日本国内のファクタリング事業者へと渡ります。
そうして国内のファクタリング事業者から利用者へ代金が渡り、そこで代金の回収が実現するのです。
万が一の不払いがあったとしても、2ヶ国のファクタリング事業者が連携するかたちで入金は保証されます。
また利用者に入金日よりも前の資金調達が必要であれば、国内のファクタリング事業者による対応も可能です。
海外のファクタリング事業者とパイプを持つためには、相応の信用力がなければなりません。
そこでメガバンクという存在が、この連携を可能としているのです。
保証ファクタリング
保証ファクタリングは「ファクタリング」の呼称がついているものの、ファクタリングの本質である売掛債権の売買はなされません。
その契約がなされていることによって、売掛債権の貸し倒れリスクを回避することができるのです。
保証ファクタリングの意義
保証ファクタリングは売掛債権に相当する金額の入金で即時の資金調達をするものではなく、貸し倒れが発生した際に備えて保証をかけておくというものです。
対象の売掛債権が貸し倒れになってしまったときは、ファクタリング事業者から利用者へ相当する金額の入金がありますから心配はありません。
ファクタリング事業者が、債務者から債権の回収を行うかたちになります。
このような形態の契約も、メガバンク系のファクタリング事業者であれば可能となるのです。
保証ファクタリングのしくみ
保証ファクタリングは、売掛先の支払能力などについて心配が感じられる場合に利用するものです。
ファクタリング事業者へ相談すると事業者によって売掛相手の調査が行われ、問題にならなければその旨が伝えられ契約が成立します。
利用者からファクタリング事業者へ支払う保証料については、掛け捨てタイプの保険商品と同じような位置付けです。
売掛債権の回収が無事に行われれば、返金はなされません。
債務者が倒産したとなれば、当然にファクタリング事業者から売掛債権に相当する金額の入金があります。
倒産には至らなくとも、取引で不渡りが生じるなどして売掛分の支払いが不可能な状態へ陥った場合の保証に問題はありません。
いずれにしても売掛債権の回収が当初の予定通りになされなくなった段階で、債券の所有者は利用者からファクタリング事業者へ移行します。
メガバンク系のファクタリング事業者
メガバンク系のファクタリング事業者を利用する上では、民間の事業者と比較して審査の基準が厳しいものになっています。
これは、何よりも信用が重視される大手金融機関の基準によるものですから仕方がありません。
ただその代わりに信用が認められれば、安価な手数料で利用することができるといったメリットもあります。
三菱UFJファクター株式会社
三菱UFJファクター株式会社は、三菱UFJフィナンシャル・グループに属しています。
何と言っても既存の取引先に対する与信限度を超える取引、また信用度が未知数である新規取引先についての根保証で売掛債権に関する100%の保証があることは力強い限りです。
また、保証ファクタリングに関しては国土交通省の制度である下請債権保全支援事業も手がけています。
元請建設企業に対する債権を有している下請建設企業や資材業者であれば、ファクタリング事業者へ債権の保証を求めるにあたり国から保証料の助成があるのです。
そのほか三国間での貿易も含めた国際ファクタリング、もちろん償還請求権のない買取ファクタリングにも対応しています。
みずほファクター株式会社
みずほファクター株式会社は、みずほフィナンシャルグループに属している企業です。
提供されているファクタリングサービスは国内ファクタリング、国際ファクタリングに大別されます。
国内ファクタリングの回収保証サービスでは売掛債権がしっかり保証されるとともに、情報提供機能によって取引相手の信用情報も入手することが可能です。
また債権流動化によって売掛債権の譲渡が行われ、その代金が営業資金を確保することにもつながります。
さらにみずほ電子債権記録株式会社が手がけている「みずほ電子債権決済サービス」の事務代行会社でもあることから、電子債権の買取対応も可能です。
そして国際ファクタリングでは、各国のファクタリング事業者か連携しているネットワークを用いての債権保証が可能となっています。
SMBCファイナンスサービス株式会社
SMBCファイナンスサービス株式会社は、SMBCグループに属している企業です。
ファクタリングサービスとして国内外の売掛債権に関する保証や建設債権の保証、手形買取のほか下請債権保全支援事業も行われています。
建設債権保証に関しては、国土交通省の下請債権保全支援事業で対象として含まれない債権についても対象です。
SMBCファイナンスサービス株式会社が独自に商品としているものであり、建設工事に関連していて現場なり取引を特定することができれば問題はありません。
契約単位での保証となることから、必要な取引に対してだけその進捗にも合わせるかたちで保証を得ることが可能です。
まとめ
以上、メガバンク系のファクタリングについて覚えておきたい3つのポイントを解説しました。
・国際ファクタリング
・保証ファクタリング
・メガバンク系のファクタリング事業者
ファクタリングには売掛債権の売却という認識もありますが、メガバンク系列のファクタリング事業者では豊富な資金力やネットワークを背景に多様なサービスを提供しています。
国際ファクタリングは輸出取引の代金が対象となるものであり、輸出先となる国のファクタリング事業者もかかわって行われるものです。
世界的な事業者のネットワークがベースとなって成り立っているシステムであり、メガバンク系列のファクタリング事業者はその信用力からネットワークにも参加しています。
また保証ファクタリングに関しては売掛債権の貸し倒れリスクを回避するものとして、万が一の事態があった場合にも保証をつけることで金額は回収することが可能です。
国土交通省の制度である下請債権保全支援事業も取り扱われていて、信頼性に文句のつけようはありません。
メガバンク系のファクタリング事業者としては、三菱UFJフィナンシャル・グループに三菱UFJファクター株式会社があります。
みずほファクター株式会社はみずほフィナンシャルグループ、SMBCファイナンスサービス株式会社はSMBCグループのファクタリング事業者です。