京都市伝統産業技術後継者育成資金と後継者研修10種類を解説

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京都市 京都市伝統産業技術後継者育成資金

伝統産業というのは、伝統的な技術と技法で日本の独特な文化・生活に結びついている製品などを作る産業を言い、日本文化を形作る重要な基礎になったものです。
伝統産業界が厳しい環境になっている中、京都市では伝統産業の技を受け継ぐ後継者を応援しています。
そこで、当記事では伝統的な技術の後継者を育成するために活用できる「京都市伝統産業技術後継者育成資金」について解説していきます。

伝統産業の環境が厳しくなっている

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職人の伝統的な知識と技によって、長年の歴史を乗り越えて今日に受け継がれている伝統産業。
しかし、近年では少子高齢化社会・需要の減少・売り上げの低迷などで日本伝統の後継者を確保するのが難しい状況にになってしまっています。
そこで京都市では、京都の伝統産業を守り続けるために、若手後継者を確保する助けをする支援が始まっています。

職人の後継者を応援

京都市 京都市伝統産業技術後継者育成資金

昔からうけ伝えてきた伝統を引き継ぐために、若手の後継者を確保・養成をして、技術習得する際の資金を支給してもらえます。
それが「京都市伝統産業技術後継者育成資金」。
京都市指定の伝統産業74品目に携わる若手の職人さんを対象に支援するものです。
京都市は昔の時代と変わらないお店や街並みで、現代でも伝統を継いで営業しているお店もたくさんあります。
伝統の魅力をこれから先も末永く引き継ぐために、若手の職人を探している人におすすめです。

京都市伝統産業技術後継者育成資金のメリット

京都市伝統産業技術後継者育成資金を導入するメリットとして、

①後継者を応援する資金額が高いこと
②対象年齢が44歳以下なこと

などが考えられます。

若手職人といえば学生や20代が多いかと思いますが、30代・40代前半でも後継者の対象になります。
条件を満たしていれば数十万円の資金が支給されるため、京都の伝統産業に携わっている事業主は積極的に応募してみるのがおすすめです。

京都市伝統産業技術後継者育成資金のデメリット

デメリットは、毎年募集する人数が8~10人程度で少ないことでしょうか。
申請する際は複数の審査があるため、採択される難易度は高いです。
ただ、もし審査で落ちたとしても再度応募することが可能なので、採択されたらいいなぁといった気持ちで応募してみるのが良いかもしれませんね。

どんな費用をいくら交付してもらえる?

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製造実習・技術習得をする際にかかる経費を一部支援してもらえます。
例えば、製造実習の材料費・参考図書の購入費・展示会に出品する際の経費・自己研鑽など、若手職人の研修に必要な費用です。
これらの費用を2年間で最大40万円支援します。

支援金を交付できる対象者

京都市内で伝統産業製品の制作に携わっている人と、若手技術後継者で以下の対象を満たしていることが条件です。

①事業所などに雇用され、伝統産業の技術を受け継ぐ従業員
②従事期間が2年以上10年以下
③年齢44歳以下
④基本月給18万円以下
⑤勤務先の従業員数が20人以下
⑥京都市内の事業所に勤務し、将来京都市内で伝統産業に従事する意思がある
⑦その他に似た種類の資金を受給していない
⑧自分の親以外の人に雇用されている従業員

対象者が雇い主の子である場合、市長が認めれば対象です。
⑦について、育成制度・京都市伝統産業技術後継者育英制度・一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会など、育成に関する制度で支援をもらったことがある人は、この資金制度は対象外になります。

申請方法

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申請するには、まず雇い主は推薦書を作成し、申請書と一緒に京都市産業観光局商工部伝統産業課へ提出しましょう。
郵送でも可能ですが、受付期間内に届けるように早めに用意しておくことをおすすめします。
申請書は、京都市産業観光局商工部伝統産業課で直接貰うか、京都市のホームページからダウンロードして作成できます。

申請の流れ

京都市伝統産業技術後継者育成資金では申請の際に、書類審査・現地調査・面接審査を受ける必要があります。
京都市のホームページに記載する受付期間内に必要書類を用意し、京都市産業観光局商工部伝統産業課へ提出した後に審査が行われます。
もしも審査に落ちてしまった場合でも、翌年に再び申請することができます。

受付期間

今年(令和2年)の受付期間は、令和2年4月1日~4月30日までとなっています。
間に合わなかったとしても翌年にまた募集が始まるため、それまでに書類作成の準備をするのも良いでしょう。

2年間支給される資金について

2年間で最大40万円支給されるとのことですが、翌年の支給については、前年の育成資金を適正に使用したと認められた場合のみ支給されます。

資金の取り消しについて

以下に当てはまる受給者は、資金全てもしくは一部を取り消し・変更することができます。

①資金の本来の目的に違反した
②申請書・その他の関係書類に偽りのことを書いた
③不正な行為が発覚した
④受給者が暴力団員・暴力団密接関係者なことが発覚した

受給後にも後継者に対する支援

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資金を受け取った人を対象に、交流組織「京の伝統産業わかば会」に参加できます。
技術をさらに習得させるために、幅広い職人同士で交流してみませんか?

京の伝統産業わかば会とは?

京の伝統産業わかば会とは、いろんな業種の若手伝統産業職人と交流し、切磋琢磨に技術習得についての講習会・研修会・作品展・体験教室などを行う活動です。
作品展は毎年3月に、「京都市勧業館みやこめっせ」という所で開催されています。

どんな業種の職人が参加してる?

石工・木工・竹工・金具・仏具・漆器・人形・扇子・神祇調度・繊維製品・小規模産地・織り・陶磁器など幅広い業種の方達が参加しています。
物を制作する活動がメインですが、スポーツ活動・レクリエーションも実施されています。

伝統産業技術後継者育成の研修も実施

京都市では、伝統産業技術後継者を育成する研修生も募集しています。
京都市産業技術研究所で、伝統産業の後継者・技術を受け継ぐ技術者・事業主を対象に、講師から実習を学ぶことができます。

①陶磁器コース
②釉薬実務者コース
③漆工コース
④京友禅染技術者研修基礎コース
⑤京友禅染技術者研修プロ養成コース
⑥京友禅染技術者研修専門コース
⑦西陣織コース
⑧染色基礎コース
⑨きもの塾コース
⑩世に出る伝統産業技術セミナ-

約10種類のコースから選び、若手職人が基礎から学んでプロの技術を習得することができます。
次は、それぞれの詳細と参加できる対象者を解説していきます。

陶磁器コース

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京焼・清水焼業界の伝統を受け継ぐ若手職人を養育するコースで、陶磁器に関する基礎知識・専門技術の習得することができます。
さらに、基礎から学ぶ「陶磁器コース」と、専門知識・技術を習得する「陶磁器応用コース」の2種類があります。

陶磁器コースの対象者は下記の通りです。

■陶磁器コースの場合
①京都市内で陶磁器製造を営んでいる事業主またはその従業員
②陶磁器製造技術に関する実務経験を持っている人、または従事希望者

■陶磁器応用コースの場合
①大学卒業者で窯業に関する課程を修了した人、またはそれ以上の学力があると認められる人
②京都市産業技術研究所の「陶磁器コース」を修了した人

釉薬実務者コース

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陶磁器の釉薬分野コースです。
釉薬の専門知識と技術を習得するコースです。
製品化を目的にして、釉薬の講義と実習、調製したテストピースの中から製品化に適した調合ポイントを利用した試作品の作製などを行います。

釉薬実務者コースの対象者は下記の通りです。

①京都市内で陶磁器製造を営んでいる事業主またはその従業員
②陶磁器の技術的業務を1年以上経験したことがある人
③その他市長が認める人

漆工コース

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京漆器製造の後継者を育成するコースです。
漆工に関する専門知識・実習をして技術を習得したり、漆工品の製品を開発する研修も行われます。

漆工コースの対象者は下記の通りです。

①京都市内で漆器製造を営んでいる事業主またはその従業員
②京漆器の技術的業務に1年以上経験したことがある人
③その他、市長が認める人

京友禅染技術者研修基礎コース

京都市 京都市伝統産業技術後継者育成資金

手描友禅染の基礎的知識と技術を習得するコースです。
ゴム糸目京友禅見本製を基に下絵から糊置・引染・挿友禅・金彩工程の実習・白生地・精練・染料と薬剤・蒸し・水元・刺繍などを行います。

京友禅染技術者研修基礎コースの対象者は下記の通りです。

①手描友禅染・染織関連業・和装品流通業を営んでいる職場に勤務する従業員
②もしくは、従事希望者

京友禅染技術者研修プロ養成コース

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手描友禅染のプロを養成するコースです。
着物のデザイン・染帯・京友禅染の各工程についてを名匠による直接指導の下で学ぶことができ、後継者の就労支援を目的とした研修です。

京友禅染技術者研修プロ養成コースの対象者は下記の通りです。

①手描友禅のプロを目指したい人
②手描友禅技術者研修基礎コースを修了した人
③染色の基礎的な技術を持っている人

京友禅染技術者研修専門コース

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手描友禅染の専門コースでは、筆・素描友禅・撒糊技法など、様々な手描友禅技術の中から特化した技法の実習を行います。
多種多様な技術・技法を習得できます。

京友禅染技術者研修専門コースの対象者は下記の通りです。

①手描友禅染に関する業種を営んでいる職場に勤務する従業員
②もしくは、従事希望者

西陣織コース

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着物に関する基礎理論・応用知識の習得ができるコースです。
職種に合わせて「通常課程」と「講義課程」の2つがあります。

①通常課程は、西陣織業界の将来を受け継ぐ優秀な技術者を養成し、繊維素材・織物組織・製織準備・製織・紋織物・織物分解設計・繊維製品試験など、西陣織に必要な基礎知識と技術を実習します。

②講義課程は、通常課程の特定の講義だけを受講する課程で、実習はする必要がない人向けです。

西陣織コースの対象者は下記の通りです。

①京都市で染織関係の業種に勤務する従業員
②染織技術の実務経験がある人
③和装品流通業者
④従事希望者

染色基礎コース

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染色技術者の基礎知識・技術を習得するコースです。
繊維・染料・薬品などに関する知識、染色基礎理論・染色工程各論・加工技術全般・製品管理などの基礎を学べます。

染色基礎コースの対象者は下記の通りです。

①京都市で染色関係の業種に勤務する従業員で、染色技術に関する実務経験を持っている人

きもの塾コース

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和装品に関する知識を習得するコースです。
消費者が安心できる着物を着てもらうためには、加工業者だけでなく流通に携わる小売業者などにも知識・技術が必要です。
京都市で和装品の流通業をしている中小企業の事業主・従業員を対象に、繊維・染織の知識を学べます。

きもの塾コースの対象者は下記の通りです。

①京都市で和装の流通業に従事している事業主、またはその従業員

世に出る伝統産業技術セミナ-

西陣織・京友禅・京焼・清水焼・京漆器などの伝統業界で活躍する企業家が、伝統産業の技をビジネスにつなげるセミナーです。
伝統産業業界に新しい発想を取り入れ、若い伝統産業従業員が新たな市場進出をするきっかけにすることを目的としています。

まとめ

以上、京都市伝統産業技術後継者育成資金の詳細と、京都市の伝統産業技術後継者育成に関する情報を解説してきました。
若手職人さんに知識・技術を習得させるためにはかなりの時間とお金がかかります。
伝統を受け継ぐ人を確保して、知識と技術を習得させることによって、伝統産業の数々の厳しい問題を解決していってほしいです。
京都市で、伝統の後継ぎを探している人や、若手の後継者を育てたい人はぜひ活用してください。

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