
子供の1人にかかる教育費として、1,000万円ほどの預金が必要となると言われていますが、簡単には貯蓄できない金額です。
しかし、子供が望んでいる学校へ入れてあげたいと誰もが思うのではないでしょうか?
そこで、こちらの記事では、低金利で借りることができる「日本政策金融公庫」の教育ローンについて、紹介していきたいと思います。
「日本政策金融公庫」の教育ローンのメリットや対象となる条件、さらには申込み手続きについても触れていきます。
子供の教育費のための資金調達に困っている方は、ぜひご覧になってお役立てください。
INDEX
日本政策金融公庫が発足した理由とは?
銀行などの金融機関はよくご存知の方でも、「日本政策金融公庫」という機関はあまり知られていないのではないでしょうか?
「日本政策金融公庫」は、政府が100%出資をおこなっている金融機関です。
国民生活の向上を目的として、2008年に、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行、沖縄振興開発金融公庫という5つの機関が統合し発足しました。
「日本政策金融公庫」が扱っている融資制度は、低金利・ゆとりある返済期間・保証人不要制度など、借入れ側にとってメリットのある融資を数多く提供しています。
子どもの教育費
子どもが大人になるまでの教育にかかる費用をご存知ですか?もちろん公立か私立で違ってきますが、おおよその教育費がいくらになるのか気になるところです。
「日本政策金融公庫」の「教育負担実態調査」によると、子どもの1人にかかる費用は、高校は237万円、大学になると716万円もかかってしまいます。
高校と大学と合わせると953万円という、1,000万円近い教育費を用意しなければならないのです。
日本政策金融公庫の教育ローンを知っていますか?
教育費の全てを貯蓄で補えないとなるとローンを利用することになりますが、「日本政策金融公庫」では教育ローンの融資もおこなっています。
民間の金融機関よりも低金利でゆとりある返済期間という特徴をもっている「日本政策金融公庫」のメリットを見てみましょう。
日本政策金融公庫の教育ローンのメリット
・最高350万円までの借り入れが可能
・固定金利1.71%での低金利融資
・受験前でも融資の申し込みが可能
・日本学生支援機構の奨学金と併用が可能
・来店不要で手続きが可能
・様々な学校、用途で利用が可能
融資を受ける側にとっては、有利となるメリットが揃っていますが、全員の方が教育費として借り入れできるわけではありません。
融資を受けるためには、世帯年収の上限をなどの設定されている条件をクリアしていく必要があります。
日本政策金融公庫の教育ローン対象となる条件
「日本政策金融公庫」の教育ローンの申し込みをする前に、どのような条件を満たせばいいのか確認しておいてください。
条件には世帯年収、対象の学校、融資の使い方が含まれています。
世帯年収の上限額
「日本政策金融公庫」の教育ローンの融資対象となるには、世帯年収上限額が設定されています。
これは融資対象となる学校に入学する保護者の世帯年収が上限額以内に収まらなければならないのです。
子どもの人数が多い世帯ほど、世帯年収の上限額は上がります。
子の人数 世帯年収(所得※)の上限額
1人 790万円(590万円)
2人 890万円(680万円)
3人 990万円(770万円)
4人 1,090万円(870万円)
5人 1,190万円(970万円)
※括弧内の金額は事業所得者の場合の所得上限額です。
どんな学校が対象になる?
「日本政策金融公庫」の教育ローンの融資が対象となる学校は、修業年限が6ヶ月以上、中学校卒業以上の方を対象とした教育施設です。
ただし、外国の教育施設の場合は、修業年限が3ヶ月以上となります。
対象となる施設には、大学・大学院(法科大学院など専門職大学院を含む)、短期大学、専修学校、各種学校、予備校、デザイン学校、高等学校、高等専門学校、特別支援学校の高等部です。
さらに、外国の高等学校、短期大学、大学、大学院、語学学校、その他職業能力開発学校などの教育施設と、高校以上であれば非常に幅広い学校が対象となります。
教育ローンの融資対象とならないのは、正規の学籍で在籍しなかったり、学生が公務員として通う学校、企業内教育訓練施設等の場合は、対象外となりますので注意しておきましょう。
利用使途
「日本政策金融公庫」の教育ローンの融資を受けるためには、融資の使い方もひとつの条件となります。
融資を受け取った場合の使い方として、学校納付金(入学金や授業料、施設設備費など)、受験関連の費用(受験料や受験時の交通費、宿泊費など)、在学のための住居費用(敷金や家賃など)です。
その他の費用としてあげられるのが、教科書代、教材費、パソコン購入費、通学費用、修学旅行費用、学生の国民年金保険等があげられます。
このなかで、入学金は期限内に必要となってしまう費用です。
入学金の場合には、入学月の翌月末までの融資が可能となっています。
教育ローンの金利と借入期間を確認
「日本政策金融公庫」の教育ローンを借り入れる前には、ローン金利(実質年率)と借入期間は必ず確認を取っておきます。
申込みをする前に、他の金融機関と比較してみても良いでしょう。
金利(実質年率):年1.71%(固定金利・保証料別)
保証 :(公財)教育資金融資保証基金または連帯保証人から選択
返済期間 :15年以内
返済方法 :元利均等返済(元金と利息を合わせた毎月の返済額が一定)もしくは元金据置(在学中に利息のみの返済)
※金利(実施年率)においては、母子家庭、父子家庭、世帯年収200万円以内または子ども3人以上の世帯かつ世帯年収500万円以内の場合は、年1.31%(固定金利・保証料別)となります。
※返済期間においては、母子家庭、父子家庭、交通遺児家庭、世帯年収200万円以内の場合、または子ども3人以上の世帯かつ世帯年収500万円以内の場合は18年以内となります。
詳細な返済方法は、「日本政策金融公庫」の「教育ローン用の返済シミュレーション」を利用することができます。
教育ローンを考えている方は、検討材料として利用してみてください。
2つの返済方法がある日本政策金融公庫の教育ローン
「日本政策金融公庫」の教育ローンの返済方法は、「元利均等返済」と「元金据置」との2つの方法から選ぶことができます。
元利均等返済
元金と利息を合わせて返済し、一定の決まった金額を返済する方法です。
元利均等返済を利用するのなら、年2回のボーナス月増額返済をすることができます。
増額返済の際には、借入金額の50%以内と決められています。
元金据置
在学期間中となる融資日から卒業日までが、返済期間としてカウントされる元金据置の返済方法です。
ゆとりをもって返済したいとお考えの方には、こちらの元金据置がおすすめです。
教育ローンに必要な書類を準備
「日本政策金融公庫」の教育ローンを申し込むためには、いくつかの書類を準備しておかなければなりません。
事前に用意できるように、どんな書類がいるのか確認しておきましょう。
借入申込書
インターネット・郵送・直接来店のいずれの方法でも申込みが可能です。
郵送の場合には教育ローンコールセンター(0570 -008656)へ請求してください。
なお、受験前、合格前であっても申込み可能です。
住民票の写しまたは住民票記載事項証明書
世帯全員(続柄を含む)が記載されたものが必要となりますので、市区町村役場や出張所でお取りください。
運転免許証またはパスポート
コピーを提出する場合は、本籍地の記載を黒く塗りつぶしてください。
また、運転免許証の住所・氏名等に変更がある場合は、裏面もコピーしてください。
どちらも持っていない場合は、コールセンターへお問い合わせるか、健康保険被保険者証(原本)を用意のうえ、他の書類とともに取扱支店へ提出してください。
源泉徴収票または確定申告書(控)
いずれも直近分を用意してください。
なお、連帯保証人による保証を希望する場合は、予定連帯保証人の方の源泉徴収票または確定申告書(控)も必要となります。
預金通帳(最近6ヵ月分以上)
住宅ローン(または家賃)と公共料金の両方の支払い状況を確認できるものを用意してください。
その他に、入学資金として申込みをする場合には、合格を確認できる書類として、「合格通知書・入学許可証」が必要となります。
在学資金として申込みをおこなった場合には、「学生証・在学証明書」が必要です。
また、在学資金として申込みをおこなった場合のみ、使いみちを確認できる書類として、「学校案内・授業料納付通知書」が必要となります。
それぞれの使いみちによって、用意する書類が異なってきますので、事前に準備しておきましょう。
教育ローン申込みの手続き
「日本政策金融公庫」の教育ローンの申込みの手続きをする際には、次のような流れとなりますので、ご確認ください。
通常であれば、申込み完了した日から20日ほどで融資をうけることとなります。
①融資の申込み
インターネットをはじめとして、郵送・来店でも申込みをおこなうことができます。申込みは、受験前・合格前であっても受付けていますので、早めに申し込みを済ませておくとよいでしょう。
②審査結果の連絡が届く
通常では、申込み完了から10日前後で審査結果の連絡がきます。
審査結果の連絡には「ご融資のお知らせ(兼借用証書)」等の書類が送られてきます。
③契約をおこなう
契約に必要な書類を揃えて、「日本政策金融公庫」へ郵送または来店にて提出をして、契約となります。
必要な書類は、「ご融資のお知らせ(兼借用証書)」、「合格通知書」または「入学許可書等(合格がわかる書類)」、「預金口座振替利用届」、「送金先口座の預金通帳」です。
④融資の実行
審査結果の連絡がきてから10日前後で、融資金が指定の金融機関の口座に振り込まれます。
なお、振り込みの際の送金手数料については申込側の負担となります。
まとめ
「日本政策金融公庫」の教育ローンについて、様々な方面から詳しく解説いたしました。
低金利に加えて、ゆとりある返済期間を設けてくれる「日本政策金融公庫」の教育ローンなら、安心して融資が受けられます。
教育資金が足りないときや行き詰まったときには、心強い味方となってくれるのではないでしょうか?
ただし、「日本政策金融公庫」の教育ローンには、年収制限や対象条件がありますので、自分が当てはまっているのか事前にチェックしておきましょう。